日本に住んでいる限り、災害が起きると大小はありますが、自分の生活に影響を受ける人がほとんどだと思います。
例えば、低地にお住いであれば大雨や洪水に備えておかないといけませんし、山の周囲にお住いであればがけ崩れや地すべりに気を付けておく必要があります。
また、直接なんの影響もない場所に住んでいる人でも、災害によるライフラインや道路などの寸断による影響は必ず出てきます。
どのような災害でどのような影響が出るのかは、過去の例や予測、推測するしかない部分もありますが、影響を受ける災害を認識することが災害に備えることの第一歩になるとおもいます。
ハザードマップや過去の伝承などを参考に、あなたがいる場所にはどのような災害が起きる危険性があって、どのような備えが必要なのかを確認し、そのうえで災害対策を進めるようにしてください。
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被災後の中高生の居場所をどうするか
大災害になると、障がい者や高齢者、乳幼児は割と早い段階から救援や支援の手が届きます。
そして、それよりは遅れても、小学生まではいろいろなNPO団体などが被災地に入って預かりや学習支援、あそび場作りなど、さまざまな支援をしてくれるのですが、置き去りになっているのが中学生、高校生の処遇です。
大人ではないので仕事に出るわけではなく、かといってどこかに預かってもらうこともなく、学習ができる体制があるわけでもない。
何かしようと思っても、その場所が確保されていないことが非常に多いです。
自治会や自主防災組織などで事前に検討される避難所の設営マニュアルにも、ペットの取り扱いについては記載がされているところも出てきましたが、中高生が学習したり息抜きができるような場所の確保はされていないのが現実です。
目立たず、声を上げるわけでもないのであまり意識されていないと思いますが、中高生も被災者であり、学習支援や心のケアが必要なのではないかと思います。
乳幼児や小学生、高齢者や障がい者と同じような時期に支援体制が作れるのなら非常にいいのですが、とりあえずは避難所の一角に最初からそう言った場所を設定しておくことができれば、その後の支援も随分と変わってくるのではないかと思います。
大人ではないが子供というにはちょっと大きい中高生。
彼らの日中の居場所についても、しっかりと検討しておきたいものです。
防災は科学です
災害対策でいろいろなお話をしていると、災害対策は科学だよなと思うことがよくあります。
例えば、暖かい空気は上昇するということがわかったいれば、避難用シェルターの屋根の高さはできるだけ低くすることを考えるでしょう。
また、風は熱を奪う、ということがわかっていれば、冬であれば防風対策、夏であれば風通しのよさを考えて避難所の設置を考えるのではないでしょうか。
濡れたものが乾いていくときには熱を奪うということがわかっていれば、濡れたまま体温で服を乾かすのはかなり無謀だということが想像できるでしょうし、汚い水しかなくても、毛細管現象を知っていればある程度きれいな水を手に入れる方法もわかると思います。
災害対策は気合や根性だけでやるものではありません。
最後に必要なのは気合や根性かもしれませんが、まずは科学的、論理的に筋を通して考え、そして準備しておくこと。
できるだけそのために、いろいろなことに興味を持ち、できることなら実際に体験してみて、考えてみてほしいと思います。
マニュアルをどう活かすか
災害時に対応するためのマニュアルというのは、多くの組織に備えられていると思います。
ただ、残念なことにどんなに良いマニュアルを作っても、その組織の人のほとんどはそのマニュアルを知らないのが現実です。
ないのは困るし、あっても読んでもらえない。そして何か起きたらマニュアルを知らなかったといわれて怒られたりもします。
実際のところ、分厚いマニュアルは作っても誰も読んでくれません。
読んでもらえないマニュアルは存在しないのと同じなので、なんとか見てもらえるような状態に落とし込む必要があります。
効率的なのはその人が取るべき行動についてのみをまとめた一枚紙を配ってしまうことです。
一枚紙なら読んでもらえますし、お財布などに入れておいてもらうこともさほど難しくはないと思います。
また、防災担当者がいなくてもやっておいてほしいことをファイルにまとめておき、いざというときにはファイルの手順通りに動いてもらう方法もあると思います。
せっかくマニュアルを作ったのであれば、そのマニュアルを基にした、誰もが理解できて行動できるようなわかりやすい手順書も作成しておくといいと思います。
車の燃料は常に半分以上入れておく
今回の寒波でも立ち往生が発生したようですが、何らかの事情で渋滞にはまってしまったとき、車で気になることの一つに燃料があります。
