ちょっとだけやってみる

やったことがなければ、アウトドア団体などが主催する日帰りキャンプなどに参加してみるのもいい。

 防災関係では、さまざまな経験値が命に直結しますが、体験をしようと思うと、なかなかに難しいものです。
 慌てていっぺんにあれこれやろうとしてもうまくいかないことが多いですし、わからないことや失敗ばかりが続くと、やっていて嫌になるものです。
 災害対策は慌ててやってもいっぺんにあれこれできるようになるわけではありません。あくまでも日常生活の延長線上でちょっとだけ不便な条件を設定し、実際に体験してみることが大切です。
 例えば、家族でお出かけするときにいつもは車で出かけるところを歩いてみるとか、お昼ごはんを外で作ってみるとか、ほんのちょっとだけ非日常を加えて、経験を重ねていけばいいのです。
 ちょっとしたことでも、成功体験は次に繋がります。難しいことは必要なく、できることをできるようにやってみればいいのです。
 この「ちょっとした」はやるだけ無駄という人もいます。きちんとした訓練でないと意味が無いという人もいます。
 ただ、普段ならしないことを体験することで、やったことがなくてもできるという成功体験があれば、何も無いと絶望しなくてもすみます。
 まずは体験してみること。自分の災害対策はそこから始まります。

【やってみた】海水から塩を作ってみた

 先日海辺で外あそびごはんの会を開催しましたが、そのときの大きなテーマの一つが「海水から塩を作る」というものでした。
 人の生活に欠かせない塩を作るのにはさまざまな方法がありますが、どれもかなり大規模で簡単に塩が作れるような感じがしません。
 でも、海水自体は「塩が溶けている水」なわけですから、火に掛けて水を蒸発させてやれば塩は作れるはず。
 というわけで、当日参加してくれた子ども達と一緒に塩を作ってみる事にしました。

ひしゃくで上澄みを掬うと砂が入りにくい

 まず最初に、生活排水の入りにくい海岸で海水を汲んできます。

鉄鍋一杯の海水で塩を作ってみます

 それを、鉄鍋に入れて、その鉄鍋を火に掛けます。

天気がよかったので、火のそばはとても暑かったです。人肌に塩ができるくらいでした。

 ひたすら火に掛けていると、1時間半を過ぎた頃、一気に沸騰しました。

飽和状態を超えると、一気に水分の蒸発が始まるようです。

 それが治まると、鍋の底には白っぽいものが残りました。

水分が全部飛んだ状態。きのこみたいにも見える。

 削ってみると、塩っぽいです。

箸でつつくとホロホロと崩れて粒子になりました。塩です。

 食べてみたら、塩辛いのですが、後味すっきりのおいしい塩ができました。
 当日はお昼ごはんに火を焚いていたかまどの中でズッキーニを焼いていたので、それにつけてみたり、農家さんからいただいた野菜と切り干し大根で作った野菜スープに加えて味の変化を楽しんだりしていました。
 しまいには、塩だけなめている子も出てきて、今回は大成功だったかなと思います。
 ただ、小さな袋1つの塩を作るのに1時間半以上煮詰めていくのは、根気と燃料がかなり必要です。
 塩田式や流下式など、ちょっと手間はかかりますが、燃料代がかからない作り方が普及した理由がよくわかりました。
 思ったよりも簡単にできますので、今年の海あそびで試してみるのも面白いかもしれませんよ。
 ちなみに、もしやってみるのであれば、鍋はアルミ製以外のものを使うようにしてください。アルミだと、塩を作る過程で鍋がかなり傷んでしまいますので。

【活動報告】外あそびごはんの会を開催しました。

天気の良い海辺はテンションが上がります。

5月29日、益田市喜阿弥町のデルマーレキアーミで外あそびごはんの会inデルマーレキアーミを開催しました。
今回のテーマは塩づくり。実際に海水を汲んで煮て最終的に本当に塩ができるのかどうかを試しました。

 そして、かなりたくさんいただくことのできた農家さん差し入れのお野菜を使った具だくさんスープとポリ袋を使ったもみもみ料理、あとはアルファ米と水戻ししたカップ焼きそばを昼食として食べました。
午後は日差しが強かったのでのんびりと過ごし、喜阿弥海岸で少しだけビーチコーミングし、缶切りを使ってフルーツ缶を空けておやつでみんなで食べました。
日差しは強かったですが海が穏やかで、参加者も少なかったのでゆったりまったりと開催する事ができました。
今回会場を貸して下さったデルマーレキアーミ様は普段は貸別荘やイベントをされている施設です。
街からは少し離れていますが、海のそば、風光明媚な場所にありますので、益田での宿泊や合宿、ちょっとしたイベントなどに利用してみてはいかがでしょうか。
参加してくれた子ども達、お野菜を差し入れて下さった農家の皆様、いつも助けてくれるスタッフやお手伝いの皆様にこころからお礼申し上げます。

