熱中症対策をしておこう

経口補水液やスポーツドリンクは熱中症対策に重要。でも、飲み過ぎ注意!

 暑くなったり寒くなったり忙しい天気ですが、どうやらだんだん暑くなってきているのは確かなようです。
 寒かったものが徐々に暑くなっていくのであれば、身体が馴化していくので大きな問題にはならないのですが、寒かったところがいきなり暑くなると、身体がついていけなくなります。
 それだけならいいのですが、温度変化に適応できないと熱中症になる危険性があるので注意することが必要です。
 炎天下に日差しの下に長い時間いないことや、水分補給、休憩をきちんととること、そして何よりも無理しないことが大切になってきます。
 ある程度馴化すると、身体が楽になるのですが、それまでは行動するときには時間に余裕を持たせることや睡眠不足を防ぐこと、飲料水を常に持ち歩くこと、そして万が一に備えて経口補水液や冷却剤を用意することを忘れないようにしたいものです。
 体温調整がきかなくなって身体がオーバーヒートしてしまうのが熱中症です。事前の予想である熱中症警戒アラートも以前にご紹介していますので、そちらも参考にして、できる限りの備えを持っておいてくださいね。

災害で起きる問題と事業継続化計画(BCP)

 災害時に備えて事業継続化計画(BCP)を作る理由はいろいろとありますが、その大きな目的の一つに「発生する問題を可能な限り早く解決する」ことがあります。
 問題というのは、発生したのに無視し続けると、多くの場合は問題が問題を生んでしまって収拾がつかなくなります。
 特に災害などの緊急時においては、一つの問題放置が後々大問題になることもありますから、できる限り一つの問題のときに対応して処置しておかなければなりません。
 災害時に発生する問題は多岐に及ぶので、どんなにBCPを作っても100%問題は起きないと言い切ることは無理ですが、過去のさまざまな災害から、災害が発生したときに自分たちが対応すべき問題は何かと言うことはある程度予測が可能です。
 予測した問題には予め解決方法が考えられているわけですから、それに従って手順を踏めば、基本的には対応者が誰であれ解決できるはずです。
 BCPの手順書は、そういった目線で作成する必要がありますので、「わかりやすく」「明確に」を考えて作成してください。
 そして、BCPがあれば、その場の指揮官は突発的に起きる事態に対応を専念させることができます。その結果、さまざまな問題が小さいうちに終息できて、復旧や復興が予定通り、または予定以上に早く完了できることになり、そのために作成するものです。 BCPを作っておくことは、今ある戦力でどれだけのことができるのか、そして何を優先して対応するのかを明確化することと、問題対応の手順を予め定めておくことです。
 現状を維持する方法ではなく、何から優先して対応すべきなのかを常に頭に置きながら作成するようにしてください。

通勤・通学経路を確認しよう

 家の安全についての検討が終わったら、次は家と職場を結ぶ通勤・通学路を確認してみましょう。
 普段意識することのない高低差や建物からの落下物の可能性、陥没や倒壊など、災害というフィルターを通すと普段と違った風景になってくると思います。
 特に車での通勤・通学をしている場合にはアンダーパスに気をつけてください。
 アンダーパスは、大雨時には周囲から雨水が流れ込んで大きな池になってしまうことがあり、意識せずに普段どおりに運転していると水没したアンダーパスに突っ込んでしまうケースが非常によく起きています。
 短時間で大量の雨が降る場合には、管理者の通行止めの措置が間に合わない場合もよくありますから、通勤経路を見直すときにそういった場所は外すようにするか、または大雨時には必ず迂回するということを常に忘れずに考えるようにしておいてください。
 他にも、風が吹いたら飛んだり落下しそうな屋根や看板、増水時に落ちてしまうかもしれないマンホールや側溝、地震時に倒壊しそうな塀や建物など、どういった経路にすれば一番自分が安全に移動できるかを考えてみましょう。
 小学校などでは通学路が決められていることも多いのですが、筆者の知る限り交通事故対策は考えていても防犯や防災の視点は取り入れられていません。

子どもによる通学路の安全点検の一コマ。

 そのため、子どもがいる場合には一緒に通学路を点検しておく必要もあるでしょう。 おうちの防災計画では、家から避難所までの安全な避難路を検討することがあると思いますが、普段使っている道の危険を知って安全対策をしておくことはとても大切なことです。
 災害対策は普段の生活の中にあるものですから、何かを考えるときには災害対策の視点を加えてみてほしいと思います。

