地震の時のポーズあれこれ

 「地震が起きたらダンゴムシ」というのは結構有名になってきた地震のときの姿勢ではないでしょうか。

机の下でダンゴムシ
ダンゴムシのポーズは体の重要な部分の防護と転倒防止のためにするものです。

 うずくまって両手で頭と首を守るこの格好は、落下物から重要な部分を守り、その上で転倒をしないという意味で非常に理にかなっていると思います。
 また、学校の教室などでは、机の下に潜って両手で机を支える「アライグマのポーズ」というのもありますが、これは使っている机によっては逆に怪我をしてしまったりすることもありますので注意が必要です。
 これらの姿勢を取る練習としてよく「シェイクアウト訓練」というような言い方をしますが、そもそもなぜこのような姿勢を取る必要があるのかを考えたことがありますか?
 第一には頭を護ること。判断し行動するためには正常な判断が下せる状況であることが大切ですから、これは必須です。
 次に、怪我をしないこと。特に地震の際には転倒による怪我がよく起きます。ちょっと大きな地震が起きると、転倒による骨折で救急搬送というニュースが必ずといっていいくらい流れますが、これを防ぐには転倒しないようにすることしかありません。なるべく重心を低くして転がりにくくすることが大事です。
 例えばよく転倒事故の起きる階段では、揺れ始めたらその場でしゃがみ、あれば手すりをしっかりと持つ。これだけで転倒する可能性はずいぶんと低くなります。
 また、地震への対応策として「地震が起きたら外へ逃げろ」というのがありますが、揺れているときにはまず移動できませんし、無理矢理に移動することはかなりの危険を伴う行動です。耐震補強され、転倒防止、落下防止対策がきちんとされているところであれば、自分が転がらないような姿勢を保てさえすれば、怪我をすることはないと思います。
 ところで、先日ちょっと考えさせられることがありました。
 外での避難でもダンゴムシのポーズを取りなさいという内容の本だったのですが、地震が起きると、砂やほこりが宙を舞います。建物の中であれば問題ないと思いますが、校庭や公園などの土の地面が露出している場所だと、揺れてる最中に砂煙が起こります。そんな状態の時にダンゴムシのポーズを取っていたら、目や口に砂やほころが入り込んで体にダメージを受けてしまいます。
 ダンゴムシのポーズは「落下物対策」と「転倒防止」のためのものです。もしも外にいて上や周囲からものが落ちたり飛んできたりしないのであれば「落下物対策」は必要ありません。そうすると「転倒防止」だけに集中すればいいわけですから、仰向けの大の字で寝たり、両足を拡げて腕をつき状態を支えるような格好で転がることを防げれば充分だということになります。
 非常時、場所によってポーズを変えるのは大変だからということで、学校や保育所、幼稚園などの教育施設では一元的に「地震が起きたらダンゴムシ」と教えることは大切だと思いますが、それによって体を痛めてしまっては何にもなりません。なぜその格好をするのかを考える必要があると思います。

メタボパンダのポーズ。大の字に寝転がるのでも大丈夫だと考えていますが、背中を浮かせている方が揺れで受けるダメージは小さい気がします。

 当研究所では、外での転倒防止の格好は「足を大の字に拡げて上体は起こし、両腕は地面を支える」のが一番良いのでは無いかと考えています。これを「メタボパンダのポーズ」と呼んでいるのですが、あなたならどんな名前を付けますか?

