奇妙なランタン

 先日とある百円均一ショップで面白いものを見つけました。

 商品名は「ベースライト」。ペットボトルの下に置くと、ペットボトルをランタンにしてくれる道具だそうです。
 単4電池3本で48時間連続点灯可能だそうなのですが、私が買った物はスイッチが甘く、offにしてもたまに点灯しているという不思議な状態になってます。
 これはどんな目的に使うのかよくわからなかったので一つ購入して考えていたのですが、ひょっとして災害対策商品なのかなと気がつきました。
 台風などで停電したとき、懐中電灯をランタンに変える道具としてペットボトルとの組み合わせがあったことを思い出したからです。
 ただ、あれはあくまでも懐中電灯しかなくてそれをランタンに変えるために急場しのぎでつくられたものであって、予め準備できるのであれば、こういう道具よりも素直にランタンを勝った方が早いし使い勝手もいいのではないかと考えてしまいました。

表面は鏡面加工がしてあって、水の反射を上手に利用できる加工がしてある。

 もっとも、これをジュースなどの色水でやってみたら面白そうではあります。
 どんな目的で作られたのかはよくわかりませんが、いろんなことを考える人がいるものだと感心してしまったので、ちょっと取り上げさせていただきました。

ベースライトを使ってできたランタン。それなりに明るい。

大掃除と地震対策

よくある転倒防止用の突っ張り棒。天井の強度によっては天井と突っ張り棒の間に板を一枚入れると安全。

 そろそろ年末の大掃除を始めているご家庭も多いと思いますが、大掃除のついでに少しだけ家具の地震対策をしてみてはいかがでしょうか。
 大掃除では、普段やらないような場所まで掃除をすることが多いです。家具の上や壁との隙間、場合によっては家具を移動させての掃除をすることがあるかもしれません。
 そんなときに、家具の上部に転倒防止用の金具や空き箱の段ボール箱、壁への固定などの地震対策用の器具を取り付けてみませんか。

棚の中身が飛び出してこないようにロックをつけるのも有効

 一度に全部するのは難しくても、台所と寝室だけでもやっておくと、安心感が違います。
 最近あちこちで少し強めの地震が増えてきています。だからといって大地震が来るとは限らないのですが、来たときに家具などが倒れたり落ちてこないようにしっかりと対策をしておきましょう。
 なお、地震対策用の器具については、ホームセンターや百円均一ショップなどでも取り扱っています。
 自分のところにあった道具を見つけて、できれば複数の組み合わせで対策をしておいてくださいね。

眼鏡は予備を準備しておこう

 視力矯正具を必要とする人が眼鏡を作りに行ったとき、予備の眼鏡を進められたことはありませんか。
 あれは万が一のとき、あなたが困らないように進めてくれているのですが、あなたは予備の眼鏡がわかるところにしまってありますか。
 というのも、災害はいつもあなたが起きているときに起きるとは限りません。過去の災害を見てみると、寝ているときや明け方などに起きているものも多いのです。
 つまり、眼鏡やコンタクトレンズを外している状態で被災することもあり得るわけですが、そんなとき、あなたの眼鏡やコンタクトレンズがすぐに使える場所に置いてありますか。そして、それらが駄目だったときに備えて、非常用持ち出し袋などに予備のものがしまってありますか。
 いざというときに、物がきちんと見えている場合と見えていない場合では、行動がかなり変わってくると思います。
 視力矯正具なしでは行動が制限されてしまいますし、避難後のさまざまな情報は文字や映像で提供されることが多いので、非常に困ることになります。また、知り合いなどを探したりすることも困難でしょう。
 そして、被災地で新たに眼鏡を作ろうとしても、恐らくは相当な期間待たされることになると思います。
 そう考えると、普段使いしている眼鏡に加えて最低もう一つ、異なる場所に眼鏡を保管しておいた方がいいと思います。
 ちなみにコンタクトレンズしか使わない方の場合でも、被災地では衛生的な水が手に入りにくいですから、必然的にある程度の期間は眼鏡に頼らざるを得ない状況になりますので同じように予備の眼鏡を作っておいた方が安心です。
 最近ではデザインや能力を考えなければずいぶんと安く眼鏡を作れるようになっています。あなたの安全を守るためにも、まだ持っていないのであれば、眼鏡屋さんで予備の眼鏡を作っておくことをお勧めします。

