昨日は自治体から避難指示が出て、筆者も実際に避難したのですが、地域ではさまざまな出来事が起きていました。
遠方に住んでいる子どもさん達から「逃げなきゃコール」の嵐を受けて高台の身内のお宅へ避難した方、自治会や近所の人の声かけで避難所に避難した方、自分の避難計画に従って避難場所や一時避難所に移動した方、そして避難しないという選択をした方もいれば、お隣が避難しないからうちも避難しないという方まで、さまざまなバリエーションで避難という動きをしていました。
避難するのは確かに基本なのですが、河川情報や雨雲レーダー、天気図の情報を独自分析して避難しないという選択肢は、正直なところありだろうなと思います。
また、避難は必ず避難所へ避難しなければいけないわけではありませんから、自分が心安いところへ避難するのもいいと思います。
隣人が避難しないから避難しないというのなら、隣人が避難するときに声をかけてもらうようにあらかじめお願いしておけば、置き去りになることはないでしょう。
要は、自分の判断や置かれた状況で避難するかしないかの判断をすればいいのです。
さまざまなご家庭がありますから、避難できないお宅も当然あります。二階以上の垂直避難しか選択できない場合もあるでしょう。
避難で何が問題になるのかというと、被災後、誰がどこにいるのかわからないということですから、隣近所で誰がどこへ避難しているのかを把握しておけば、被災後に助かっているのか救助が必要なのかが判断できます。
そして、自治会や行政が全ての人の避難計画を知らなくても、誰が知っているのかだけ把握しておけば、初動は非常に楽にできます。
避難をするときにはできるだけ近所や親類、友人など、誰かに行き先を告げておくことで、その人がどうなっているのかの予測ができるようになります。
実際にはなかなか難しいかもしれませんが、自分がどこへ避難しているのかを自分以外の誰かがわかるようにしておきたいものですね。
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実際に避難してみた
今日は台風9号の影響で地元の川が氾濫危険水位まで上昇し、流域の人達に避難指示が出されました。
我が家のある地域もその河川の流域に含まれているのですが、川の情報を見たところ増水傾向が続いていたので実際に避難を行う判断をし、準備を開始しました。
家族全員で避難準備を始め、完了までに約40分。非常用持ち出し袋はそれぞれ持っていたのですが、持って行けない大切なものを二階に移動させる手間でそこまで時間がかかってしまったようです。
また、通常は実家に避難する設定にしており、避難所へ行く想定はしていなかったので、地域の避難所に何が必要なのかという判断に手間取り、思った以上に時間がかかってしまいました。
ここから見えることは、大切なものをどの段階でどこへ移動させておくのかを事前に決めておくことと、地域の避難所の物資の状況の把握が必要だということです。
結局、避難所には行かず、普段避難場所として決めていた高台に移動して様子をみることにしたのですが、さまざまな段取りをつけておかないと避難開始までの貴重な時間を使ってしまって間に合わなくなるということがよくわかりました。
普段割と訓練をしていると思っていたのですが、いざ本番となるとさまざまなトラブルや勘違い、行き違いが発生してドタバタしてしまうものです。
できるだけさまざまな想定を考えて訓練しておくことと、今回の状況をきちんと整理して次回に活かす必要があるなと感じた避難でした。
台風の風
今週から来週にかけて、2つの台風が本土を通過するかもしれない予報が出ています。現時点ではさまざまな要因が複雑に絡み合っていて、予報円がものすごく大きくなっているのでこの後どうなるのかはわかりにくいのですが、それでも直撃すると雨風がひどくなるのかなとは思っています。

ところで、台風は上空から見て右側と左側で強さが異なっていることはご存じですか。
極端に強さが違うわけではありませんが、左側に比べると右側の方が風雨が強いです。台風の衛星写真を見てみるとわかりますが、中心の目からみて進行方向右側が大きく雲を従えていて、左側はそうでもないことが見て取れると思います。
これは台風の回転が反時計回りになっているため、台風が進む風と台風自身の風が合わさることで左側に比べて勢いが強くなっています。
また、台風の目の部分は無風地帯であることが知られていますが、目の形がはっきりしているものは勢力が強いです。そして、その目の周囲が最も風の強い場所となっているので注意が必要です。
