非常食を食べ比べてみる

同じ品名でも、味付けはかなり異なる。好みで選べるのが面白い。

 

 災害時の非常用持ち出し品に入っている非常食。
 アルファ米や缶詰、レトルト食品などさまざまだと思いますが、あなたはそれを実際に食べてみたことがありますか。
 気分の沈んでいるときや不安な時にはちょっとでも元気をつける必要がありますが、その元気のでる代表的なものの一つが食事です。
 普段食べなれているものや、普段あまり食べられない好物などをこういったときに食べると、案外と気力が持つものです。
 でも、口に合わない食事を毎食食べると考えてみたらどうでしょうか。
 恐らく、食事が気分が落ち込んでしまうものの一つになってしまうのではないでしょうか。
 ちょっとした気分の落ち込みかもしれませんが、少なくとも食事は一日何回も食べることになりますから、そのたびにちょっとずつ落ち込んでいくと、ちょっとやそっとでは復活できないくらいになってしまうと思います。
 食べなれたものを食べるのが一番いいのですが、どうせ非常食を準備するのなら、さまざまなメーカーのものを食べ比べてみることをお勧めします。
 缶詰やレトルトパウチ、アルファ米など、非常食を作っているメーカーさんはかなりありますが、各社とも自社が一番おいしいと思う味付けで売り出しています。
 そのため、同じ名前の商品でも味が全く違うことがあるのです。
 つまり、一つ食べておいしくなかったとしても、他の会社なら好みの味があるかもしれないのです。
 もちろん結果的にすべてのメーカーがダメなひともいると思いますが、各社を食べ比べして、自分の好みの味を探すというのも楽しみの一つではないでしょうか。
ちなみに、最近ではアルファ米もさまざまな味が出ていますし、一昔に比べるとかなり味もよくなっています。
 また、売っている場所も増えてきていますから、買い物に出かけた時にでも探してみて、もし見つけたなら、実食してみてはいかがでしょうか。

暖房器具と災害への備え

カセットガスを使ったファンヒーター。電源不要で暖かい。カセット1本で1時間~1時間半程度持つ。

 だんだんと冬らしくなってきました。
 気象庁の1か月予報によると、西日本は気温も降水量も平年並みのようですが、暖冬とはいえ、冬への備えはきちんとしておいたほうがよさそうです。
 といっても、大したことではありません。
 暖房器具の熱源に使うエネルギーの多重化、つまり電気だけに頼らず、灯油ストーブやカセットガスストーブなどを準備しておくということです。
 薪や炭は、家の中で使うのにはかなりハードルが高いのでお勧めしませんが、さまざまな事情で発生する停電対策はきちんととっておいたほうがいざというときに安心できると思います。
 電気とそれ以外の熱源の一番の違いは、熱源を調理などにも使えるかどうかということ。電気の場合には暖房にしか使えないものがほとんどですが、他のエネルギーの場合にはほぼ煮炊きが可能です。
 また、そこまで大げさにしなくてもという方は、せめて使い捨てカイロや白金カイロの準備をお勧めします。
 万が一極寒の時に停電してしまうと、室温は一気に下がり、エマージェンシーシートや毛布などを羽織っても、かなり寒いことは間違いありません。
 また、人によっては自分で十分な体温を作れない場合もあると思います。
 そういうとき、自分の体温に頼らずに熱を作ってくれる使い捨てカイロなどのアイテムは非常に貴重です。
 体温の低下は死ぬことに直結しますので、熱源の確保だけは考えておくようにしてください。

