あなたがお住まいのところや通勤、通学をしている先、遊びにいくところなど、ある程度の高層階になるとエレベーターやエスカレーターがあり、多くの人はそれを利用すると思うのですが、それらの施設の階段の位置を、自信をもってわかりますと言える方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
また、行き先が階段しか無い施設だとして、いざというときに普段使っている階段以外の階段がどこにあってどこに通じているのかをきちんと把握していますか。
災害時に避難で使うのは基本的に階段になりますが、階段の場所を知っていないと途方に暮れることになります。よくあるのが、商業施設や病院などで職員以外は全てエレベーターやエスカレーターしか使えないようになっているもの。非常灯の誘導に従えばちゃんと非常階段にたどり着けるようにはなっているはずですが、普段から階段を意識していないと、エレベーターだけの施設だと閉じ込められたと感じるでしょうし、止まっているエスカレーターに人が押し寄せると、群衆雪崩や、最悪の場合エスカレーターが外れて落下することも考えられます。
よくいくところ、よく使う施設であるなら、たまにでいいので階段の位置や、できれば階段を使って移動してみてください。そうすると、いざというときに階段で逃げるという選択肢が思い浮かぶと思います。
人の心理として、非常時になるほど知っているところを使おうとするものです。よほど場数を踏んでいるか、冷静な方でも無い限り、混乱している中で使ったことの無い非常階段を使おうとは思わないのではないでしょうか。また、階段しか移動手段のない施設の場合、普段自分が使わない階段を意識して使うようにしてください。そうすることで、混乱の中でも自分の持つ選択肢が増えて助かる確率が上がります。
そうでなくても、地震発生時にはエレベーターでは閉じ込められる可能性が、エスカレーターでは緊急停止による将棋倒しが起きる可能性が高いです。
よく「健康と省エネのために階段を利用しよう」と言われますが、いざというときに自分の身を守るためにも、普段から階段の位置を意識して、できれば使っていきたいですね。
カテゴリー: 学校
扉の前にものを置かない
火災などで防火シャッターが降りた後、逃げ遅れた人や消火活動をする人のために非常用扉がもうけられています。「扉の前にものを置かない」というのは消防法でも決められていることなのですが、過去にはこの非常用扉の可動範囲にものがあって扉を動かすことができず惨事を招いた火災がたくさんあった結果です。
防災上も、扉の周囲にものを置かないというのは鉄則なのですが、職場ではともかく、家の中では意外とそれに気づいていない人が多いことに驚かされることがあります。家庭で押したり引いたりして開けるタイプの扉では、その可動範囲及びその周辺に倒れたり崩れたりして扉の開閉を妨げるようなものは絶対に置いてはいけません。引き戸であっても、引き戸にもたれてしまうようなものを周囲においてはいけません。
「扉の前にものを置かない」と聞くと、扉の前にものがなければいいのかと考えてしまいがちですが、扉の開閉を邪魔しないために行う作業ですからそこを意識してものの配置をしないといけないでしょう。扉の開閉はもちろんですが、扉の周囲にものがないことで、足下の安全がしっかりと確保されます。そうすると、扉を超えても足下の心配をしなくていいわけで避難の速度が上がることは間違いありません。職場では、普通の扉と非常扉を、家庭では部屋や廊下を行き来する扉や玄関を、それぞれチェックしてみてください。もしもそこに何か置いてあったとしたら、すぐに撤去して出入りをふさぐことのないようにしておいてくださいね。
ちなみに、上記の写真はとあるオフィスの非常扉です。
扉の可動域は確保されており、通り道も取られているのですが、折りたたみ式コンテナが大量に積まれていたり、台車が何台かまとめて置かれています。 地震や水害では、こういったものが崩れたり流されたりして扉の開閉を邪魔してしまうことが起きますので、少なくとも扉を構成しているポケット部分には何も置かないようにしたほうが安全です。
「扉の前にものを置かない」だけでなく、「なぜ置いてはいけないのか」まで考えてもらえるといいなと思います。
経路のチェックと籠城計画
あなたは普段自分が使っている通学路や通勤路が水没しそうな場所についてチェックしていますか。特にアンダーパスや低い土地を通る人は要注意です。最近の雨は短時間に集中して降ってくるため、側溝などの排水能力を超えて水没することが増えています。そのため、例えば避難勧告が出て学校や職場が閉鎖となり、家に帰ることになった時、気がついたら周辺が完全に水没して動きが取れなくなってしまうと言うことが起きることになります。
