災害に備えたさまざまな品物は持ち出しやすい順番に「防災ポーチ」「非常用持ち出し袋」「備蓄品」に備えることになります。
もちろん普段から持ち歩けるのならば防災ポーチではなく非常用持ち出し袋でまったく問題ないのですが、水や食料品その他非常用のアイテムを普段からあちこちと持ち歩くのはなかなか難しいなと思います。
そうすると、普段から持ち歩くのは日常品+αの防災ポーチ、長時間いることの多い場所に非常用持ち出し袋をそれぞれ準備し、備蓄品は家の安全な場所に置くことになると思います。
日常的な移動に自家用車を使うことの多い田舎だと、非常用持ち出し袋は、家と職場、そして車の中にでも置くことになるのではないでしょうか。
家と職場はいざというときにすぐ持てる場所に、車の中は高温にならない場所にそれぞれ置くことで、最低でも一つ、うまくいけば3つの非常用持ち出し袋が確保できますから、いざというときに余裕を持った被災者生活が送れることになります。
3つも管理するのは大変だと思いますが、昼食やお出かけ先の食事などで非常食を消費すれば、案外とうまく消耗品をローテーションできると思います。
一番いいなと思うのはキャンプなどのアウトドアで実際に使いながら非常食を入れ替えていくことで、この場合には擬似的な被災生活も体験することができます。
ところで、非常用持ち出し袋は作ったら必ず目につくところに保管してください。押し入れの奥や普段目につかないところに置いてしまうと、意識の中から非常用持ち出し袋の存在そのものが消えてしまいます。
意識にないものは存在しないのと一緒。常に目につくところに保管しておいて、いざというときに探さなくても持ち出せるようにしておきたいですね。
カテゴリー: 地震対策
地震で人が死ぬ理由
日本は地震大国であり、大地震が起きると何らかの犠牲者がほぼ確実に発生しますが、その犠牲者はどんな理由で犠牲になったのでしょうか。
地震で多くの人が犠牲になると言っても、実は地震の揺れそのもので死ぬ人は殆どいません。心臓が悪い方がびっくりした拍子に心臓が止まってしまうくらいでしょう。
問題になるのは地震の揺れでは無く、揺れにより発生する建物倒壊や崖崩れ、または地震が原因となる津波や火事で、これらが人的な被害を引き起こします。
東日本大震災では判明している多くの人の死因は溺死ですし、熊本地震では圧死、阪神大震災では圧死と発生した火災が死因の多くを占めていました。
逆に考えると、溺死、圧死、焼死を防ぐことができれば多くの人は犠牲にならなくて済むと言うことです。
溺死を防ぐためには、発生した津波から逃げることが必要で、できるだけ高いところに避難しろということになります。
圧死は、建物やブロック塀、自動販売機の倒壊を防いだり、家具の固定を勧めることで圧死の原因を減らすことができます。
焼死は、身近に消火器を置いたり、感震ブレーカーなどを装備することで不用意に発生する火災を小規模または未然に防ぐようにすれば、大規模火災を押さえられますから犠牲者が出なくて済みます。
そう考えると、対策をきちんととれば地震もさほど怖いものでは無いということに気づけると思います。
地震が発生することは止められませんし、精度の高い予報をすることも現時点では難しいですが、地震が起きても被害を最小限に食い止めることはできると思います。
あなたが地震で死なないために、地震が原因で発生するさまざまな死亡原因の元を無くしておくことが必要となるのではないでしょうか。
リスク管理と危機管理
災害対策としてたまに出てくる言葉に「リスク管理」と「危機管理」がありますが、この違いをご存じですか。
「リスク管理」は、災害が発生する前に災害という「リスク」が起きないよう、さまざまな問題を洗い出して「管理」することです。
ここでいうリスクというのは「危険性」であり「事前に想定されうる好ましくないこと」と定義しています。
「危機管理」は、災害発生という「危機」で発生してくるさまざまな問題を整理し「管理」していくことです。
つまり、リスク管理は”災害発生前”、危機管理は”災害発生後”に問題に対応することを表していると考えてください。
リスク管理では想定されるリスクの評価をまずは行っていきます。これは「与える(受ける)被害×発生する可能性」により対応すべき優先度を決めるもので、あまりに深刻な状態が予測されるようなら「やらない(やめる)」というリスク回避も検討の一つになります。
リスクは殆どの場合限りなく0に近づけることはできても完全に0にすることはできません。そのため、発生する可能性のあるリスクをどうやって自分が認めることのできる範囲に押さえることができるかを考えていきます。
