救急箱の作り方

 非常用持ち出し袋の中にいれる救急箱にはどのようなものを入れますか?
 一般的なセットだと、ばんそうこう、包帯、滅菌ガーゼ、三角巾、消毒液といったところだと思います。

 防災用品として売られているDr.Kの巾着型救急袋。コンパクトにまとまっていて外傷用品が一通り入ってはいるが、これだけだと心細い。

 ちょっとした怪我だとこれで対応ができるのですが、被災時にはなかなか治療部分のケアが難しいものです。
 例えば、やけどや擦り傷などにはキズパワーパッドなどハイドロコロイド素材の絆創膏や包帯があると、傷口のケアのあと、一度貼れば直るまでそのまま放置できて助かります。

キズパワーパットだけでなく、さまざまな大きさや形のハイドロコロイド素材のアイテムが出ている。
大きいものがあると、擦り傷からやけどまでいろいろと使えて便利。医薬品なので、使用期限は定期的にチェックが必要。

 また、状況によってはかなりの出血を伴う怪我をする可能性もありますので、傷口を圧迫止血し続けることのできるエマージェンシーバンテージ(イスラエルバンテージ)があれば、応急救護所までの命をつなぐことが可能です。
 これらのアイテムを使うためには傷口のケアができないといけませんので、ピンセットやはさみ、とげ抜き、綿棒といったアイテムを収めたケアセットも入れておいた方が無難です。
 内服薬としては、自分が普段使っている薬のある方は最低3日分準備します。また、ビタミン剤や目薬などが入っていると体調の維持管理に使えます。
 ただ、ケアセット以外はいずれも使用期限が設定されていますので、1年に1度くらい点検し、使用期限が切れないように注意をしておきましょう。
 そして、せっかく用意した救急箱ですから使いこなせた方がいいですよね?
 日本赤十字社がやっている救急法講習の「救急法救急員養成講習」を受講すると怪我の手当の仕方を正しく身につけることができますから、時間を作って、是非受講してください。

防災マップを作ろう・自分の部屋編

 防災研修会をやると必ずといっていいほど出てくる防災マップ。
 地域の危険な場所やものを調べて地図に書いていき、安全な場所や安全な避難経路を確認するために大切なものです。
 ただ、地域をどんなに点検しても外に出ることができなければ、せっかく作った地域の防災マップは何の役にも立ちません。
 自分のいる場所から外に出るまでの経路もきちんと点検しておかないといけませんよね。
 そこで、今回は自分の部屋の防災マップを作ってみようと思います。

 まず、準備するものは方眼紙。書きやすく、部屋の見取り図が書きやすいものを用意してください。
 次にメジャー。5m計れれば十分だと思います。
 この二つを使って、部屋の見取り図を作っていきます。
 記入をする方眼紙は一マスのサイズが何cmかを決めておかないといけませんが、ここではとりあえず1マス10cmとして作成をすることにしましょう。
 まずは部屋の大きさを方眼紙に黒色で落とし込みます。外枠だけ書いてあれば大丈夫です。扉やガラス窓の位置がわかるようにしておきましょう。
 次に、家具の大きさを測って記入していきます。テレビ等も記入します。
 見取り図には幅と奥行きだけを書いていきますが、高さもメモしておいてください。

所長が試しに書いてみた部屋の間取り。四角一つが10cmで作成している。

 書き終わったら、今度は赤色を使って先ほど記入した家具のうち、安定の悪い面に倒れたと想定して、メモしておいた高さに従って倒れた部分を書いていきます。
 中には倒れないものや動かないものもあると思いますが、それはそのままで大丈夫です。
 次にガラス窓が割れたことを想定して飛散する区域を斜め線で書きます。窓から30cm程度斜め線を入れておいてください。
 そして、その状態で出入り口の扉が動かせるかどうかを確認してみます。
 さて、ここまで書いてもらったのは、地震に遭ったときに最悪どのような被害が出るのかを試しに書いてみたものです。
 その絵の中に、普段自分が寝ているであろう場所に青色でマークをつけると、現在のこの部屋とあなたの危険度を教えてくれる図のできあがり!