本来なら、災害が発生する前に、例えば大雨特別警報が出たらそのまま学校や職場にいるのと、そこから家に帰ることのどちらが安全なのかをきちんと分析しておく必要があるのですが、現在は「災害=帰宅」となっていることが多く、当然学校も職場もそこで籠城するための準備も設備もありません。避難所に指定されているところでさえ、資材は備蓄基地から発災後に運んでくると言うような計画になっていて、そこには空間しかないという場合がほとんどです。災害が発生すると帰宅できなくなる事態が発生することも想定して、それぞれがある程度の備えをしておくことが必要ではないでしょうか。
お互いがどこで安全を確保しているのかがわかれば、心配することもありませんし危険な中をお迎えに急ぐ必要もありません。
これは学校や職場に限らず、例えばディサービスなどでも同じことで、そこにいるときに災害が発生した場合どうするのかについて、しっかりと取り決めておくことです。災害は待ってくれません。特に人を預かる場所については、しっかりとした取り決めをして、関係者に周知徹底しておく必要があると思います。
「やさしい日本語」はみんなにわかりやすい
最近の災害報道では、以前のように難しい言葉や字幕を使わないことが増えています。特に危険が迫っているときには「今何が起きているのか?」と「どうすればいいのか」だけ伝われば行動にはうつしてもらえます。それが目的です。また、文字が読めない人もいますので、アナウンサーがやはり同じ条件で、普段と異なり少しだけ感情を込めて「高いところへ逃げてください」などと具体的かつわかりやすく伝えています。
では災害後はどうかというと、行政から発信される情報は、残念ながら難しい言い回しでかかれていることが殆どで、日本語の理解が十分でない人には非常にわかりにくいものになっています。
そのため、災害後には行政が発表する各種情報を「やさしい日本語」に置き換えて誰もが言いたいことがわかる作業をするボランティアが必要となってきます。
特に外国から働きに来ている人は普段の生活で使っている日本語くらいしかわかりませんので、どうやって伝えるかを試行錯誤して文章にしていくことになります。ただ、行政の出す情報はとにかく量が多い上に提供から支援開始までの時間が非常に短いという問題があり、ボランティアもやさしい日本語にする書類を選んで訳している状態です。でも、普通に書かれた行政からのお知らせをわかりやすい日本語に直すことは、日本語の知識のある人であれば基本的には誰でもできると思います。小さなニュアンスの違いは発生するとしても基本的な情報が伝わるか伝わらないかは、その後の行動に大きく差が出てきますから、快適な生活をするためにもその場にいる人たちがその処理ができるといいなぁと考えます。
やさしい日本語は、いかに短いフレーズでいかに簡単にわかりやすく伝えるかを目的にしていますので、例えば避難所などではお年寄りと子どもが一緒になってこういう翻訳作業をすれば、言い回しや書き方など、ちょうどいい頭の体操になるのではないでしょうか。
また、やさしい日本語は文字も大きく書くため、老眼にもやさしく、年寄りにも読み取れる程度の情報量です。
誰にとってもメリットのある「やさしい日本語」。
いざというときに備えて、日頃見ている文章を「やさしい日本語」にするとどういうフレーズになるのかを考えてみるのも面白いのではないでしょうか。
島根国際センター発行の「やさしい日本語」のテキストをリンクしておきますので、興味のある方は是非ご一読ください。
避難所の開設と運営責任は誰にある?
災害における避難所は、それなりの人を収容できるそれなりの大きさの施設と言うことになります。例えば小学校などの学校、ショッピングセンター、工場、体育館などで、そこには普段から管理している人がいて、災害とは何の関係もない業務をしている場合が殆どだと思います。
で、いざ災害が起きる、または起きそうになると避難所が開設されるわけですが、その避難所の責任者は誰になるのか、考えたことがありますか。
民間施設、公的施設とも、実は案外とはっきり決められていないのです。
小さな地区公民館の場合、開設・運営ともに地元自治会で問題ないと思いますが、複数の地区をまとめるような大きな公民館の場合には誰が責任者なのでしょうか? 体育館や文化ホールなど、施設管理を外注しているような公的施設は誰が開設・運営の責任者なのでしょう???