特に電気自動車の場合、バッテリーは寒さに弱く、電気だけでは暖房用の熱を作るのにかなり電力を必要とするため、思ったよりも電池の消耗が早くなっていることも多いのではないでしょうか。
近くを移動したりするのには非常に便利な電気自動車なのですが、寒波での渋滞が予測されるようなときには乗らないほうがいいかもしれません。
エンジン車やハイブリット車ではそこまで深刻な問題にはなりませんが、とはいえ燃料は有限。
燃料ゲージが半分を切った状態で渋滞にはまると、やはり燃料消費が気になってしまうと思います。
災害時のことを考えても、燃料は半分以上ほしいところです。
特に被災した後は燃料の給油は相当期間絶望的になりますので、いつ災害が起きてもいいように車の燃料には注意しておくようにしてください。
水道管を破裂させない方法
久しぶりの強烈な寒気が入ってきたそうで、普段は暖かな場所でも積雪や凍結の予想が出ています。
道路が雪や凍結によって車が動けなくなることが予測できるので、必要最低限を除いた外出は避けたほうが無難です。
スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを履いていても、他の車が動けなくなるのに巻き込まれてしまうこともあるので、どうしても出かけないといけない用事がある人は日中に全て済ませて、日が暮れるまでには帰宅していることをお勧めします。
ところで、強烈な寒気のあとに起きるトラブルの一つに水道管の破裂があります。
特に普段は凍結しない地域ではよく起こっているようですが、水道管が破裂してしまうと、大元の止水栓を止めるしかなくなり、修理にも時間がかかりますので、できるだけ破裂させないように準備しておきましょう。
水自体は0度を下回ると凍り始めますが、水道の水は氷点下4度以下にならないと凍らないそうですので、できるだけ水道管の温度を下げないようにしてやれば、水道の水は凍らなくてすみそうです。
地中や屋内配管が凍ってしまうとどうしようもありませんが、屋外に露出している水道は断熱材や布を巻き、周囲をビニールテープなどで巻くことで凍らすのを遅らせることができます。
このとき、断熱材や布が濡れてしまうと逆効果になってしまうので、配管や蛇口を覆うときには断熱材や布を濡らさないようにしてください。
また、水道代を気にしないのであれば、蛇口からある程度の水量を流し続けることで凍結防止になります。破裂した水道管の修理と時間を考えると、選択肢の一つになると思います。
ちなみに、水が氷になると約10%膨張するそうで、これにより水道管が膨らんで破裂してしまうのだそうです。
ただし、凍っていても破裂していなければ、そのまま自然解凍を待てば再び使えるようになりますので、そこまで心配はいりません。
でも、急いで水を使おうとして凍った水道管に熱湯をかけると破裂してしまうことがあるので、かけるなら人肌程度のお湯を少しずつ時間をかけて溶かすようにしてください。
最後に、ガス給湯器の場合は配管すべてに断熱材を巻いてしまうと、給湯器に近い部分では出火してしまう可能性もありますので、給湯器のスイッチを切ったうえで蛇口を開け、凍結しない程度の水量を流しておくとよいとのことです。
「水道管の凍結対策をしましょう」(島根県江津市のウェブサイトへ移動します)
「ガス給湯器の凍結防止」(東京ガスのウェブサイトへ移動します)
「氷の実験室」(ニチレイのウェブサイトへ移動します)
経験と被災生活
災害が起きた後、ある程度環境が落ち着いてくるまでは生活が激変することが多いです。ライフラインの確保や家屋、周囲の片づけ、職場の片づけや業務の復旧など、普段以上にさまざまなことを同時に行わなければなりません。
生活の質も、蛇口をひねると水が出る環境から給水所まで水を取りに行くことになったり、オール電化だったのにたき火などで暖を取り、調理したりと、一気に数十年も過去に戻ることになってしまいます。
そういった生活に耐えられるかどうか、つまり過去の経験の中でそれに似た状況になったことがあるかが大きなカギになるような気がしています。
例えば、アウトドア遊びをよくやる人だと、環境が変化してもあまり気にならないかもしれません。
疑似的に不自由な環境を作り出して体験していれば、どのようなものかが予測できるのであまり途方にくれることはないと思いますが、普段便利な生活しかしていない人だと、あまり極端な環境の変化には耐えきれないかもしれません。
体験していること、経験したことについては、多くの場合予測ができて対策もでき、何とかしようと思えるものです。
ですが、体験も経験もなくいきなりそういう生活に放り込まれると、ひょっとするとその生活そのものに耐えられないかもしれません。
普段の生活の中で「ちょっと不便な日」などを作って、例えば水道を使わない日や台所を使わない日などをやってみると、いろいろな気づきがでてくると思います。
アウトドアでのキャンプもよい体験になるでしょう。