ざっくりとだが部屋の中の危険な状態はこれでわかる。あとはいかに赤い部分を減らすことに力を入れるかだ。

 どうですか? 寝ているときに地震に襲われたとき、あなたは何かの下敷きになっていませんでしたか?
 もし下敷きになっていたり脱出路が塞がれていたのであれば、どういう風にすれば安全が確保できるかを考えてください。
 例えば、家具の向きを変えてみたり、寝る場所を変えてみたり、より低い家具に変えて転ばないようにするというのもできますよね。
 一番の理想は部屋の中に寝具以外何も無い状態ですが、それが困難であるなら「落ちない」「壊れない」「倒れない」を考え方の基本にして考えてみてください。
 また、ここまでは触れていませんでしたが、部屋の照明にも注意が必要です。天井直付けの照明器具なら大丈夫ですが、釣り下げ式のものだと激しく揺れたときにはどこかにぶつかって割れてしまう可能性があります。
 例えば笠を固定して動かないようにすれば、破片で怪我をしなくてもすみます。
部屋に限らず、自分が長く過ごす場所の安全は非常に大切です。
 一度「部屋の防災マップ」を作って、どういう風にしたら自分の身が守れるのかについて考えてみてはいかがでしょうか。

ホイッスルは何に使うの?

 非常用持ち出し袋のリストの中に必ず入っているのがこのホイッスルです。
 このホイッスル、何に使うのかというと「閉じ込められたときに位置を教えるため」とされているのですが、普段から非常用持ち出し袋を持って移動する人がどれくらいいるのかなと考えてしまいました。
 地震はいつ起きるかわかりませんし、いつ倒壊した建物に閉じ込められてしまうかもわかりませんが、そのときに自分の位置を知らせて救助を求めるのであれば、少なくとも身につけていないと役には立たないでしょう。
 キーホルダーにつけたり、薄型のものをお財布や名刺入れ等普段持ち歩くものに入れることで、いざというときに使うことができます。
 最近では軽量で持ち歩きのしやすい薄型のホイッスルも出ていますから、それらを上手に使ってなるべく持ち歩くようにしましょう。

百円均一で購入した笛。左側は玉無しでLEDライト付き。右側はよく見る玉入りの笛。
普段持ち歩けるようなコンパクトなものの方が忘れなくて良い。

 また、位置を知らせるという点では防犯ベルでも構わないわけですから、大きな音が出る道具を上手に使って、万が一の閉じ込めに備えるようにしてくださいね。
 余談ですが、ホイッスルには中に玉の入ったものと玉の入っていないものがあります。より大きな音が出るのは玉の入ったものですが、粉や水が詰まりやすく、玉が動かないと音が出ません。
 防犯・防災用にこれから準備するのであれば、玉の入っていないものをお勧めします。

防塵マスクあれこれ

 災害時に付きものなのが粉塵です。
 東日本大震災や熊本地震の時には地上から1mくらいは粉塵で満たされました。
 水害などでは被災後はそうでもありませんが、ヘドロが乾いてくると車や人が通るたびに粉塵が舞い上がります。
 気管支の弱い方だけでなく、普通の人でも喉が痛くなるような環境となりますので、それに備えてマスクを用意しておきましょう。
 普通のマスクでも問題ありませんが、気管支が弱い方などはN95やDS2といった防塵効果の高い高規格のものを用意しておくと安心です。
 ちなみに、N95もDS2も防塵・防護マスクとしての基準で、N95は米国労働安全研究所(NIOSH)が、DS2は日本の厚生労働省がそれぞれ定めたものですが、能力としては殆ど互角のものです。

DS2規格とN95規格の使い捨て防塵マスク。医療用マスクだと市中では手に入りにくいが、ホームセンターに行くと普通に売っている。N95の方が単価は安い気がする。

 このマスク、防塵対策だけではなく、PM2.5やインフルエンザウイルスを吸い込みにくい効果もありますから冬場や春先でも威力を発揮します。
 ただ、せっかくのよいマスクを買ってつけていても自分の顔にちゃんとフィットさせられていないとマスクの本来の能力は発揮されませんので、あらかじめきちんとつけられるように練習しておくことが大切です。
 非常用持ち出し袋には数個、家の備蓄としては2週間程度準備しておくことで、気管支のトラブルを防ぐことができますよ。

