単身世帯でも大家族でも災害は等しくやってきますから、日本に住む以上はどんな人でも災害対策は必要です。
定期的に自分やおうちの災害対策について見直し、検討しておきませんか。
例えば、住んでいる家や部屋は、どのような災害になったときに避難をすべきなのかということは確認しておく必要がありますし、避難先についても経路も含めて確認しておく必要があります。
また、避難の時に持参すべきものは準備できているか、劣化や期限切れで使えなくなっていないかなどの点検も定期的にしておく必要があります。
単身者の場合には家においてある食べ物は酒のつまみだけ、飲み物はビールだけなどという人もいらっしゃるかもしれませんが、長期保存水に加えて、避難するときにはおつまみだけでもよいので持って逃げられると避難先で飢えに苦しまなくて済みます。
災害対策はおうちの数だけ異なる準備があります。どんなおうちにもそのおうちオリジナルの災害対策が存在するものです。
例えばアイテム。普段の生活の中でどんなものを使っていてどんなものが必要なのかを確認し、非常用持ち出し品のリストにそれを追加しておいてください。そうすることで、避難先での生活でもある程度快適に過ごすことが可能です。
ちまたで大きな災害が起きると「こんなはずではなかった」となり、災害後には全国的に非常用持ち出し品の売れ行きがよくなります。でも、しばらくしてまた災害が起きたら「こんなはずではなかった」という方が少なからずいるのは、準備だけして安心してしまってそのうち準備したことも忘れてしまうからです。
準備したら、定期的に見直して必要なものを入れ替えたり追加したりすることで、いざというときに非常用持ち出し品を思い出すことができ、持ち出すことも可能になります。買って安心してタンスの肥やしにするのではなく、準備し続けることが大切です。
これ以外にも、ライフスタイルの変化で対策や準備はどんどん変化していきますから、せめて1年に1回はおうちの災害対策として、日を決めて災害対策の見直しをすることをお勧めします。
月: 2020年10月
災害対策で考えておかないといけないこと
災害対策で個人が考えておいた方がいいことは、災害に遭わなくて済む場所を選ぶと言うことです。
例えば住家を始めとする生活の場なら、ある程度は自分の意思で決めることができます。住む地域を災害に遭いにくい場所にすることで、いざというときでも家に立てこもれば数日は凌げるという状態にしておくことが理想です。
それからトイレと水の備え。飢えは我慢できても、排泄を我慢することは非常に困難ですし身体にもよくありません。
災害に遭っても排泄が確保できるトイレを考えておくといいでしょう。
それから渇きにも耐えるのが難しいですから、飲料水も準備しておきます。住んでいる地域によって準備すべき量は異なり、田舎で水場が多ければ一日から数日分、都会地で水道に頼る環境であれば一週間は確保したいところです。
暑さ寒さや濡れることにも備えておいた方がいいですから、簡単に使える保冷パックや携帯カイロ、タオルや替えの服などもあると便利です。
まずは身の安全。そしてどうやれば衛生的に命を繋ぐことができるのかを考えておくと、災害時にも安心して生活することが可能です。
災害対策でいろいろなものを準備するように言われるところではありますが、全て準備することが困難な方は、とりあえず安全な環境、トイレ、水、季節により保冷パックや携帯カイロ、タオル、そして下着を含む替えの服を準備しておけば避難先でも困ることはあまりないと思います。
災害発生後に送り込まれてくる救援物資は誰もが必要としているものしか運ばれてきません。
自分には必要だが全ての人が必要としているわけではないものについては、自分で準備しておくようにしてください。
絆創膏と応急処置
先日とある小学校の防災クラブで応急処置の練習をさせていただきました。
怪我と手当の方法を考えてきてもらったのですが、その中で「擦り傷は洗ってから絆創膏を貼る。持っていなければ人からもらう」というのがありました。
その子自身は絆創膏は持っていないとのことで、ではどれくらいの子が絆創膏を持っているのかを聞いてみると、参加者14人中、持っていたのは1人でした。
ハンカチで止血処置をするということでハンカチを持参してもらうようにお願いしておいたのですが、うまく伝わっていなかったようでハンカチを持っていない子が数人いました。
少し気になったのが、この子達は怪我をしたときにどのように手当をする気なのだろうかと言うことです。
自分が子どもの頃には、絆創膏を普段から持って歩いている子が結構いたように記憶しています。当然それだけ擦り傷や切り傷などの生傷が絶えない状況だったのでしょうが、今の子はあまり生傷に縁がないのかもしれないなと感じます。
