JPCZってなんだろう

 ここのところ気象情報でJPCZ(ジェイピーシーゼット)という言葉が頻繁にでてきています。
 このJPCZ、日本語にすると日本海寒帯気団収束帯(Japan-sea Polar air mass Convergence Zone)となるのですが、日本語にしても意味がよくわからないと思います。
 気象用語なのですが、簡単に書くと、冬の日本海側の東北から山陰にかけて大雪が降るような状態と考えてください。
 大陸から吹く冷たい風が、朝鮮半島北部にある長白山脈で南北の二手にわかれ、日本海で再びぶつかるのですが、その際、日本海で暖かな水蒸気を吸収して大きな積乱雲が発生します。
 その積乱雲がほぼ同じような場所を通過していくため、その場所で大雪が降ることになります。

赤丸で囲った部分がJPCZの部分。

 天気図で見ると、西高東低の冬型の気圧配置で、等圧線が「く」の字状になっている部分、ここに発生します。
 そのような天気図を見たら、早めの雪対策をとるようにしてください。

冬型の気圧配置(気象庁のウェブサイトへ移動します)

【お知らせ】1月開催のイベントのご案内

 石西防災研究所では、1月に一般向けワンコイン研修会を2回開催します。
 1回目は1月14日で、「ハザードマップの読み方を知ろう」。
 これはハザードマップに書かれている情報はどのようなものがあるのかということに始まるハザードマップの見方の研修会です。
 2回目は1月24日で、「マイタイムラインを作ろう」。
 これはハザードマップを読める人向きの研修会で、ハザードマップを元に、自分が置かれた状況や環境からどのような行動をすべきなのかについて時系列に整理し、それを行動計画書、防災ではマイタイムラインといわれるものですが、それを作って行動手順をみてわかるようにしていきます。
 どちらも災害への備えに対して有効な研修会ですので、興味があって都合のつく方はぜひご参加ください。
 参加費は500円/人。
 いずれも準備の都合上事前申し込みをお願いします。
 詳細は付属のチラシをご覧いただくか、事務局までお問い合わせください。

ハザードマップが読めますか

 市町村などが作っているハザードマップですが、完成したり改訂があると、多くの場合は各家庭に配られているようです。
 ただ、その中身の説明がないために、次の資源回収日には大量に出されているケースもあるとか。
 本来なら災害から身を守るために作られたはずのハザードマップがただの資源になってしまっているのは、ようするに見方がわからないからです。
 見方さえわかれば結構役に立つのですが、配られているハザードマップに書かれている解説を読んでも、よくわからないという方が多いのではないでしょうか。
 研修会などで説明すると「ああそういう意味なのか」と言ってもらえることも多いのですが、わからないから資源にされているのです。
 また、中途半端に細かいサイズになっているため、かなり使いにくいものも多いです。見やすいだろうと思って冊子にしていても、実際には非常に使いにくくわかりにくくなってしまっている残念なケースもよくあります。
 見方さえわかれば、あとは更新されても改訂されても大きく表示方法が変更されることもないですから、見方をしっかりと周知してほしいと思います。
 見方と用語。
 これがきちんと理解できるような機会の提供が少ないような気がするので、結果として理解が進まないという状態が続いている気がします。
 せっかく大金をかけて作ったハザードマップです。
 しっかりとハザードマップが役立つような、そういった心配りがいるのかなと感じています。

【活動報告】高津小学校の防災クラブを開催しました

「階段で地震が起きたらどうするか?」を本人たちで考えて身を守るポーズをしてもらった。考えて動いてみることがとても大切。

 2022年11月30日に益田市立高津小学校で11月の防災クラブを開催しました。
 この防災クラブは学校のクラブ活動の一つとして取り入れてもらっているものですが、今回は校内に設けられたチェックポイントに準備された問題を解いたり、演習をしたりしてもらう「校内オリエンテーリング」を開催しました。
 去年のチェックポイントは問題だけだったのですが、こちらの想定よりも相当早く帰ってきてしまって時間が余ってしまったという経験から、今回は消火器の使い方や胸骨圧迫を交代で2分行うこと、そして階段で地震に遭遇した時の防御法について実際に動いてみてもらいました。
 結果としてはかなり楽しんでもらえたようですが、このオリエンテーリングは当日の準備が大変なので、いかに当日の手間を減らすかがこれからの課題となりそうです。
 今回参加してくれた子どもたち、快く支援してくれた先生方、そして毎回手伝ってくれるスタッフの皆様に感謝します。