あるものでなんとかするには

ゴミ袋と養生テープで防寒着を作る。ここまで本格的である必要はないが、やってみると結構楽しい。

 災害が起きた後は、とりあえずあるものでなんとかするしかありません。
 ですが、あるものでなんとかするには、あるものの活用法を知っておかないとなんとかすることができません。
 一番いいのはあるものでなんとかする羽目にならないような準備がされていることなのですが、なかなかそこまで準備のできている人は少ないような気がしています。
 あるものでなんとかするためには、その場にないが必要になったものの特徴を考えてみる必要があります。
 その特徴を満たすような代替品を探すと、案外となんとかなったりします。
 例えば、座布団で考えてみます。
 座布団の機能は床の固さの緩和、床の冷気の遮断といったところになると思います。
 そうすると、その場にビニール袋と新聞紙があれば新聞紙をくしゃくしゃにしてビニール袋の中に入れれば、とりあえずの代替品になるかもしれません。
 大き目のボールがあれば、その空気を抜くことで代替品ができるかもしれません。
 緩衝材があれば、袋にいれれば手軽に座布団ができるでしょう。
 こんな風に、機能を考えることで代替品を用意できることがあります。
 もちろん代替品の候補がどんな機能を持っているのかを知っていないとそもそもどうにもならないので、いろいろなアイテムの機能や特徴を調べて知っておくといいと思います。
 例えば、極端な例ですが、穴が開いているからと言ってちくわをストローの代わりにすると、ちくわストローを使って飲んだ飲み物はみんな魚の味に染まってしまいます。
 つまり、素材の特徴も知っておかないといけないということです。
 あるものでなんとかすることは、ないに越したことはありません。
 あくまでも代替品を作ることができるという前提で、必要なものの準備を怠らないようにしてください。

あなたは地図が読めますか

普段住んでいるところでも案外とわからないところがある。写真は防災マップを作る一シーン。

非常用持ち出し袋のアイテム類の一覧を見ると、多くのものに「地図」が入っています。
田舎に住んでいる人にはピンとこないアイテムなのですが、普段公共交通機関で移動している人の場合には、いざ歩いてときに道がわからないという大問題があるため、地図が必要だと考えられているのです。
ただ、この地図にもさまざまなものがあり、それぞれに特徴があります。
どのような地図を準備してもいいのですが、その地図がきちんと読めないと何の役にも立ちませんので、せっかく地図を準備するのであれば、その地図に書かれているものがどのようなものを意味するのかをきちんと理解しておきましょう。
例えば、自分のいる現在位置がわからないとそもそも地図が使えません。
また、場所がわかっていたとしても、自分がどの方向に向けて移動すればいいのかが理解できていなければ、全く違った方向に移動してしまうことになります。
最近都会地では「避難用マップ」というような名称で徒歩避難者向けの地図も販売されているようですが、地図を用意するのであれば、方位磁針もセットで準備したほうがいいと考えます。
例えば、日本で作られて日本で使う地図の場合には、基本的に上側が北になっているはずです。そうでない場合には地図面のどこかに方位が記載されていますので、それを確認してください。
では、方位磁針がない状態で自分がいま見ている方向を当ててみてください。
次に、30分ほどその地図で歩いてみて、今見ている方向が東西南北のどの方向なのか、もう一度当ててみてください。
結構な確率で方向がわからなくなっていると思います。
平時にはさまざまな目標や目印があって移動もわかりやすいですが、災害時にはそれらが燃えたり崩れたりしてわからなくなるかもしれません。
地図を準備するなら、方位磁針も併せて準備し、そのうえでそれを読み取ることが可能な程度には見慣れておく必要があります。
現在はスマホやカーナビが充実しているため、地図を見ることはあまりないと思います。
地図は普段から見慣れていないと内容を読み取ることは難しいですので、特に長距離を公共交通機関で通勤・通学している人は機会を作って地図と方位磁針に慣れるようにしておいてください。