最後に、風は狭い場所を通るときに力が強くなります。
そのため、入り江や谷間、ビルの間といった場所では実際の台風の勢力以上の強風が吹くことがありますので、台風が来ているときにはできるだけそういった場所を避けた方が無難です。
ここ最近海水温が高い状態で推移していますので、台風も勢力を維持、どうかすると勢力を増しながら本土に近づいてくることも増えました。
台風シーズンになる前に、屋根や雨樋などの修理、側溝の掃除、家の周りの片付けなどを行って、いざというときに慌てなくて済むようにしておきたいですね。
輻射熱に気をつける

暑い日が続きますが、それでも健康のためにということで、早朝や夕方、夜間に散歩やランニングをされる方は多いようです。
その時に一つだけ気をつけておいて欲しいことがあります。
それは、アスファルトからの輻射熱。
アスファルトは熱を蓄える性質があり、地面に近づくほど気温が上がりますので、大人よりも子ども、子どもよりもベビーカーにのる赤ちゃんや散歩しているイヌの方がより暑さにさらされているわけです。
直射日光を防ぐということでサンシェードを出してお散歩しているベビーカーを見ることがありますが、地面からの輻射熱でベビーカーの中が煮えている可能性もありますので、風通しよくして、温度管理には細心の注意が必要です。
また、イヌの散歩をするときに、アスファルトからの輻射熱だけで考えれば夕方や夜間よりも早朝の方が安心できると思います。
ついでに書くと、着用している服も黒いものよりは白いものの方が熱を反射してくれますから、色も意識してもらえるとより安心できると思います。
アスファルトは熱を貯めて夕方から夜間にかけてゆっくりと放熱する性質があります。そのため、都会では夜間でも気温が下がらないヒートアイランド現象なども起きやすいです。
あまり意識はしていないかもしれませんが、地面からの輻射熱にも意識を向けておきたいですね。
雷に気をつける
夏の天気で夕立とセットでよく出てくるのが雷です。
雷は湿った空気が上昇気流によって上空に集まった水蒸気が凍ってぶつかることで空気が帯電し、限界を超えたときに地上に逃げる電気を指します。
昔は雷が光ってから音がするまでの時間を計って安全かどうかを確認していましたが、現在では「音が聞こえる=雷が落ちる危険性がある」という整理がされています。
この雷、雲の量や大きさによって数分から数時間暴れるわけですが、どうしたものか尖ったものに集まる習性があります。
そのため、雷の中で傘をさして歩いていたりすると、落雷する危険性が上がりますので注意が必要です。
また、雨宿りするときには木の下は避けましょう。もしも木に雷が落ちると木よりも電気を通しやすい人体に雷が飛んできてしまって大けがをすることがあります。
落雷時には、なるべく姿勢を低くしておくことが望ましいです。なるべく姿勢を低くして、近くの建物などに逃げ込むのが身を守る方法です。
雷は割と予測しにくいようで、雷注意報が出ていてもなんともないこともあれば、何も出てないのに雷が鳴りまくっていることもあります。
空中放電や雷の音が聞こえたら、なるべく早く近くの建物などに逃げ込む、逃げ込めない場合は、身につけているもので身体から出ている突起類を可能な限り収納し、できるだけ低い姿勢でやりすごす。
雷は当たるとよくて大やけど、へたすると死んでしまいますから、雷が鳴ったら、できるだけ早く安全対策を取るようにしてくださいね。
ボランティア保険と破傷風対策
新型コロナウイルス感染症のおかげで災害ボランティアの動きも鈍くなってしまっていますが、参加できる地域の方はできる範囲でボランティア活動をしていただけるといいなと思っています。
ところで、ボランティアセンター経由で災害ボランティアに参加する場合には、社会福祉協議会でボランティア保険に加入することが前提となります。
このボランティア保険、基本は活動日の前日までにお住まいの地域の社会福祉協議会窓口で手続きをしておいてくださいね。
大規模災害の場合には、現地のボランティアセンターに保険の受付窓口が設置されて保険をかけたその日から適用してもらえる場合もありますが、あくまでも例外対応です。せっかくボランティアに出かけたのに保険に未加入で参加できなかったというのでは悲しいと思いますので、そこは気をつけておいてほしいなと思います。