日常生活だけではなく、不自由さにも慣れておくことで、いざ災害の時に生活の質は落ちても気持ちを落ち込ませなくてもすむのではないかと思います。
防災はトップで決まる
普通の仕事と違って、防災はマイナスの状態をできるだけ0に近づけるというあまり建設的にみられない仕事になります。
そのため、多くの組織では「重要ではあるが優先度が低い」という状態に置かれていて、いざ災害になって大慌てすることが非常に多いです。
特に中小企業や施設などでこの傾向が強いのですが、防災を確実に実施するためには、その組織のトップが防災についての意識付けをしっかりと持って「防災をやる」という意思を明確にし、しっかりとした指示を出す必要があります。
組織の構成員がいくら防災が必要だと動いていても、トップにその気がなければ他の人がやろうという気になりません。
逆に言えば、トップがやる気になれば防災は驚くくらい一気に進みます。
自分の組織で死者やけが人を出さないため、そして事業をしっかりと続けるために、日常の仕事と同じか、あるいはそれ以上の必要性を意識して、組織の構成員の方に意識付けをしてほしいと思います。
死なないこと、怪我しないこと
災害時に最も重要なことは死なないこと、そして怪我しないことです。
そのための耐震補強だったり、早めの避難だったり、場合によっては被災地外の遠方への避難ということも考えられるわけです。
ただ、死なないこと、怪我しないことを達成するためには日ごろからの準備がかなり大切になります。
でも、重要度は高いがいつ来るかわからない災害への備えは、大丈夫かもしれないという気持ちにとらわれることが多くてどうしても後回しにしがちです。
優先度を上げるためには、周囲の目などのさまざまな補助が必要になりますので、例えば自治会や自主防災組織、行政などは災害時に余計な手を取られないためにしっかりと手助けをしていくことが大切です。
自治会や自主防災組織であれば、家具の固定方法や実際に各家庭を回って一緒に対策をする、行政であれば耐震補強や耐震診断に対して信頼できる業者の紹介や対策にかかる経費の補助など、その気になれば簡単にできることがたくさんありますので、対策が必要だということから一歩踏み出し、対策を実際にやろうというところにまでなってほしいと思います。
最終的に自分の身を守るのは自分しかありませんが、自分の身を守るためのいろいろな対策の手伝いは誰にでもできます。
災害時に死んだり怪我したりする人が増えると、消防や警察、自衛隊や行政といった専門的な活動をする部分に負担がかかり、対応が遅れたり対応できないことも起こりえます。
不幸にして死んだり怪我したりする人を0にすることはできないかもしれませんが、対策を講じることで0に近づけることはできますので、お互いが助かるような手立てを考え、実際に行動して、いざというときに死なない、怪我しないようにしていきましょう。
【お知らせ】国内希少野生動植物種に新たに15種が追加されます
絶滅の恐れがある野生動植物の種の保存を目的として、環境省が捕獲・採取や譲渡、販売などを禁止している「国内希少野生動植物種」は最近追加される動植物が増えてきていますが、この1月11日から新たに15種追加されることになりました。
有名なものではゲンゴロウと二ホンザリガニが入っています。
二ホンザリガニは北日本以北に生息しているのですが、もともと数が減っているのが心配されていたものなので妥当だと思いますが、ゲンゴロウの追加が意外な感じがしました。
考えてみると、昔は普通に畔や溝、川や池などでよく見かけていたタガメもすでにこの国内希少野生動植物の一つになっています。
護岸や圃場整備で土がなくなっていることや、さまざまな生物が生息できなくなっていることを考えると、肉食昆虫であるゲンゴロウも数が激減していくのは予測がつく話です。
このままいくとどうなるのかなという気がしますが、割とその辺にいたゲンゴロウも絶滅するかもしれない種に入ってしまったのが驚きです。
ゲンゴロウの全ての種類が対象になっているわけではないようですが、ゲンゴロウを捕まえるときには種類をしっかりと確認したほうがよさそうです。
ちなみに、指定後にこれらの国内希少野生動植物種を許可なく捕獲・採取などした場合には、個人で5年以下の懲役または500万円以下の罰金、法人では1億円以下の罰金となっていますのでご注意ください。
また、ネットオークションやネット販売などで出品されたことに気づかれた場合には環境省に報告してほしいいとのことなので、もし見かけたら環境省までご一報をお願いします。
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する 政令の概要(環境省のウェブサイトへ移動します)
ゲンゴロウ(wikipediaに移動します)
二ホンザリガニ(wikipediaに移動します)