【終了しました】【お知らせ】外あそびごはんの会を開催します。

 今年の2月、3月に開催して好評をいただいた外遊びごはんの会を、益田市喜阿弥町のデルマーレキアーミ様のご厚意で会場をお借りすることができ、開催することができることになりました。
 今回は海編ということで、うまくいくかはわかりませんが海水からの塩づくりや海辺で落ちている貝やいろいろなものを拾ってみるビーチコーミングなどをやってみたいと思っています。
 もし雨天の場合には、デルマーレキアーミ様の施設をお借りして、参加者みんなで生活できる避難所を作ってみたいと思っています。
 参加費は500円で募集は先着順ですが、以前の外あそびご飯の会開催時に新型コロナウイルス感染症の関係で急きょ参加できなくなった方を優先させていただきますので、それについてはご了承下さい。
 なお、当日は保護者カフェを同時開催します。こちらの飲み物はデルマーレキアーミ様のご厚意で無料で提供いたします。
 見知らぬ相手だからこそ本音で話せることもあります。お子様を送迎してきて一息ついていきませんか。
 応募や詳細の確認につきましては、添付のチラシをご覧下さい。ご参加をお待ちしております。

【活動報告】第3回外遊びごはんの会を開催しました

 去る2022年3月13日、島根県立万葉公園で第3回目の外遊びごはんの会を開催しました。
 今回も直前になってとある事情からキャンセルが出ましたが、それでも総勢19名の子ども達と一緒に遊んだりご飯を作ったりして楽しみました。
 新型コロナウイルス感染症対策として、今回は当研究所のネイチャーゲーム指導員から接触せずに一緒に遊べるネイチャーゲームをしてもらい、それからお馴染みのビニール袋炊飯をして、秘密基地づくりと豚汁づくりを行いました。

 秘密基地づくりは、過去に参加した子ども達がさまざまな情報ややり方をお互いに交換して、過去3回でもっとも丈夫でかっこいいテントが完成し、他のサイトのキャンパーの方が「あれもいいね」とお褒めの言葉をもらう完成度となりました。

 また、今回の豚汁は、同じ豚汁だった第1回目とは趣向を変えて、被災地に出かけて炊き出ししたらというテーマで各種材料を準備し、調理好きな子ども達と一緒に調理をしました。
ご飯のときには沈黙で食べていましたが、途中で缶詰を登場させると、おうちで見たことがない子もいたらしく、開け方や食べ方について知っている子ども達が教えたりもしていました。
今回は前二回とは異なるサイトを使わせてもらったのですが、どの子も初めてのフィールドということで、スタッフを連れてあちこちに探検に出かけ、あっという間に終了の時間となりました。


最初は硬い表情の子も多かったのですが、帰るときにはお互いに楽しそうに挨拶を交わし、初めてとは思えないくらい仲良くなってくれていました。
第3回までは、島根県NPO活動推進室様の補助金を採択していただいたおかげでこれだけのイベントができました。採択いただきましたことに心から感謝します。
最後に、今回参加してくれた子ども達、保護者の皆様、会場を貸していただいた万葉公園様、当研究所のスタッフとお手伝いの皆様、そして悩んだけれど事情を汲んで参加を辞退した子ども達と保護者の皆様、陰日向に今回のイベントを後押しして下さった皆様に、こころからの感謝をします。
本当にありがとうございました。

【活動報告】第2回外遊びごはんの会を開催しました

 コロナ禍で知らない子ども達との遊び方や身体を動かした外遊びの楽しみ方、ご飯づくりや人との一緒に食べるご飯の楽しさを思い出してもらおうと企画したこのイベントも第2回目になりました。
 前日に生じたとある事情から参加できなくなった子ども達のキャンセルが相次ぎましたが、総勢12名で無事に開催にこぎ着けることができました。
 当日は、ご挨拶の後でビニール袋を使ったご飯を炊き、それからブルーシートと木がらを使った秘密基地づくりとレトルト野菜とサバ缶で作ったサバカレーに別れて活動を行いました。