また、災害ボランティアは活動内容が多岐に渡りますが多くの場合は泥出しや洗浄といった汚染除去という仕事になります。
汚泥にはさまざまな菌が居ますが、その中でも破傷風菌はけがをしたり傷口があった場合等に感染しやすくなりますし、感染すると死亡するリスクもかなり高くなりますので、怪我をしない対策が必要です。
具体的には、ゴーグルをかけ、マスクを着用すること、作業時には肌の露出はできるだけしないこと、履いている靴はがれきや破片、釘などが貫通しないように安全中敷きを入れる、手袋も防刃のものを使うなど、リスクをできるだけ下げるようにしておきます。
ただ、それでも怪我をするときにはしますので、破傷風ワクチンの接種もしておくようにしてください。
破傷風ワクチンは正しく接種すると10年は免疫が続き、効果も大です。
なお、すぐにワクチンが無い場合もあるようですので、接種について詳しくはあなたのかかりつけ医に相談してください。
せっかくボランティアに出かけたのに破傷風にかかって大事になるのは避けたいですから、怪我しない対策と、怪我しても破傷風が発症しないようにしておくことはとても大切です。事故のないボランティア活動になることを願っています。
水害について考える日
今日7月23日は昭和58年豪雨による水害があった日です。
当時は総計で548mm(諸説あり)の集中豪雨で島根県西部の多くの河川が決壊し、大きな被害が発生しました。ただ、当時どのようなことが起きて何があったのかについては、報道発表など以外の記録というのは案外残っていない状態で、記録の承継をすることが急がれているのでは無いかという気がしています。
ところで、ここのところ毎年国内のどこかで水害が起きているのですが、その雨量を見ていると、どうかすると1,000mmを超えているようなケースが出てきています。
これだけの雨が数日で降るような状況だと、避難レベル3から一気に避難レベル5になって避難レベル4を飛ばしてしまうような事態も発生することになり、避難情報が発令されてから避難をしたのでは遅いという状況が起きるようになってきました。そのため、あらかじめ大雨が降ったらどうなるのかと言うことをきちんと知っておく必要があると思います。
河川に関しては、国が管理している部分の一級河川について水害による浸水想定が出されていて、これは国土地理院の「浸水ナビ」で確認することができます。
また、県管理河川についても、浸水想定が出されているものもありますので、お近くの河川が氾濫したらどうなるのかということを一度確認して置いた方がいいと思います。
ハザードマップでは、多くの場合50年に一度くらいの水量を計算して浸水域が設定されているようですが、「浸水ナビ」では、国管理河川に限定されているとは言え最大浸水想定が出されていますので、最悪の場合を想定することができると思います。
最近の天気を見ていると、水害はいつ起きてもおかしくないという印象を持っています。
ハザードマップだけで無く、国土交通省や都道府県、市町村が出している河川ごとの浸水想定域などの地図も参考にして、避難が必要かどうか、そして避難する場合の避難先と避難経路について、確認して準備しておくようにしてくださいね。
水遊びでは静かなときこそ危険サイン

プールなど、監視員がしっかりと監視しているところでも水難事故は起こります。
特に溺れて亡くなる溺死は毎年どこかで必ず起きています。
監視員がしっかりと見ているはずなのに、どうして溺死してしまうのかというと、それは人が溺れるときの特徴があるから。
人が本当に溺れているときには、静かに沈みます。
そのため、たくさんの人がばちゃばちゃと遊んでいるような状況だと、溺れていることには非常に気がつきにくいのです。
よくテレビドラマなどで溺れている人が「溺れる! 助けて!」と大騒ぎするシーンがありますが、あれは意識もあり呼吸もできていますのでそこまで危険ではありません。
実体験の範囲で書くと、本当に溺れているときには息ができません。息ができないから身体が動かない。息をしようと口を開けた瞬間に水を飲んでしまって、これが続くとそのまま溺死してしまうのかなと思っています。筆者自身はなんとか助かりましたが、やはり静かになったので気がついてもらえたようです。
子どもが複数になると、なかなか一人一人には目が届きません。手のかかる子がいるとなおさらです。静かになったときにこそ何か起きていると考えてください。
溺れないように、水遊び前には必ずライフジャケットを正しく着用してください。
