災害時に備えていろいろと準備するように言われていますが、気をつけないといけないことがあります。
それは災害によって備えるべきパターンをわけておくこと。
より具体的には、地震とそれ以外の災害にわけて考えることが大切になります。
地震は来た時には勝負がついています。つまり、建物やブロック塀などの耐震補強や逃げ込める場所の確保といった、どれくらい事前の準備ができているかで結果が決まります。
対して、それ以外の災害ではある程度予測や予兆がありますので、対策をする時間があります。
「マイタイムライン」はまさにこの予測できる災害に備えた災害時行動計画になり、これを整備しておくことで自分が助かる可能性が上昇します。さらには、状況に応じてさまざまな行動パターンが作れるのも予測ができる災害対策の利点です。
いきなり来ると言われる火山の噴火でも、さまざまな映像を見る限りは噴火の開始から1分~数分の猶予はありますのから、その間にできる限りの退避行動をとることはできます。また、事前の準備である程度生存率を上昇させることもできると思います。
さまざまなところがやっている災害の研修会では、結構この部分がごっちゃになって説明されているので、なかなか理解してもらうのが難しいのではないかと思っています。
地震は事前準備と発生時から治まるまでを分けて考え、それ以外の災害では時系列で行動を整理していく。
これをわけるだけでも考えるのにかなり楽になります。
もしも何から手を付けていいのかわからない人がおられるのなら、地震とそれ以外でまずは切り分け、それぞれにどのような対策がいるのかについて考えてみてください。
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とりあえず数値化してみる
防災に限らず、物事を考えていくときには客観的な視点が必要となります。
「客観的」という言葉を辞書で引いてみると「誰が見てももっともだと思われるような立場で物事を考えるさま」とあります。
誰が見てももっともだという状態にするためには、可能な限り数値化できるものは数値化することです。
数値は嘘をつきません。その数値に意思が関わることでいかようにでも考えられてしまうのですが、基礎となる数値は数値でしかないのです。
数値化できないものは対策を考えることも難しくなりますから、できるかぎり数値化してみることが客観的に考える第一歩だと思います。
防災に関していえば、例えば「家から歩くと何分で避難所へ移動できるか」や「近くの高台まで避難するのに何分かかるか」、「自分の居る場所から階段を使って外へ出るまで何分かかるか」などがあります。
これらを知ることで、対策するための時間が具体的にわかるようになってきますから、より安全が確保できるようになります。
他にも「自分が背負って歩ける重さ」を知っていると非常用持ち出し袋の重さをどれくらいまでで作ればいいのかがわかります。
自分がトイレにいく回数を知っていれば、携帯用トイレの準備もしやすいでしょう。
一食に食べる量がわかっていれば、非常食の準備も的確にできます。
自分の情報を数値化しておくと、防災に対する備えにも有利になってきます。
何から手をつけようかと悩む前に、まずは自分の情報を数値化してみてくださいね。
訓練はうそをつかない
以前に子どもの絵本を読んでいたとき、東京消防庁の標語の一つとして「訓練はうそをつかない」という言葉があることを知りました。
そのとき「なるほどな」と思ったのですが、経験していないことや想定していないことをいきなりやれと言われても、なかなかできるものではありません。
でも、さまざまな想定を考えてそれに対処する方法を決め確実にできるための訓練をしていれば、いざというときでも想定したことが起きるだけなので、慌てず粛々と対応をすることが可能です。
最近はさまざまな単位で防災訓練が行われていますが、お仕着せの訓練ではなく、地域でしっかりとした防災計画を持ち意識を持った防災訓練をおこなっているところは、さまざまな被害が出るとしても人的被害は限りなく0に近い数値になっている気がしています。
訓練参加者がどこまで真剣に考えているかという問題はありますが、少なくとも参加することで流れを知り覚えることはできます。安全な避難先まで時間がどれ位かかって、途中どんな障害があってどういった対応をすればいいのかといったことは現地を知らなければ考えることはできませんが、訓練に参加することで問題点を理解しやすくなり、対応も考えやすくなります。そして訓練の時にさまざまなことを考えて修正を加えていくことで、災害本番の時の生存確率はどんどん上げることができます。
「訓練はうそをつかない」
お散歩に出る前に最寄りの避難所を調べ、避難経路を作り、天気のいい日にお散歩の一環として一度歩いてみる。これは立派な避難訓練です。できれば複数の避難所まで歩いて、かかる時間や問題点を知っておくだけでも全然違います。
一人でも家族でも友人とでも地域でも、簡単なものでよいので防災訓練を習慣化しておくことをお勧めします。