リスクで発生する被害を押さえる、または発生する確率を下げる、あるいは被害を押さえながら発生確率を下げる。それにより被害を受けてもなんとかなる状況に落ち着かせる。この事前準備がきちんとできていると、受けるダメージを軽減したり、復旧速度を上げたりすることができます。また、災害発生後の危機管理もかなり楽に素早く対応ができることになります。
危機管理は、今目前で同時に発生しているさまざまな事態に対してどう対応していくかを決めていく作業ですから、守るべきものの優先順位を即座に判断して対応していくことになります。
必ず序列がつくことになりますので、普段から「何を犠牲にしても守るべきもの」を整理して決めておかないと対応ができなくなりますが、リスク管理の段階で「守るべきもの」の優先順位がきちんと整理されていれば、守るべきものをどうやって守るのかに集中できるため、安全で効率よく対応を行うことができます。
このリスク管理と危機管理をセットで考えていくのが事業継続化計画、いわゆるBCPというものになります。
ご家庭であればFCP(家族継続化計画)、学校ならSCP(学校継続化計画)というような呼び方もされているようですが、さまざまな事態を想定して対策や誰がどう動くのかなを決めてお互いに確認しておくことで、それぞれの安全を確保できます。
リスク管理と危機管理、一度整理してみると案外と面白い結果が見られるかもしれませんよ。
こどもと通学時に発生した災害での避難場所を確認しておく
こどもというのは基本的に素直なものですから、登校時に地震などの災害にあっても、学校に行くと決めたならなんとしても学校に行こうとします。
こどもに限らず、日本人はそういった習性があるのか、大阪北部地震では通勤・通学途中の多くの人がそのまま仕事場や学校に行こうとしてあちらこちらで渋滞やバスタクシーを待つ行列ができていました。
ただ、地震とそれに伴う津波が発生した場合にはできる限り早く安全な高い場所へ避難する必要がありますし、津波が起きない場合でも、余震が相次いだりしたときに安全な空間がどこにあるのかを知っておくことは大切です。
では、こどもにどのような指示を出しておいたらいいのでしょうか。
さまざまな方法があると思いますが、ここでは大きく3つにゾーニングして一緒に通学路を移動して確認してみる方法を考えてみます。
自宅周辺、学校周辺、そしてその道中。バスや汽車通学の場合には乗降する駅やバス停を境にして考えることにします。歩きの場合には、概ね1km程度で分割するといいと思います。
最初は自宅周辺にいた場合。この場合で家が安全地帯にある場合には自宅に引き返すようにします。
二つ目は、学校周辺にいた場合。この場合は学校に移動するようにします。
三つ目は、どちらからも遠い場合。この場合には、通学路周辺の安全を確保できる場所へ待避するようにします。
待避する場所は、あらかじめ家族で通学路の点検をして安全な空間がどこにあるのかを家族で確認し、何かあったらそこへ待避、そして保護者がそこへ迎えに行くようにしておきます。
そうすることで、少なくとも子どもの安全は確保することができますし、探しに行く場合でも逃げるポイントが分かっているので合流するのはさほど難しくはありません。
学校の避難訓練では教員や大人が子どもの行動基準を判断して全てを指示するようになっていますが、実際の災害では大人が近くにいない場合も考えられます。
子ども達が自ら考えることができるように、通学時の避難場所や避難方法についても家族で現地確認をし、どうするかを話し合っておくことをお勧めします。
要救助者か救助者か
災害に巻き込まれて救助が必要な状況になった場合、72時間以内に救助できなければ死亡率が格段に跳ね上がるそうです。
そのため、自衛隊や消防、警察が災害緊急援助隊を被災地に派遣して救助を行うことになるのですが、要救助者の数が多くなればなるほど救助に当たれる人数は減り、資機材も不足し、結果として救助が間に合わなくなる場合が多発することになります。
それを防ぐために必要だと言われているのが建物の耐震補強です。他の多くの災害と異なり、地震だけは予告なしにいきなりやってきます。建物に潰されてしまうと要救助者となってしまいますので、まずは建物の下敷きにならないようにしなくてはなりません。
耐震補強をしておくことで、少なくとも建物の倒壊を防ぐことはできます。また、自分が長時間過ごす場所の家具などをしっかりと固定しておくことで、それら重量物の下敷きになる危険も防げます。
5体満足であれば損壊した建物からの脱出も困難ではありませんし、場合によっては近所で倒壊した家に住む人の救助に当たることもできます。
要救助者が少なくなって救助者が増えてくれば、その分助かる人は増えていきます。