【お知らせ】熱中症警戒アラートの運用が開始されました

 寒暖の差が激しいですが、日中のもっとも温度が高いときは25度を超えるような状況も出てきています。
 ここ数年、熱中症にかからないように暑くなりそうだと予測されるときには「高温注意情報」が気象庁から発令されていましたが、今年は環境省と気象庁が一緒になって「熱中症警戒アラート」というものを全国を対象に運用することになりました。
 気温や湿度、日差しの強さなどの予想から熱中症の危険度を示す数値である「暑さ指数」が33以上になると判断された場合、前日17時と当日5時に熱中症警戒アラートを発表。テレビ、ラジオや防災行政無線、両省庁の公式ホームページ、登録メールなどで住民に伝えるそうです。
 期間は10月27日5時まで。都府県単位の発表が基本となるそうですが、一部では複数の地域にわけての発表となるようです。
 この熱中症警戒アラート、2020年度は関東地方で試行していたそうですが、今回それを全国に広げての運用になりました。 
 詳しくは環境省のウェブサイトをご覧下さい。
 また、登録をすると個人のメールアドレスにも熱中症警戒アラートの予報が送られてくるようになっています。
 こちらも令和3年4月28日から運用開始で、詳細は同じく環境省のウェブサイトをご確認ください。
 これから暑い季節がまたやってきます。
 熱中症対策の一つとして、参考になるのではないかと思いご紹介しておきます。

熱中症予防情報サイト(環境省のウェブサイトへ移動します)

初期消火と消火器

 大規模な火災があちこちで起きています。
 被災された方にお見舞い申し上げるとともに、いち早い生活の再建ができることを願っております。
 ところで、あなたの家には消火器が準備されていますか。
 また、その消火器はきちんと管理されていますか。
 そして、その消火器を正しく使うことができますか。
 大きな被害を与える大規模火災も、最初から大規模なわけではありません。
 最初はみんな小さな火で、それがさまざまな要因によって大きくなり、あちこちに類焼して大規模火災となります。
 つまり、小さな火のうちに消火することができるのであれば、大規模火災にはならないということで、消火器はそのための重要なアイテムとなります。
 消火器の使い方については以前触れたことがありますが、最近の家庭用消火器は能力が上がっていますので、使い方さえ間違いなければ、ある程度までの火ならば消すことが可能な能力も持っています。
 ただ、気をつけておかないといけないのは、使用期限が切れていること。
 家庭用消火器ではよくあることですが、高圧ガスを使って消化剤を噴霧する構造上、使用期限が切れた消火器は危険ですので、期限を見て更新をしていく必要があります。
 消火器の維持管理と使い方の習熟。
 これができれば大規模火災の発生を減らすことが可能です。
 また、あなたの周りで火災が起きたとき、周囲への延焼を防ぐことができるかもしれません。
 あくまでも消火器で消せるサイズの火ということになりますが、まずは家庭に消火器を備え付けることと、機会を見つけて消防署などが開催する消火訓練や防災センターで行われている消火訓練などで使い方の習熟を図って下さい。
 そうすることで、あなたの命も財産も、守れる確率があがります。
 地味なアイテムですが、ご家庭に最低一本、備えておくようにしたいですね。

普段使う道の安全点検

例えば、こういった道で地震に遭遇したとしたら、あなたならどうやって身を守りますか?

 新学期になり、入学式もあり、さまざまなところで生活環境が変わっている方も多いと思います。
 住むところや通勤・通学路が変わった方もいるのではないでしょうか。
 せっかくなので、散歩や周辺の調査も兼ねて、お住まいの地域や通勤・通学路の安全点検をしておくことをお勧めします。
 普段はあまり意識しない道路ですが、よく見ると同じ道路でも安全な場所危険な場所があることに気づくと思います。
 危険な場所は誰でも気づくと思いますが、身を寄せることのできる安全な場所は、点検のときでも案外と見落としていたりするものです。
 安全点検では、危険な場所、安全な場所、そして役に立ちそうなものを見つけて確認していきます。いざというときにいきなり安全な場所や役に立ちそうなものを見つけるのは難しいですから、最初にしっかりと調べておいて、いざというときに備えておきたいものです。
 また、もしお子様がいらっしゃるのであれば、ぜひ一緒に通学路の点検をしておいてください。そうすることで、安全や危険について同じ目線を持つことができます。
 災害が起きたとき、どこでどうやり過ごし、どこで合流するのか。
 常に大人の目があるとは限りませんし、周囲の大人が正しい判断をするとも限りません。
 どんなに小さくても、自分の判断で自分の命をしっかりと守れるように、しっかりと安全点検をしておいて欲しいと思います。

