さまざまな災害で被災すると、できるだけ早く日常生活を復旧する必要がありますので、可能な限り早く片付けを始めようと考えるものです。
ただ、その前にやっておいて欲しい事が一つあります。
それは、被災状況の写真をしっかりと撮っておくということです。
被災した家屋やその他被災したあらゆるものを写真に撮影しておいてください。
それも、いろいろな角度から撮っておくこと。そして、巻き尺など数値のわかるものや比較対象となるものを一緒に撮しておくことです。
これらの被災写真は、被災後に必要となる罹災証明書の作成に非常に役に立ちます。被災地域によっては、写真があれば現地調査不要で罹災証明書が発行される事もあり、いろいろな角度からの写真があれば、現地調査の代わりをしてくれるのです。
基本的に罹災証明書の発行は現地調査の後でされるのですが、人がやる都合上、どうしても時間がかかります。
そのため、必要なときに罹災証明書が手元に無いという事態も考えられます。
また、家財保険や火災保険の災害特約などを請求する場合にも、写真がしっかりと撮られていればそれだけで手続きが開始できる場合があり、迅速な保険金の支払いにも繋げることができます。
近くや遠くや角度を変えてなど、写真を撮る手間はありますが、最近ではデジタルなので場所も現像代もかかりませんから、こんなものまでといった感じの写真まで撮っておくといいと思います。
被災したときの写真は、あなたの復旧の手助けをしてくれます。可能な限りたくさんの写真を撮って、それから復旧作業にかかるようにしてくださいね。
余談ですが、罹災証明書の申請手続きや保険請求の手続きは難しくありません。書類の作成については、行政や保険会社に確認すればきちんと教えてくれます。
せっかくの保険金や見舞金が奪われてしまうこともありますので、間違っても飛び込みの代行業者などに任せないようにしてください。
カテゴリー: 地震対策
【活動報告】第1回高津小学校防災クラブを開催しました
去る5月25日に益田市立高津小学校で令和4年度の第1回防災クラブを開催しました。
今年度は約20名の児童と一緒に防災について学習していきます。
今回は、手始めに地震について一緒に考えてみました。
普段の授業でやっている学習が反映しているのか、いろいろな意見を出してくれて非常に面白かったです。
地震のときには机の下に入るという子ども達に、なぜ入るのかを聞いたところ、「頭を守るため」という答えが返ってきて、きちんと考えて行動しているのだなと頼もしく感じました。
最後には、台車に学習机を載せたぐらぐらくん1号で実際に横揺れの中でどうやって机を支えるかという体験をしてみてもらいました。
これから1年間、一緒に活動をしていくわけですが、いざというとき、少しでも一緒に学習する子ども達が自分で判断し、自分で自分の命を守る事ができるようになってほしいと思っています。
参加してくれた子ども達、担当の先生、そして支援に入ってくれた当研究所の会員の方に、厚くお礼申し上げます。
仮設トイレと簡易トイレと携帯トイレ
イメージがごっちゃになっているかもしれませんが、仮設トイレは現場事務所に置かれているような、独立したトイレのことです。
くみ取りもでき、移動もできて災害後の避難所では結構よく見るトイレです。
仮設トイレは、便器はあるが排泄物の処理をその都度行わないといけないトイレです。汚物を流したり貯めたりするのではなく、一回ごとに汚物袋をセットして、用を足したら凝固剤を入れ、汚物袋の口を縛って処分し、新しいものに取り替えるものです。
普段使っているトイレが使用禁止になってから仮設トイレが届くまで、さまざまな形で利用されます。
そして携帯トイレは、便器はなく、消臭袋と凝固剤が一体になっていて簡単に持ち運びのできるもの。
ざっくりとしたイメージになりますが、仮設トイレは行政などが手配するちゃんとしたトイレなのに対して、簡易トイレや携帯トイレは行政だけでなく、個人や自治会などでも準備しておく必要のあるものと考えてもらえばいいと思います。
で、目隠しテントと簡易トイレを展示しておくと、よくいただく質問に「簡易トイレを持って避難するのは難しい」というものがあります。