おうちのエネルギー源は多重化しておこう

 電気、ガス、灯油、薪、炭など、おうちで使うエネルギー源にはさまざまなものがあると思います。
 最近は安全性や燃料コストの安さ、掃除のしやすさなどでオール電化にしているおうちも多いと思いますが、防災の視点から見ると、エネルギー源はなるべく多くしておいた方が安全だと考えています。
 例えば、電気であれば災害や思わぬ障害による大規模停電がいつ起きてもおかしくはありません。そんなとき、ガスや灯油など他のエネルギー源があれば、停電のときでも暖を取ったり調理をしたりすることができます。
 電気とは異なり、他のエネルギー源の場合には酸素が必要になりますので定期的な換気は必要となるのが難点ではありますが、いざというときに凍えなくて済むのは何よりの安心になると思います。
 もちろんオール電化がいけないというわけではありません。送電が止まることによって停電になることが困るのですから、蓄電池が備わっていればそれである程度まではカバーが可能になります。
 太陽光発電システムがセットになっていれば、日中の発電も可能になりますのでそれなりに生活が維持できると思います。
 ガスや灯油は燃料としての使用期限が存在しますので、保管しておいて何年も放っておくというわけにはいきません。
 薪や炭は、乾燥した環境が維持できるなら年単位で安定して保管することができますが、使い方にはかなりのコツが必要です。
 これらを備えるのであれば、日常生活の中に上手に組み込んだり、キャンプやバーベキューなどで定期的に消費をしながらローリングストックしていうことになるでしょう。そこまでたくさんでなくてもいいと思いますが、数日間はエネルギー源として使用可能な量のストックは必要です。
 自分の生活にあったエネルギー源の多重化について、考えてみてくださいね。

追伸:軽油+発電機の組み合わせはどうだろうかというご相談をいただくことがありますが、こちらは値段が高額になること、大きな音と排気ガスが出ること、利用頻度が費用に見合ったものかをご検討いただき、周辺環境や電気の必要量などをよく考えて必要だと判断した場合に準備されればいいと思います。
燃料の軽油も長く置いておくと変質してしまうことがありますので、そのあたりも十分に気をつけていただければと思います。

非常用持ち出し袋の中身と普段の生活

 非常用持ち出し袋の中身についてはたびたび触れているところですが、中身に迷うときには、自分の普段の生活を思い返してみてください。
 いつ、どんなときに何をしているか、どのようなときに何を使ってどんなことをしているか、まずはそれを考えてみてください。
 その上で、その生活習慣は避難先でもしないといけないことなのか、やったほうがいいことなのか、やらなくてもいいことなのかを整理します。
 やらなければいけない、やったほうがいいと判断すれば、それに必要なものは準備しておかないといけないということになります。
 ここで注意したいのは、やらないといけない、やったほうがよい、やらなくてもいいはあくまでも主観です。他の人の意見を考えるとうまくいきませんので、そこだけは気をつけてください。
 さて、準備をするとき、それらのものが非常用持ち出し袋に詰めておくと困るようなものであれば、非常用持ち出し袋を普段自分が使う場所へ移動させ、その中から出し入れをするようにします。
 そうすることで、非常用持ち出し袋の位置も把握できますし、いざというときに探さなくてすみます。
 避難生活はどれくらい普段の生活の質を維持できるかで快適性が変わります。
 非常用持ち出し袋を自分が持って歩ける範囲で、という前提にはなりますが、普段から自分の生活を考えておいて、非常用持ち出し袋の中身を備えるようにしてくださいね。

お散歩と避難訓練

 寒い季節になってきましたが、あなたの体調は大丈夫ですか。
 寒い時期になると屋内に引きこもりがちになりますが、天気の落ち着いている日には外で散歩してみると、意外とリフレッシュできるものです。
 せっかくなので、災害時に避難しようと考えている一時避難場所や避難所まで、実際に歩いてみてはいかがでしょうか。
 毎回同じところではなく、天候や体長に応じて近いところ、遠いところ、災害ごとに安全な場所などを確認しながら歩いてみると、思ってもなかった障害があったり、意外な避難可能な場所を見つけたりできて面白いですよ。
 子連れのご家庭では一緒になって歩いてみると、子どもがどの程度までなら歩けるのかや、歩けない子を背負ってどのくらいまでなら移動できるのかなどを試しておくと、緊急事態のときに自分たちがどのように避難すればよいのかのイメージができます。
 今回添付した写真でも小さな子が背負われていますが、この背負子はリュックサックになっていて、さらには背負っている子どものいすにもなる優れものです。
 リュックサックに納まる量はたいしたものではありませんが、数個の紙おむつと1回分の離乳食程度なら十分に納まりますので、普段使いでセットしておくといざというときにもそのまま子どもを乗せて背負って避難を開始することができます。
 非常時には可能な限り両手を空けるということを考えると、こういったアイテムを上手に使うのもありではないでしょうか。ただ、おんぶは背負う方もですが、背負われる子どもも慣れていないと上手に背負うことができませんので、そういう部分での練習にもなります。最初はうまく背負われてくれない子どもも、背負っている人と同じ目線になっていることに気づくと結構喜んでくれます。
 ちょっとした天気の安定した時間に、ちょっとしたお散歩で気分転換。
 新型コロナウイルスの流行が不安になっている今だからこそ、他人と接触せずに済むお出かけを考えたいものですね。

