大雨や台風での避難では、なるべく濡れないように早めの避難をするようにしてください。
もしどうしても大雨や水の中を濡れてでも避難をしなければならなくなったときには、しっかりと防水対策をした袋などにタオルと着替えセットを入れて、必ず持って避難することをお勧めします。
濡れたままでいると風邪を引くとはよく言われることですが、災害時でもそれは全く変わりません。
服でも靴でも、濡れるとその部分の体温は濡れている部分の水に奪われていき、たとえ夏であっても低体温症になる確率が跳ね上がるからです。
人間は身体が冷えてくると、体温を保つために熱を作ろうとします。寒いときに身体が震えるのはこのためなのですが、そのときに同時にエネルギーもかなり消費することになります。
空気に比べると、水の熱伝導率は約25倍だそうですから、いくら熱を作っても濡れている部分に熱を持って行かれて、身体がどんどん冷えてくるという事態になります。
暑い時期に海や川やプールで遊ぶと涼しくなるのは、水が身体から熱を奪っていってくれているからで、長い時間浸かっていると寒くなって水中にいられなくなると言った体験をしたことがある人も多いのではないかと思います。
災害時、避難所に身体を温める熱源があればいいのですが、冬ならともかく、夏にそんな熱源を用意してくれている避難先はまずないでしょう。
そうすると、一番確実なのは避難が完了したらすぐに乾いた服に着替えるということです。
空気は水とは逆に高い断熱性を持っていますから、着替えることで冷えた身体を温めることができます。
もちろん、濡れたままでは避難所に入れてもらうこともできませんから、着替えは必須になるわけです。
避難の時、足下は運動靴を履くように書かれている文献が多いですが、その際に替えの乾いた履き物も一緒に準備しておくと、着替え後もあなたの自由を確保することが可能です。
一番良いのは、濡れてしまう事態になる前の安全な時期に避難することです。
そのことを前提にして、それでも濡れて避難することを考え、あなたの装備の準備をするようにしてくださいね。
カテゴリー: 非常用持ち出し袋
非常用持ち出し袋に関するあれこれです。
避難所には何があるか知ってますか
防災センターや備蓄倉庫など、普段から災害対策をしている場所が避難所になる場合を除いて、多くの場合、避難者に対して支給されるものは殆どないといっていいと思います。
小規模な避難所であれば、それなりの備蓄がある場合もありますが、大規模で通常は体育館や学校として使われている場所の場合、備蓄は期待できないと考えて下さい。
では、備蓄がある場合にはどのようなものがあるのでしょうか。
一概には言えませんが、毛布や間仕切り、テントなどは置いてあることも多いと思います。場合によっては段ボールベッドやコッドといった簡易的な就寝用ベッドや敷物用の段ボールが提供されるかもしれません。
ここで気がついた人もいるかもしれませんが、施設での備蓄品というのは、基本は腐らずに食べたり飲んだりしないものです。
つまり、自分の命を繋ぎたければ自分の食べる食べ物や飲み物を準備しておかないといけないということなのです。
最近多い大雨や台風による水害や土砂災害の場合には、避難者に非常食や飲料が提供されることもあるのですが、これはあくまでも被害がまだ起きていない、あるいは限定的で被災区域以外は通常どおりと言った場合に提供が可能なもので、大規模な地震や風水害では物流ルートが寸断されてしまうので、食べ物や飲み物は届かないと覚悟しておいたほうがあきらめがつきます。
多くの自治体や自治会では、本番環境と同じ状態での避難所設営訓練や避難所運営訓練はあまりされません。かなり大規模にはなりますが、一度避難から避難所に一晩泊まってみると、どのような問題が生じてどういう風に解決すれば良いのかが蓄積できます。
又、運用側もぶっつけ本番で資機材を使わなくても済むので気分的にもいいと思います。
「避難所には何も無い」
そういう最悪の状況を前提にしてあなたの避難用アイテムを考えて準備しておくと安心です。
虫除けとかゆみ止め
避難所ではよほど天気が悪くならない限りは窓や扉は開けられていることが多いです。特にここ最近の新型コロナウイルス感染症対策を考えると、換気用の開口部が設けられていることはほぼ絶対条件です。
その開口部に網戸がきちんと準備されていればいいのですが、体育館や学校の講堂などには虫除けの網戸が設けられていないケースが結構あります。
そこで登場するのが虫除けなのですが、蚊取り線香や忌避剤は定番ですが喘息持ちやアレルギー持ちにとってはつけることが命に関わるケースもありますので、あちこちで焚くというわけにはいきません。
虫除けスプレーや虫除けリングなど、各個人で虫除けをするしかないという事態になります。
非常用持ち出し袋には、虫の忌避剤を入れておくのを忘れない方がよさそうです。
そして、もし咬まれたり刺されたりしたときに備えて、虫刺され用かゆみ止めも救急箱に入れておくようにしましょう。
体質的に合う合わないや好みの問題もありますので、自分にあったかゆみ止めを持参して下さい。
最近は夏場だけで無く、通年で蚊やダニがあちこちにいますから、標準装備として非常用持ち出し袋に入れておくようにしておくと安心です。