確かに、少しでも荷物を減らしたいときに簡易とはいえ便座まで持って避難しろというのはかなり難しい話です。
ただ、ここで書いておきたいのは、避難のときに便器までは準備しなくてもよいというものです。
あなたがトイレを使う頻度を考えてもらえればわかると思いますが、頻繁に使うのは小さい方で、大きい方は下痢でもしていないかぎり1日に数回程度ではないでしょうか。そうすると、数の多い小さい方に備えておけばいいということになります。
小さい方はそこまでの場所をとりませんから、便座がなくても排泄は可能です。汚物袋と凝固剤さえあれば、とりあえずの排泄はできるわけです。
そして、簡易トイレは、大きい方でも小さい方でも、一回ごとに汚物袋を取り替えなければいけません。すると、小用まで避難所の備蓄品で対応しようとすると少々汚物袋を準備していてもあっという間に備蓄が底をついてしまいます。
そのため、携帯トイレを準備して、少しでも簡易トイレに負担をかけないようにしておく必要があるのです。
簡易トイレは大きい方用、携帯トイレは小さい方用と考えてもらえば良いと思います。
実際、携帯トイレとして売られている商品は殆どが小専用となっていて、大に対応しているものはごく少数です。そして、小専用は軽くてコンパクト。
女性は慣れないと使えないと思いますが、簡易トイレほどの設備がいらないので、非常用持ち出し袋にある程度入れても邪魔になりません。
避難する人が各自で小用を1日分持参すれば、それだけでも備蓄の消費量にはかなりの好影響を与えますし、避難中にもよおしても我慢せずに使うこともでき、精神的に落ち着けると思います。
もちろん、大小兼用の携帯トイレもありますので、それを持っていればより安心なのは間違いありません。
非常用持ち出し袋を作るときには、とりあえず1日分の小用携帯トイレを意識して準備しておくことをお勧めします。
子どもの避難と保護者のお迎え
学校やスポーツクラブ、学童クラブなどにいた子ども達が災害にあったら、子ども達をどのようにして保護者に引き渡すのかをルール化して保護者と情報共有ができているでしょうか。
災害で避難した子ども達は、恐らくみんな不安になっていると思います。
保護者の顔を見るとほっとするのではないかというのは、なんとなくイメージができるのではないでしょうか。
ただ、知りうる限りの施設では、避難や避難先は内部で共有されていますが、保護者や外部には公表されていないのか、いざというときにどこに避難していて、迎えにいけばいいのかを把握してる保護者はすくないような気がします。
これは少しだけ困った話で、子どもを引き取る保護者側はこどもがどこにいるのかさっぱりわからずに被災地内を駆け回ることになってしまいます。
学校もそうなのですが、できる限り保護者も避難訓練に参加してどのような訓練をしているのかをきちんと確認しておいた方がいいと思います。
そうすれば、どこに避難する可能性があるのかがわかりますので、こどもの居場所も予測しやすくなるはずです。
被災後は、できるだけ早めに子ども達を保護者に引き渡さなければならない。
そのことを念頭において、さまざまな会議や文書で保護者には知らせておいて欲しいなと思います。
逃げるべきか逃げないべきか
災害の原因はいろいろとありますが、その原因によって避難すべき場合と、自宅でやり過ごした方が安全な場合とがあります。
あなたはお住まいの場所やお仕事の場所がどのような災害の危険性があって、避難した方が良いか、するとすればどこに避難するのか、またはその場で待機している方が安全が確保できるのかを検討していますか。
いきなりやってくる地震の場合は、建物補強と落下物防止くらいしか事前対策はできませんが、他の災害は事前にどの災害で避難しないといけないのか、避難先はどこで、どうやって避難するのか、そして避難開始のタイミングはどうするのかを決めることができます。
また、逆に避難した方が危険な場合には、家にじっとしている場合も出てきます。あるいは、逃げ遅れた場合には自宅のどこが一番安全なのか、それも確認しておかないといけません。
