避難生活が続くと、楽しいことやにぎやかなこと、特に笑うことが不謹慎だと言われる方もいらっしゃいますが、気力を維持するためには楽しいことやにぎやかなこと、そして笑うことが何よりも大切だと筆者は考えています。
被災者となった人にこそ、一日のうちのどこでもいいのでその人が楽しいと思える時間を作ることが未来への気力を生む力だと思います。
携帯ゲーム機でも、スマホでも、麻雀でもおしゃべりでも、パチンコでもいいと思います。普段から自分が楽しいと思っていることを楽しむ時間を確保してください。
笑わなければ、だんだんと気が滅入るようになり、未来への気力も失われていきます。自分を楽しませることは、生きる力を生むことではないでしょうか。
大規模災害だと、最初は生きるので精いっぱいな状態かもしれません。でも、そういった時期をすぎたら、できるだけ自分が楽しめる時間を作る努力をしてください。
とはいえ、被災地ではできることできないことがありますから、平時に作っておいた「自分が楽しいと思うことリスト」を使って、その場でできる自分が楽しいと思ったことを片っ端からやってみてください。
どれかがはまればしめたもの。きっと夜は気持ちよく寝られますし、翌日もすっきりと目が覚めると思います。
ただ、一つだけ気を付けてほしいことは、お酒だけはダメです。お酒は自分のそのときの気分を極端化にする飲み物なので、どこか心に不安を抱えた状態で飲むと、悪酔い&深酒&からみ酒となってロクなことにはなりません。お酒は、自分が本当に楽しいと思う気分のとき、その気分をより楽しくするために飲むのだと思ってください。
不謹慎で結構。被災地だからこそ、自分が楽しまなければ気力は続きません。
自分を守ると思って、自分が楽しいこと、時間を作って楽しむことを忘れないでくださいね。
カテゴリー: 基本的なこと
とりあえず備蓄する
災害などの非常事態に備えるために、生活に必要なものについては3日~1週間程度は備蓄するように政府は推奨しています。
ただ、普段はあまり使うことのない水のストックやアルファ化米、災害食などは長期保存できる分値段も高いですし、どうかすると使わずにそのままダメになってしまうこともあると思います。
備蓄するためには場所も必要ですが、単身の方でワンルームなどにお住いの場合などは、そもそも備蓄品を置く場所がないという場合も想定されると思います。
だからといって何も備えなければ、非常事態が発生した時にはどうにもならなくなりますので、とりあえず1日分の備えをすることをお勧めします。
1日分で考えると、例えばペットボトルは2リットルですので、500mlのボトルで4本あればいいことになります。これくらいなら、しまう場所は見つけられると思いませんか。
また、アルファ化米も3袋なら、さほど場所は必要ありません。
そして、それくらいの量なら、賞味期限が来ても使うことはさほど難しくはありません。例えば昼食で500mlの水のボトルとアルファ化米を一つ使えば、3日で消費できる計算です。
また、一口ようかんやカロリーメイトなどの栄養補助食品、スニッカーズといったチョコレートといったものがあれば、ひもじくはなりますが数日は命をつなぐことができます。
家で調理をする人なら、普段から一食分程度材料を多めに買っておくと、非常事態でもそのまま1食は確保できる計算になりますので、それもお勧めです。
肝心なことは、まず備蓄することです。備蓄があれば、消費量を調整すればある程度は持たせることができます。
備蓄がなければ何もできません。
まずはあなたの周りにある備蓄品を確認してリスト化してみてください。リスト化してみると、案外と手元にあるもので1週間くらいはなんとかなるかもしれませんよ。
日のあるうちに避難する
災害の発生が予測されるようなときや災害発生後、自分の住んでいる場所に不安がある場合には避難をすることになります。
避難先は避難所だけではなく、ホテルや旅館、友人宅などいろいろとあると思いますが、共通して言えるのは、日中、太陽が出ているうちに避難を完了することです。
避難するのを迷っているうちに周囲が真っ暗になり、そのなかで避難をしなくてはならなくなった場合、足元も周囲も見にくくて状況がつかみにくくなります。