使いやすい髪留め用ゴム

髪ゴム。結び目がなく切れにくいので、ちょっとしたことに重宝する。

 非常用持ち出し品の中に余裕があるのであれば、長い髪を束ねるときに使う髪ゴムを入れておくといろいろと使えて便利です。
 普通の輪ゴムに比べると丈夫で絡みにくく長持ちな上、輪ゴムと同じように使えるため、ものをまとめたり、縛ったり、固定したりと使い勝手がいいアイテムです。
 輪ゴムに比べると値段は高いですが、切れる心配をしなくてもいいというのは、ストレスがかかりやすい災害後の生活においては結構大切なことなのではないかと思います。
 また、普段は気にならない長い髪の毛も、洗髪できない状況が続くとうっとうしくなることが多いようですが、そういったときにも髪の毛をまとめればうっとおしさは軽減されます。
 その特性上、輪ゴムのような滑り止めの効果は期待できませんが、ちょっとしたあれこれに使える髪留め用のゴム、準備しておいて損はないと思います。

防災ポーチと防災ボトル

 手軽に持ち歩ける防災アイテムとして「防災ポーチ」というのがあります。
 マスクやエマージェンシーブランケット、お手拭きや懐中電灯、ホイッスルなどが小さなポーチに入っているのですが、最近は防災ボトルというのが発売されています。
 プラスチックの飲料用ボトルを収納容器につかって、中に防災ポーチと同じようなアイテム類が収められているもので、防災ポーチに比べると場所を取りますが、重要な問題の一つである「水」を確保する容器がついている非常に実用的なアイテムだと思います。
 学校や外回り用のカバンであまり大きな空間が確保できない場合には防災ポーチ、お出かけカバンなどで収納に余裕があるのであれば防災ボトルと、持ち歩くカバンに併せて作ってみるといいと思います。
 どちらもあまりたくさんは入れられませんので、必要と思うアイテムを厳選し、どこにでかけるときでも最低限の防災用品が備わっているようになっているといいですね。

 ちなみに、12月18日に開催する「持ち出し用防災セットを作ろう」では、ポーチかボトルのどちらかを入れ物に選んで作成を行います。イメージがしにくかったら、そういった企画に参加して確認してみるのもいいと思います。

【お知らせ】「持ち歩ける防災セットを作ろう」を開催します。

 来る12月18日(日)に益田市の市民学習センターにて、ワークショップ「持ち歩ける防災セットを作ろう」を開催します。
 当日は普段のカバンに入れておくことのできる防災グッズを選んで自分だけの持ち歩ける防災セットを作ってみます。
 また、よくある防災グッズを実際に使ってみたり、選ぶ時のコツなども考えていきたいと思っています。
 詳しくは画像のチラシをご確認ください。
 資材の準備の都合上、できるだけ事前申し込みをしていただけると助かります。
 興味のある方のご参加をお待ちしております。

使うか使わないか、使えるかどうか

子供用非常用持ち出し袋の一例。必要なものは入っているが、個人装備としたら足りないものがたくさんある。市販品も自分にあわせたカスタマイズが必要。

 非常用持ち出し袋のことは防災の話をするときには必ず出てくるものですが、あなたは準備をしていますか。
 市販品もさまざまな種類や内容で作られていて、それさえ備えれば準備ができたような感じがして安心できます。
 もちろん、一つ一つ自分が吟味したアイテムで作る非常用持ち出し袋なら、何が入っているのかが把握できているので安心できます。
 ただ、どちらにしても大切なことが一つ。
 それは「そのアイテムはちゃんと使えますか」ということです。
 非常用持ち出し袋ではさまざまな便利アイテムが入れられていますが、多機能すぎてどうやって使うのかわからないものや、それなんで入ってるのといったものがセットされていることがあります。
 非常用持ち出し袋の一覧表には、基本的にそのアイテムをどうやって使うのかまでは書かれていないことが多いので悩んでしまうこともあるのですが、自分が使いかたのわからないアイテムは使わないと考えてください。また、居住環境によって備えないといけないアイテムもさまざまに変わっていきます。
 市販品であれ、オーダーメイドであれ、非常用持ち出し袋を作る時にはそれがどんな時にどんな使い方をするものなのかをきちんと確認して、自分が納得してからアイテムに加えるようにしてください