逃げるべきか留まるべきか

当研究所のある益田市市街地のハザードマップ。あなたのおうちは避難が必要ですか?

 避難という言葉を調べてみると、「災難を避けてその場から立ち退くこと」といった意味になるそうです。
 防災対策でよく使われるこの避難という言葉ですが、その中身を見ると「垂直避難」「水平避難」「その場で待機」という大きく3つに分けられています。
 「水平避難」は言葉の意味のとおり、災害が発生するであろう場所から災害が起きない場所への水平移動のことを指します。
 「その場で待機」は、そもそも避難の必要がない場合に使われるもので、自宅待機ともいわれます。
 そして、「垂直避難」は、「その場にいるが、なるべく高いところへ移動する」ということで使われています。


 確かにその場から移動はしているのですが、危険地帯から移動しているわけではないので、避難に該当するかどうかは正直疑問ですが、それでも例えば1階にいたら間違いなく溺れてしまうような場所の場合には、2階以上の場所へ逃げるのは一つの考え方なのかなと思います。
 ただ、垂直避難には限界があります。都会の何十階建ての建物ならともかく、田舎の一戸建てだとせいぜいあっても3階くらいまで。そんな場所で垂直避難することは、果たして正しいのだろうかとも考えてしまいます。
 自分が垂直避難でもなんとかなりそうかどうかは、お住いの場所のハザードマップを確認して判断するしかありません。ハザードマップを100%信用することは危険ですが、それでも一つの判断基準にはなります。
 さまざまな条件でそこから遠方へ逃げられない人や、逃げ損ねた場合には、上層階に逃げることで命をつなげるかもしれません。
 基本は水平避難ですが、もしも垂直避難になった場合に備えて、どのような条件だと危険なのかについて確認しておくことをお勧めします。

【活動報告】おたがいさま益田様で防災研修を行いました

 去る10月17日、益田市高津町の生協益田支所様にて、おたがいさま益田様の防災研修会の講師をさせていただきました。
 テーマは災害から命を守るにはということで、ハザードマップと防災と聞いて思いつくアイテムを一つご持参いただき、それについて参加者同士で話をしてもらいました。
 また、実際の音声を聞きながらの避難訓練や、非常時に使われる警報音を聞いていただいたりと、盛りだくさんの内容でやらせていただきました。
 ただ、研修よりも展示物のほうが興味をもっていただけたようで、展示していた簡易トイレやエマージェンシーシート、非常用のアイテムの入ったボトルなどをについてあれこれとご質問をいただきました。
 次回があれば、今度はそういったアイテム類の見方や使い方、準備などについてやってみるのも面白そうだなと思いました。
 今回お声がけいただきましたおたがいさま益田様、そしてご参加いただきました皆様にこころから感謝いたします。
 諸般の事情で写真がありませんので、記事にて報告させていただきます。

【活動報告】ワークショップ「防災マップを作ろう!」を開催しました。

横断歩道の見通しが悪いと、渡ったあとで危険認定。

 去る10月15日に益田市の高津上市地区で小学生による地域安全点検として防災マップ作りを行いました。
 参加者が全部で5名と少し寂しかったですが、そのぶんしっかりと地域の安全点検をして回ることができました。
 普段通学路として使っている道も、安全点検してみるとかなり危険だということに気づいたようで、どうすればいざというときの安全が確保できるかについて参加者でいろいろと話をしていました。