そうすると、日中避難の何倍も危険度が増し、避難速度も遅くなるために災害に巻き込まれてしまう場合も出てきます。
数時間で一気に水かさが増すようなゲリラ豪雨などの場合は仕方のない場合もありますが、可能な限り明るいうちに安全な場所への避難を完了させてください。
そして、避難完了後は翌朝までそこにいるようにしてください。
確実に危険性がない場合には夜間の帰宅もできると思いますが、確実性がない場合には夜明けまで待ってからの帰宅をするようにしてください。
自分の安全確保を安全に行うためには、できるだけ明るい状態での避難が望まれます。夜間に地震などが起きた場合にはどうにもなりませんが、予測できる災害では、迷ったらとりあえずは避難する。日のあるうちに避難を完了する。
該当する災害で避難をする必要がある場所に住んでいる場合には、それを徹底するようにしてください。
安心リストを作っておこう
人間というのは普段からさまざまな不安を持っているものです。
そして、その不安を解消するために、さまざまな行動をしていることもご存じのとおり。
こと、災害になるとそういった不安がさまざまな形で精神に悪影響を及ぼしますので、そうならないために対策を考えておかなければなりません。
そこでやっておいてほしいことが一つあります。
それは、普段から自分が安心できる状態になれる「モノ」「コト」「場所」「人」などを考えてリストアップしておくことです。
数が多ければ多いほど、いざというときに役立ちますので、思いつく限りのことをリストアップしておいてください。
出来上がったそのリストは、非常時に持ち歩くものの中に入れておきます。スマートフォンのメモ機能などでもいいのですが、電源確保が不安ですので、できれば紙に書きだしておきましょう。
そして、避難完了時や被災後に自分が不安な気持ちになったときは、そのリストを見てその時の自分のコンディションに応じた安心できる状態を探して試してみましょう。
記憶しているから大丈夫なような気がしていても、いざというときにはなかなか思い出せませんから、可視化したものでチェックをしていくと、意外に気持ちが安定してくるものです。
また、普段から意識していることで、自分が安心だと思える傾向も見えてきますから、不安にならないための行動をあらかじめとることもできるようになると思います。
災害からの復旧・復興は意外と長期戦になりますから、気持ちが落ち込んだりくじけたりすることが恐らく出てくると思います。
そんなときに役に立つ「安心リスト」。災害時でなくてもこころの不安時には必ず役立ちますので、普段から意識して作ってみてくださいね。
消火器の位置を考える
消火器の設置については法律に設置を義務付けられている施設とそうでない施設がありますが、初期消火のことを考えるとどのような建物であれ消火器は備え付けておくほうがいいと思います。
ただ、備え付けているだけではダメで、出火した時にすぐ使える状態になっていなければ意味がありません。
消防法令では、消火器は「通行又は避難に支障がなく、必要時にすぐに持ち出せる場所に設置すること」とされていますが、実際には火を使っているコンロの下やその周辺、何かの物陰になっていてそこにあることが周りにはわかりにくい状態になっていたりします。最近ではおしゃれで見た目消火器に見えないような消火器も販売されていますが、消火器とはわからないので、そこにあるのに使ってもらえない可能性が出てきます。
火を使う場所、施設では厨房、ご家庭では台所になると思いますが、その室内で目立ち、かつ邪魔にならないところがあるかを見回してみてください。そういう場所は案外と見つけるのが難しいもので、結局その室内にあるちょっとした空間に置くことになるのですが、設置のときにはしっかりと意識していても、普段使われていないと、そのうちに周りに物が積まれたりそこから撤去されたりして、いざというときにはどこにあるのかわからないという状態になってしまうこともありますので、家族や従業員といったそこを使う人たちで消火器が必要であるということを共通認識とし、繰り返し確認しておく必要があります。
新築するときや引っ越した時、または模様替えや大掃除の時、消火器の位置について考えて、設置をするようにしてください。