非常用持ち出し袋には小銭を入れておこう

 以前に公衆電話について災害時に活用する方法について書いたところですが、実際のところ、公衆電話を使うためには10円玉、100円玉が必要です。
 NTTが災害指定するまでは料金がかかりますので、少なくとも公衆電話を使うためには10円玉は持っていないといけません。
 また、自動販売機やコンビニエンスストアなどで買い物をする場合でも小銭でないとお断りとなる場合があります。
 停電でレジシステムが動かなくなった場合などには店員さんが自力で計算しておつりを出すことになりますので「料金ぴったりに支払えないなら売らない」などという場合も過去の災害ではあったように聞いています。
 そう考えると、10円玉と100円玉をある程度準備しておかないと、お金はあるのに何もできないという悲しい状態になってしまいます。
 とはいえ、あまり高額の小銭を非常用持ち出し袋に詰めると、重たいですし盗難の心配もありますので、1000円から2000円程度を10円玉と100円玉で準備しておくと安心です。

広域避難の受け入れ計画は大丈夫ですか?

 平成31年3月末時点の「原子力災害に備えた島根県広域避難計画」の付属資料が公開されました。
 それによると、島根原子力発電所で何らかの大規模放射能漏れが発生した場合には、島根原子力発電所から30km圏内の住民は全て避難対象となっているようです。
 その数、121,460人。
 その中で、県内避難先として益田市、津和野町、吉賀町も入っており、益田市が17,950人、津和野町が1,970人、吉賀町が1,430人を受け入れる計画になっています。
 原発事故による避難はほぼ着の身着のままで生活物資も殆ど持たずに逃げ出すことになることが多いので、この数の人がもし避難してきたとしたら、その人達に対する支援はどうなるのでしょうか?
 現在の人口の2割から4割くらいの人が避難してくるわけですから、それまでの生活物資の流れのままでは、そこに住む住人達の通常の生活ですら破綻することになってしまいます。
 東日本大震災で広域避難自体がそこまで大きな騒ぎにならなかったのは、背後に首都圏という超巨大な物資集積地があり、避難者の数も避難先の住人の数に比べれば少なく、太い物流を活用できたためで、中国地方では岡山市や広島市も含めて首都圏ほどの太い物流網はありませんから、避難先の土地でさまざまな物資が不足することが簡単に予測できます。
 居住民の物資が欠乏するとその恨みは物資を消費する避難者に向けられるわけで、これに対する対策も事前に決めておく必要があります。
 どうしたら物流を滞らせずに増えた人口を安定して食べさせることができるのか? 避難所のトイレやライフラインの問題はどうすればいいのかなど、検討し、決めておかなければいけない問題は 山積みのはずです。
 もちろん行政機関だけの問題ではありません。受け入れ先として予定されている学校などの各施設は、避難者を収容するとその間授業などの通常業務はできなくなると考えた方がよさそうです。
 渋滞や犯罪の問題も起きるでしょう。自治会や自主防災組織、学校、企業など、それぞれに検討しておく課題は存在します。
 今現在、去年くらいからようやく広域避難の訓練が始まりましたが、受け入れ側の受け入れ訓練はまともにされているとは言えません。
 いざというときにトラブルが起きないように、付属資料の避難受入候補地を確認していただいて、受け入れた後どうしたら地域に問題が起きずにすむのかを考えておく必要があると思います。