避難所の環境について考える

 避難所、避難場所、一時避難所(以後「避難所」とします)については過去にも触れているところですが、ここのところ続いている大規模な災害の報道を見ながら考えることがあります。
 それは、避難所の収容人数の問題です。
 例えば、内閣府の発表によると7月3日から4日にかけて降り続いた九州南部の大雨では避難指示(緊急)は約110万人に出されたそうです。そのうち、実際に避難した方が6,301人。率にすると0.005%となり、殆ど避難していないとみることができます。
 では、避難所の収容人員はどうなのでしょうか?
 市町村が定める防災計画に記載された避難計画を見る限りでは、避難所の周辺人口をそのまま収容するような計画になっていることが多いのかなと感じています。
 例として、当研究所のある益田市高津町の避難所で考えてみたいと思います。
 研究所から一番近い避難所は「高津小学校」です。平成30年度益田市防災計画の想定では、収容能力は1,000名。圏域人口は1,554名とされていますので、この時点ですでに収容能力を超えています。
 ただ、実際に避難してきそうな地区の数字を拾ってみると1,038名となるので、これなら大きな誤差ではなさそうです。
 一時避難所として校庭が指定されています。国土地理院の地図からざっくりと面積を拾ってみたら5,857㎡。圏域人口一人あたりの専有可能面積は3.76㎡となります。
 仮に車で避難するとして、車のサイズを5m×2m=10㎡と想定すると、3人で1台分のスペースは確保されることになります。また、単にテントを設営するのであれば圏域人口をなんとか吸収することはできそうです。
 次に、避難所開設時には普通最初に解放されるであろう体育館で考えてみます。
 校庭と同じく、国土地理院の地図でざっくりと体育館の大きさを拾ってみると、その大きさは926㎡。実際の避難者になりそうな1,038名で割ると、一人あたりの専有面積は0.89㎡となり、スフィア基準で定められている難民キャンプでの難民一人あたりに必要とされる面積3.5㎡を下回る数値になってしまいます。
 一人寝るのに必要な面積が2㎡と言われていますので、1㎡を切ると寝ることもできません。その上、実際には避難者はそれぞれ荷物を持ってきますので、間違いなく収容できないという状態になるでしょう。
 逆に考えてみると、926㎡の体育館で3.5㎡の個人スペースを確保しようとすると、避難が可能なのは264人ということになります。
 想定人口の1/5にも満たない数字ですが、大抵の避難所の設定はこんな感じですので、避難所周辺に住む全ての避難者が避難してきた場合には施設がパンクしてしまうわけです。
 これは過去の大規模災害で毎回繰り返されている光景ですが、これに対して打てる効果的な手段というのはさほど多くはありません。
 自分が悲惨な目に遭いたくなければ、なるべく自宅で過ごせるように、もし避難するのなら安心して過ごせる避難先をあらかじめ選んでおく必要があるということです。
 家の立地条件から見て避難すべきなのか避難すべきでないのか、避難するとしたらどこへどんな手段で行くのか、そして避難所でどのように生活をし、どういう状況になったら自分の避難を解除するのかということをきちんと決めておくこと。
 地震は突然やってきますが、それ以外の殆どの災害はあらかじめ起きるのはわかっている場合が多いので、被災想定区域外に出てしまうのも避難の一つです。
 もう一つ、大規模な災害が起きると医療・介護体制が維持できません。そのため病気や障害をお持ちの方は、あらかじめ何か起きた場合の対応方法をお医者様や介護担当者としっかり詰めておく必要があります。
 避難所では適切なケアはされないということを前提に、自分の避難計画を作っておくことをお勧めします。

避難の時の逃げ道を検討する・水害編

ここ数年、高津川は上流域の大雨により危険水位まで上昇することが増えている。写真は2018年
7月に撮影したもの。

 当研究所を始めるに当たって、研究所の所在地である益田市高津町上市で水害が起きた場合、もしくは起きると想定した場合、どの時点でどこへ避難するかについて研究員達と検討したことがあります。
 先日、益田市のハザードマップが更新されたことに伴って情報が追加されましたので、この情報を元にどのように避難を考えたらいいのかをもう一度考えてみたいと思います。
 考えてみたら、災害時の避難というのはさまざまな判断が求められ、その上住んでいる場所によっても判断が変わるものです。
 以前に避難経路を考えてみる必要があることについては触れていましたが、今回は、地元の地区を例に挙げて、水害対策についてどのように検討したらいいのかについて考えてみます。

1.ハザードマップの限界

  いきなりなのですが、行政の製作するハザードマップには限界があります。
 今回は時期的に水害対策で検討をしたのですが、ここで予測されているのは「想定された氾濫時に最大でどこまで浸水するか」というものを示した図でしかありませんので、どのあたりから越水して堤防が切れ、どのように浸水するのかについては当然ですがわかりません。
 でも、避難をするに当たってはどこからどのように水が流れてくるのでどこへどんな風に避難すればいいかということが大切な検討材料になります。

2.水の特性を考える

 水は必ず高いところから低いところへと流れていきます。つまり、流れている川のカーブでは、カーブから見て上流側の堤防よりも下流側の堤防に力がかかります。
 そのため、同じような堤防であればより力のかかる側の堤防が決壊する可能性が高いと考えられるわけです。

国土地理院の地図を3m刻みで着色したもので、川は図の下から上に向けて流れている。川の合流点から変電所の脇を抜け、奥の田に向けて低地があるため、水害発生時にはここが最初の水の道になりそう。