阪神淡路大震災のときに被災したにもかかわらず死者が少なかった地域では、消防団を初めとする地域の住人が倒壊した建物からの救助に尽力したとも聞きます。
まずは自身が要救助者にならないこと。そしてできれば救助者に回ることができるように、身の回りの安全を確保することから始めたいですね。
子どもは素直
災害対策の勉強会や研修会をさせていただくと、毎回思うことがあります。
それは「子どもは素直」ということです。例えば、地震のときに「ダンゴムシのポーズ」や「重心を下げるためにしゃがむ」という話をすると、実際に揺れたときに習ったとおりダンゴムシのポーズやその場にしゃがむという行動を取ります。
大人はどうするかというと、様子を見ているだけ。大丈夫だろうと思っているのか、動いたら負けと思っているのかはわかりませんが、なかなか身を守るための行動を取ることが難しいようです。
地震や津波、大雨などで警報や「避難準備・高齢者避難開始情報(Lv.3)」が発表されたときにテレビやラジオでは盛んに「身を守るための行動を取ってください」といいますが、行動できない・しないということが多々あるようで、災害で命を落とすことがあるのも無理は無いなと思ってしまいます。
ある自治会でアンケートを採ったときの集計結果では「災害対策をしないといけないことは理解しているが、自分はやる気が無い」という結果になって少し考え込んでしまいました。
正直なところ、子どもは素直なので教わったことが起きると教わったように対策を取ろうとしますが、それを大人が邪魔しているというおかしな状態が起こることがよくあり、そのたびに犠牲者が出ているという話も聞くからです。
東日本大震災で津波に飲まれたある小学校では、子ども達が再三に渡って高台に避難しようと言っていたにもかかわらず、それを受け入れなかった大人達が避難をしようとした子ども達の邪魔をしたなどという出来事があったそうですが、おそらくそのときにはこの小学校だけで無く、そこらじゅうで同じような問題が発生していたのだろうなと思います。
大人は子どもに比べてさまざまな経験値を持っており、子どもに比べていろいろなことを効率よく無駄なくできるようになっていますが、あくまでも経験値から推測しているため、それまでの経験を超えたことが起こりうることをイメージできないという弊害も発生するのです。
また、「たかが災害で大騒ぎすると恥ずかしい」という意識もありますから、内心では逃げた方がいいかもと思っていても、それを押し殺して「避難不要」という誤った判断をしてしまうのです。
災害対策や避難訓練といったことを思い切り馬鹿にしている人もいますが、人間は練習や経験をしていないことには対応できません。特に大人になるととっさの判断が難しくなっていくのが常ですから、こどもに比べて余計でも訓練や練習をしておかなければなりません。
今の大人に比べると、子ども達はさまざまな機会で災害対策や防災を学んでいますから、「子どもだから分からない」や「子どもだから知らないだろうが」と言った大人な考えは止めましょう。
こと、災害対策や防災については今の大人達よりも遙かにしっかりと学んでいる子ども達ですから、彼らの意見に従ってみてもいいのではないかと思います。
その結果として災害から逃れられればいいですし、もし逃げる必要が無かったとしても、大人も子どもも実際に災害で避難した経験を積むことができます。
子ども達の意見や行動は災害対策をやっている方から話を聞いていることも多いですから、災害発生時には、あなたの判断の中に子ども達の意見を加えることをしてみてもいいのではないかと思います。
怪我をしない方法を考える
応急処置やけが人搬送などは、防災訓練ではかなりメジャーなメニューとなっていますが、いづれの訓練でも人がたくさん必要な内容になっています。
応急処置では心臓マッサージやAEDの使い方がよく出てきますが、これらは基本的に複数人で対応する訓練になっていると思いますし、けが人搬送はそのそも一人で搬送する訓練はほとんどやっていないと思います。
何が言いたいのかというと、訓練で複数人での救助を学んでいても、いざ本番のときには、場合によっては一人で状況に対応する必要が出てくることがあり、そんな状況におかれたときには何を優先すべきなのかがぐちゃぐちゃになってしまいがちになるということです。
けが人に一人で対応するには限界があり、恐らくは対応が間に合わないことも多くあるでしょう。そうなればそんな状況になってしまった人もそんな状況に出会った人も不幸になること間違いなしです。
これに対する対策はただ一つ。怪我をしないということに尽きます。
怪我をしなければ自分で移動ができる人であれば手はかかりませんし、応急処置をしなくても済むのであれば、その分避難が早く開始できます。