地域のお年寄りとちょっと立ち話。しっかりやってと激励される。

 また、防災や防犯といった普段あまり気にしていないものの見方がわかると、普段の生活でもかなり見方が変わってくるというご意見もいただきました。
 今回はこれで終了しましたが、今後各地で防災マップを作る機会が増えるといいなと思っています。
 子どもたちと一緒に地域の安全点検をしてみませんか?
 興味のある方で講師やお手伝いが必要であれば、ぜひお声がけください。
 できる限りのお手伝いをしたいと思っています。
 今回参加してくれた子供たち、そしてお手伝いいただきました皆様に心から感謝いたします。

一番長くいる場所の安全を確保する

家具を固定していないとこうなる。

 どんな人もそれぞれに自分が一番長く過ごす場所というのがあると思います。
 長くいるということは、そこで過ごす時間が当然長いわけで、そこで被災する可能性が高いと考えていいと思います。
 そのため、まず最初に長くいる場所の安全を確保するようにしてください。
 例えば、自分がその場所で普段いる姿勢より背の高い家具を置かないとかその姿勢よりも高い場所に重量物を置かない、背の高い家具や重量物を置くならしっかりと固定することが要求されます。
 多くの人は寝室で寝ている間が一番長くその場所で過ごすことになると思いますので、寝る場所にはものをなるべくおかないのが基本と考えてください。
 そして、できればドアはスライド式または外開きにして扉の外側にはものを置かないこと。
 窓は飛散防止フィルムを貼り、厚手で長めのカーテンまたはブラインドをかけておく。照明は天井に直付けするか、あるいは壁の間接照明とする。
 これだけでかなりの安全度が確保できます。
 難しいようにも見えますが、やってみると割と簡単にできます。
 もう少しすると大掃除を始めるご家庭も多いと思いますので、そのときお掃除と一緒にお部屋の安全確保もしてみてください。

どこに避難しているのかを知る

避難先や避難経路を知るには、防災マップを作ってみるのも一つの方法。

 あなたは津波などで避難が必要な状況になったとき、自分がどこへ避難すればいいのかを知っていますか。
 また、ご家族がどこへ避難するのかを知っていますか。
 学校や施設などにいるとき、そこからどこへ避難しているのかについては、案外と知られていないことが多いですので、どこに避難するのかをしっかりと確認しておきましょう。
 できれば避難経路もあわせて確認しておくといいと思います。
 どのような判断でどこへどんな経路で避難しているのかを知っていると、いざというときにもある程度どこにいるのかが予測がつきます。
 そして、探しに行ったり迎えに行ったりするときにも迷わなくて済みます。
 また、自分の子供が遊んでいるときに避難すべき状況が起きた時にはどこへ避難すれば安全なのかを、子供と一緒に現地で確認しておくと安心です。
 誰がどこにいてどうなっているのかがわからないことは、人の心に不安を招きます。
 その結果、その不安を解消するために助けに出かけて遭難するというケースは過去の災害でもたくさん起きています。
 いざというときに誰はどこに避難しているのかを事前に知っていることで、そういった不安を排除することができますから、お互いにどのような行動をするのかについて、しっかりと話をしておくようにしてください。

台風には気を付けて

 台風14号はどうやら本州縦断コースをたどる気配です。
 2022年9月18日14時現在のこの台風の勢力は「大型で非常に強い」となっていますが、この台風の大きさの表現がどのようなものなのかは、以下のリンクからご確認ください。

台風の表現を知ろう」(当研究所のウェブサイトへ移動します)


 また、台風の進路予想図には見方があり、これを間違えると本来とは違う予測の見方になってしまいます。
 台風の進路予想図の見方は、以下のリンクからご確認ください。

台風の進路予想図の見方」(当研究所の該当ページに移動します)
 九州から中国地方に向けて移動していくこの台風の影響が出る前に、周囲のお片付けや、場合によっては日のあるうちの避難など、適切に命を守るための行動をとってほしいなと思います。