怪我をしなければ怪我の手当もする必要はないのですが、怪我をしたときにいざ手当をしようと思っても、手当をするための部材がなければ手当が難しいように感じます。
今回の練習では、ガーゼを用意して傷口の圧迫止血を行い、その後に包帯を巻いて応急処置をするということを行いました。
ガーゼや包帯は普段の生活ではあまり使うことはないと見えて最初はかなり手こずっていましたが、慣れてくるとくるくると包帯を巻き、上手に留めるところまでできていました。
いきなりでは無理だと思いますが、練習していれば本番でもきちんとできるということだなと思っています。
普段の生活ではさまざまな形で守られているので、応急処置についてもあまり意識することはないかもしれませんが、いざというときには誰かに頼ることはできません。
自分が主役となって自分や周囲の人を助けていかないといけないことを考えると、クラブだけでなく学校の授業の一つとして取り組んでみてもいいのかもしれないなと思います。
災害遺構を訪ねて12・石碑「未曾有の豪雨哀と潤を産む」
益田市、津和野町、吉賀町から構成されている石西地方の災害遺構を探していると、大きく分けて「水害」と「飢饉」の碑がよく建てられています。
この碑も水害の碑で、益田市美都町と浜田市三隅町の市境の民家の庭に、道路に向かって建っているものです。
昭和の水害ということで、昭和18年9月20日、昭和47年7月13日、昭和58年7月23日、昭和63年7月20日の4つの水害のあった日が刻まれています。
実は、碑には平成元年10月建とあるのですが、この碑の来歴がよくわかりません。
裏側を見ても、ただコンクリートが浸食されているのがわかるような部分しか無く、由来を書いたようなものはありませんでした。
調べた限りでは、この碑がここにあることが書かれたものはあったのですが、これが建立された理由や経緯に触れたものはありませんでした。
あまりに奥地に唐突にある碑なので見たらびっくりするかもしれません。
碑を構成している外側のコンクリートの浸食が進んでいるのがちょっと気になりますが、この碑は風雨に耐えて現在も過去の水害の起きた日を伝えています。
【活動報告】第2回高津小学校防災クラブを開催しました
去る10月14日、高津小学校のクラブ活動の一つとして採用していただいた防災クラブの第2回目を行いました。
今回は応急手当のうち出血を止めるための圧迫止血法と安全な場所へ移動させるための搬送法について一緒にやってみました。
最初にみんなに怪我の種類と手当の方法を出してもらいました。毒蛾に刺されたときや切り傷、やけどといった怪我がでてきて、それに対する手当の方法もしっかりと出してくれましたが、やはり最終的には病院で手当をしてもらうという流れで考えてくれていたようで、そこで応急処置と病院での処置という話をさせてもらいました。
そのあと、なぜ出血を止めなければいけないのかということで、人の血液の量は1kgで約80mlであることと、全身の血液量の30%を失うと失血死してしまうことを説明し、実際に体重30kgの場合で血液量はおよそ2400ml、危険になる血の流出量の720mlは、実際に720mlちょうどのトマトジュースのボトルを見てもらいました。
驚いた子、眉をしかめた子、子ども達の反応はさまざまでしたが、圧迫止血法は子どもでもきちんと人を助けることのできる方法であることを理解してくれ、その後の演習には真剣な表情で取り組んでくれました。
圧迫止血法のやり方では、まず最初に自分の腕をハンカチで押さえて圧迫する感覚を掴み、そのあと二人一組でお互いの腕に圧迫止血をして包帯で止めるまでの処置をやってみました。
ガーゼを使った圧迫止血はすぐに理解できたのですが、その後でやった包帯巻きでは、包帯を巻くのが初めてという子も多く、少し苦労したみたいですが、慣れてくると上手に巻けるようになり、処置終了後は使った包帯をきれいに巻いてしまうところまでやってくれました。
搬送法は最初は要救助者を一人で運ぶための方法をやってみました。
脇の下から手を入れて腕を両手で引っ張って移動させるのですが、これが思った以上に難しかったようで子ども達は首を傾げながらいろいろと考えてやっていました。
最後は担架による搬送法で、これは子ども達が担架の周りをぐるりと囲んでみんなで抱え、実際に担当の先生を載せて御神輿のように練り歩いていました。
本当は最後に意識の確認から応急処置、安全な場所への搬送までを一つの流れとしてやる予定だったのですが、時間が足りなくてそこまではたどり着けませんでしたが、技術はしっかりと習得してくれたと思っています。
もし、これから先人を救助しなければならなくなったとき、少しでもこの知識が役に経つといいなと思います。