怪我をしない方法は、常に周囲の状況に関心を持つことです。歩いているところの両端や上空、地面。そういったものに関心を持って、「この場所で何か起きたらどうすればいいか?」を考えてみてください。
いつもの散歩や通学コース、いつも過ごす部屋や場所にどのような危険があってどうしたら怪我をしなくて済むのか。それを考えて対策をするだけでも、怪我をする確率はぐんと下がります。
かすり傷程度なら影響はないですが、大きな怪我をしないためにも周囲の状況は常に観察して危険な場所は通らないこと。そして怪我をしない方法を考えおくようにしたいですね。
災害に備える
新型コロナウイルス騒動がなんとなく沈静化しつつあるようですが、代わりに地震や風水害が発生してきそうな雰囲気です。
新型コロナウイルス騒動でいろいろと足りない物資がありますが、それでも他の災害に備えて準備はしておいたほうがよさそうです。
今回は災害に備えた準備について考えてみることにします。
1.耐震補強はできていますか
日本は地震大国であり、戦後から高度成長期にかけてが異常なほど地震が起きなかった期間であることはあまり知られてないのかなと思います。
その時代に建てられた建物は、地震に耐えられる作りになっているかどうかわかりませんから、お住まいのおうちが最近建てられたものでないのならば、耐震診断と耐震補強をすることをお勧めします。
寝てる時間だろうがトイレに入っている時間だろうが、地震はお構いなしにやってきます。耐震補強をすることが困難であるなら、せめて寝室は布団以外の家具は撤去してものに潰されないようにしておきましょう。
2.避難先を確認していますか
建物が倒壊したときや余震が続くときなどは自宅での避難が困難な場合があります。そんなとき、どこへ避難するかについて複数箇所候補をあげておいてください。
避難先は別に行政が指定する避難所や避難場所である必要はありません。自分の安全が確保されるのであれば、親戚や友人の家でもいいし、近くの公園や高台、裏山でもかまいません。また、自動車をシェルターとして使えるかどうかも検討をしてみてください。ただ、地震や津波では大規模火災が起きる可能性もありますので、周辺を住宅で囲まれた場所や燃えるものに囲まれた場所は避難先として選ばない方が無難だと思います。また、避難経路を複数準備しておいて、いざというときに慌てなくて済むようにしておきましょう。
3.非常用持ち出し袋はできていますか
非常用持ち出し袋は発災から支援が届き始めるまでの数日間、地震の身体的・精神的な健康を維持するために必要なものを入れた大切な袋です。
家族全員に一つずつ作っておくのはもちろんですが、できれば複数箇所に分けて保管しておくと全滅で悲しい思いをすることを避けることができます。もし全部無事であるなら気持ちに余裕ができますので、例えば倉庫や車の中、あるいは職場のロッカーなど、いくつかの場所にそれぞれ備えておくと安心です。
非常用持ち出し袋をすでに準備している人は、電池や非常食、水の賞味期限を確認し、問題があれば交換したりして、いざというときにきちんと使えるようにしておきましょう。
4.家族の中で「まず自分の身を守ること」を共通化していますか
災害が起きた後、一番怖いのは自分以外の誰かを迎えに行ったり、あるいは誰かが迎えに来るのを待っていて時間を浪費することです。
家族の共通ルールとして「災害が起きたらまずは自分の身の安全を確保すること」を確認しておいてください。命があれば必ず再開はできます。災害からの安全が確認できたら家族はどこへ集まるのか。底まで決めておければ完璧です。
災害は必ず起こります。いつ起きるかわからないだけで防ぐことも難しいですので、日頃からしっかりと準備をしていざというときに命を守れるようにしておきたいものですね。
安全と安心
ここ最近「安全、安心な○○」という表現をよく耳にしますが、この「安全」と「安心」の違いはなんでしょうか。
ウェブ上の辞典で調べてみると「安全」は「危険がなく安心なこと。傷病などの生命にかかわる心配、物の盗難・破損などの心配のないこと。また、そのさま。(goo辞書から抜粋)」だそうです。
「安心」はというと、「気にかかることがなく心が落ち着いていること。また、そのさま。(goo辞書から抜粋)」となっています。
つまり、「安全」は「何らかの具体的な危険や心配が無い状態」、安心は「自分が気になることが無い状態」ということで、安全は客観的な指標ががあるが、安心は個人の主観と考えることができると思います。
そのため「物理的な安全と精神的な安心」をくっつけた「安全・安心な○○」というのが登場してきたのだと思います。