大規模な避難所では、案外と個人を守るべき装備はおろそかになっているものですから、できるだけ自分にあった虫除けやかゆみ止めを準備しておいてくださいね。
持っていると便利な懐中電灯
災害時に困ることの一つに停電があります。
夜に地震などが起きたとき、家や普段生活している場所であればある程度見えなくても動きは取れますが、出掛けた先や移動中などの場合には、見えないことは恐怖につながります。
ちょっと前であれば、それでもライターやマッチなどを持っている人もたくさんいましたのでそれなりの灯りがあったと思いますが、禁煙や電子たばこが普及している現在では、火をつける道具を持っている人は殆ど居ないのと思います。
真っ暗で何も見えない状態のとき、普段使っているカバンに懐中電灯が一つあると、どれくらい心強いでしょうか。
防災用の大出力の懐中電灯でなくても、百円均一ショップで手に入るようなキーホルダータイプの小さな懐中電灯で十分です。
真っ暗な中での小さな灯りは、どれくらい安心感を与えてくれるかわかりません。また、灯りがあることで周囲のパニックをさけることもできるかもしれません。
ちょっとしたお守り代わりに、カバンの中に一本の懐中電灯。滅多に使わないかもしれませんが、あると便利なアイテムです。
災害になって慌てても遅い
台風や大雨による越水、氾濫などによって自宅などが浸水したときになってから、慌てて市町村や消防、警察などの行政機関に救援を求める人が相変わらず多いです。
特に「水に浸かるはずがない」とか「うちは絶対大丈夫」といった根拠に基づかない楽観論で構えていた人ほど慌てるようです。
そういった災害時には、行政機関は被災地域での被害をできる限り小さくすべく頑張っているわけですが、その中で避難遅れによる「助けてくれ」の連絡はあらゆる仕事の邪魔になります。
自分の住んでいる場所は自分で選択しているわけですから、本来はその場で発生することが予測される危険性は知っておかないといけないですし、いざというときの対応もきちんと考えておかないといけません。
助けてもらおうと電話する人は、被災者が自分だけと思っているのですが、そういった人達が大量に発生することが殆どですので、救助の手は非常に遅くなると考えてください。
身の安全は自分で確保しておく必要があるのです。
そのためのハザードマップであり、避難訓練や防災研修会だったりするのです。
災害時に慌てて避難先を行政機関に電話して聞くような愚かなことはしないでください。
もしも避難が必要な場所に住んでいるのであれば自分の避難先や避難方法、避難開始判断の鍵はきちんとわかるようにしておいて、災害が発生してから慌てることがないようにしておきたいですね。
避難所の食事に足りないもの
避難所の食事では、どうしても食物繊維とビタミン類が不足してきます。
それらを補うためには、野菜や果物を取る必要があるのですが、炊き出し以外ではなかなか充足したものを取るのは難しい状態です。
食中毒のことを考えれば、生野菜の選択肢はありませんし、また、薄味というわけにもいきません。
一食あたりの単価も決められており、そこまで高いわけでもないようですので、どうしても揚げ物が多い弁当になってしまいます。
果物でも支給されればいいのですが、発生する生ゴミの処理の問題もあって、なかなか気軽に支給するわけにもいかないようです。
ただ、食物繊維やビタミン類が不足すると便通は確実に悪くなりますし、身体の抵抗力も落ちてきますから、できるなら何か手を打ちたいものです。
ビタミン剤や食物繊維の錠剤が手に入るのであれば、それらを使って補充すればいいですし、普段それらを使わないのであれば、粉茶を用意しておくといいようです。
お茶にはビタミン類が含まれていますし、粉茶として摂取することで食物繊維も取ることができます。
賞味期限はありますが、もし普段から緑茶などのお茶を飲む習慣があるのであれば、粉末茶をぜひ用意して置いてください。
非常用持ち出し袋に一パック入れておき、ローリングストックすることでいつも管理のできている粉茶を飲むことができます。
お茶の効能についてはいろいろな場所で書かれていますのでここでは触れませんが、体調管理用に一パック、準備しておくといいのではないでしょうか。
ちなみに、防災ポーチに数本入れておくと、本当の緊急時にも使うことができて安心ですよ。
ビニール袋と新聞紙
非常用持ち出し袋や避難所で備えておくといいものにビニール袋と新聞紙があります。どちらもありふれたものではありますが、使い方を知っていると非常に使えるアイテムです。
例えば、どちらも紐で吊せば間仕切り、袋として使えば物入れやゴミ入れに使うことができますし、他にもビニール袋は生活水の運搬や洗濯、新聞紙は汚物処理や燃料としても有能です。
組み合わせると枕や布団、座布団や防寒具と言ったアイテムを作ることができますし、緊急時の簡易トイレも作れます。
単価も安く、場所も取らないので備蓄もしやすいのが特徴のこの二つのアイテム。
ビニール袋の有料化や新聞を取らないおうちが増えているのあまり手元にないことも多くなってはきましたが、準備しておくといろいろと使えて便利ですよ。
防災に完全なマニュアルはない