ほぼ必ず避難所に指定されている小学校や中学校、高校と言った学校施設では、そこの先生方はまず最初に自分たちの教え子を守る義務があり、避難所の開設や運営をする義務はありません。
防災計画上は自治体職員が派遣されるようになっているはずですが、送り込まれてくる職員は避難所運営はおろか防災について知識のないことがほとんどで、へたすると足を引っ張るレベルの人が多いです。
避難所が運営されていくうちにはだんだんと秩序ができてそれなりの形ができていきますが、開設当初、誰にするのか決まっていないことがほとんどなので、施設管理者が権限を持たないままに開設や運営をする羽目になり、抜けられなくなってかなりもめることになります。
避難訓練や避難所運営訓練ではちゃんと責任者を設定して粛々と訓練を進めていくのですが、本番に備えて、施設管理者と避難所運営者がうまく噛み合って施設を回せるようになっているでしょうか。
東日本大震災で多くの児童や教員が亡くなった大川小学校では、大川小学校が地域の避難所に指定されていたそうで、避難所の設置と開設を巡って教員と自治会役員との間で揉めていたという証言がある(書籍「釜石の奇跡」による)そうですが、避難所が小学校だから「小学校が避難所を開設しろ、逃げるな」というようなことで無駄な時間を過ごしたのではないでしょうか。
避難所に指定された学校の管理者が避難所開設をすることはやむを得ないのかもしれませんが、学校においてもっとも優先すべきは子どもたちの命であり、避難所の運営ではないはずです。ひどい言い方になりますが避難すべき場所を貸してるだけなのですから、最悪立ち入って欲しくない場所だけ鍵をかけてこどもをつれて別な場所に避難してもよいわけです。その後に避難所が津波で洗われようと水の中に水没しようと、それは避難所に指定したり避難所を開設したりした者に責任がある話であって、施設の管理者が責任を負う話ではありません。
あなたのいる地域の避難所では、避難所開設と運営の責任者ははっきりしていますか。他に守るべき命をあずかる仕事をしている人に押しつけようとしていませんか。あちこちの防災計画を読んでみても、この部分が明確化されているものはまだお目にかかったことがありません。避難所としてさまざまな施設を指定するのであれば、避難所開設と運営のルールについてもきちんと取り決めておく必要があると思います。
あなたがもしこういったことを考えたり決めたり助言したり実行する立場にあるのなら、平時にここだけはきちんと決めておいてください。そうすることによって避難所の開設や運営が明確になり、誰もが仕事のしやすい状況を作り出すことができると思います。
防災面から見たインフルエンザ予防接種
インフルエンザの流行期に入ったというニュース(リンク先:NHKニュース)を聞きました。去年よりもちょっと早いかなと言う感じですが、あなたは予防接種は済ませていますか。いろいろ言われている予防接種ですが、しないよりはしておいた方がいいのは確実なので、ワクチンがあるうちに摂取することをお勧めします。
インフルエンザに限らず、人から人へうつる感染症は予防接種のできるものはできるだけやっておいた方が安心です。副作用の問題があるのは確かなのですが、災害後に地域の医療体制が崩壊している中で感染症にかかったときの悲惨さは想像したくないですから、副作用よりは万が一の安心を取りたいと考えます。
さまざまな災害で避難所が開設されるとさまざまな人がそこへ避難してきます。たくさんの人が狭い衛生的とは言えない環境の中で一緒に過ごすのですから、一人がひどい感染症にかかるとあっという間に避難所全体が汚染されてしまうことはご理解いただけると思います。
平時にそれなりに衛生的な環境であっても学校や職場ではやるのがインフルエンザ。もしかかると、薬の投与と充分な栄養と睡眠が必要なのですが、被災した地域の避難所で、それがきちんと確保できるでしょうか。過去にインフルエンザが流行した避難所では、感染した人を別室に隔離したそうですが、隔離されるとろくな看病もしてもらえず、食べ物やトイレにも事欠く状態になってしまいます。
インフルエンザについては厚生労働省のホームページ「インフルエンザQ&A」に詳しい説明が載っていますのでここで細かいことは書きませんが、人との接触が避けられない場所である以上、感染しても体の免疫で防げるようにしておくことがとても大切なことになります。