 子ども達は合間を見て野球のようなものをしたり、おにごっこをしたり、出来上がった秘密基地で寝転がったりと思い思いに時間を過ごしてくれていました。
 カレーに添えるサラダとして、お菓子のじゃがりこを使ったサラダを各自で作ってお昼ご飯に食べましたが、意外においしかったという感想をたくさんいただきました。


 昼からも野球のようなものや鬼ごっこなどをして過ごし、中には木がらと紐、それに養生テープを組み合わせて弓矢を作る人まで現れて、ちょっとしたアイデアでいろいろなことができるんだと感心しました。
 少し肌寒い中ではありましたが、今回も無事に終了することができました。
 参加できなくなった子ども達、事情で参加できなくなった子ども達、保護者の皆様、スタッフの皆様に厚くお礼申し上げます。
 次回は3月13日、今回の外遊びごはんの会の最後になりますが、怪我がなく無事に終わることができることを願っています。

【終了しました】【お知らせ】外遊びごはんの会を開催します。

 まん延防止措置重点地域の指定を受けている状態で非常にイベント開催の告知がしにくいのですが、2月20日の解除を期待して、以下の内容で外遊びごはんの会を開催します。

開催日時:2022年2月27日、3月6日、3月13日(計3回)10時~15時
開催場所:島根県立万葉公園
参加費:無料
募集人員:益田市内の小学生20名(各回とも。参加は1回でも3回全部でも大丈夫です)
開催内容:広い公園で身体を動かして遊んだり、焚き火体験や自然観察、炊き出し体験&自分で作った昼食を食べます。
用意するもの:着替え、手袋、帽子、マフラーなどの防寒具、靴下、スキーウェアなど濡れても大丈夫な防寒着と履き物、替えのマスク、
注意事項:新型コロナウイルス感染症の蔓延状況によっては、事業内容の変更や中止もあり得ます。
また、危険を感じる方や100%の安全を期待する方はは参加をご遠慮下さい。
当日の気象条件によっては中止の判断をすることがあります。午前8時時点で開催を判断します。
申込方法:メール。表題を「外遊びごはんの会参加希望」とし、参加者の氏名、年齢、性別、アレルギーの有無及び対象、保護者氏名と連絡先電話番号を記載の上、当研究所のメールアドレスにご応募ください。
先着順とします。
なお、詳細につきましては当研究所事務局までお問い合わせ下さい。

冬の雪遊び

 年末年始にかけて地元の山間部でも雪が積もりましたので、状況偵察を兼ねて広島県の深入山に出かけてみました。
 コロナ禍が落ち着いてきたせいか去年よりも雪遊びをしている人達は少なかったですが、いくつかの家族がそり遊びを楽しんでいました。
 雪山というと寒くて危険というイメージがありますが、装備と段取りさえ間違わなければしっかりと遊ぶことができます。
 普段と違った景色が見られて面白いものですが、行き慣れている里山でも装備が整っていない状態では危険なので、今日はどこでもできる冬の雪遊びを少し紹介してみたいと思います。

1.足跡観察

雪の上には、さまざまな野生動物の足跡が残されています。
都会地の公園や路地裏でも、雪が積もっていると何かの生き物の足跡を見つけることができるものです。
足跡を探し、それがどのような生き物なのかを当てっこするのはとても面白いですよ。
うまくいけば、足跡の主に出会うことができるかもしれません。
足跡探しに夢中になると迷ってしまうこともあるので気をつけなくてはいけませんが、一度はやってみてもいいと思います。

2.ヤドリギ観察

 野鳥の多い地域では木にヤドリギがついていることがありますが、普段は葉で見ることが出来ません。
 でも、冬場は葉が落ちていますので、木についているヤドリギをはっきりと見ることができます。
 運が良ければ、ヤドリギの実も落ちているかもしれません。
 この実はとても甘いのですが、非常に粘っこいので、種を口から出すときに糸を引いたりすることがあります。
 このねばねばで木にへばりついてヤドリギになるのだなということがわかるくらいねばねばしてますので、一度は食べてみてもいいと思います。
 食べるときには、あくまでも自己責任でお願いします。

3.そり遊び

 意外に思われるかもしれませんが、そりは少しの雪でも滑って遊ぶことができます。
 地面が露出しているところではさすがに無理ですが、全体が白くなっていればその上で滑って遊ぶことは可能です。
 滑りやすい傾斜地を見つけることと、滑り降りた後に安全が確保されていること。
 この二点に気をつけて遊んでみると、とても面白いです。
 ちなみに、全体が白くなる程度の雪で大人が滑ろうとしても、大人の重さで雪がつぶれて滑ることができません。
 どこまでなら誰が滑ることができるのか、その境を探すのも面白いと思います。