しかし、災害対策で考えるときには少しだけ問題があって「安全な状態」は具体的に目で見える状態で証明することができますが、「安心な状態」は自分自身の気持ち一つなので、本人が納得しない限りは安心な状態にならないというところがあります。
つまり客観的には安全であっても、どうしようとかもう駄目だと考えている限りは安心な状態ではないということになのです。
そしてさらに面倒くさいことには、存在するものはなんらかの形で証明できても、存在しないことを証明することはかなり困難だということです。例えば地震が起きたことは証明できても、地震が起きないということは誰にも証明ができないでしょう。そして、多くの方は地震が起きないという証明を誰かにしたがってもらっているのです。
起きないことや発生しないことを証明することはかなり難しいですから、安心を獲得しようと思えばいざというときの備えをどこまで準備できるのかということになります。大規模な災害になると、労働環境の変化や生活の再建費などお金の心配は必ず出てきますが、これはある程度自分でコントロールできる部分でもあります。
安心の逆は不安ということで、災害の後は多くの人は不安に陥ってしまうものですが、普段からいろいろと備えておくことで、ちょっとでも安心な精神状態を確保できるようにしたいですね。
災害に対応する損害保険に入っていますか
建物や家財が被災したときには、自治体からそれぞれ被害程度に応じた見舞金が出されます。
ただ、実際のところ手続きに時間がかかるのと金額も微々たるもののため、生活再建を行うのに非常に大変な苦労をすることになります。
自己資産に余裕がある方は別として、そうでない場合には被災した建物や家財に対して支払われる損害保険をかけておくことをお勧めします。
1.災害に対応する損害保険
災害で受けられる建物や家財に対する損害保険は発生する災害によって異なりますので注意が必要です。
基本的には「火災保険」がベースになり、これに水害対応をつけると住宅総合保険となります。「地震保険」は火災保険が契約されていないと契約をすることができないので、火災保険のオプションのような性格を持っています。
地震保険では、地震によって発生した火災、家屋倒壊または家屋埋没、噴火による家屋損壊、津波による家屋流出が補償されることになっています。
ここで気をつけないといけないのは、火災保険では地震による火災での焼失は補償されないということで、火災保険に入っているから安心ではないことに注意してください。
2.見舞金と保険金の違い
自治体からの見舞金は、基本的には「全壊」「半壊」に対するもので、被災度判定調査によって決められた判定により支払われるものです。市町村によっては、被災者に対して支払うこともあるようですが、どちらにしてもあなた自身の事情や状況は考慮されないことに注意してください。
損害保険は、加入する保険会社や保険の種類、お住まいの地域などの条件によってさまざまですが、大きく分けると今現在の価値の金額を補償する「現存価格補償」と、被災した建物や家財を再調達するための費用を補償する「再調達価格補償」があります。
当然、条件がよい保険ほど掛け金も上がりますので、あなたの状況やあなた自身のBCPにより保険をかけるようにしてください。
3.もし被災したら
生活再建にはすぐにでもお金が必要となりますが、基本的には保険会社の調査員が現地を確認し、その損害状況を判定した上で支払うべき保険金を算定することになります。
ただ、大規模な災害だったり、すぐに解体しないと危険な場合などには調査員の調査が間に合わない場合があります。そのため、保険会社に連絡して承諾を得ることができれば、写真を撮って現地調査に変えることができることがあります。自治体の被災度判定などにも使えますので、被災した場合には被災した家屋や家財など被災したものをあらゆる角度から撮影しておくことをお勧めします。
また、保険金の算出後はかなり早く支給がされるようですが、これも保険会社によって異なりますので、万が一の時には保険会社に相談することをお勧めします。
4.災害に備えて
火災保険や地震保険をかけていても、被災した後で速やかな手続きをとるためには保険をかけている保険会社や保険の証券番号があった方がよいので、あなたのパーソナルカードの中にそれらの情報を追加しておいてもいいかもしれません。
また、大規模災害などでは損害保険協会に照会するとあなた自身がかけている保険会社や保険の証券番号を調べてもらうこともできますので、提供される情報に注意をしておいてください。
なお、今回記載した損害保険についてもう少し詳しいことが知りたい方は、日本損害保険協会のウェブサイトをご一読ください。
「損害保険とは?」(一般社団法人日本損害保険協会のウェブサイトへ移動します)