これから来年春までの間インフルエンザの流行は続くのではないかと思いますし、予防接種したからインフルエンザにかからないというものでもないのですが、自分が感染源にならないためにできる手立ての一つとして予防接種をするようにしてください。
ちなみにワクチンは接種から4~6週間でもっとも免疫力が増すと言われていますので、今から摂取すると年末には効果がしっかりと出ていることになります。
何事もないことが一番いいのですが、万が一に備えた準備をしておくことをお勧めします。
訓練はうそをつかない
以前に子どもの絵本を読んでいたとき、東京消防庁の標語の一つとして「訓練はうそをつかない」という言葉があることを知りました。
そのとき「なるほどな」と思ったのですが、経験していないことや想定していないことをいきなりやれと言われても、なかなかできるものではありません。
でも、さまざまな想定を考えてそれに対処する方法を決め確実にできるための訓練をしていれば、いざというときでも想定したことが起きるだけなので、慌てず粛々と対応をすることが可能です。
最近はさまざまな単位で防災訓練が行われていますが、お仕着せの訓練ではなく、地域でしっかりとした防災計画を持ち意識を持った防災訓練をおこなっているところは、さまざまな被害が出るとしても人的被害は限りなく0に近い数値になっている気がしています。
訓練参加者がどこまで真剣に考えているかという問題はありますが、少なくとも参加することで流れを知り覚えることはできます。安全な避難先まで時間がどれ位かかって、途中どんな障害があってどういった対応をすればいいのかといったことは現地を知らなければ考えることはできませんが、訓練に参加することで問題点を理解しやすくなり、対応も考えやすくなります。そして訓練の時にさまざまなことを考えて修正を加えていくことで、災害本番の時の生存確率はどんどん上げることができます。
「訓練はうそをつかない」
お散歩に出る前に最寄りの避難所を調べ、避難経路を作り、天気のいい日にお散歩の一環として一度歩いてみる。これは立派な避難訓練です。できれば複数の避難所まで歩いて、かかる時間や問題点を知っておくだけでも全然違います。
一人でも家族でも友人とでも地域でも、簡単なものでよいので防災訓練を習慣化しておくことをお勧めします。
【活動報告】避難訓練を見学させていただきました【益田市立高津小学校】
10月23日に益田市立高津小学校で実施されました避難訓練を見学させていただきました。
この避難訓練は毎年されているそうですが、去年から定型通りのものではなく、実際に災害が起きて避難したらどうなるかということで、想定に基づいて避難先まで避難する訓練をされているそうです。
今回の想定は地震から津波が発生、4分以内に屋上へ避難という設定で、実際に屋上まで想定時間内に避難が可能かどうかを確認されていました。
生徒たちの動きはかなり素早く、段取りよく避難がなされていましたが、狭い廊下で人が合流する場所ではどちらが優先になるのかを迷ったり、各所の点検で未確認の場所があったりと、予定調和ではない訓練なのでさまざまな小さな問題が起きていました。
これらの問題を解決することで、より確実に避難できる、安全確保をすることができる方向に進んでいくとよいなと思います。
人間はやったことしかできないし、知っているだけでは実際には動けないものです。本気で実施する訓練は駄目出しの繰り返しですので、どんなに回数を重ねても完璧ということはありません。 難しい想定はいらないと思いますが、誰もが何か起きたとき、無駄のない動きと判断を行えるようになるといいなと思います。
お忙しい中、見学について快諾いただきました益田市立高津小学校の大橋校長先生、担当の岩田先生始め各先生方と生徒の皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。
避難するときには周りを気にしない
「正常性バイアス」という言葉があります。
異常を感じたとき、その異常を無視して現状は問題ないと判断してしまう人の心理状態のことですが、自分の命を守るという点では、異常を感じる部分にこそ注意を向ける必要があります。