今回参加してくれた子ども達、そしてお手伝いいただいた先生に感謝します。
給水袋で気をつけないといけないこと
災害後に水道が止まると、近くの給水ポイントまで水をもらいにいくことになります。別に鍋ややかんでもらいにいってもいいのですが、水を補給してもらうには少々効率が悪いことは事実です。そんな時に備えてさまざまな給水袋が売られていますが、この給水袋を買うときに少しだけ意識して欲しい点があります。
今回はそのことについて考えてみたいと思います。
1.持ち運べる大きさの給水袋を知る
断水しているとき、特に自宅避難をしている場合にはできる限りたくさんの水があると助かります。
そのため、自宅避難を考えている人の中には給水袋では無く、18リットルや20リットルのポリタンクを準備している方がおられます。
給水袋に比べて大きなポリタンクは一度の給水で必要な水の量が確保できるので非常に助かる存在ですが、ポリタンクを準備している方は、事前に一度最寄りの避難所から自宅まで、ポリタンクを満水にして運んでみることをお勧めします。
水というのは重たいもので、1リットルあたり1kgの重さがあります。18リットルのポリタンクなら18kg、20リットルのポリタンクなら20kgです。
小さな街であれば給水車が地区を巡回して家の前まで来てくれることもありますが、そうでなければ最寄りの避難所まで水を取りに行く必要があります。
そのとき、避難所から18kgや20kgの水を抱えて家までたどり着けるかどうか。自分の持てる重さを確認してその部分に目印をつけておくと、給水時に重さの目安になって水を無駄にしなくて済みます。
また、輸送用のキャリーを一緒に準備しておくと、ある程度は楽ができますから、ポリタンクを調達するときに考えてみてもいいと思います。
2.給水袋の持ち手に気をつける
給水袋は百円均一ショップなどでも売られており、それを備えている人もおられると思います。
手で持つタイプの給水袋の場合、持ち手の形状に気をつけてください。
袋の持ち手の部分が厚く加工されていればいいのですが、そうでない場合にはあまり重さをかけると指に食い込んで痛い思いをします。
また、そこから袋が裂けてしまったり破れることがありますから、給水袋を買う際には持ち手の強度に気をつけてください。
3.水の出し入れ部分を確認しておく
給水袋を買うときには、なるべく給水口の大きなものを選ぶようにしてください。
給水車の吐水口はいろいろなサイズがあるので、ここが小さいと給水時に水をこぼしてしまいます。
そして、輸送中はこぼれないように口を閉じることができること。
使うときにはしっかりと口が開いて水がこぼれないようなものを選ぶと安心です。
4.給水袋から水を移せるものを考えておく
給水袋はあくまでも水を運ぶためのもので、水を保管するための道具ではありません。水を保管しようにも多くの給水袋ではマチが取られていないので床に置くと水がこぼれてしまいますし、どこかへ吊っておこうとすると重さに耐えられずに破れる袋が多いです。
そのため、持って帰った水を保管する容器を考えておかないといけません。
やかんやお茶用ポット、ペットボトルなど、給水袋から水を安全に移せてこぼれないようになっているものを考えておきましょう。
思いつかなければ、ポリ袋を入れた段ボール箱やバケツでもいいかもしれません。
5.自分の一日の所要量を知る
給水袋は1リットルから5リットル程度のものが多いですが、自分の必要量がわかっていないと足りなかったり余ってしまうことになります。
国の指針では一人一日2~3リットルとされているようですが、飲料水の必要量は人によって異なりますので、余裕のあるときに確認しておくと安心です。
給水車の水は無限ではありません。被災していない浄水施設で水を積み込んで持ってきてくれるわけですから、可能な限り効率的に使えるように考えておかないといけません。
そういう意味では、空いたペットボトルでは水がこぼれてしまって給水タンクの周りが水びたしといったことにもなりかねませんから、空きペットボトルだけでなく、給水袋を用意するようにしましょう。
前段のポリタンクでは、家で給水に使うための蛇口を用意しておくと水を無駄にしなくて済みます。
普段意識していない水ですが、もしなくなったらどのように確保するのか、そしてどうやって運ぶのかについて、非常用持ち出し袋を作るときにはちょっとだけ意識してみてくださいね。
新型コロナウイルスと避難所運営
新型コロナウイルスの流行は避難所の設営や運営方針についても多くの影響を与えています。
それまで割とあいまいだった避難所への避難か自宅待機かについて、基本は自宅待機、その災害で危険な場所になっている場合には避難所へ避難と明確に指示がされるようになりました。