防災については最近どうやら流行のようで、本屋さんやネット通販でもさまざまな本や道具が販売されています。
「これがあれば大丈夫」とか「こういうときはこうする」などといったテクニックや災害時の行動マニュアルもずいぶんと紹介されるようになりました。
ただ、ちょっと気になるのが、ノウハウ系、マニュアル系の本が増えるに従って、「こうしなければならない」という風潮が出てきているように感じていて、それはどうなのかなと思っています。
もちろん、当研究所の研修会でもさまざまなノウハウはお伝えしますし、基本的な考え方自体は変わらないので「このときはこうする」というお話もしているのですが、前提なるものを必ず最初にお話ししています。
それは、「何のためにそれを行うのか」「何のためにそれを準備するのか」を考えてもらうということ。
毎度書くことですが、例えば市販品の非常用持ち出し袋をあなたが買ったとして、それで備えが充分かというとそんなことはありません。
人の数だけいるものいらないものがある。そう考えると、市販品の非常用持ち出し袋はあくまでも基礎的なアイテムで、それにプラスして自分に必要なものを加えたり、必要ないものを外したりしてカスタマイズする必要があると言うことです。
もっと書くと、都会では水や食料をしっかりと準備しないといけませんが、田舎だとわき水や井戸、貯蔵している米、野菜があったりして、そこまで優先度が高くないこともあり得ます。
また、洪水では垂直避難もありだとされていますが、海抜0m以下のところだと、洪水が起きると3階建ての最上階でも水没することが起こり得ますし、富士山のてっぺんで洪水対策を考えるのはナンセンスです。
ノウハウやテクニックがいけないというわけではありませんが、状況と置かれた環境によって、自分に必要な行動や準備はかなり異なってきます。
マニュアルに書いてあるとおりにしたからそれで大丈夫ではありません。
ノウハウ本やマニュアル本はあくまでも参考にして、自分の置かれている状況や環境を考え、その上で、自分にあった備えや準備をするようにしてください。
ケミカルライトの明るさを比較する
化学反応で発光するケミカルライト、サイリュームとも言われていますが、コンサートなどではお馴染みのアイテムです。
熱を出さず、燃料も電気も不要なため、非常用持ち出し袋に入れておくと万一のときの灯りとして使うことが可能です。
もっとも、光量はそこまで強くはありませんので、場所のマーキングや障害物の注意表示に使うことが主になりますが、読書するのにも使えるというのがどこかの記事にありました。
ご存じとは思いますが、ケミカルライトの色はさまざまです。色によって用途を分けることもできるのではないだろうか。
そう考えて、今回は色で見える範囲を比べてみることにしました。
1.緑色
見ての通り、かなり明るく発色しています。
背後は地元の誇る水族館アクアスのうちわですが、文字もQRコードもかなりしっかり読み取ることができます。
2.青色、桃色
下にある文字は読めません。
近づいていくとぎりぎり読めるかもしれないというレベルの光量です。
反応が始まってからの時間もあるので一概には言えませんが、黄色や緑色は割と読みやすく、桃色や青色はちょっと見にくいといった感じです。
どの色も目立つのですが、読書や手元のごそごそに使うのなら黄色や緑色、マーキングや誘導路として使うのであれば桃色や青色が使いやすいのかなと思いました。
もちろんこれは一つの事例でしかないので、いろいろと試してみて自分に向いたケミカルライトを準備しておくといいと思います。
今回の比較があなたの準備の参考になれば幸いです。
その非常食の食べ方を知っていますか
非常用持ち出し袋は結構知られるようになり、備えている人も増えているようです。
ただ、中に入れているものの使い方がわからなければ、どんなに備えても何もないのと一緒で、準備したら使ってみて自分に合う合わないを確認しておく必要があります。
その中でも、特に非常食はいざというときに悩んだりトラブルになったりするものなので、作り方と必要な道具、それに食べ方は実際に試してみたほうがよいと思います。
例えば、よくあるのがアルファ米ですが、自分が準備しているアルファ米をどうやって作ってどうやって食べれば良いのか、そしてどんな味がするのかわかっていますか。
アルファ米は同じ名前でも製造会社が異なれば当然味も異なります。そして、実は作り方もちょっとずつ違っていたりします。
内容物や加える水の量、水を加えた後の処理、そして出来上がりと試食。実際にやってみることで意外な発見がたくさん出てくると思います。
当研究所で「アルファ米を食べてみる」という企画をやると、放っておくと中の乾燥剤やスプーンをそのままに水を加えてみたり、水の量を適当にしたり、撹拌せずにいてうまく戻ってなかったり、味が好みでなくて凹んでしまったり、いろいろと面白いトラブルが起きます。
いざというときに備えて「準備する」という行為の中には、非常時にきちんと使えるように練習しておくというのも入っています。
とくに非常食はいざ食べるときにトラブルになると気持ちが一気に落ち込んでしまいますので、しっかりと作り方や食べ方をマスターしておきましょう。