非常用持出袋の作り方・その1

 災害に備えて飲料食を含む生活用品を最低7日間は用意しておこうというのが、最近の国の方針ですが、これをどのように準備したらよいのか。
 災害対策の準備として、3段階に分けて考えてみてください。
 1段階は、何らかの理由で避難しなくてはいけない場合。だいたい1日程度過ごせるものを用意します。
 2段階は、とりあえず避難しなければいけない状況が終わってから落ち着くまで。3日から1週間程度の用意です。
 3段階は落ち着いてから生活再建の準備が始まるまで。ここでもおよそ1週間程度考えておけば大丈夫です。
 まずは第1段階。何らかの理由で避難しなくてはならない場合です。
 基本的には自宅避難が一番なのですが、その立地と発生する災害によっては避難しないといけない場合が発生します。そのときに、国の推奨する1週間分の災害用品を持って移動するのはまず無理です。
 1日程度避難先で生活できるものをリュックサックに詰めて非常用持ち出し袋として用意します。リュックサックが背負えて歩ける年齢であれば、一人に一つ、持てる範囲のものを詰めて自分で持たせるようにします。
 また、歩けない年齢の子どもの場合には、保護者のリュックサックに詰めることになりますが、保護者の数分散して詰め込むようにします。
 これはリュックサックが駄目になったとき、その子どものものが全て無くなることを防ぐためです。
 では、必要なものをリストアップしてみましょう。
 まずはその非常用持ち出し袋を使う人はどんな人ですか? めがねをかけていれば換えのめがねが必要です。飲んでいるお薬があればそのお薬を入れておかないといけません。
 乳児であればほ乳瓶やミルク、離乳食や紙おむつが必要になりますし、汗などの臭いが気になる人は無香料タイプの消臭スプレーがいるでしょう。
 入れ歯の人は洗浄セットがいるでしょうし、まくらが変わると寝られない人は、まくらも持って行く必要があるでしょう。
 人によって必要とするものが異なりますので、それを考えて洗い出すことが大切です。
 次は排泄物の処理です。トイレが使えないことを想定して1日分の携帯トイレを用意します。自分が普段一日に何回トイレに行っているかを基準にして、大小ともに準備をしておきます。臭い消し機能のあるゴミ袋も忘れずに準備しましょう。
 それから、次は飲料食です。保存ができてそのままで食べることができ、自分が食べやすいものを用意します。ゼリー、ようかん、チョコレート、おかきやポテトチップス、ナッツ類など、カロリーを重視したものを用意しましょう。
 また、飲み物については水またはお茶を用意します。自分が普段どれくらい水を飲んでいるかを基準にして考えますが、水の入ったペットボトルは重たいので、500ミリリットルのものを2~3本用意して移動しやすいようにしておきましょう。
 あとは着替えです。下着も含めて1セットを準備します。また、夏場でも長袖は1着必ず入れるようにします。1日程度の品の準備なので、たくさんの着替えは不要です。
 そしてできればで構いませんが、タオルケットとエアマットがあると、寝るときに快適に過ごせます。避難所で毛布が配られる場合でも、基本は一人一枚です。また、枚数が少ない場合には力と声のでかい人から取っていくケースも多いですので、自分のものを自分で準備しておくと困らなくてすみます。
 さて、ここまでで個人がそれぞれ必要なものを準備することができました。あとは全ての避難者に共通の避難用品を入れていきますが、それはこの次にご紹介します。

頭を守る方法

 頭を守るというとまず第一に出てくるのは「ヘルメット」です。きちんと頭に合わせて設定し、あごひもをきちんと締めることができれば、かなり安全度は高いと思われます。
 丈夫なヘルメットは置く場所もとりますので、折りたたみのできるさまざまなものも作られています。
 防災ずきんも有効です。防炎素材、難燃素材であることは絶対的に必要ですが、これをかぶることで頭へのダメージを格段に減らすことができます。
 視界が悪くなるのが難点ですが、断熱効果も期待できるのである程度の寒さを防ぐこともできるでしょう。
 身近なものでは帽子があります。前頭部に耐衝撃素材を埋め込み、首元を守る難燃性素材で作られた防災帽子も売られていますが、サイズが選べないのが難点です。
 普通の帽子でも、中にタオルを入れ、端っこを首元に垂らせば簡単な衝撃対策ができます。
 なにもなければ、上着を頭からかぶったり、タオルをほっかむりするだけでもけがを防ぐことができます。
 大事なのは、頭をむき出しにしないこと。
 ガラスや建物の破片が頭や首に当たらないように、なんらかの形で対策をしておくことが大切です。