非常食は食べてみる
災害への備えの中で、割と早い段階で出てくるのが非常食です。
火を使わなくても食べられて、お腹が膨れ、しかも栄養価が高くておいしいもの、というのが理想ですが、おいしいというところで結構判断が分かれているような気がします。
普段の味付けが割とその人の舌を作りますので、同じものを食べてもおいしいという人もいれば、味が濃い・味が薄いのでおいしくないという主観がかならず入ります。
そして、いざ災害というときに準備していた非常食がもしも自分の口に合わないものだとしたら、かなり気力が萎えてしまうと思います。
そのため、非常食については一度は実際に食べて味が自分に合うかどうかを確認してみてください。
他の人がおいしいといっても、それがあなたの口に合うとは限りません。
当研究所でやっている防災キャンプなどでも、アルファ化米の食べ比べをやることがありますが、同じ製品名で入っているものがほぼ同じでも、味が全く異なることで子供たちが結構驚きます。
その中で自分の好みの味を見つけたり、自分だったらどう作るかなどを考えて、実際に作ってみることまでいければ、いざ災害というときにもさほど落ち込むことはないと思います。
非常食は値段が高いですし、ものによってはかなりの分量があったりもしますが、実際に食べてみることで味がわかれば、自分にあったものを探して準備することができると思いますので、ぜひ食べ比べをして、自分の好みの味を準備しておくようにしてください。
静かに溺れる
先日スイミングスクールで参加していた子が溺れてなくなるという事故がおき、無くなられたお子様にはご冥福をお祈りします。
この報道を聞いて、スイミングスクールのコーチがどうして溺れていることに気づかなかったのかと疑問に思われた方もいるのではないかと思います。
テレビドラマの影響かなという気がしているのですが、「溺れる」というのは水中でもがき苦しんでいるというイメージをされることが多いです。でも、実際には、ああいった溺れ方をする人はかなり少ないのではないかと、溺れて死にかけたことのある筆者としては疑っています。
筆者の場合には、溺れる瞬間、突然息ができなくなって動けなくなりました。
そのときの思考は「溺れた!」というパニック状態で「呼吸ができない」や「浮かべない!」といった考えが同時並列で発生、なぜか水の底がとても近くに見えました。
身体の動きを取り戻して水面に浮かび上がったときには、溺れる前とほとんど周りの人の動きは変わっていなかったのでほんの数秒だったと思うのですが、溺れるというのはこういうことかと、それから後、水の中で泳ぐのが非常に怖くなりました。
専門的にはこれを「溺水反応」というそうですが、後で聞いたらすぐ傍にいた人も溺れていることに気が付いてなかったそうです。
また、おぼれてばちゃばちゃしている場合でも、「助けて」という大声は出せません。声は肺に空気がないと出せないのですが、溺れているということは肺には充分な空気がなく、声が出せても小さいものになってしまいます。
もう少しすると、水遊びが楽しい季節がやってきますが、子どもも大人も、予想しない「まさか」というところで溺れることもありますので、水遊びの時にはとくに気を付けておいてください。
水遊びの時には浮力のしっかりあるライフジャケットを身に着けること、必ず監視役を置くこと、そして静かになったらすぐに確認することを心がけておきたいですね。
「“静かに”溺れる?夏休みの水遊びに潜むリスク」(NHKのウェブサイトへ移動します)
自助、共助、公助に追加するもの
防災教育の場では自分で自らの命を守る「自助」、自治会や地域でお互いの命を守る「共助」、市町村や都道府県、国、消防といった行政機関等が命を守る「公助」の3つを教えられます。
この3つ、それぞれに正しいですし当研究所でもそういった説明をしているのですが、先日受けた研修会で「自助」と「共助」の間に「近助」が入るという話がありました。
自分の命が確保されたら、そのとき近くにいる人たちで助けあうことが必要だということですが、お互いに命を守る関係が時間が経過するごとに落ち着いてきて大きくなっていくことを考えると、自助と共助の間に近助がくるのが正しいのかもしれないなと思います。