そして、詰められるだけ詰め込んでいた避難所は、ソーシャルディスタンスを確保するために家族ごとに十分なスペースが与えられることになり、避難所の生活環境も一気に改善されることになりました。ただ、そのぶん避難所の収容人員が減らされてしまいましたので、避難所として使える施設を増やす他にも車中泊やテント泊なども避難所の一つとしてカウントされるようになってきています。
今まで避難所では避難者を受け入れることが重視されすぎていて、衛生環境の維持についてはおざなりにされていました。
そのため被災地に設置された避難所ではインフルエンザやノロウイルスといった感染性の病気が一度発生すると蔓延することがよく起きていましたが、新型コロナウイルスの流行のおかげで、避難所に感染症患者の隔離場所が作られることになり、衛生環境が改善されてきています。世界保健機関(WHO)が推奨している難民キャンプの基準であるスフィア基準にようやく追いついてきたといった感じでしょうか。
トイレの問題についてはまだまだ検討する余地があるとは思いますが、それでも災害が起きるたびに改善や改良がされてきており、悪くなってはいないでしょう。
ただ、新型コロナウイルスの影響で避難所の設営や運営方法も以前と比べてずいぶんと変更が加えられていますが、それに対応した訓練や資機材の準備が追いついていません。また、新しい避難先の周知についても避難すべき住民がまだまだ理解できていないということもあります。
新型コロナウイルス騒動がいつごろ収まるのかがわかりませんが、避難所運営に関して言えば、治まったから以前のすし詰めに戻すのでは無く、このまま新型コロナウイルス対策がなされた基準で設置して欲しいなと思っています。
余談ですが、内閣府防災が新型コロナウイルス対策で避難所運営についてのポイントを整理した動画を作成しています。
興味のある方はご覧いただき、参考にしていただければと思います。
新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所運営のポイントについて(内閣府防災情報のページへ移動します)
災害時には最初の行動を一つの流れに決めておく
学校や施設での防災計画ではさまざまな災害に対して対応する行動を決めています。
特に火災と地震に対する計画は、殆どの施設や学校でしっかりと定めているのでは無いかと思います。
ただ、拝見する学校や施設の防災計画の中の火災と地震の行動計画でちょっと気になる部分があり、なんとなくすっきりしないので、今回は少しそれに触れてみたいと思います。
火災や地震が発生したときにどのような行動を取るのかというと、まずは安全確保となります。
では、その次はというと、多くの場合にはなぜか「指示に従って避難を行うこと」とされています。
それまでは「安全を確保しながら指示を待つ」という時間の浪費が行われてしまい、場合によっては避難できなくなる恐れが発生します。これは「不用意な混乱を防ぐ」ことが目的とされているようですが、安全な場所への移動は行動開始の時間が早ければ早いほど安全に避難完了ができるものです。
責任者の指示により確実に避難できることの条件として、全体に確実な連絡が行き届き一糸乱れぬ行動がとれることが必要ですが、果たして作られている避難計画書でそのような理想が実現できているでしょうか。
火災や地震の時に使う避難計画書を作ったことがある方ならイメージができるかもしれませんが、火災や地震の発生時には、責任者は短時間の間に非常にたくさんの判断をし、指示を下さなければいけない計画になっていることが非常に多いです。これは可能な限り状況を制御しようとして起きるもので、例えば軍艦などで行われるダメージコントロールなどの考え方がベースになっています。
しっかりと訓練されている人達ならばそれでいいのですが、多くの場合には訓練はせいぜい年に一度、多い人でも数回程度では、どんな人であれ複雑な行動を取ることはまず無理だと考えなければなりません。
ではどうすればいいか。
答えは簡単で「発生条件に対する行動を単純化すること」です。
例えば、学校の場合で考えてみると、地震が来て治まったら「とりあえず校庭へ全員避難させる」ことにします。この場合、震度の大小は関係なくそう行動することを決めておくのです。そうすると、何も指示がなくても校庭への避難までは自動化されますから、その間に情報を収集し、次の手順を考える時間が作れます。
情報を集めた結果、もしもすぐに津波が来るのであれば校庭から高台や校舎の屋上に避難するようにすればいいのです。また、津波発生から到達までの時間が短いと考えられている地域であれば、避難先を高台や屋上にしておいてもいいでしょう。