行政機関が出す避難の呼びかけは地区・地域という面で発表されますが、実際に避難すべきかどうかは、あなたのいる場所の環境や条件によって異なってきますので、事前に地域の特徴を確認して、どのようにすべきかを決めておいた方が安心です。
逃げるかどうかがわからなければ、その先の準備がうまくできずに、実態とあわない状態になってしまいます。
まずはあなたのいる場所がどの災害に弱いのか、そしてどんな条件になったら避難しないといけないのか、そのことをしっかりと確認しておいて下さいね。
段取り8分な災害対策
昨日も書きましたが、「災害対策=特別なこと」としてしまうと、対策は長続きしません。
あくまでも日常生活の延長線上で考えていかないと無理が来ます。
そして、災害対策は決して難しいことではありません。日々の生活の中で、ちょっとした意識を持てばいいのです。
災害対策とは「災害が起きた後、日常生活の質をいかに落とさなくてもすむようにしておくか」という準備ですから、住んでいる地域や今いる場所がどのような災害に弱いのかを知り、それに対する備えをしておけばよいのです。
例えば、山のてっぺんに住んでいる人が浸水被害や津波の心配をしてもあまり意味がありませんし、平地に住んでいる人が土砂災害のことを気にしても自分の生死には直接の影響は少ないです。
あなたがいる場所にあわせた対策をとることが、災害後の生活の質を落とさなくてもすむ一番の方策なのです。
災害に弱いからといって、いま住んでいるところを変えるのは難しいかもしれませんが、引っ越しや家を買うときなどは、土地の形や周囲の状況といったものをしっかり確認しておくだけで、災害時に避難しなくてはいけない状況を減らすことができます。
また、建物がしっかりとした耐震化がしてあれば、地震後に慌てて避難所に駆け込まなくてもすみますから、家を買う際にはそこもしっかりと検討しておいてください。
普段からの生活の質を落とさないという点では、避難所へ避難するよりも自宅で過ごせる方がいいはずですので、まずは住むところが安全出ることが必要です。
そして、食事、水分、排泄がきちんと確保されていること。
特に排泄は絶対に我慢ができませんので、トイレの排水が無理だというときにどうやってトイレを確保するのかについてはしっかりと決めておかなければいけません。
仮設トイレを作るのか、トイレの排泄部分だけを仮設化するのか、それとも使えるトイレを事前に調べておくのか。
そういった決めごとをきちんと定めておくと、災害のショックで頭が回らないときにでもトラブルの回避はできます。
最近の災害は多種多様なものが起きているので、そのときにどのようなことに困ったのかはさまざまな事例が今ご覧のインターネットなどにもたくさん出ています。
そういった事例を見て、自分のところの対応がきちんとできているかを確認しておくようにしてください。
災害対策も段取り8分です。訓練していないことはできませんし、準備していないものはありません。
仮設トイレや段ボールベッド、物資の配給訓練などさまざまな訓練はされていると思いますが、その訓練に使っている資材についても、きちんと使えるものを準備しておくようにしてください。
日常の延長の災害対策
災害対策というと身構えてしまいがちですが、その目的は「日常生活を守ること」です。
普段の生活を守るための対策を行うので、日常生活の延長として考えるといいのではないでしょうか。
乾物や缶詰など、長期保存できるものを日々の食事のメニューに組み込んだり、風呂の水を貯めておいたり、カバンに水の入った水筒を入れておいたりといった、ちょっとした気遣いがあなたにとっての立派な防災になります。
無理に災害対応用の特別なものを準備するのではなく、普段の生活の中で備えをしていかないと、特別にしてしまうといつかは忘れて存在しないのと同じ状態になってしまいます。
日常生活、例えば電気やガス、水道が止まったときにどうやったら質を下げなくて済むのかを考えて準備をしておくと、それが災害への備えになります。