支援が必要な人を支援する方法

 災害対策基本法が改正され、その中に避難行動に支援が必要な者に対する支援計画の作成と福祉避難所の災害発生前からの開設についてが市町村の努力義務として明記されることが閣議決定されました。
 個別避難計画と仮称されていますが、避難行動に支援のいる人に対して、支援を行う人や避難先などの情報を記載した計画を作れということになっています。
 市町村、社会福祉協議会、自治会や民生委員、介護事業者等まで巻き込まないとこれらの計画を作ることができませんが、ここで問題になるのは「個人情報」という分厚い壁。各機関がよりよい連携を取るには、避難行動に支援のいる人の情報共有をかかすことができませんが、個人情報の保護が情報共有を阻害することになっています。
 いくら支援が必要だと周囲が判断しても、各機関はお互いが持っている情報を本人の許可なく開示できませんし、開示するにしても全て開示することは無理です。また、本人やご家族が情報開示そのものを拒否したり、市町村や介護事業者はいいが自治会に情報提供したくないといった情報開示の限定的拒否など、さまざま制限がつけられてしまうこともよくあります。ただ、個人情報がうまく共有できないと、そもそも避難計画の策定ができないのはなんとなくイメージできるのではないでしょうか。
 不完全な支援計画を策定しても、いざ災害のときにそれがうまくいかないと、支援が必要な人を支援する人や避難先が関係者から責められることになってしまいます。
 支援が必要な人は、自身が支援を必要とする情報を支援者に開示する義務があり、それが提供されて、初めてまともな個別避難計画(仮称)が策定できるのではないかと思っています。
 筆者は、正直なところ関係する人達に情報開示できない人を助ける義務はないと思っています。マンパワーは有限ですから、助けてくれと言っている人だけ個別避難計画(仮称)を策定して支援をおこなえばいいのです。
 全ての人を助けるのは理想ではありますが、自らの命を守るための努力、この場合は個人情報の開示になりますが、それを怠っている以上、助けない、助けてもらえないと言うことも選択肢として準備しておかないとうまく行かないと思っているのですが、あなたならどう考えますか。

災害基本法などの一部を改正する法律案が閣議決定されました(内閣府のサイトへ移動します)

防御姿勢とTPO

地震時の対応訓練の一コマ。子ども達に任せると、思い思いの防御姿勢を取っているのが面白い。

 地震時の防御姿勢として比較的普及しているのはダンゴムシのポーズだと思います。
 最近では「身を低く、頭を守って、動かない」というシェイクアウトなども広まってきているようですが、いずれにしても転倒防止のために姿勢を低くし、頭部を守るという防御姿勢は共通しています。
 ただ、どこでもこれでいいかというとそうでないところが悩ましいところです。
 以前にはとある学校で抜き打ちで地震情報を放送したら、安全なはずの校庭にいた子ども達が一斉に教室に戻って机の下に隠れたといった笑えない話もありました。
 日常生活で書くと、例えばコンビニエンスストアやスーパーなどでは、揺れたときにその場で防御姿勢をとると棚や頭上からいろいろなものが落ちてきて怪我をすることもあり得ます。
 対処法としてかごの中身を捨ててかぶれといった内容の記事を見ることもありますが、それならかごを置いて手近な開けた空間に移動する方が安全の確保がしやすいと思っています。
 ともあれ、身を守ることが一番大切なのですが、身を守るための防御姿勢はTPOによって変わるということを理解しておいてください。
 もしもあなたが訓練をするのであれば、さまざまな場所でどこだったら、どんな風にすれば安全かを考えながら訓練してください。
 また、あなたが訓練担当者なら、発生時間を教えないブラインド訓練をして、その場でどのような防御姿勢をとることができるかを考えてもらうようにしてください。
 いざというときには、訓練以上のことはできませんし、殆どの場合訓練以下のことしかできません。
 せっかく訓練するのであれば、訓練のための訓練ではなく、実際に身を守れるような訓練をすることをお勧めします。

区画整理と住所割

 まるで不動産業者か行政機関のようなタイトルですが、別に土地のことをいいたいわけではなく、避難所を開設する際に大切なことを書き出してみました。
 避難所から「一時」の文字が消えると、そこは避難先から避難者の生活空間に変わりますが、一時避難所の設営時に区画整理していないと、場所を多く取る人、すみっこでじっとしている人、入り口にたむろする人など、避難所の状態が雑然として後々苦労することになります。
 避難所内で避難者が使える場所、使えない場所、用途を指定して使う場所を分け、その上で通路を確保し、一軒あたりの床面積を決めます。避難所を設置する際には、文句を言われても一番最初のこの作業だけは手を抜かないで下さい。
 一番良いのは、予め決めておくことで、そうすればいざというときにはそれに従って行動するだけなので、避難者を待たせずに済みます。
 そして、避難者の生活が始まったら、早い段階で住所割を作ることをお勧めします。
 どこの区画に誰がいるという情報は、避難所運営をするためには結構重要となりますので、これらも早めに作るようにしましょう。
 もちろん、さまざまな理由から住所割に名前を載せないで欲しいというかたもいらっしゃると思いますので、そのあたりは配慮する必要がありますが、これを作っておくと、後に尋ね人があったときに回答がしやすくなります。
 公開する住所割りの地図には、マグネットなどで人がいるのかいないのかだけわかるようにしておくと、運営がしやすくなると思います。
 区画整理と住所割。避難所運営でもっとも重要なことですので、もしあなたが避難所運営に関係している人であれば、あらかじめ準備しておくことをお勧めします。