モンベル・ベビーキャリア(monbellのサイトへ移動します)

ヘルプマーク・ヘルプカードをご存じですか

 見た目では判断がつかない身体の内部の障害や難病の人、妊娠初期の人など、援助や配慮が必要だが見た目ではわからない人が身につけ、周囲に援助や配慮が必要であることを知らせるためのものです。
 東京都が考案して全国に普及されてきているそうですが、残念ながら筆者自身はまだ本物を見たことがありません。ただ、調べてみると島根県でも障がい福祉課がこのヘルプマークやヘルプカードの普及を行っているようです。
 ヘルプマークは、赤地に白い字で十字マークとハートマークが掲載されています。そして裏面には、その人がどういったことで援助や配慮が必要なのかという記載がされています。
 ヘルプカードも同様で、このカードの中に支援が必要な内容が書かれていますので、もし障がいのある人からこれらのものが提示されたら、記載されている内容に沿って支援をして欲しいとのこと。
 また、これらが併用される場合もあるようですので、もし提示されたらマークの裏側やヘルプカードの有無を確認をしてください。
 災害時には情報がうまく伝わらない・伝えられないことが数多く発生しますので、こういったことを知っておいて、いざというときにその人を助けることができるといいなと思います。
 内容など詳しいことについては、島根県障がい福祉課のウェブサイトをご確認ください。

ヘルプマーク・ヘルプカードについて」(島根県障がい福祉課のウェブサイトへ移動します)

カセットボンベの取り扱いについて考える

 取り扱いが簡単で危険性も少ないことから、カセットボンベはいろいろなところで燃料源として使われています。
 ただ、ちょっと気をつけないといけないなと思うことがありますので、今回はそこに触れてみたいと思います。

1.メーカー推奨と異なるガスボンベを使う

 メーカー純正のカセットガスは、そうでないものに比べるとかなり割高になっている感じがしますので、値段の安いカセットボンベを見つけて中身が変わらないのであれば、そっちの方を使ってしまうことがよくあります。

カセットコンロの外箱に記載されている注意書き。他のガスコンロが使えないとは書いていない。

 カセットコンロに限らず、カセットボンベを使用する製品は特定のカセットボンベで製品試験を受け、販売許可を得ています。
 そのため、製品試験を受けていない組み合わせは基本的に想定されていないと考えてください。
 カセットボンベの規格自体は、現在はJIS規格で殆ど標準化されているためどのカセットボンベでも殆どの場合互換性があって使うことができるようにはなっていますが、もしも指定されているカセットボンベ以外のものを使った場合、仮に事故が起きてもメーカー保証は一切ないことを覚えておいてください。

2.カセットガスの対応温度

 カセットガスはガスを充填している構造上、温度の変化に注意をしておかないと火がつかなくなったり爆発を起こすことがあります。
 低い方では5~10度以下になるとガスが気化しなくなるために火がつかなくなります。カセットコンロの中にはボンベを温めるような構造を持っているものもありますが、低温対応になっている一部のものを除くと、低い温度では使えないと考えておいた方が無難です。
 また、温度が上がるとガスが膨張します。それなりの強度は計算されて作られてはいますが、ボンベの表面が高い温度にさらされると気化が進んでガスが膨張し、爆発してしまうことがあります。
 ガスボンベを夏の自動車の中や火のそばに置かないようにというのは、膨張したときに爆発する危険性があるからだということを知っておいてください。
 よくある事故の一つにはカセットコンロのガス収納部の上に鍋の底などの加熱部分が乗り、ボンベが爆発するというのがありますので、ガスボンベ単体だけでなく、使用中のガスボンベの加熱についても気をつけておく必要があります。

3.ガスボンベの処分

 ガスボンベは必ずガスを使い切ってから処分してください。
 中途半端に残ったままゴミに出すと、爆発事故が起こることがあります。
 中のガスについては、ボンベに穴を空けてガスを排出しておく必要がある自治体と、ボンベをそのままガス抜きせずに出すことになっている自治体の二つがあります。
 必ずお住まいの自治体のゴミの回収案内の中のガスボンベの取り扱いについて確認しておいてください。

 ガスボンベは非常に身近な存在ですので、多くの人が利用しています。
 でも、取り扱いを間違えると非常に危険なものでもありますので、何気なく使うのではなく、安全に使えるようにボンベやカセットボンベを使う機材に書かれている注意書きをしっかりと読んで使うようにしてくださいね。