個人の災害対策は身構えるほど難しくはありません。できるところから少しずつ手をつけて、災害時に日常生活をできる限り維持できるように準備しておくことをお勧めします。
2つのマイタイムライン
さまざまな防災の研修会で取り上げられることが多いので知っている方も多いと思いますが、このタイムライン、2種類必要だということをご存じですか。
一つは、台風や水害などあらかじめ起きることが予測できる災害に備えるタイムライン。こちらは災害前から発災後まで作る必要があります。
もう一つは、発災後から作成する地震用のタイムライン。こちらは予測することができないため、発生してから後の行動計画しか作ることができません。
どちらも作っておくと、いざというときに慌てなくて済みます。
災害時には、冷静なつもりでも冷静な判断が下せなくなっていることが多いですから、自分用のタイムライン、「マイタイムライン」を作っておいて、災害が予測されるとき、そして災害が起きたときの行動を自動化しておくようにしてください。
もう少ししたらゴールデンウイークになります。
新型コロナウイルス感染症の蔓延がなかなか収まらないので、おうちにいる方もいると思いますが、せっかく家にいるのなら、マイタイムラインの作成と併せて、避難経路の点検や確認も済ませておいてくださいね。
お散歩と防災
災害対策の研修会の中で最近よく行われているものに「防災マップづくり」があります。
対象は小学生だったり地域の人だったり、フィールドワークの大学生だったりしますが、行うことはどれも一緒で、その地域の危険な場所、安全な場所、役に立つものを洗い出して一枚の地図に落としていくという作業です。
ただ、普段見ているようでもいざやってみると非常に時間がかかるもので、その地域の住民の方が自分の地域の点検をするのに一日以上かかることはざらにあります。
普段意識していないものは存在していないものと一緒なので、見慣れた場所でも視点を変えると見知らぬ場所になるということなのかなと思います。
ところで、いざ災害が起きると最後にものをいうのは基礎体力。普段からしっかりと動いている火とは、そうでない人に比べるとやっぱりタフです。
普段から歩く習慣を持っておくといいのですが、これまた意識していないとなかなか難しいものですから、あまり運動をしない人はせめてちょっとした時間に家の周りの散歩くらいしてみてはいかがでしょうか。
その散歩の際に、先ほどの「危険な場所」「安全な場所」「役に立つもの」を探したり確認したりということを一緒にやると、あなた自身も健康になって、いざというときにも自分の安全を確保した避難や対策をすることができます。
あまり関連性のない気のするお散歩と防災ですが、意識付けすることであなたの身を守るのに結構大切だと思いますので、できるようならやってみてください。
避難所とお客様
「避難所は、あなたの命を守り繋ぐための場所の提供であって、避難者をお客様扱いしてくれる場所ではない」
当たり前のことなのですが、普段災害対策から遠ざかっている人ほど、避難所で周囲に迷惑をかけるというのはもはや定番のようです。
もし避難先でお客様として過ごしたいのであれば、避難所ではなく、被災地外の民間ホテルや旅館に避難しましょう。対価は要求されますが、対価相応のお客様扱いはしてもらえるはずです。
避難所はあくまでも「場所の提供」なので、衣食で必要なものは全て持参しなければなりません。
ですから、水や食事が配給されないからといって文句を言うのはお門違いです。
布団がないからといって文句を言ってはいけません。寝具が必要なら、避難時に持参しなければいけません。
明るかったり、うるさかったりしても、一般的常識の範囲であるなら、文句を言うべきではないでしょう。
そして、他の避難者が衣食や寝具を持参して快適生活をしていたとしても、それに対して文句を言ったりうらやんだりすることは御法度です。
あなたののどが渇いていたり、お腹が空いていたり、寒かったりするのはあなたの準備不足です。
避難所で家と同じような生活を送ることは難しいでしょうが、できるだけ生活の質を落とさないようにするためには、事前のしっかりとした準備が必要なのです。
さて、あなたの準備はできていますか。