避難時に持って行くもの

非常用持ち出し袋にはいろいろなものが必要だとされているけれど・・・?

避難には大きく分けると自宅避難と自宅以外のどこかへ避難する立退き避難があります。
自宅避難では、自宅が災害にあう危険性の無い人と、何らかの事情で立退き避難ができない人に別れますが、どちらにしても被災後には数日は単独で生活できるだけの品を準備しておく必要があります。
自宅以外のどこかへ避難する場合も、持って行ける範囲にはなりますが、一日から二日支援なしで凌げるだけの品は用意しておいた方が安心です。

自宅待機の場合には自宅が安全であることが前提にはなる。
危ないところに住んでいる場合には、基本は立退き避難(水平避難)。


 避難してから支援物資が届き出すまでの間をつなぐものとして非常用持ち出し袋を持って避難することが必要なのですが、内閣府や日本赤十字社などが出している非常用持ち出し袋のリストを見ると、全部揃えると持ち運びできない状態になってしまうことも考えられるくらいたくさんのアイテムが必要だとされています。
 また、市販品の非常用持ち出し袋を見られた方は、そのアイテムの量にぎょっとされたのではないかと思います。
 これらの非常用持ち出し袋は、過去に被災した経験者の聞き取り調査で「なくて困ったもの」や「あったほうがよかったもの」などが書かれていますが、よく内容を見ると、ある場所では重要でもある場所ではそこまででもないといった品もそれなりにあったりします。
 とはいえ、いつどこで役に立つか分からないことを考えると、なかなか「それはいらない」というのも勇気がいるものです。
 そんなときは、割り切って自分がそれがないと生活できない品に絞ってみるのも手です。
 例えば、高齢者の方だと入れ歯や補聴器、老眼鏡、持病の薬など、他の人のものが借りられないものは必須ですし、赤ちゃんならミルクやおむつは絶対に必要です。
 支援物資の届く順番は、より多くの人が必要としている緊急性のあるものが優先されますので、必ず自分が使えるものが届くとは限りません。
 個人的な相性で使えたり使えなかったりするものもこの中に入ります。例えば生理用品などは合わないものだとかぶれや湿疹などが出るようですので、自分に合ったものを準備しておく必要があるでしょう。
 次に、水とトイレ。のどの渇きと排泄要求は止めることがかなり難しいです。
 水道が使えれば大丈夫なのですが、被災すると停電が起き、そうすると給水がストップしてしまう場合も多いです。
 そうなると、飲料水、生活用水、トイレの水は自前で準備しないといけませんが、特にトイレの水は一回流すごとに最低7リットル程度は必要になりますので、水の確保ができない場合には、流しきれずに汚水が溜まり、トイレが大惨事になることが予測できると思います。
 少なくとも、飲み水と携帯トイレは準備しておいて、飲み水の確保とトイレを汚物の保管場所にしないようにしましょう。
 あとは着替えや歯磨きなどの衛生用品、非常食、そして暇つぶしの道具くらいがあれば、最低限必要な装備にはなります。
 非常用持ち出し袋はしっかりと品物を準備した方がいいですが、持っていくのには限界がありますから、迷ったときには0からの足し算で準備するようにしてください。
 最後に、一つだけ注意してほしいのは、お酒は持っていかないこと。
 不安な環境での飲酒は身体にも精神的にも悪い影響が出ます。
 お酒は避難が終わってからゆっくり楽しく飲むことにして、避難所ではお水やお茶で過ごすようにしてください。