3.地域の特性を考える

上市地区の少し上流部には川の合流点があり、ここで本流と支流がぶつかります。大雨が降って水量が増しているときには、支流の水は本流にはじかれてしまうので、合流点で水が滞留しやすくなります。バックウォーターと呼ばれるこの現象が起きると、逃げ場を失った水は堤防を越水して低地に向けて流れ込んでいきます。

 また、排水路が一カ所堤防の中腹に抜けていて、ここには逆流防止装置がついていないことから、排水路を越える水が流れてきた場合、ここから水が噴き出してきます。昭和47年7月の水害では、この付近から水が越水し、家屋流出の被害も出たことをお住まいの方からも伺っています。

4.水がどこを通って流れていくかを考える

 バックウォーターで越水すると、水の流れは人麻呂神社の駐車場から翔陽高校の実習田がある方へ流れていくことになりそうです。また、神社前から下流に向けても角度がついていますので、水は二手に分かれて流れていくことが予測できます。

最初の地図に水の流れる方向を落とし込んだもの。郵便局の周りが上市地区になるが、高手に避難しようとすると、どうやっても水の道を突破しなくてはならないことがわかる。

 また、蟠竜湖停車場線は翔陽高校方面に向けてゆるやかに下降しているので、ここも水の道になることが予測されます。また、排水路からの逆流水もここを流れていくことになりますので、殆ど川状態になりそうです。
 どちらにしても、この場合には側溝が溢れる内水面越水ではなく、川を流れる濁流ですので、一度氾濫すると流れてくる水の勢いは歩ける状態ではなさそうだということも予測できます。

5.避難する先はどこになるかを考える

 上市地区の近傍の避難所である「高津小学校」は水没地域のど真ん中、「高津公民館」は家屋倒壊等氾濫想定地域のど真ん中にあり避難所としては不適切です。おまけに上市地区と各避難所を結ぶ避難路がもろに水の通り道になってしまうのでどちらにしても避難することは現実的ではありません。

柿本神社は土石流警戒区域になっているため、荒天時の避難には注意が必要。ただ、柿本神社を抜けて万葉公園の管理センターに避難するのが一番無難そうではある。

 水に浸かる可能性のない「万葉公園」「翔陽高校」「希望の里」そして画像では切れていますが「高津中学校」が避難の選択肢となりますが、避難するのであれば越水する前という条件がついてきます。

6.結論

 上市地区はハザードマップ上の浸水域は2~3mとなっています。最悪の場合には、住家内で2階への垂直避難を行えば助かることはできそうです。
 ただ、より安全を考えるのであれば、国土交通省が出す高津川氾濫情報の氾濫危険水位到達時に避難を開始することが必要で、避難先との調整をしておく必要があるということになります。また、高齢者が非常に多い地域なので、親戚や知り合いが高手に住んでいるようなら、気象庁の「Lv.3発表」時点や、高津川氾濫情報のはん濫警戒水位に達した時点で域外に移動してしまうことも検討すべきでしょう。

 以上、簡単に地区の水害に対する分析を行ってみました。
 この分析結果をどのように使うのか、使わないのかはそれぞれの判断となりますが、これからの季節、お住まいの地域やおつとめの地域のハザードマップと国土地理院の地図を使って、もし水害が起きそうな状態になったら自分のいる場所ではどのようにしたら安全が確保されるのかについて検討してみてはいかがでしょうか。

災害後は子どもが過ごせる場所を作っておく

子どもの笑顔が復旧の第一歩のような気がします。

 災害が起きて社会的なインフラが動かなくなると、まっさきに困るのが子ども達の扱いです。
 通常は保育園、幼稚園や学校などに行っている子ども達は、それらの施設が被災したり避難所になったりすると日中の行き場が無くなってしまいます。
 そうなると、子ども達の面倒を見るために親がついていなければいけないことになり、そのぶんの人手が不足して復旧が進まないという事態が起こります。
 ちょっと前に「避難所では使っては行けない場所を決めておく」ということを書きましたが、例えば学校などが避難所になった場合には、子ども達が日中過ごすための場所もあらかじめ確保しておく必要があると思います。
 子ども達は退屈すると大騒ぎを始めます。その声や音が、避難で殺気立っている大人の神経を逆なでして大喧嘩になることも、過去にはさまざまな避難所で起きていた問題です。せめて日中だけでも両者を切り離すことで、お互いが安心した時間を過ごせるのでは無いでしょうか。
 また、子ども達だけでは何が起きるかわかりません。手の空いている大人達が子ども達を見守ることで、復旧に当たらなければいけない人たちがそちらの仕事に向かうことができるようになります。
 そういう視点で見ると、保育園や幼稚園、学童保育などの再開というのはかなり優先度の高い復旧対象になるのではないかと思います。
 子ども達が可能な限り早く普段の生活に近い状態に環境を整えていければ、自然と大人達も普段の生活に近い生活リズムを取り戻すことができるようになるのではないかと考えるのですが、あなたはどう考えますか?

