水の特性とハザードマップ

 災害時に備えて、よくハザードマップを見ておこうという内容の話をします。
 ハザードマップは土砂災害特別警戒区域や土砂災害警戒地域、川の氾濫による浸水予想箇所などが記載されていて、災害に備えるときには非常に役に立ちます。

益田市のハザードマップの二条地区の一部の拡大図。河川氾濫は想定されていない地域なので、ハザードマップには土砂災害の情報だけが掲載されている。

 ただ、ちょっと気をつけておきたいのが内水氾濫といわれるもので、これは排水路の排水能力を超えた雨が降った場合に排水路から水があふれ出し、地域の低地を中心に水没してしまう状態を言います。
 この内水氾濫は情報は多岐に渡るためか、ハザードマップでもこれによる浸水情報を提供しているものは少ないようです。
 でも、水は高いところから低いところへ流れていくという特性が理解できていれば、とりあえずその地域でどこの土地が低いのかがわかればある程度の浸水予想場所はわかるわけです。
 山のてっぺんでもない限り、内水氾濫はどこでも起こりうることなので、地図をみて地域の低い場所を確認しておく必要があります。
 地図が読めない、あるいは読むのがつらい方は、国土地理院GSIMAPを使って色づけをすると一目でわかるものができます。
 この地図では、等高線を任意に設定できます。地域で低そうな場所はわかると思うので、その場所の標高を測ってそこから数メートル刻みで色を設定すると、一目で状態がわかります。

益田市の二条地区の例。標高70mを基準として、10m単位で色を変えている。周囲の谷から中央部の青い部分にかけて青色が濃くなり、低地になっているのがわかる。実際に中央部の水色部分では過去の大雨で床下浸水を起こしたことがある。

 オプション扱いの赤色立体地図をセットすると、よりはっきりとわかります。

赤色立体図にしてみると谷筋が集約しているのがはっきりと分かる。中央部の水色の部分は谷筋の水が集まることによって水没する危険があることがわかる。


 標高が高いからといっても洪水は起きる可能性がありますから、こういった地図を上手に使って、地域の安全性を確認していきたいですね。

国土地理院-GSI Maps(国土地理院のウェブサイトへ移動します)

医療と薬

 災害が起きたときに、どうかすると医療行為が止まってしまうことがあります。
 現在の医療行為はさまざまな場面で機械が無いとどうにもならなくなっているので、災害用の発電機が設置されてはいるのですが、災害の種類によってはその発電機が使えなくなることがあります。
 そうなると、医療機械だけでは無くて手続きや電子カルテに至るまで全てが止まってしまい、まともな診療ができなくなります。
 でも、例えば透析が必要な方などは待ってくれとなると生死の問題になります。
 そう言った場合には被災地以外の場所へ広域移動してもらって医療行為を受けてもらうのが現実的なやり方でしょう。
 被災した医療システムを復旧しようとしても、とても数日間で何とかなるものではありませんから、医療機器を使わないと命の危険がある方のために、医療機関は広域で連携しておいた方がいいと考えます。
 また、避難所での生活になったとき、医療体制が安定するまでの間は診察も検査も投薬もしてはもらえません。
 そのため、持病を持っている人は自分の薬をある程度非常用持ち出し袋に入れて置く必要があります。
 1週間から10日分くらいは予備があると安心です。
 かかりつけのお医者様に相談すれば、そう言った配慮をしてもらえることがありますので、ないと命にかかわるような薬を飲んでいる人は、事前に準備しておいた方がいいと思います。
 その上で、お薬手帳があれば、万が一かかりつけの医師や薬剤師との連絡が取れなかったとしても、そのお薬手帳に書かれている薬を見ることで、あなたを診てくれる医師や薬剤師はどのような症状でどのように薬を使っていたのかが分かって事故を防ぐことができます。
 生命に関するような医療行為や薬は、災害に対していくつも対策をしておいて無駄にはなりません。
 自分だけで対策をするのは難しいかもしれませんが、できる手を考えて打っておくことをお勧めします。

