まずは身の安全の確保から

机の下でダンゴムシ
机の下でダンゴムシはお約束です

 地震が起きたとき、その後どんな行動をしていたのかを体験者に尋ねると、割と高確率で帰ってくる返事が「その場で何が起きたのかを確認した」というものです。
 慣れっこになっている地域だと、「ほうきとちりとりで片付けを始めた」や「家の点検をした」といった答えが返ってくることもありますが、本当はまず自分の安全確保をすることが最初の行動になっていないと困るのではないかと思います。
 もちろん、何が起きたのか分からないから状況を確認して行動を決定するというのは非常に大切なことです。また、復旧対応をすることも悪いことだとは思いません。
 ただ、情報収集もお片付けも点検も、身の安全を確保ができていないと非常に危険です。普段から意識していて、自分の居る場所が安全だと分かっている場合には情報収集はしても問題ありませんが、安全かどうか分からない場合には、一度確実に安全な場所まで待避して状況を調べる習慣を作っておきましょう。
 以前、緊急地震速報がその場にいた人の携帯電話から一斉に流れ出し、筆者も含めた全員が携帯電話を確認しているうちに揺れ始めたことがありました。
 緊急地震速報の音は覚えておいて、もしそれが鳴ったら取りあえず安全確保するように習慣づけておかないと、緊急地震速報があまり役に立たないなと自分で反省したことを覚えています。
 普段意識していない身の安全かもしれませんが、もし地震が起きたらどう行動するのかを、その場所に応じて考えて、いざというときに行動できるようにしたいものですね。

広域避難はできないか

 大規模災害になると、被災地での被災者に対する支援はかなり難しいのが現実です。
 そのため、特に要支援者の方を中心として、被害地外へ広域避難してもらい、状況が落ち着いてから帰ってきてもらうという方法がとられるようになってきています。
 特に原子力発電所の事故対策としてこの動きが顕著なのですが、それに限らず、さまざまな災害で利用してもいいのではないかと考えています。
 ただ、問題となるのは受け入れ先の対応力です。
 たくさんの被災者を収容するためには、それだけの資材とマンパワーが必要となりますが、行政改革で徹底的に削減された人員では、自治体は他所の面倒までみることはできません。
 また、避難させた自治体にその余力があるかと言われると、やはり余力はないというのが正直なところです。
 できることであれば、平時に被災者をどのように避難させてどのように収容するのか、そしてどのように生活環境を確保するのかということを被災するであろう人達でしっかりと話をし、できるだけ自分たちで対応をしていかなければ難しいと思います。
 被災者はお客様ではありませんし、かわいそうな人でもありません。一人の生活者です。災害前までは生活を自ら営んでこれたわけですから、生活できる空間が整っていれば自分の生活を営むことは可能だと思います。
 体育館や集会所、大規模施設はあくまでも仮の避難施設と考え、仮設住宅や借り上げ住宅、什器や生活物資の支援などの準備や段取りを計画的に準備しておくと、いざというときでも慌てたり不安になったりしなくて済むのではと考えますが、あなたはどう考えますか。

今日は防災の日です

 1923年9月1日の正午頃、関東で発生した関東大震災。
 関東地方を中心に発生した大きな地震で、多くの家屋倒壊と、その後の大火災で多くの人命や財産が失われました。
 現在はこの関東大震災が起きた日を防災の日として国では大規模な防災訓練を毎年実施していますが、去年、今年はコロナ禍により机上訓練を中心として訓練が行われているようです。
 ところで、これからは秋雨前線と台風が日本列島に影響を与える季節に入りますが、あなたの災害への備えは大丈夫ですか。
 台風、大雨による洪水や土砂崩れへの対策や地震に対する備えは、最低でも一年に一回は見直しておいた方がよいものです。
 毎年決まった日を覚えているのが難しい方は、今日の防災の日を目処にあなた自身の災害対策についてしっかりと整理してみてはどうでしょうか。
 建物からの脱出や避難判断、避難経路や避難の行き先、災害からの復旧・復興といざというときに備えるためのメニューはたくさんあります。
 毎日考えているとげんなりしますので、年に一回だけ、この防災の日にそれらを検討して欲しいなと思います。

【お知らせ】令和3年7月大雨災害義援金を募集中です。

令和3年7月6日からの大雨により被災した人達を支援するための義援金を募集中です。
島根県共同募金会及び日本赤十字社島根県支部が窓口となって9月30日まで受付をしています。
詳細はリンク先をご確認ください。

令和3年7月島根県大雨災害義援金の募集について(島根県のウェブサイトへ移動します)