【活動報告】益田市の財政を学ぶ会様で防災研修会をしました。

 2022年6月25日に益田市の市民学習センターで開催された益田市の財政を学ぶ会様にご依頼いただき、防災の研修会をさせていただきました。
 今回は普段と違い、法律のお話や益田市で進められている自主防災組織と、国の内閣府が進めている地区防災計画との違い、個人の避難の考え方について1時間と少しの間お話をしました。
 過去には行政が全てを担うような印象がある時代もありましたが、現在行政が行う公助は、地方公務員の縮減につぐ縮減で住民と直接接触する市町村の対応がかなり困難になってきています。
 そのため、公助だけに頼るのではなく、自分のことを自分でする自助、そして近所や避難者同士で助け合う共助が現在求められています。
 自主防災組織も地区防災計画もその中で設定や運営が求められているものであり、地域コミュニティが健在なら自主防災組織、そうでないなら地区防災計画で自分や周りの人の命を守っていく必要があると思っています。
 この会でもさまざまなご意見をいただき、こちらもそういう見方があるのかというよい勉強をさせていただきました。
 今回お声がけいただきました主催者様をはじめ、防災研修に参加して下さった皆様に感謝いたします。

魔法瓶は必ず持っていこう

 小さい子ども、特に乳児のいるご家庭では、非常用持ち出し袋には必ず魔法瓶を入れておき、災害が起きて避難するときには、できればその魔法瓶にお湯を詰めて避難して下さい。
 ご存じとは思いますが、ミルクやお尻拭きの温め、湯たんぽに使うお湯など、お湯があるだけで乳児の快適さはかなり違ってきます。
 普段母乳が出る人でも、避難による緊張や不安で充分に母乳が出ない場合もありますので、乳児のいるご家庭では母乳の子でも飲めるミルクを調べておいた方がいいです。
 仮に発熱剤やガスコンロを持っていたとしても、お湯の準備は必要です。
 避難する状況はさまざまですが、常にお湯が手に入る環境にいるとは限りません。
 火気厳禁の避難所もありますし、発熱剤が使わせてもらえない場合もあります。
 お湯は手に入るときにしっかりと手に入れておくことが、乳児がいるときの避難の鉄則になります。
 また、お湯があるといろいろと使えて安心ですので、可能であるなら魔法瓶にお湯を入れることを忘れずに準備するようにしてください。

キキクルを上手に使う

 気象庁が提供しているキキクルというサイトをご存じですか。
 「キキクル」は気象庁がウェブ上で公開している危険度分布を表すサイトのことで、雨による土砂災害や浸水害、洪水の災害の危険度を地図上で確認できるようになっています。
 残念ながらスマートフォン用アプリは作られていませんので、検索エンジンで「キキクル 気象庁」と入力してもらって確認するしかありません。
 できれば、平時にこのサイトを確認してもらい、スマートフォンのホーム画面にショートカットを作っておくといざというときに慌てなくて済むと思います。
 このキキクル、提供されている情報は行政機関のものと同じなので、確認しておけば、行政機関よりも早く危険を読み取ることが可能になります。
 また、その地域のハザードマップも表示できるようになっているので、組み合わせればどこが危険になっていて最悪どうなるのかが一目でわかります。
 この情報が一つの判断基準として使えると思いますので、雨雲レーダーと併せて、上手に活用して下さい。

キキクル(気象庁のウェブサイトへ移動します)

【活動報告】二条公民館で防災教室の講師をしました

 2022年6月17日に益田市の二条公民館で地域の方向けの防災教室の講師をしました。
 テーマは「豪雨の前にできること」ということで、情報の集め方や気をつけなければいけない場所、避難すべきかどうか、それから避難の考え方までをお話ししました。
 避難の判断は個別に行うことと、まず自分の安全の確保をすること、それから避難先やトイレの問題など、避難と避難後について、いろいろな情報を提供したのですが、あまりに一生懸命聞いていただけたので時間を越えてしまったのがちょっとまずかったかなと思っています。
 災害の発生は、地震を除けばある程度の時間がありますので、自分が避難したい場所に避難するための時間を逆算して、避難情報にこだわらずに避難してほしいと考えています。
 二条公民館は今回で3回目。今ある情報をできるかぎりわかりやすく提供したと思いますが、お話を聞いて下さった方達が自分の安全確保ができることを願っています。
 今回お声がけいただきました二条公民館の皆様、参加してくれた皆様に心から感謝します。