学校の危機管理

 文部科学省が各学校が持っている(はずの)危機管理マニュアルの見直し作業をするように通知を出しました。
 ただ、そうでなくても忙しい学校の教員にその作業ができるかどうかは正直疑問です。
 ちなみに、筆者が知っているいくつかの学校の危機管理マニュアルは、やたらと「適切に対応する」という文字が踊っていて、具体的には学校長を始めとする管理職のその場の判断に委ねています。
 こういったマニュアルだと管理職の存在や能力に依存することになります。管理職が優秀なら臨機応変に動けてよいのですが、管理職が事なかれ主義だったり、学校に不在の際に発生した危機については誰も対応ができないというまずい状態を招きます。
 でも、事細かく手順を書いておけばいいのかというと、そういったマニュアルではまず読んでもらえません。読んでもらえないならまだしも、最初から存在していないことにされてしまうこともよくあります。つまり、読んでいないマニュアルは普段存在していないのです。
 言い方は悪いですが、「あり得るかもしれない危機」は、毎日さまざまな「目の前の危機」に追われる教員の中では優先度がかなり低いのです。
 正直なところを書けば、マニュアルは現状でいいので教員の危機管理能力を底上げするのが一番いいのですが、今の状況を考えると望み薄です。
 そう考えると、子ども達の危機管理能力を上げていくしかありません。
 子どもに特化すれば、学校に頼らなくてもさまざまな場面でさまざまなやり方を使って教えていくことが可能ですし、子ども達の能力を嵩上げしていけば、やがて日本全体の災害対策が底上げされていきます。
 それで対応していくしか手がないのではないかという気がしています。
 もう一つ、教員は教育の専門家ではありますが、危機管理の専門家ではありません。
 学校の危機管理をまじめにやるのであれば、危機管理に長けた専門家を配置することも必要です。
 マニュアルだけ立派にしても、それが必要な状況になったときには役にたちません。
 とりあえずは、教員が危機管理ができるくらいの心の余裕が作れるような状況に環境を整えることが先決ではないかなと感じているのですが、あなたはどう考えますか。

【活動報告】災害ボランティアセンター運営者養成講座を受講しました

撮影許可を取っていないため、今回は看板だけ。

 去る6月22日、出雲市の朱鷺会館で島根県社会福祉協議会様主催の災害ボランティアセンター運営者養成講座を受講しました。
 災害時にボランティアを差配するボランティアセンターは、被災地の社会福祉協議会様を中心として設置され、被災地のさまざまなボランティア活動を支援する拠点となるところです。
 今回は4月に起きた松江市島根町の大規模火災で設置された災害ボランティアセンターの活動内容について松江市社協の方からお話を伺い、その後、日野ボランティアネットワーク様による災害ボランティアセンターの運営の考え方やコーディネートの方法の講習、演習などでボランティアセンター運営者としての立ち回り方について学習させていただきました。
 災害時に、被災地ではさまざまな形でボランティアが入って被災地支援を行うことになりますが、そのボランティアの調整や派遣、支援と言った業務は社会福祉協議会様だけで完結できるものではありません。
 縁の下の力持ちということで、目立たないけれど非常に大切な要となる災害ボランティアセンター。
 地元で災害が起きたとき、災害ボランティアとして従事することはもちろんですが、こういった支援側もお手伝いできるような研修体制を組まないといけないなと感じています。
 ともあれ、今回研修の場を設定していただきました島根県社会福祉協議会の皆様、講師をしていただきました松江市社協及び日野ボランティアネットワークの皆様にこころからお礼申し上げます。

【活動報告】自然体験会(初夏)を開催しました

 去る6月20日、みと自然の森で会員向けに自然体験会を開催しました。
 急遽の開催となったため、参加いただけたのが会員の一部になってしまったのですが、みと自然の森で川遊びをしました。
 ここの川は益田川の上流部になるのですが、地形上、雨が降ると一気に増水してしまうことがあります。
 そういったときにどう対処するかについて、空や山、川の様子を見ながら少しだけ説明し、あとは水遊びの時間。

川には何がいるかな?