応急手当をwebで学ぼう

 応急手当については先日ちょっとご紹介したところですが、消防庁のサイトに「応急手当web講習」というのがあります。
 インターネットで応急処置の流れを映像で見ることができ、非常にわかりやすく作られています。
 終了後は修了証がインターネットから印刷することも可能になっており、いつでも見ることができて便利です。
 実地講習は各消防署や日本赤十字社が行う講習を受けなければ体験できませんが、どんな感じでどんな風に判断すればいいのかだけでも理解していると、万が一の時に活用できます。
 普段忙しくてなかなか講習会に参加できない方も、この「応急手当web講習」で応急処置について学んでみてください。

避難所は立入禁止エリアをあらかじめ決めておく

 避難所を開設するに当たっては、どこを使おうかというところから話が始まると思いますが、大規模な災害の場合には収容能力を超える人が避難してくる可能性があります。
 その時に避難所として使える場所を決めている状態だと、最終的にどこもかしこも避難者だらけになって通常業務どころか避難所運営すらおぼつかなくなってしまいます。
 そのため、避難所を開設する際には最低限使っては行けない部屋と、その理由をはっきりとさせておく必要があります。
 例えば、学校なら職員室や事務室は避難者が入ってくるといろいろな不都合が生じるでしょう。体調不良者や妊産婦、授乳などのことを考えると、保健室も避難者が使ってはいけない場所となります。また、水が止まっているようであればとりあえずトイレも使用禁止にしておかないと、水を持ってきた頃には汚物で溢れて大惨事になっているかもしれません。

テープで出入口を閉鎖したトイレ
水が止まったら、とりあえず最初にトイレを閉鎖しないと汚物で大惨事となります

 次に、避難所運営のための本部の位置を確保します。
 大規模になればなるほど、ここがちゃんと確保されていないと、あとで揉めることになってしまいます。
 また、駐車場となる場所では、仮設トイレや給水支援などが受け入れられる場所を確保しておく必要があります。
 忘れがちですが、ゴミ置き場についても臭いが避難所に入りにくく、収集のしやすい場所というのを考えておかなくてはなりません。
 こうして考えていくと、避難所の設営準備というのは災害発生時では無く、平常時に決めておかなければいけないということが分かると思います。
 もちろん、実際の災害時には決めたように動かないかもしれませんが、少なくとも「使えない・使っては行けない場所」をあらかじめ決めておくだけで避難者の誘導がずいぶんとやりやすくなります。
 逆に考えれば「使えない・使っては行けない場所」以外は使えるわけですから、最悪、あらかじめ決めておいた場所以外全ての場所に避難者を入れることが可能になります。
 理想としては避難所として設定したエリアで収まるのが一番ですが、避難所が必要になってくる災害では、殆どの場合総定数を上回る避難者が来るものです。
 避難所開設を訓練するときには、そういった考え方を取り入れて行うとよいのではないかと思います。

復旧のための権限をどうするか?

 行政機関は基本的に災害時におきたさまざまなことについて、自分のところで管理監督しようとします。
 ですが、実際のところは時間が経過するごとに対応事項が加速度的に増えていきますので、そのうちに破綻して何も指示ができなくなり、結果的に地域の復旧が遅れて地域の崩壊も進むことになってしまいます。
 ではどうすればいいのか?
 復旧のための権限を、それに対応できるところにあらかじめ任せておくという方法は採れないでしょうか?