火災ではどうでしょうか。
火災の場合にはどこで起きているのかが問題になります。火災警報器は管制板を見ればどこで火災を検知したかはわかりますから、火災発生箇所だけを放送するようにします。それが事実であるか誤報であるかは後で確認すればいいことなので、まずは避難する。その際に火災発生場所が分かっていればそこを避けて避難経路を選べばいいのです。
優先すべきは「各自の身の安全の確保」であって「無駄な行動をしないこと」ではありません。
誰でも安全を確保できるようにするためには、とにかく行動を単純化すること。そうすればとりあえずは何も考えずに行動をすることができます。
「○○の場合には」というような選択肢は、各自の安全が確保されてから責任者が考えればいいことです。最初の行動が自動化されていれば、その間に責任者は次の安全確保のための行動を決める時間が作れますから最終的により確実な安全が確保されます。
災害時における安全のための行動は大げさすぎるくらいでちょうどいいと思っています。
各自の最初の行動が一つに決められている防災計画は、誰もが理解しやすいのではないかと思います。少なくとも、被災時に読み直さないと理解できない難しい防災計画よりもずっと現実的なのではないかと思うのですが、あなたはどう思いますか。
頭の安全を確保する
落下物などからの頭の安全確保は、災害時においては大切になります。
頭が無事で状況の判断がきちんとできるようであれば生き残れる確率は高いですが、他が無事でも頭に怪我をして意識を失ってしまうと、助かる確率は一気に下がってしまいます。そのため、防災訓練などではヘルメットや防災ずきんをかぶって訓練を行うこともよくあります。
ちょっと気になるのは、この訓練でかぶっているヘルメットや防災ずきんが、地震の発生時に本当にすぐにつけることができる場所にあって本当にかぶることができるのだろうかということ。
ヘルメットや防災ずきんをかぶるために怪我をしてしまっては何にもなりませんので、もしそれらを使うのであれば、日頃から身近に備えておく必要があるでしょう。
落下する破片から頭部を守るのであれば、そういった丈夫なものでなくても、例えば帽子でも構いません。衝撃に備えるというのであれば、帽子の中にタオルでも入れておけばそれなりの対策にはなります。
他にも、例えばかばんを手に持っているのであればそれで頭部を守れますし、最悪手で守るだけでもある程度までの保護は可能です。
避難時には両手は空けておいた方が安全確保がしやすいことを考えれば、帽子が一番いいのかなという気がしています。
あるいは、普段から頭上を少しだけ意識しておいて落下物がなるべくない場所を選ぶようにしておくと、あえて頭部を保護する対策をする必要はないような気もするのですが、避難するときには必ずそんな場所ばかりでもないわけで、そのあたりが悩ましいところではあります。
いずれにしても、その場所で何か起きたらどうやって頭を守ればいいのかなということは、普段から少しだけ意識しておいて欲しいなと思います。
靴下とスリッパ
地震に備えて枕元に履き物を準備しておくことについては、災害対策の準備の一つとして言われることが多いものです。
また、非常用持ち出し袋にも履き物を入れておくようにと書いてある防災関係の本もあります。
市販の非常用持ち出し袋にスリッパが入っていることが多いことは興味のある方ならよくご存じだと思いますが、自分で作る非常用持ち出し袋の中にも靴下1組とスリッパを備えておくようにしませんか。
というのも、非常用持ち出し袋にセットされているスリッパは、、履き物の代わりに避難に使うためだけのものではないからです。
例えば、避難後に自宅に帰ったとき、屋内にいろいろなものが飛散している場合に、確実に安全だとわかっているスリッパがあると安心して使えます。
また、被災したときに生活を送る避難所では、衛生管理上、人が生活する空間については殆どの場合土足禁止となるのですが、その避難所の生活する空間で使えるスリッパがあるとは限りません。
その際、スリッパがあると生活空間でも快適に過ごすことができます。また、避難所から緊急で逃げ出さなければいけないときにもとりあえずの足下の安全は確保できます。また、靴下があると足の裏の安全をより確実に確保できますし、例えば水害時の避難などでは冷えた足下を保温することにも使えますから、一組はあると助かります。
避難所で使うだけなら、スリッパは旅行用の折りたためて使い捨てるタイプのもので構いません。でも、避難用と兼用させたいと考えるのであれば、もう一組屋外でも使えるような丈夫なものを備えておくといいでしょう。
避難の時にはいろいろと気にすることの多い足下ですが、避難後のことも考えて準備をしておくとよりいいと思います。