正常性バイアスの大きな問題点は、周辺の人の行動を観察し、自分の判断の裏付けにしてしまうことで、周囲の人も同じ反応をしているため、結果として異常が無視されてしまうと言う不思議なことが起こってしまいます。
正常性バイアスの話では、よく大邱地下鉄火災が例としてあげられますが、ここで起きた悲劇の原因がまさにこのお互いの様子を窺い合って誰も動かなかったことにあるからです。
詳しい内容はウィキペディアにゆずりますが、このようなことが、災害時にはわりと日常的に起こります。
パニックが発生するのも同じ原理で、閉鎖的な空間で煙を感じたとき、「火事だ!」というかけ声と誰かが非常口の一つに走り出すと、つられてその場にいた人たちも他の非常口を無視して誰かが向かった非常口に押し寄せる現象が発生します。これは逃げることが周囲への同調となるので、行動してしまうことになるのです。
上手に使えば、「釜石の奇跡」といわれる釜石鵜住居地区で東日本大震災のときに実際にあった大規模な避難のように避難するきっかけとすることも可能です。
ともあれ、「災害時には避難する」と決めていても、「どのタイミングで」というトリガーが決まっていないと、つい周辺の状況を見てしまいます。その結果として、避難できたはずの大規模災害で被災地に取り残されてしまった人がでてしまうわけですから、「どのタイミングか」を決めておくことは非常に大切なことだと言うことがご理解いただけるのではないでしょうか。
あらかじめ「いつ」「どのタイミングで」「どこへ」「どうやって」避難するのか、ということを起こりえる災害ごとに想定しておけば、いざというときに周りを気にせずに避難が開始できます。
素早い避難は、周囲からあれこれ言われてしまうこともあるかもしれません。また、馬鹿にされるようなこともあるかもしれません。ですが、自分の命を守ることが目的であって、他人の視線を気にする必要はまったくないのです。笑いたい人は笑わせておけばいい。いざというときに何かあったら、その時に笑うのはあなたなのですから。
【活動報告】防災マップの調査報告を小学校に行いました
夏休み企画として8月に「防災マップ作り」を実施したところですが、本日、その内容について高津小学校様に調査報告をさせていただきました。
今回の防災マップは地震と、地震による津波が発生した場合、学校から最寄りの高台の避難所までどのように避難したら良いかということを調べたのですが、作成した地図を元に、子ども達の疑問や心配なことについて説明をし、先生方がそれらを問題点としてすでに認識されており、試行錯誤を続けられているというお話を伺うことができました。
去年、実際に避難所までの避難を行うということで、指定避難所である翔陽高校まで避難訓練を実施されたそうです。その結果、大きな道路の横断方法や長くなってしまう避難列の安全対策、学年ごとに異なる移動速度の問題、そしてどこへ避難するのが安全なのかということについてお話を伺い、こちらからも提案できることやよその事例などのご紹介をさせていただきました。
学校の避難訓練はどうしても定型化しやすいとのことですが、定型化していてもそこから学べることはあります。やらないよりはやったほうがずっといいですし、同じやるのであれば、現在高津小学校様が挑戦されているような、より実態に即した方法を試してみるのはとてもいいことだと思います。
よくあることなのですが、訓練をするときには「地震発生→机の下」というような定型的な行動を指示しがちです。でも、その行動にはきちんとした意味が存在します。訓練時には定型的な行動ではなく、「どこを守るためになぜその行動をとるのか」ということについて、子ども達に説明していただき、例えば机が無くても頭や体を守る方法を考えてもらえるようにしたほうがいいというお話をしました。
(「地震の時は机の下に隠れましょう」という定型的訓練が続くとどうなるのかを実験した映像がこちら)
学校の先生方は一生懸命やっておられるのですが、いかんせんお忙しいのと、なかなか専門的な知識の必要な防災まで手が回らないという実態があります。
地元にいる防災士の一人として、お手伝いできることを積極的にさせていただき、いざというときに犠牲者が出ないような方向に持っていければなと思っています。
お忙しい中、調査報告を真剣に聞いていただいた高津小学校の先生方に感謝いたします。