非常食に駄菓子を加えてみる

 災害時に食べる非常食というと真っ先に思い浮かぶのが乾パンやクラッカー、ビスケットといった「乾パン類」だと思います。
 最近ではアルファ米やフリーズドライ食品なども出てきていますが、災害発生中は環境の変化や疲労感、不安感によりなかなか食事をしようという気にならないものですし、避難していると調理する場所や材料もなかなか手配しにくいものです。
 そのため、ちょっとつまめるものという感じの乾パン類は現在でも非常食として役立つものです。

 ただ、これらの食品はいずれも食べるのに水分が必要ですので、お茶やお水といったものも一緒に用意しておかないといけません。
 それならいっそのこと駄菓子も追加してみませんか。
 乾パン類は食べられなくても、「自分が好きでなんとなくつまめる駄菓子」ならなんとなく手が伸びて食べているものです。
 「甘さ」「酸っぱさ」「塩気」「苦み」「うま味」の5つの味覚を考えて数種類準備しておくと、気分によって食べられないという事態を減らすことができます。
 ジャムやはちみつや練りようかん、カリカリ梅やにぼし、おしゃぶり昆布など、単品ではなくいくつかを混ぜ合わせて準備しておくと安心です。

無意識に手が伸びるようなお気に入りのお菓子だと、緊張や不安を和らげてくれます。
もちろん非常用持ち出し袋には歯磨きセットも常備しておきたいですね。

 個人的にははちみつや小分けのジャム、ウィダーインゼリーのようなゼリー、食塩・油無添加のナッツ類あたりもお勧めです。
 これらを上手に使うことで不足しがちな栄養素を補い、仮に乾パン類が食べられなくても「何も食べていない」という事態は避けることができますし、避難している人たちが同じようにさまざまな駄菓子を持ち寄っていれば、そこで交換したりお話ししたりして不安を軽くすることもできます。
 「栄養素+心の安定」という効果のある駄菓子。普段使いのものを少し増やして、非常用持ち出し袋に加えてみてはいかがでしょうか。

登山で行動食として使われることの多い製品は非常食としても扱いやすい。
賞味期限にだけは注意が必要。

職場からの避難場所を知っていますか?

 あなたは自分の家以外で災害にあったとき、例えば勤務先の周囲の避難場所や避難所を意識してみたことがありますか?
 災害を意識している人でも、家以外で災害に遭遇したときどこへ避難するのかは決まっていないということが多いです。
 自治会や自主防災組織の訓練でも自宅から避難することがほとんどで、それ以外の場合の訓練や避難先の確認というのはされていないことが殆どです。
 また、お勤め先で防災訓練をされるとき、どこへ避難するか、どこが避難場所なのかということは意識されていないと思います。
 これは別にお勤め先の防災担当者がサボっているわけではなく、その地域に住んでいる人以外は基本的に避難所に待避することは考えられていないことに原因があるからです。
 最近騒がれている首都直下型地震や東海・東南海地震に備えている自治体からは、地域の職場に対して職場を避難所にするため備蓄などを行うように依頼を行っています。
 お勤め先の建物が災害に耐えられれば、そこでとりあえずしのぐことは可能です。ただ、飲料食や排泄処理、環境がその場で待機できるようになっていないと、そこから避難所へ人が流出し、本来は地元の住民に対して準備されているさまざまなものを消費してしまうことが十分に予測されます。
 東日本大震災時、大規模な被害は受けなかった首都圏で、職場で飲料食を持っていなかった人たちがコンビニエンスストアに群がって店舗が空っぽになったことを思い出してみてください。
 また、大量の帰宅者が路上にあふれて交通が麻痺し、これからの防災対策に不安を残す結果になったこともありました。
 本来は雇用主が従業員の生命を維持するためのインフラを整備すべきだと思いますが、残念ながら職場の準備は進んでいないのが現状です。
 そうなると、自分で準備するしかありません。
 首都直下型地震や東海・東南海地震では、職場に3日間はいるようにという政府の依頼が出ていますが、そこまで行かなくても、せめて1日分くらいは職場で立てこもれるような飲料食やトイレの準備はしておいた方がよさそうです。
 また、家に帰る際にも大規模な災害の場合には自分の足に頼ることになります。
そのことも考えて、安心して歩ける運動靴を一緒に備えておいてくださいね。