避難は自分で決めるもの

 防災の研修会では、市町村の発表する大雨の避難レベルのうち、レベル3の高齢者等避難が出たら避難を始めて下さいという説明をすることが多いのですが、本当はそれぞれが自分で判断すべき鍵を持っておく必要があると思っています。
 そもそも、市町村の避難レベルはその地域全体を見て発表されるものなので、発表される前に崖崩れが起きたり、家の前が川になってしまっている場合もあり得るわけです。そのため、土砂災害が起こり得る場所に住んでいたり、内水氾濫が想定される場所に住んでいる場合には、自分が避難すべき判断基準を自分で持っておく必要があります。
 まずは避難すべきなのか、避難しなくてもよいのかに始まり、何が危険なのか、どんな災害時には避難をしなくてはいけないのか、そして、安全に逃げるためにはどうすればいいのか、最後に安全な避難先はどこに確保するのかを全て決めておきましょう。
避難すべき判断基準は人の数だけあると思います。
 隣近所が避難しなくても、あなたが避難すべきと判断した基準が来たら、淡々と避難すればいいのです。
 マスメディアでは大雨の災害が起きるたびに市町村の避難指示の判断についての論評がされますが、それは実はどうでもいい話で、自分が安全だと判断するかどうかが鍵なのです。
 自分の命は自分が守ること。
 それが基本です。避難レベルは行動判断の一つの基準でしかありませんから、お住まいの場所や普段いる場所の危険度を確認して、いざというときには何も考えずに避難開始できるようにしておいてくださいね。

地震と土砂崩れ

梅雨時期に入ると大雨と、それに伴う土砂崩れや洪水への警戒が呼びかけられます。
それはそれで正しいことなのですが、もう一つ、地震に対しても気をつけておく必要があることを知っておいてください。
大雨や長雨では、地中に水がしみこんでいますので、斜面は割と不安定な状態になっています。
そこにちょっとした地震による揺れが与えられると、不安定だった斜面の土砂が一気に崩れてしまう危険性があるのです。
これが怖いのは、いくら天気が晴れていても、土砂が水を含んで不安定になっている限り、土砂崩れが起こりうるということです。
そしてこの土砂崩れは土砂災害警戒区域や特別警戒区域といった指定地域以外でも発生する危険性が十分にあり得ます。
雨と揺れ、これが重なるときには、いつも以上に周辺環境の変化に敏感になっておいたほうがいいと思います。

ペットと避難所

バックに普段から慣らしておかないと、いざというときに捕まえる騒ぎで時間が取られてしまう。

 ペットと一緒に避難するということは、ここ最近さまざまなところでPRされていることもあって割と知られてきています。
 では、避難所の受け入れの方はというと、案外と体制ができていないというのが現実のようです。
 ペットといっても、避難所運営側のイメージは犬や猫、小鳥といった感じで、とりあえず場所を一つ準備しておけばといった感じで、そこまで熱心ではないようです。
 ただ、一口にペットといっても飼っている生き物はさまざまで、犬や猫、鳥だけではなく、は虫類や両生類、魚、虫といったものまで、飼っている人の趣味の幅がかなり広いので、実際に受け入れるとなると大事になります。
 例えば、避難者と避難したペットを別々に収容する同行避難で考えてみます。
 避難してきた小鳥と猫を一緒の部屋に入れたとすると、鳥はかなり落ち着かないでしょうし、猫も大騒ぎになるでしょう。
 犬と猫を同じ部屋に入れたとしたら、恐らく鳴き声や威嚇の声で聞いている人達が落ち着かないと思います。
 では、ペットの数だけ部屋を準備すればいいのかと言えば、そもそもどんな生き物が避難してくるのかがわからないので準備のしようがありません。
 地域の避難訓練で避難してくる予定の人にどのようなペットをつれて避難してくるのかという情報を集めることはできますが、ややこしいペットを飼っている人ほど、こういった場には出てこないことが多いので、あとで揉めることが予想されます。
 そうすると飼い主と一緒に避難所のスペースにいる同伴避難ということになりますが、今度は生き物が苦手な人との間で対立が生まれてしまいます。
 蛇を飼っている人が蛇を連れて避難所のスペースにいたとしたら、蛇が嫌いな人は卒倒してしまうかもしれません。
 こんな風に、一口でペットと一緒に避難するといっても、簡単には事前準備ができないということを、避難する側も避難所を運営する側も知っておかなければいけません。
その上で、どのようなペットを受け入れないといけないのかや、自分の飼っているペットは避難所以外に避難する先が本当にないのかといった調査や調整もしておかないといけないでしょう。
 また、避難先をペットによって分けたり、ペットを収容する避難所と収容しない避難所を分けたりといった事前の準備も必要です。
 ペットを飼っている人は、ペットを生き残らせる責任がありますから、きちんと自分とペットが災害時にどのようにするのかについて、しっかりと考えて対策をしておいてください。

