非常用持ち出し袋に入れるもの

市販品の非常用持ち出し袋
市販品の非常用持ち出し袋の例。基本セットから自分に必要なものを追加していく。

 非常用持ち出し袋には必要最低限の避難所で生活できるためのアイテムを入れておきましょうといわれますが、あなたの非常用持ち出し袋にはどのようなものが入っていますか。
 命を繋ぐものはもちろんですが、避難所で襲ってくる一番の敵「退屈」を凌ぐためのアイテムは是非入れておいてください。
 地震のようにいきなり本番がやってくる場合にはその後の処理でけっこうどたばたしますが、水害や台風といったあらかじめ発生が予測されるような災害からの避難の場合、避難後には本当に退屈になります。
 人間、退屈だと不安になってくるものです。そのため、あなたがしっかりと時間を潰せるようなアイテムが絶対に必要となるのです。


 1日から2日程度仲間と遊べる、または自分一人でも楽しめるような何かを準備しておけば、その間には災害が起きるか、または災害が避けられたかのどちらかになるので、どちらにしてものんびりとできない状況に変わります。
 準備する際に気をつけて欲しいことが一つ。
 携帯ゲーム機などの電気を使用するものは、避難所の電源には繋がず、自前の充電池や発電機を使うようにしてください。

電気と音はあんがい周囲が気になるものです。遊ぶための準備は怠らないようにしましょう。

 避難所の電源を使うと、電気を盗む窃盗という行為になります。また、電源を独占している光景は、避難所ではあまり歓迎されません。
 ともあれ、自分が楽しめるアイテム。平時に考えて準備しておいてくださいね。

【活動報告】防災体験会を実施しました

去る2022年4月3日、山口県岩国市の岩国市防災学習館で会員様向けの防災体験会を開催し、14名の方にご参加いただきました。
ここの防災学習館では、消火器訓練、煙からの避難、地震体験と映像による学習ができるのですが、参加された方はそれぞれに気づきがあったようです。

消火器訓練。消化器から出る噴射液をできる限り火元へかける。
地震体験は過去の地震の他、岩国市に関係する活断層の予想震度も体験できる。
煙からの避難。なるべく姿勢を低く移動する。
非常出口の鍵の開け方の一つを確認する。これができなくてなくなった人も多いとか。

 岩国市防災学習館は家族単位で出かけても体験をすることができますし、職員さんが親切丁寧にいろいろと教えてくれ、非常に深い学びを行うことができました。
 飛び込みでも空いていれば体験はできるようですので、岩国市にお出かけの際は是非一度この施設で防災体験をしていただければと思います。
 参加して下さった皆様、対応して下さった岩国市防災学習館の皆様、そしてご厚意で車両見学をさせてくださった中央消防署の皆様に厚くお礼申し上げます。

今回参加して下さった皆様。ありがとうございました。

情報が入るようになっていますか

 災害時、あなたはどのように情報を入手する手段を用意していますか。
 メール、アプリ、電話、防災行政無線など、いろいろな手段があると思いますが、できれば複数の手段を準備しておくようにしてください。
 特に防災行政無線に頼っている場合には、手元に情報が届かない恐れがあります。
 例えば、屋外の放送は雨音や風の音などで聞こえないことが多いですし、家屋ごとに受信機がある場合でも停電したり、本体の電池が切れていたりすると受信ができません。
 メールやアプリによる配信を確認できればいいのですが、人によっては携帯電話が無い方や、やり方がわからないという方もおられるのではないでしょうか。
 電話というのは割と確実なのですが、いざというときに電話してくれる相手を事前に見つけておかないと、そもそも電話がかかりません。
 お隣や近所と顔見知りであれば、そちらに頼んでおくのも手だと思います。
 災害時に自分が安全に生き残るための情報の入手方法は、平時に自分が準備しておかなければなりません。
 自分にどのような情報入手方法があっているのかを考えて、いざというときにきちんと手元の情報が来るように、今から準備しておくことをお勧めします。

自分専用の道具を優先的に準備する

 災害時に持ち出す非常用持ち出し袋の準備はお済みですか。
 明日からは新しい年度に入りますので、引っ越しをしたり、生活環境が変わる方は、ハザードマップや周辺環境、避難や避難後の生活に必要なアイテム類の準備や確認をしておくことをお勧めします。
 さて、災害後の対策で優先的に準備するものとしては、一番最初はトイレです。さまざまなトイレがありますが、あなたは準備したトイレを使うことができますか。
 二番目は水です。災害発生後には断水することが多いので、飲料水の準備はもちろん、生活に使うための水も準備しておきましょう。
 では、その次に準備すべきものはなんでしょうか。
 これはあなたが普段の生活で必要としているが、他の人にとってはそこまで重要では無い品物になります。
 たとえば、眼鏡、老眼鏡、補聴器、杖、車いすなど、あなたが生活をするために必要な道具があるならば、それらの道具は優先して準備しておく必要があります。
 災害時の緊急支援物資では、多くの人が必要とするものが最優先されるので、特定の人が必要となる道具は後回しになるか、もしくは配慮されません。
 そのため、そういった道具が必要な人は自分であらかじめ準備しておく必要があるのです。
 災害後に自分で情報を確認できなかったり、移動できなかったりするのは生活をするのに困ったことがたくさん発生する元になります。
 非常用持ち出し袋には、そこまで見据えた道具を準備しておくことをお勧めします。