この近助にはもう一つあって、住んでいる地域の個人と自治会の間、いわゆる班や組、隣保というふうに言われるような近所の数軒単位くらいでの助け合い、つまり近所の助け合いも該当します。
普段顔見知りであれば、自分や家族が助かったら、恐らく周囲の人の心配をすると思いますので、この近所の助け合いも重要になります。
ただ、偶然居合わせた人達が助け合う「近助」と違って、近所の助け合いは近所の人を知らなければそもそも成立しない関係であることに注意が必要です。
最近では近所付き合いが面倒くさいとか、金にならない地域の行事に出るのが嫌だ、あるいはそもそも地域付き合いする時間が取れないといった感じで近所付き合いしない、できない人も増えているそうですが、そういった人は近所も相手にしない、というかどんな人がいるのかもしらないわけですから、そもそも意識してもらえないことを理解しておきましょう。
意識してもらえないということは、共助を受けることが困難になるということです。そもそもそこにいることをわかってないのですから、地域に寄せられる支援や援助は、自分から関係者に積極的に申し出ていかない限り受けることができません。
公助は期待はできません。平時であればそういった近所付き合いしない人にも配慮されるかもしれませんが、災害時には絶対的な人手が足りませんので、平時のような公的な支援はまず無理です。
近所、共助を当てにしないための準備、つまり自助を相当手厚く準備しておく必要があるでしょう。
繰り返しになりますが、災害時には公助、つまり行政機関の助けはありません。災害発生時には、消防、警察、自衛隊はあなたを助けてはくれないのです。
あなたは自分が助かるためにどのような準備をしておく必要がありますか。
大雨の降るかもしれない梅雨に入るまでに、一度考えておいてくださいね。
【終了しました】救急救命講習会を開催します
来る5月21日13時から、益田市の益田スイミング様において、日赤島根県支部の方を講師にお招きし、救急救命講習会を開催します。
誰もがいつどこで必要になるかわからない心肺蘇生法やAEDの使い方などを、丁寧にしっかりと教えてもらうことができます。
普段なかなか接することのない救命法について、こういった機会を通して学んでみませんか。
詳しいことはチラシをご覧ください。
興味のある方のご参加をお待ちしております。
当日の様子はこちら
身の安全を確保して
先日、岸田総理大臣の襲撃事件がありました。
総理にはけがもなく、実行犯は無事に取り押さえられたとのことですが、気になったことが一つ。
それは状況からなにか危険が起きていることが予想される状況にもかかわらず、スマートフォンやカメラで犯人を取り押さえたり様子を撮影している人がたくさんいたことです。
女性の悲鳴や避難を促す声も聞こえていますが、撮影を止める様子も避難する様子もなく、もしここで爆発物がさく裂していたらどうなっていたのだろうと、ちょっと考えてしまいました。
日本では長らく「安全と空気はタダ」と言われ続けてきて、身の安全は自分以外の誰かが守ってくれるものという考え方になっている人が本当に多いです。
ただ、いざというときに自分の身を守れるのは自分しかいません。本来は避難するなり伏せるなり、なんらかの退避行動をとらないといけないはずなのですが、ひたすら撮影するか、様子を見ているか。報道機関の人は仕方がないにしても、一般の人まで一緒になって撮影をする必要性がわかりません。
もっとも、日本では襲撃に対する訓練というのはされていません。「伏せろ!」という叫びを聞いて体が反射的に床に伏せることができる人がどれくらいいるでしょうか。
防災でも同じで、地震がきた時にいくら緊急地震速報が鳴ってくれてっも、状況確認しようとしてしまうことが、初動の遅れを招いてしまっているのです。
まずは身の安全の確保、それから状況確認というのは、身を守るための基本です。
とっさの時に考えなくても動けるように、しっかりと訓練をしておきたいですね。
10台超のカメラ映像で検証 岸田首相襲撃の経緯 凶器の入ったカバンを何度も気にする仕草が…【関西テレビ・newsランナー】(youtubeのウェブサイトへ移動思案す)