4.雪だるまづくり

 雪だるまは雪が少量でも多くてもそれなりに作ることができます。
 積もっている雪でどこまで大きなものを作ることができるのかをやってみるのも面白いのではないでしょうか。
 雪だるまを競争で作ると雪の取り合いになることがあるので、複数の雪だるまを作るときには、雪を集める場所をそれぞれ決めておくといいかもしれません。

 少人数でも遊べるような雪遊びを少しだけご紹介してみましたが、イメージが沸くでしょうか。当研究所の冬の自然体験企画もこれらを組み合わせてやっていたりしますので、活動報告や写真を見られたときにこんなことしたのかなと思いながらみていただけるとうれしいです。
 最後に、冬の雪遊びでは濡れると身体を冷やして風邪を引いてしまいますので、遊ぶときには防水・防風のしっかりした、例えばスキーウェアなどを着て、足下を長靴など水の入らない履き物で遊ぶことをお勧めします。
 街の中と自然の中では遊ぶ格好が少し異なるので、そこだけ気をつけて楽しんでいただけると幸いです。

地域を知ることから始めよう

 NPO法人には定款という活動する範囲を定めたものが存在し、その定款の範囲でさまざまなアクションを起こしています。
 当研究所の定款の中には、防災関係のものに混じって「自然体験活動」と「有害生物対策」という二つが加えてあって、恐らく他の防災活動をしている団体様にはない特徴だと思っています。
 災害対策はお住まいの地域、お住まいの場所、そしてお住まいの方によってやり方が変わってきます。同じ地域で隣り合うおうちであっても、備えなければいけない対策は異なっているのです。
 このことを理解してもらった上で対策のお話をしないと、聞いている側には内容がイメージできません。イメージできないから備えが進まないし、何かが起きたときには「こんなはずでは・・・」という方を産むことになってしまうのです。
 当研究所の自然体験活動は、地域を知るために必要だと考えて定款に加えてあり、山登りや雪遊び、川遊びなどを行っています。住んでいる地域の地質、山、森、川、海、気象条件、そして過去に起きた災害や最新のデータに基づく危険な場所まで、一緒に地域で遊びながらどのようなものかを体験し、そこから災害対策を考えているのです。
 海に面していなくても津波は来るかもしれませんし、山の中でも低い場所は大雨では浸水したりもしますが、それは地域を知らなければ体験的に理解できないことだと思っています。
 災害対策は、まずはその地域を自分の目で見て理解することがスタートです。できれば地域の人みんなでその地域で身体を使って見て回ることで、初めて災害対策の目線あわせができるのではないでしょうか。
 「そこに住んでいるから、その地域のことはわかっている」という常識はとりあえず疑ってみてください。地域で遊ぶ時間がないようなら、せめて地図を持って散歩してみて下さい。
 そうすることによって、あなたが命を守るために必要な条件が見えてきます。
 もしあなたが災害対策を本気で考えようとしているのであれば、まずは住んでいる地域を知ることから始めて下さい。
 それから、通学先や勤め先、普段よく行くところなど、手を広げていくと、いざというときにあなたが自分の命を守る前提条件を揃えることができるはずです。

制御された危険で体験をする

 新型コロナウイルス感染症のせいか、ここ最近アウトドアがはやりのようですが、それに伴ってさまざまな怪我や事故も増えているようです。
 刃物やたき火など、普段の生活で出てこないものを使うのがアウトドアの醍醐味ではあるのですが、それらは危険だということを知ってはいても経験がないため、引き起こされるトラブルも多いのですが、大きな事故や怪我を防ぐためには、制御されている状態で危険を体験することが大切です。
 二昔前くらいまでは日常生活でさまざまな体験ができていたのですが、現在は安全が最優先されて危ない目に遭うことがほとんどない状態ですから、さまざまな野外活動などで擬似的に危険を経験するしかありません。
 危険とは失敗ですが、指導者が見ているところで体験する危険は、命にかかわるものは殆どありません。怪我はするかもしれませんが、その代わりに危険について学習することができるのです。
 危険をしらないということは、どこで危険に遭遇するのかという予測もできないということです。危険を経験することで、他の部分でも危険を予測する力になり、災害時に自分が生き残ることのできる力になるのです。
 これから秋で過ごしやすい時期になってきます。
 屋外でのアウトドア教室ではさほど密にもなりませんし、個別に活動することも多いですから、そういったイベントに参加して危険に対する感覚を身につけ、生き残るための勘を養えるといいなと思います。