避難所での服装

 避難所での女性の服装。
 大規模災害が起きる度にさまざまな物議を醸している問題ですが、今回避難をしてみて思ったことを書くと、「他人の目は防げない」ということです。
 防災関係の本を紐解くと「目立たない格好をしよう」とか「一人にならないように」とか、すごいのになると「女性とわからない格好をしよう」と書かれているものまであります。
 でも、ある意味ではこれは正しいと思います。
 特に普段年頃の女性に接することのない人は、どうしても目で追いますし、どうかするといやらしい視線になることもあります。
 中には妄想全開な方もいますので、そういう人にはいくら理屈で説明しても無駄ですから、やはり自衛するしかないというのが正直なところ。
 目立たない服装にするかどうかはともかく、できるだけ肌の露出が少ない格好をしたほうがよさそうです。
 見るなといっても自然と目が向いて見てしまうものです。言い過ぎると言い過ぎると喧嘩になって殺伐としてしまいますし、ヘタすると恨みも買います。それよりも最初から見せない方に力を入れる方が建設的で角が立たないと考えます。
 避難所生活は非常事態ですから、おしゃれしたい人は、可能な限り早めに退去したほうが精神衛生上いいのかなという気がしています。

水に浸かった床下はしっかりと乾燥させよう

 あちこちで床下浸水したおうちは多いと思います。
 天気が安定しているうちにお片付けをするということで、急いで作業はしておられることと思いますが、居住空間の床下だけはしっかりと乾燥させておきましょう。
 床下浸水した場合、ほぼ100%汚泥が入り込んでいます。この汚泥はそのままにしておくとさまざまなトラブルを引き起こす元になりますので、大至急撤去しておく必要があります。
 排水と汚泥の撤去は、できる限り早急に丁寧に行います。これができないと、後に基礎が腐ったり朽ちたりして住むことができなくなりますから、面倒でもしっかりとやっておきましょう。
 自分で全部やるのは普通無理なので、支援ボランティアや知り合いの方にお願いして手伝ってもらって作業した方が負担が少ないです。
 きれいに落ちない場合には真水を使って洗い、しっかりと排水まで行います。
 その後、床下を露出した状態で扇風機などで風を送り込み、中をしっかりと乾かします。生乾きのままだと、カビが発生したり臭いが出たり虫が沸いたり体調を崩したりとろくな事が起こりませんので、徹底的に乾かしましょう。
 時期や天候にもよりますが、3日~1週間程度は乾燥させる時間が必要です。乾く時間を短縮させようとして熱を加えたり温風を使うと基礎の木材が反ったり伸縮することがありますので、止めた方が無難です。
 乾燥が終わったら、消毒液や消石灰を撒いて床を敷き直します。
 消毒の方法については地域や状況によって異なるのと、状況によっては自治体が配布していることも多いですので、自治体に確認をしてください。
 床下の乾燥はおうちの災害復旧での大きなポイントです。
 面倒くさがらずに、しっかりと対応しておきたいですね。

水遊びの事故防止のためにできること

 子どもが水遊びするときに起きる事故のうち、おもちゃやサンダル、防止等が流されてそれを取りに行こうとして事故に遭うというケースがあります。
 流されたものが自分のお気に入りということもあるのでしょうが、「流してしまったことが大人にわかると怒られてしまうから」取りに行くということもかなりの高確率で発生しているようです。
 子どもへのライフジャケットの着用は絶対ですが、もしも子どものものが流されたときには諦めて取りに行かない、その場合には怒らないということを水遊びの前に約束しておくと、ひょっとしたら水難事故が減るかもしれません。
 それから、水の流れを考えること。
 川も海も、流れは一定ではありません。渦が巻くところ、流れが速くなる場所、急に深くなるところなど、さまざまな状態があります。
 実はこういった危険な場所は、地形を見るとある程度予測ができます。
 例えば、川の中州では中州の周囲は急に深くなっていたりします。特に砂州ではその傾向が強いので、海岸の遠浅なものを想像すると危険です。
 また、小さな湾のような形状になっている場所では潮の流れが変化していることが多いので簡単に流されてしまいます。
 せっかく遊ぶのですから、そういった危険を知った上で遊びたいものです。
 水遊びの事故防止のためにできることはいろいろとありますが、まずはライフジャケットを準備し、正しく着用するところから始めましょう。浮いていれば、助かる可能性はかなり高くなります。水遊びにはライフジャケット。習慣にしたいですね。

特別警報と警報の違い

 前線停滞により、特定地域に雨が降り続いていて被害が大きくなってきそうな気配ですが、あなたのお住まいの地域ではどのようになっているでしょうか。気になるようでしたら、気象庁のウェブサイトのキキクルを確認してみて欲しいと思います。