避難は自分で決めること

 大雨や台風など予測できる災害では、災害が起きた後、高齢者避難や避難指示の発表のタイミングについてマスメディアが賑やかになります。
 大抵の場合、該当する行政機関が仕事をしていないと叩かれるのですが、本当にそれでいいのかなと思う事があります。
 確かに法律上は地方自治体が避難情報を発表する事になっているのですが、だからといって全てその判断に従わないといけないと考えると話がおかしくなってきます。
 高齢者避難や避難指示が発表された地区の中であっても、発令前に避難しなければ危険な場所と、発令されてもまったく影響のない場所が出てきます。
 避難指示は地区ごとに発表されますが、あくまでも面であって、各自の家や職場といった点で判断しているわけではないのです。
 発災後に避難指示の発令が遅いといったマスコミの風潮がよく見られますが、避難するかどうかを決めるのは、行政では無くてあくまでも本人です。
 本人が適切に自分で判断して自分で避難を開始する、または立てこもる準備をする。
 そういった自分の命を守る部分の責任は、行政では無く当事者である各個人にあると思っています。もちろん、年齢などで自分で判断するのは難しい人もいるとは思いますが、それでも決めるのは自分であってほしいと思います。
 自分の大切な命を人任せにしない。命を守るのはあくまでも自分自身。
 何十年も安全は自分以外の誰かが提供してくれていた日本ですが、これだけ災害が頻発し、行政機関が人減らしで弱体化してしまうと今までのようなわけにはいきません。
 そろそろ自分で自分の安全を確保する時代になってきているのではないかと思います。

避難地域の警備問題

 人命優先、人命第一なので、最近ではかなり迅速に高齢者等避難や避難指示が発表されるようになりました。
 おかげで危険地帯に住んでいる自覚のある人達は早めに避難を開始して、より安全が確保されるようになっています。
 ただ、避難が早いと言う事は、避難完了から災害発生、または避難解除までの間、結構長い時間避難対象区域の危険地帯が無人になってしまい、空き巣の天国になってしまうので注意が必要となってきます。
 発災後の被災地には、捜索・救助部隊と同じくらいの早さで窃盗団も到着し被災建物などから荒稼ぎをしているようですが、災害が発生しなくても被害にあう可能性はあるということを知っておいてください。
 対応策としては、消防団や水防団、警察などが無人区域の警戒を強化するか、全ての道を封鎖して立入禁止にしてしまうかですが、手が足りないということもあって、なかなか難しいみたいです。
 避難する側としては、とりあえずは戸締まりをしっかりと確認する事。そして貴重品は分散してしまっておく事、民間警備会社のセキュリティサービスに加入することくらいしかできません。
 災害対策として行政が主体的に取り組む事はたくさんあるのですが、こういった地味だけど財産を守るという部分は個人の努力では限界がありますので、行政サイドもしっかりと対策をしておく必要があると思っています。