 ちょうど川魚を見つけてしまって、子ども達は一気に捕獲モードに!
 2時間弱でしたが、たくさんの魚を捕まえていました。

網で魚掬い。上手に交代して魚を狙う。

 地元では「ドロバイ」と呼ばれるタカハヤ。結構すばしっこいのですが、彼らにとっては遊べる獲物だったようです。

捕まえたタカハヤ。時期的な問題か、まだそこまで大きいのはいなかった。

 食べても割とおいしい魚(あくまで主観です。そして骨はとっても硬い!)ではあるのですが、サイズが小さかったのでリリース。

石垣にいた蛇を捕まえる。

 他にも石垣に蛇がいたり、カエルが鳴いていたりと、のんびりした空気の中でちょっと早い夏の川遊びを堪能しました。
 参加してくれた会員の皆様にこころから感謝いたします。

飛散防止フィルムを貼ってもらった

 災害時には窓ガラスが割れて飛散して怪我をするということがよく起こります。
 最近では強化ガラスやペアガラスなどが主流になり、窓ガラスの強度自体はかなり上がっているのですが、それでも被災地に行くと割れたペアガラスや砕けた強化ガラスを見ることがあり、飛び散らないような加工は必要だなと感じています。
 特に、古い家屋では窓ガラスはさほど強度が無いので、住人を守るためにも飛散防止フィルムを貼っておいた方がいいと思います。
 割れても破片で怪我しないように、フィルムは部屋の内側に貼ることが大切です。そして、できるだけ空気やしわができないように丁寧に貼ること。
 そうすることで強度も上がりますし、見た目もきれいです。
 ただ、一つ問題になるのは、ガラス面が大きくなればなるほどうまく貼れなくなること。飛散防止フィルムはのりがついていて、それをガラス面にくっつけることでガラスの飛散を防ぐ構造になっています。ですが、のりの面をガラスにくっつけて貼り付けていこうとすると、風が吹いたりまくれたりして、のり面同士が貼り付いたり。一度くっつくと簡単には剥がれませんし、剥がれた場所はしわしわになってしまいます。
 というわけで、今回は飛散防止フィルムを貼るのに専門家に来てもらって、貼り方を教えてもらうことにしました。
 来ていただいたのは益田市美濃地町で「キラク内装」という内装屋さんを経営をしている澤木さん。
 さっそく貼り方について教えてもらいました。
 澤木さんによると、ポイントは次のとおり。

1.可能な限り、窓は取り外して作業する
窓を取り外して採寸する。原寸あわせだとフィルムが痛むので、計って切ってからの貼り付けとなる。
2.できるだけ窓の寸法に近いサイズでフィルムをカッティングしておく
一回りくらい大きめにカット。大きすぎると邪魔になり、小さいとカットが難しくなる。
3.窓ガラスの貼り付ける面はきれいにしておく
4.のり面どうしやガラスの変な場所にくっつかないように、石けん水をガラス面にしっかりと霧吹きで吹いておく
使用する石けん水の分量は、1リットルの水に対して合成洗剤1滴程度。それでのりの接着効果はきちんと止まるし、ガラスに貼った後に石けん汚れは出ないとのこと。
5.丁寧に貼り合わせ、空気や水はゴムべらを使って丁寧にしっかりと除去する

 いうことで、大きい窓ガラス4枚を1時間半程度で貼り終わってしまいました。

貼り終わったところ。肉眼では見えなかったが、フィルムの反射で一部が虹色になっている。


 作業工賃はそれなりにかかりますので全部を頼むわけにはいかないかもしれませんが、きれいでしっかり、手間なしでできる災害対策なので、風の当たる面や不安な場所だけでも専門家に貼ってもらうという選択肢もありではないかと思います。
 また、もし自分で貼られるときには、ポイントに注意すればそれなりにうまく貼れると思いますので、DIYでも上手に貼ってみてくださいね。