【お知らせ】「日本海南西部の海域活断層の長期評価」が公表されました

 令和4年3月25日に地震調査研究推進本部(地震本部)が日本海南西部の海域活断層の長期評価を公表しました。
 今回は実際に機材を使って調査した結果だそうですが、調査前の想定よりもずいぶんと活断層が多い感じがします。
 島根県西部は今回の評価では南西部中部という位置で評価されていますが、1872年の浜田地震や1026年の万寿の大海嘯についても触れられています。
 30年以内にM6.8程度の地震が起こる確率は6-9%となっていますが、0%では無いということで、いつ地震が起きてもおかしくない状況です。
 充分な調査ができていないということで、評価も難しいようですが、沿岸部に住んでいる人は、地震と津波について対策をしておいたほうがよさそうです。
 詳しくは地震本部のウェブサイトをご覧下さい。

日本海南西部の海域活断層の長期評価(地震本部のウェブサイトへ移動します)

どのような調査をしたのかに興味のある方はこちらもどうぞ
日本海南西部の大地震 海域活断層対象の評価初公表 地震調査委」(NHKのウェブサイトへ移動します)

避難所の表示に注意しよう

 災害が起きた、あるいは起きそうなときは近くの避難所へ避難するように、以前は誘導されていました。
 密を防ぐ必要があるとされている新型コロナウイルス感染症が蔓延してからは、できるだけ安全なおうちでは在宅で過ごし、危険エリアなどに住んでいる人が避難所に避難するように変わってきていますが、災害時には「○○地区に避難勧告」といった風に安全かそうでないかを考えない状態で避難指示が出させることが多いです。
 ところで、避難所にはそれぞれの災害に対応しているか否かがわかるようになっています。以前は「避難所は災害全てに対応」のようなイメージだったと思いますが、現在では「該当する災害に対応している避難所へ避難」となっていて、ハザードマップはもちろん、避難所にも可能な限り対応表を貼り出すようになっています。

 この対応表、どこの避難所でも周囲からよく見えるところに貼ってあるのですが、結構気がつかない人がいるようで、水害が起きそうだからといって水に浸かるエリアにある避難所に避難しようとする人がいます。
 せっかく貼り出してあるのですから、お住まいの地域の避難所がどのような災害に対応しているのかをしっかりと確認し、避難所で被災することがないようにしてください。

家具類の地震対策

よくある転倒防止装置。家具が動き出さないように設置するのがポイント。

 地震が続いていますが、あなたのおうちの家具の地震対策はできていますか。
 地震対策には二つあって、ひとつが家具そのものが倒れないようにすること、そしてもう一つが、家具の中身が落ちないようにすることです。
 家具そのものが倒れないようにするには、転倒防止用の固定器具を使うのが一般的で、例えば突っ張り棒や転倒防止用の固定器具、家具を壁にビスで固定するなどの方法があります。
 家具の中身が落ちないようにするためには、家具への中身の詰め方の工夫や、扉をロックするといった方法があります。
 でも、例えば借家などで簡単に家具の固定が壁にできなかったりする場合があると思います。
 もっとも簡単な家具の転倒防止は、家具の正面下、床と家具との間に折りたたんだ新聞紙などを入れて、家具を壁側に少しだけ傾斜させる方法です。

タンスの下の新聞紙。床がたわむような状態でもタンスが安定している。

 我が家では昔からばあちゃんが普通にやっていて、何も考えずに筆者自身もやっていたのですが、これをやると家具が簡単には転倒しなくなります。
 直下型地震のような大きな縦揺れを受けるとどうにもなりませんが、普通の地震の揺れなら、家具の上側が壁で支えられているために転倒することがなく、引き出しや扉が若干上を向いていることから、簡単には抜けたり開いたりしません。
 簡単にできて非常に効果的な地震対策ですので、もしもお引っ越しなどで家具を動かすことがあるのであれば、家具の下に折りたたんだ新聞紙を入れるとよいと思います。
 ちなみに、同じような機能を持った道具が百円均一ショップやホームセンターなどで売られているので、見た目を気にする方はそちらで調達してもいいと思います。
地震が起きたときに怖いものの一つが家具の転倒です。
 ちょっとした工夫で転倒が避けられるのであれば、やっておいて損はないのではないでしょうか。