災害時の履き物について考える

当研究所にもさまざまな履き物がある。

 災害発生時に移動するために何らかの履き物を用意しておくように推奨されていることはご存じだと思います。
 非常用持ち出し袋にも丈夫なスリッパが入っていますし、地震の時に備えて着替えや履き物を寝る場所の近くに備えておくといったこともされているのではないでしょうか。
 ただ、一概に履き物といってもいろいろと存在していますので、登山靴から折りたたみ式スリッパまで人によって準備しているものが様々なのが現状です。
 今回はこの履き物について考えてみたいと思います。

1.なぜ履き物を準備しておかないといけないのか

 屋外にいるときはともかく、屋内では多くの場合素足か靴下を履いているだけの状態だと思います。
 地震で建物が揺れた場合、大きい地震だと窓ガラスが割れたり、棚のものが散乱したり、天井が落ちたりして人が歩く場所にものが散乱してしまいます。
 そのとき、素足や靴下だけだと移動時に落下物によって足の裏を怪我してしまう危険性があります。
 また、水害などで水に浸かった場合には、水に浸かっている部分の底は見えないので、危険なものを踏んでしまう可能性があります。
 そして、どのような災害であれ外を歩いて避難しようとすると、今の日本人の多くは裸足のまま歩くことは困難だと思います。
 そのため、履き物を準備して足を守ることが必要になるのです。

2.どんな履き物なら安全か

 履き物に求められるのは
1)脱げないこと
2)何かあっても足に怪我をしないこと
3)安全に歩けること
ですから、それらの条件を満たすものであればいいということになります。
 スリッパだと、(1)を満たせないものが多いので、かかとつきスリッパなど固定できるような機能をもったものでないと困ると思います。
 こういうところでよく出てくる運動靴だと、紐やマジックテープをしっかり留めれば(1)は大丈夫ですが、(2)で釘などを踏み抜く危険性があるので、踏み抜き防止のインナーソールが入っている方が安心だと思います。
 長靴は(1)も(2)もそれなりに条件を満たしているのですが、非常に滑りやすいという特性を持っていますので、災害時に履いて避難する場合には歩き方に注意が必要です。
 (1)~(3)の条件を満たせる靴で一番いいのは登山靴でしょうが、はき慣れていないと歩きにくいという大きな欠点がありますので、登山する趣味のない人にはちょっとハードルが高い気がします。
 極論から書くと、かかとがついていて足首から下が露出しておらず、踏み抜き防止のインナーソールなどの対策が取られていて、滑りにくいこと、と条件を満たせれば何でもいいということになるので、結局お気に入りの履き物に手当をすればいいのではないかということになります。
 もちろん使い捨てのスリッパでもないよりは遙かにマシですから、何かを準備しておいてください。

3.どこに置くといいか

 最後に、置き場所について考えてみます。履き物が必要な理由を考えると、着替えと一緒で枕元に置くのが一番安心できますが、靴を部屋に持ち込むのは抵抗がある人もいると思います。
 枕元には着替えと使い捨てスリッパ、廊下に靴というのでもいいかもしれません。
 また、履き物を配置するときには、災害時に飛ぶ破片が履き物の中に入らないようにあらかじめ袋に入れて置いておくと安心だと思います。

 避難するにしろ、片付けをするにしろ、足を怪我すると素早い移動が困難になってしまいます。
 靴を履いて寝る必要はないと思いますが、いざというときにすぐに行動が開始できるように、身近に履き物を準備して置いてくださいね。

非常用持ち出し袋や備蓄品の意味

市販品の子ども用非常用持ち出し袋の中身。これだけでは足りないし、いらないものもあるかもしれません。

 非常用持ち出し袋や備蓄品はそれぞれきちんと準備しておきましょうという説明がされますが、非常用持ち出し袋や備蓄品をなぜ備えないといけないのかについて考えたことはありますか。
 それは避難や避難先、避難生活で自分が直面するであろう困り事を解決するためにあらかじめ準備しておくものだということです。
 お困り事解決袋と考えれば、中身に何を準備しなければいけないのかがわかってくると思います。
 そして、非常用持ち出し袋や備蓄品の中身はみんな違うということも理解できるのではないでしょうか。
 例えば、老眼鏡や入れ歯、杖などは必要とされる人以外には準備しなくてもいいものですし、スマートフォンや携帯電話を持たない人であれば充電池を持ち歩く必要はありません。
 井戸や貯水タンクがあって水の心配がいらなければ飲料水の優先度は下がりますし、野菜や米が確保できるのであれば備蓄食を準備する必要がないかもしれません。
 避難所に毛布や布団がふんだんにあるのであればエマージェンシーシートやエアマットは不要でしょうし、周囲に薪がふんだんにあるのであれば燃料はいらないかもしれません。
 もし災害が起きて逃げるとき、そして逃げた後、あなたが直面すると思われるさまざまな困り事を解決するためには何を用意しておいたほうがいいのかを考えて準備をしておくこと。
 それにより、初めて非常用持ち出し袋や備蓄品が意味を持ってくるということを知っておいて欲しいと思います。