保温を考える

風よけの中で空気を逃がさないのが基本

 寒くなってきました。
 これからの時期、災害で被災したらほとんどの場合寒空の下に放り出されてしまうことになりますので、命の維持に必要なものの一つである「保温」について考えてみたいと思います。
 さて、保温といいますが、暖を取るには二つの方法がありますので、これを整理して考えてみましょう。
 一つは、体の熱を逃がさない方法です。
 人間の体は体表面から常に熱を発散していますので、この熱を体の周りに閉じ込めるだけでも随分と暖が取れます。
 羽毛やウールなどを使った防寒着や裏起毛の服が温かく感じるのは、体から逃げる体温を外部へ逃がさない働きを持っているからです。
 防災用品でよく登場する、銀色のエマージェンシーブランケットも同じで、羽織ることで体から逃げる熱をブランケット内に閉じ込め、温かさを確保する構造になっています。
 どちらもポイントは体の周りの温めた空気を逃がさないということです。
 実は、空気が非常に効率の良い断熱材になりますので、便利グッズがないときには、段ボールやくしゃくしゃにした新聞紙を身に着けても似たような効果を期待することができます。
 気をつけないといけないのは、これらのアイテムは熱を作り出しているわけではないので、体が低体温で熱を作り出せない状況になっているときには役に立ちません。
 二つ目は、熱を作り出すこと。
 おなじみなのは使い捨てカイロだと思いますが、体から出る微量の水分で化学反応を起こして温める構造のこのアイテムは温めるエリアは狭いですが、少々冷えていても使っているうちにぽかぽかになる便利なアイテムです。
 他にもたき火やストーブなど、火を使ったものであれば火が作り出す熱によって体が温められ、非常に助かります。
 ろうそくなどの小さな火でも、やり方によってはそれなりに温まりますので、この火というものは温まるのには効率がいいものだなと思っています。

直火はかなり温かい。気持ちも落ち着くのが不思議。

 この二つを上手に組み合わせると、少々寒くてもなんとか寒さをしのぐことができます。
 体から熱を逃がさないことと、熱を作り出す道具を準備しておくこと。
 それらを考えて災害対策用の道具を準備したいですね。

【試してみた】牛丼缶を食べてみた

 牛丼缶というのがあります。
 牛丼で有名な吉野家さんが販売しているものですが、「非常用保存食」となっているとおり、災害時の食事としても使えるように冷たいままでも食べられるようになっているそうです。
 冷めた牛丼というとべっとりとして油が固まっていて食べられないという印象なのですが、本当においしく食べることができるのか。
 気になったので買って食べてみることにしました。


 お値段は、牛丼として考えるとかなり高いですが、非常食として考えたら妥当かなと思うくらい。
 缶切り不要のプルトップ缶で、開けるのは簡単です。
 開けてみると、イメージしたような冷たくなった牛丼が登場。
 温めたほうがよかったかなと思いながら、食材を箸で持ち上げてみると、案外と簡単に持ち上がります。


 たれはごはん全体にまぶされているような感じです。
 食べてみると、最初の一瞬、油のざらっとした触感を感じるものの、口内の体温で油が溶けてちゃんと牛肉の味がします。
 非常食なので、栄養のバランスを考えてのことだと思いますが、ご飯は麦飯。食感はプチプチします。
 筆者は麦飯が大好きなのでご機嫌でしたが、苦手な人は食べにくいかもしれません。それくらいしっかりと麦飯です。
 おやつくらいの分量かなと思っていたのですが、食べてみると結構満足感があります。ご飯が麦飯なのでしっかりと噛むというのもあるのかもしれません。
 缶詰なので、汁漏れを気にせずどんなところでも食べることのできる牛丼。
 麦飯好きな人、牛丼好きな人は非常食として一度試してみてはいかがでしょうか。

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