ポンチョと雨合羽

 非常用持ち出し袋に入れるものの中に雨具があるでしょうか。
 災害後の避難や避難生活でかなりいろいろとお世話になるかもしれないアイテムなので、できれば一つ用意しておくといいと思います。
 よく比較されるのが、ポンチョと雨合羽です。
 この二つ、表向きの機能は同じ雨避けとなっているので、どちらを準備すればいいのか迷うことも多いのではないでしょうか。
 結論から言うと、ポンチョの機能を持つ上着と雨合羽のズボンを組み合わせると最強になるということです。
 できるなら、両方準備しておくと非常に使い勝手がよくなります。
 ポンチョは、身体の上半身にすぽっと被る雨具です。そして雨合羽は上着とズボンに別れていて、全身を覆うことのできる雨具です。
 構造上、ポンチョは雨の中の移動では足下はびちょびちょになります。また、防寒着としても雨合羽に比べると開口部が大きいため、あまり役には立ちません。
 では、なぜ準備するのかというと、雨具以外の使い道がポンチョには非常に多いからです。例えば、授乳時の目隠しや簡易トイレでの用足しでの目隠し、簡易タープや簡易テントと、いろいろなことに使うことができます。また、徒歩での避難時に歩けなくなった乳幼児をおんぶするときにも、子どもと一緒に雨を凌げるのはポイントが高いと思います。
 選ぶポイントは、透けないことと丈の長さ。安いものだと百円均一ショップでも売っているのですが、多用途に使おうとすると透けるのはちょっと困りますので、透けないものを選ぶことが大切になります。また、その目的上、丈が長めの方が安心できると思います。特に女性や乳児のいるご家庭では、最低一着準備しておくと困らなくて済むと思います。
 雨合羽は、構造上雨をしっかりと弾いてくれます。また、雨を通さないということは風も通さないということなので、防寒着としても機能を果たしてくれます。
 また、粉じんが身体につくのを防いでもくれます。
 代わりに、着る以外の用途に使うことはかなり難しい構造ですので、できるだけ非常時の荷物を減らしたいという人は、ポンチョの方がいいかもしれません。
 災害対策としてアイテムを選ぶときの参考になれば幸いです。

地震とライフライン

 3月16日夜の地震の続報がいろいろと出ているようですが、現地の生活が早く復旧されることを願っています。
 さて、今回の地震でもそうなのですが、電気や断水、ガスの供給停止というのは大きな地震が起きるとほぼ100%どれかが発生しますが、その理由を知っていますか。
 揺れによる損壊ももちろんあるのですが、地震が起きた結果、地面が上下左右にズレることによって管が破損や切断状態になってしまうことによってトラブルが発生するのです。

地震の種類と地面の動き

 径の大きな配管であればあるほど影響も大きくなるので、水道本管や下水本管、ガス本管、製油所の送油管などが破断すると、断水や火災などが起きてこまったことになってしまいます。
 日本は地形的にどこにいても地震が発生する可能性がありますので、地震が起きないところへ移転するというわけにはいきません。
 水道や下水、ガス、送油などを止めるわけにもいかないので、実際のところは地震が起きてから復旧するまでの時間をどれくらい短くすることができるかということくらいしか対策ができません。
 個人としては、飲料水の確保や下水道の代わりになるようなトイレの準備、カセットガスとコンロの準備といったところでしょうか。
 最近では災害が頻発しているので、災害が発生したときの給水車の手配や仮設トイレの準備などは過去では予測できないくらい準備が早くなっています。
 とはいえ、大規模災害になると何が起きるかわかりません。
 自分の命を繋ぐ水やトイレくらいは、予め準備しておいた方がよさそうです。

おうちの中の避難経路図を作っておく

 3月16日の夜に宮城県や福島県を襲った震度6強の地震ですが、被害に遭われた方にはこころからお見舞い申し上げます。
 今回のように大きな地震では、揺れが収まったらいったん建物の外に出ることが安全確保に必要だとされています。
そのため、人の集まる施設や宿では避難経路図が作られていて、その経路図に示された経路は安全に避難ができるように他の場所よりも注意を払って管理がされています。
 では、あなたのおうちでは、地震後の屋外避難をするとき、どの経路を使って外に出れば安全を確保できるかを理解していますか。
 小さかろうが狭かろうが、避難経路がきちんと確保されているかどうかの確認は家族みんなでやっておくことをお勧めします。
 ものが多いおうちでは、どこもかしこもすっきりと片付けることは難しいと思います。でも、避難経路に指定した場所だけを意識して片付けるのであれば、そこまで難しくは無いと思います。
 また、避難経路を考えることで思わぬおうちの問題に出会うこともありますから、こういった点検は定期的にやって、避難経路にものが置かれていないかなどをしっかりと確認しておいてください。
 余談になりますが、耐震補強や耐震建築物と呼ばれている建物は、震度6強から震度7に耐える構造になっていますが、それは1回被害にあっただけの場合です。
 2回目以降は倒壊しないという保障がありませんので、耐震補強や耐震建築物であっても、いったんは建物の外に逃げて様子をみたほうが良さそうですよ。