 例えば、災害後の道路開削の権限を地域の建設業者に任せてしまうのはどうでしょうか?
 災害時に優先して開削する道路を指定しておき、もし道路に何かあれば行政の判断をまたずに開削作業を行うようにしておくのです。
 当然その必要性や妥当性については検証しなくてはいけないでしょうが、災害が起きたときに、指示を仰げなくなった場合でも予めの指示で開削作業を進めることが可能であれば、復旧支援がその分早く進められることになります。
 また、避難所の開設についても行政からの指示ではなく、地元自治会や地元の自主防災組織に委ねておけば、いちいち連絡したり人員派遣をしなくてもすみます。
 平時には集中している権限を、災害時にはそれぞれに任せてしまうことで、素早い対応が可能になるのではないでしょうか。
 行政は災害時には全体的な情報収集に特化し、落ち着いてからは予算措置と復興、災害の検証に力を入れればよいので、そこまでの無理が生じないと考えます。
 災害時に頼りになる自衛隊はどこで何をしてもらうのかについて細かい指示が必要になるとは思いますが、できる限り対応作業を自動化することで、少ない人数でもパニックにならないようにしておくことが、これからの行政には必要なことではないのかなと考えます。
 さまざまな組織といろいろな形で協定を結んでいますが、その協定を元にして具体的にいつ何をしてもらうのかについても、自立的に動いてもらえるように約束をしておくことが重要かなと思います。

蚊の対策を考える

 災害が発生すると、自宅避難しているにしても、避難所に避難するにしても蚊との戦いが待っています。
 電源が復旧するまではエアコンや扇風機は使えませんから、昼夜問わず扉や窓を開けて風を通すことになりますが、網戸なしで開放してしまうと、そこから蚊が大挙してやってきて、避難者のそこかしこを刺して血を吸っていきます。
 すると、刺された場所を手で掻くことにより、刺された場所が化膿してしまったり、日本脳炎などの病気をもらってしまうことにもなりかねません。
 網戸があればよいのですが、大規模な避難所になるような施設の場合、空調に頼ることが多いため網戸がないことが大半です。そのため、出入り口以外の開口部には網戸用の網をガムテープなどで貼り付けておく必要があります。
 また、蚊を寄せ付けないという点からみると、蚊取り線香なども備え付けておかないといけないかもしれません。
 最近では、「ワンプッシュで1日蚊が来ない」「ワンプッシュで二週間は大丈夫」などというような製品も出ていますが、これらの製品は噴霧した周囲のものに付着して蚊を撃退するという構造になっているそうなので、モノがあまりなく広い出入り口のような場所だと効果があるのかどうかは正直分かりません。

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感想(2件)

 キンチョールなどの殺虫剤もありますが、不特定多数の方が寝起きする場所で噴きまくるのは衛生環境上好ましくない状態を生み出してしまいます。
 対策としては、出入り口に誘虫灯を設置して電撃で焼き殺して侵入を防ぐか、出入り口にも網戸などをつけて開放しないといった複数の対策を考えておかないといけないでしょう。
 また、蚊を発生させないという対策も有効に働きそうです。
 例えば避難所周辺の蚊が沸きそうな場所の水を全て無くしてしまう方法や、避難所周辺の藪があれば全て刈ってしまえば、蚊の発生量は格段に押さえることができます。
 もちろん、非常用持ち出し袋の中には虫除けや、刺されたときに備えてかゆみ止めや虫刺されに効く薬を入れておくことも重要です。
 いずれにしても、自宅または避難する予定先の環境を確認し、蚊の発生しそうな場所や潜んでいそうな場所を確認し。対策しておくことはかなり大事なのでは無いかと思います。

家族の集合方法を確認しておこう

 災害というのはいつ何が起きるかわかりませんので、それに対する備えはしておかなくてはなりません。
 今回は家族がバラバラなときに被災した場合どうするかについて考えてみたいと思います。
 考えてみれば、いつも家族が一緒にいるわけではありません。避難訓練の時はみんな一緒でも、通常は仕事や学校、買い物やお出かけなどでそれぞれがバラバラな行動をとっていることが非常に多いのではないでしょうか。
 そんなときに災害が起きたら、あなたはどんな風に家族と合流しますか?
 まず、一番に自分が生存していることを家族に知っておいてもらわないといけません。
 以前に少し触れましたが、携帯電話や公衆電話などの通信手段がある場合には災害時伝言ダイヤルの171番に自分の生存報告とどこへ避難するかを吹き込んでおくようにします。
 また、音声回線がうまく繋がらない場合には、web171や携帯電話のキャリアが提供する災害時伝言板にメモを残すようにします。いずれにしても、鍵となる番号をあらかじめ決めておかないとメモやメッセージがうまく家族で共有できないことになりますのであらかじめ決めておいてください。また、LINE等のSNSも有効ではありますが、その場合には不急なメッセージのやりとりは事態が落ち着いてからにしてください。
 次に連絡がつかなかったり、通信手段がない、もしくは失った場合に備えて、自宅のどこかに生存報告とどこに避難しているという貼り紙を貼るようにします。
 空き巣などの不埒ものに備えて、玄関などの見える場所ではなく、家族でないとわからないような場所を決めておきましょう。
 最後は、連絡がつかない、書き置きもできないような状況が起きた場合に備えて、集合場所と時間を決め、無事な場合にはそこにその時間こら一時間待つというルールを作ります。
 こうすれば、通信手段を失い、家が跡形もなくなっていたとしても、その時間に集合場所にいけば家族がいるかもしれないという希望を作り出すことができます。
 約束した時間以外は好きなように動けるので、例えば 避難所巡りをしたり、病院巡りをしたりといった行動を気兼ねなくすることもできます。
 いくら手段があっても困るものではありませんから、どのようにするのかを家族しっかりと話し合って、災害にあったときでも素早く会えるようにしておけるとよいですね。