小さな子の避難で気をつけること

災害下で避難するときの格好の一つ。できるだけ肌は露出させないこと。

 地震などの災害では、自分の荷物を背負って歩ける年齢であれば自分で歩いてもらった方が安全に避難をすることができることが多いです。
 ただ、大人とは異なる危険がありますので、今日はそのことに少しだけ触れたいと思います。

1.粉じんを意識する

 地震後や水害後など、災害時や災害後には地面から1m程度はさまざまな粉じんが舞っている場合が多いです。
 地面を見るとうっすらとかすんだように見えることもありますが、小さな子はその中を自力で突っ切っていかなければなりません。
 その時、目や呼吸器に粉じんが入ると炎症を起こしたりさまざまな呼吸器や目の病気が発生することがあります。
 そのため、ゴーグルとマスクは必須アイテムだと考えて下さい。
 ゴーグルは水泳用、マスクも普通のもので構いません。なるべく粉じんに触れる時間や量を減らすことが目的です。
 また、粉じんを身体につけないために、避難中は夏場であってもポンチョのような雨具を着て肌の露出を防ぐようにするとかぶれたりせずにすみます。また、自転車用で良いのでヘルメットを被っておくとより安心です。
 非常用持ち出し袋にいれる救急箱の中には、目薬と保湿剤は必須、余裕があればうがい薬を入れておくと粉じんによるさまざまな病気を防ぐことができます。

2.できる範囲で自分のものは持たせる

 小さな子だとついつい大人が全ての荷物を持ってしまいがちになりますが、もしもはぐれたとき、子どもの荷物を全て大人が持っていると、子どもは何もできなくなってしまいます。
 幼稚園や保育園ではリュックサックで自分のものを持って移動するような日常を過ごしていることも多いと思いますが、自分の持てる量でいいので、水、食料、着替え、そして名前や連絡先を記入したパーソナルカードを必ず持たせるようにしましょう。
 また、水や食料については持っているだけでなく、いざというときに食べたり飲んだりできるように練習もしておくようにしてください。

3.靴は滑りにくいものを普段から履く

 小さな子の靴は、どうしてもデザイン優先になりがちですし、長距離を歩けるようになっていないものも多く見られます。
 ただ、災害時には自力で避難することが原則となりますので、靴底が滑りやすいような構造のものだと危険になりかねません。
 地面がしっかりとグリップできるような靴を普段から履かせるようにしてください。
 場合によっては、長靴なども選択肢にはいるかもしれませn。

4.両手を空ける

 小さな子はちょっとしたことで身体のバランスを崩しやすいので、非常用持ち出し袋は必ずリュックサックにします。
 そして、空いた両手には軍手でいいので手袋をつけるようにしてください。
 そうすることで、がれきの間をバランスを保って移動するときや転びかけたときに手をついて身体の安全を確保することができます。

5.普段から地域を歩いておく

写真を撮るといろんな変化が分かって面白い。

 歩く習慣をつけておくことで、いざというときでもへたらずに避難することができます。
 特に田舎では移動手段が車ということも多いですから、どうかすると一日に歩く歩数が千歩いかないこともあると思います。
 意識して歩くこと、できれば家族で散歩する習慣をつけて、家の周りにどんなものがあって、どこが安全か危険かを確認しておくと、最悪こどもだけでも安全に避難できる確率が上がります。
 また、会話することで家族の仲もよくなりますし、歩くことはいろいろな意味で身体にいいです。

 どれくらいの年齢から自分で自分の荷物を持って歩けるのかという質問をいただくことがあるのですが、それはその子次第という回答をしています。
 歩き慣れていない子は小学生になっても難しい場合もありますし、年少さんでも自分の荷物をもってトコトコと歩ける子もいます。
 普段から子どもといろいろとやってみたら、その子がどういった状態になるのかはわかると思いますので、しっかりと子どもの様子を見て、その子にあった準備をするようにしてください。
 ちなみに、幼稚園や保育園では避難訓練をやっていると思いますので、その様子を見学させてもらうとわかりやすいかもしれません。

 また、ぬいぐるみとリュックサックの選択で悩まれていた保護者の方がおられましたが、子どもが安心できるなら、ぬいぐるみは持って避難して下さい。その時、ぬいぐるみが粉じんまみれにならないように、ビニールなどでくるんでおくことを忘れないようにして欲しいと思います。

 いずれにしても、こどもは親が思っているよりはずっとタフです。ちょっとしたことでいろいろなことができるようになりますので、一緒に楽しんで災害対策をしてみてくださいね。