キキクル(気象庁のウェブサイトへ移動します)


 当研究所のある島根県のお隣の広島県では大雨特別警報が発令され、最大級の警戒をするように呼びかけられています。
 ところで、この特別警報はどういった意味を持っているのでしょうか。
 警報と何が違うのか。
 今日は気象庁のウェブサイトの記載を元に特別警報と警報の違いを確認しておきたいと思います。

1.「警報」とは

 その地域で重大な災害の起こる恐れのあることを警告するための予報で、各地方気象台がもっている基準を元に発表されるものです。
 そのため、地域によって警報の基準が異なっています。
 暴風、暴風雪、大雨、大雪、高潮や波浪、浸水、洪水などの種類があります。

2.「特別警報」とは

 特別警報とは、その地域の警報の発表基準を遙かに超える大雨や大津波などが予測され、重大な災害が起こる恐れが著しく高まっている場合に発表し、最大級の警戒を呼びかけるものです。
 基準はその地域で数十年に一度起きるかどうかというもので、例えば東日本大震災の大津波や伊勢湾台風の高潮、最近では令和元年に東日本の広範囲で被害を出した台風の大雨などがそれに当たるそうです。
 滅多に起きないがとても危険な状態であることを教えてくれるものと考えればいいと思います。
 大雨、暴風、高潮、波浪、暴風雪、大雪が想定されていて、その中で「大雨特別警報(浸水害)」や「大雨特別警報(土砂災害)」といった風に細分化されています。

 個人的には、警報は「災害が起きる可能性がある」、特別警報は「災害が起きる可能性が高い」といったイメージでいればいいのかなと思っています。
 それにしても、「特別警報」は平成25年に設定され、50年に1回程度起きる規模の異常気象とされているのですが、ここ最近は結構頻繁に耳にするような気がしています。
 原因はいろいろと考えられると思いますが、今までとは違う環境になってきているのかなと考えて、準備だけは怠らないようにしておきたいですね。

【活動報告?】川遊び&水難事故防止講習会が中止になりました

 去る8月9日、益田市匹見町の広見川で今年2回目の川遊び&水難事故防止講習会を開催する予定でした。
 が、当日は台風第9号の襲来により、川遊びも水難事故防止講習もできる状態ではなく、やむなく中止させていただきました。
 今年度は会員及びそのご友人に限定したイベントとなっているため、連絡はすばやくでき、中止についてもご理解いただけたのですが、楽しみにしていた方には申し訳ないなと思っております。が、さすがに氾濫危険水位まで上昇しているような状態では川遊びなどできません。

当日の高津川高角観測所付近。かなりの濁流となっている。

 この夏、もう一度どこかでできるといいのですが、あとは天気次第。
 参加を予定されていた皆様にお礼申し上げるとともに、またご参加いただけることを願っております。

熱中症と水の飲み過ぎ

 熱中症対策で水分補給がずいぶんと言われるようになりました。
 運動時に限らず、経口補水液やスポーツドリンクなども割と手軽に摂取され、昔に比べると脱水症状は発生しにくくなっていると思います。
 ただ、今度は水の飲み過ぎという問題が起きやすくなっています。
 一日に必要な水の量は、その人の水の代謝や運動量、汗のかきかたなどでかなり変わってきます。
 同じ人でも居る環境や状況で摂取する水分量は変えていく必要がありますので、一日の水分摂取量はあくまでも一般的な目安として考えた方がいいでしょう。
 水の代謝、つまり水分を取ってしっかりと汗をかいたり尿として排泄できればいいのですが、様々な理由で摂取している水分が汗や尿に変わらないと、水の取り過ぎによる夏バテが起こります。
 身体がだるくなって、のどが渇くのに水は飲めないという非常に困った状態になりますので、極端に水を飲むのもあまり良くないです。
 そういう状態になったときは素直に病院にかかるのも手ですが、1度試して見て欲しいのが市販されている漢方薬の一つ「五苓散」です。
 五苓散は体内の水分調整をしてくれる働きがあり、めまいや夏バテ、口の渇きなどがあるのに水分が取れないときに活躍します。
 体内の水の状態を調整してくれることから、我が家では熱中症予防として服用することもありますが、漢方薬ではその人にあうあわないが非常に顕著ですので、1度試して見て合わないようなら止めてください。
 また、作用や副作用が気になる人はお近くの病院の漢方外来、または薬局薬剤師に問い合わせてみることをお勧めします。
 最後に、今回ご紹介しているのは「薬」ですので、服用はあくまでも自己責任でお願いします。