トイレと水と体温維持

 災害が起きて困るのは、最初がトイレ、そして渇きであり、体温を維持するための何らかの仕掛けも必要です。
 困る順番はいろいろ変わりますが、最初にトイレをあげてみます。トイレについては、くみ取り式以外は停電時には使えないですから、大量の人が避難してくる避難所だと、自分で使う携帯トイレは必須の道具です。
 大小兼用のものを持ち歩ければ一番よいのですが、せめて小用だけでも数回分は準備しておきたいですよね。

用途にあわせていろいろな携帯トイレがある。百円均一店でも扱っているので、少なくとも複数個は携行しておきたい。

 そして、トイレが収まると次は喉の渇き対策です。正直なところ被災時に一番大変なのは「飲料に適した水の入手」だと考えています。
 日本は安全な飲料水を意識することなく手に入れることのできる世界でも珍しい国ですが、災害が起きると安全な飲料水を手に入れるのが至難の業となります。
 張り巡らされた水道設備は損壊して止まり、コンビニやスーパーなどで手に入れられる水はあっという間に売り切れ、酒やコーヒー、ジュース類では喉の渇きは収まらず、という困ったことが発生します。
 そうなったとき、あなたならどのようにして安全な飲用水を手に入れますか?
 浄水器を使うのも手ですし、簡易濾過器を作ったり蒸留装置を作るのもありですが、いずれにしてもかなりの労力が必要ですし、できあがった水の安全性が完全に担保はされていないのが実際です。
 いろいろ試行錯誤はしてみるのですが、結局のところ数日分の飲料水はペットボトルなどであらかじめ準備しておいた方が安全で早いなと考えています。
 もちろん、清浄な井戸やわき水で災害後でも安定したきれいな水を手に入れられるようなところなら、そんな準備は不用かもしれません。
 ただ、出かけている先や仕事中に被災したときにどうすればいいのかを考えると、普段持ち歩く鞄にちょっとした水筒やペットボトルを忍ばせておいた方が安心です。

お水のペットボトルはなぜか容器が弱いものが多いので注意。
気をつけないと、カバンの中でべこべこになる。

 水は重たいですから大量に持ち歩くことも難しいですので、200ml~250mlくらいで充分。渇きを凌げればよいのです。
 防災セットによっては、15mlくらいのちょっとした水をレトルト加工した小さな袋に詰めてあるものもありますが飲んだ気がしないという難点もあります。
 普通の水のペットボトルで構わないと思いますが、余裕があれば毎日詰め替えることで水道水でも問題なくできます。
 また、地震を除く災害では大抵の場合準備するための時間が確保できます。その間にポリタンクや鍋、風呂桶などに清潔な水を貯めておくという方法も採れそうです。
子どもや高齢者のいるおうちでは、特にしっかりとした準備をしておく必要があります。
 1人一日3リットル。ここまでは難しいかもしれませんが、せめて喉の渇きを癒やせるくらいの水は普段から身につけておきたいものですね。
 最後に体温維持。これはとにかく濡れないことです。できれば薄手でいいので着替えがあると、濡れたままでいるよりは遙かにましですし、重ね着すれば寒さ対策にもなりますのでいいと思います。
 また、フェイスタオルかバスタオルが一枚あると汗や体についた水気の拭き取り、肩にかけて気休めの防寒などにも使えますので準備しておくといいでしょう。
 そして風に当たらないこと。暑いときには風で涼を取りたくなるものですが、汗をかいた状態で風に吹かれると必要以上に体温が下がってしまい、低体温症になる危険性があります。
 以上、いろいろと書きましたが、普段から持って歩くものとして
1.携帯用トイレ数個
2.飲料水
3.着替え、タオル
を意識しておくと、いざというときにあなたの身を助けてくれますよ。