ライフジャケットをつけたからといって絶対に溺れないわけではありませんが、溺れる危険性はかなり低くなります。
せっかくの楽しい水遊びです。
子どもも大人も、水に入るときにはライフジャケットを着用して楽しめるようにしたいですね。
水遊びとライフジャケット

新型コロナウイルス感染症は屋外では移りにくいということで屋外でのさまざまな遊びが脚光を浴びているようですが、暑くなってきましたから水遊びしたいと考えている人も多いのではないかと思います。
プールのように監視がしっかりとしていて流れのない場所ならともかく、川や海、湖で遊ぶときに必ず着用して欲しいのがライフジャケット。
何をどうしても浮くようにできていますので、正しく着用していれば溺れる可能性はかなり低くなります。
呼吸する口や鼻が水の上に出ていればとりあえずなんとかなりますので、子どもだけでなく、水遊びをするときには大人もライフジャケットを着用して起きたいですね。
また、身体の本体を覆うような構造のものが多いので、胴体の日焼けを防ぐこともできますし、体型が気になる人にも最適です。
ただ、ライフジャケットは構造上断熱効果が非常に高いので、陸上で休憩やご飯の準備をしているときにも着用したままでいると熱中症になる危険性がありますので注意が必要です。
ところで、気をつけたいのが事故が起きたときです。
ライフジャケットをつけた人、特に子どもは流されると慌てて救援を求めることがあるかもしれませんが、その声を聞いても慌てて飛び込んではいけません。
ライフジャケットは浮きます。浮いて声が出せているということは、溺れてはいないということですから、慌てる方が危険です。
慌てて救助に向かうと、ヘタすると二重遭難してしまうことがあります。
遭難していると思っている人は必死です。
もし救助者が来てくれたなら、ほぼ100%救助者にしがみつきます。
そうすると、救助者は自由が聞かなくなるので溺れてしまうし、ライフジャケットの浮力も不足することになるので一緒に沈むことになりかねません。
まずは遭難者を落ち着かせ、救助者も落ち着くこと。
ライフジャケットの浮力があれば、滝でもない限りとりあえずは大丈夫ですから、まずは落ち着きましょう。
ちなみに、ライフジャケットを着用していると泳ぐことは結構難しいですので、とりあえずは浮いて流されるままにします。
浅瀬があればそこで上陸すれば助かりますし、浅瀬がない状態でも、泳いで体力を無駄に消耗するよりは流れに任せた方が無難です。
携帯電話が通じるのであれば、119番通報して救助装備を持つ消防の出動を要請します。
もしも手元に空のペットボトルと長くて軽い紐があるのであれば、紐をくくっておもり代わりの水を少し入れたペットボトルを投げて遭難者に掴ませ、たぐり寄せて救助ということも可能ではあります。
見落としがちですが、釣り用の釣り糸も案外丈夫で使うことが可能です。リール付きであればペットボトルをより遠くに飛ばすことも可能ですから、念のため覚えておいてください。
楽しい水遊びで悲しい事故が起きないように、水遊びではライフジャケットを身につける習慣を身につけたいものですね。
防災と減災
当研究所の名前は「石西防災研究所」ですが、実は防災が完璧にできるとは思っていません。
どういうことかというと、日本は災害列島と呼ばれるくらい災害の多いところであり、どこに住んでいても何かの災害は必ず起きます。
安全な場所がない以上、災いが起きるのを限りなく0%に近づけることはできても、100%防ぐことはできません。
例えば何十億円というインフラ投資を行っても、それ以上の自然の力が加わればかならず被害は出るわけで、もし完璧な防災ができるのなら、災害時の「想定外な事態」は発生しないのではないでしょうか。
では、「災いを減らす」減災はどうか。
発生した災害から受ける被害をできる範囲でなくしていくこと。
全てを守るのではなく、できる範囲でできることを行い、結果として被害を小さくすること。
例えば、事前にどんな災害が起きたらどこへ避難するのかや、逃げ出すタイミング、
それが減災で、これならさほどお金や労力をかけなくてもできるような気はします。
発災しても一切の生活を変えないように備えるのが「防災」、発災したときに自分の命を守り、自分が生活し続けることができるようにすることが「減災」です。
100%を目指さないのであれば、別にどちらでも構わないと思いますが、もしあなたが自分の財産を使って行動するとしたら、どちらを目指しますか。