 キラク内装の澤木様、ご協力いただきありがとうございました。

防災グッズと日用品

非常用持ち出し袋の一例。家にあるものだけでも、実は結構作れたりする。

 防災のお話をしていると「防災グッズは高い」「場所を取るから用意できない」といった御意見をいただくことがあります。
 確かに御意見はごもっともです。防災グッズは汎用品に比べるとかなり割高ですし、普段使わないものを保管するのに場所も必要です。
 ただ、防災対策だから防災グッズで全て揃える必要はまったくありません。
 例えば、防災訓練などでよく出てくるアルファ米は軽くて大量に保管が出来、賞味期限も長く設定されています。
 その分1食あたりの単価は高くなっているのですが、これをご家庭で備蓄しておく必要があるかどうか。
 もちろんあるに越したことはないのですが、食べ慣れないアルファ米よりも普段食べている米を準備しておく方が負担も少ないですし更新も忘れずにできます。
 行政機関がアルファ米を整備しているのは、災害時にいきなり大量の食事を提供しなければならない状況が存在しているから。家で普段食べたり飲んだりしているのなら、何も無いという状況は少ないと思いますから、家にある食品を備蓄として上手に使えばいいだけの話です。
 水も同じで、個人宅では長期保存水を備蓄するよりも水筒や空のペットボトルを準備しておいて、災害時にそれに充填するようにしておけば用は足ります。
 必要なのは、全てを災害用として準備するのではなく、どこまで日用品を転用できるのか、どれは防災グッズとして専用で準備しておかないといけないかという交通整理です。
 日常生活で使っているものは殆ど災害時にも使うことができます。悩むのはトイレくらいではないでしょうか。
 トイレに関しては、普段から携帯トイレや非常用トイレを使って生活している人はいないと思いますので、いざというときに備えて防災グッズとして準備しておく必要があると思います。
 逆に言えば、それ以外は普段の生活の中にあるものを転用すればなんとかなるということです。
 普段の生活で使っている消耗品を少しだけ多く準備しておくことで、専用の防災グッズを買わなくても済みます。
 普段使いのものをどうやったら災害時に利用することができるのかを考えてみることも、災害対策としては面白いと思いませんか。

防災用猪まるごとリゾットを食べてみた

作っているのはタケダ猪精肉店さん。アレルゲンフリーとアレルゲン27品目不使用の表示がついている。

 益田市内には防災食として使えるイノシシ肉を使ったレトルトパウチの玄米カレーリゾットを作っているところがあります。
 先日、いくつか手に入れることができたので、試しに食べてみることにしました。

一つ開封して盛り付けてみたところ。一袋230gあるので、お椀に軽く2杯分は取れる。

 見た目は普通のカレーリゾット。香りが良く、美味しそうです。
 味付けはスパイシー。辛いのが好きな人は大好きだと思います。
 肉はイノシシ肉としたら殆ど臭いはないのですが、鼻のいい人は少し気になるかもしれません。
 また、結構しっかりと玄米が混じっているので、食感は若干もごもごします。栄養価は高くて非常食としてはよいのですが、もごもご感が苦手な人、玄米が苦手な人は食べにくいと思います。
 当研究所の試食では、臭いに敏感な研究員Sと玄米の食感が苦手な研究員Mは一口食べてパスしていました。筆者を始めカレー好き、肉好きの研究員達には評判がよかったのですが、万人受けする味ではないのかもしれません。
 防災食としては分量が多いので、食の細い人だと2食分取れるかなと思います。

裏面。温めずにそのまま食べることができると書かれていて、原材料の中にも油が見当たらない。

 レトルトパウチなのでこのままでも食べることができますが、暖めた方がおいしいのは間違いありません。
 若干クセはありますが、玄米に抵抗がない人ならおいしくいただけると思います。
 地元のスーパー、キヌヤさんなどで扱っていますので、気になる人はぜひ買って食べてみてください。

大雨の時の避難

 梅雨というと、しとしとした雨が何日も降り続くというのが昔の風物詩でしたが、最近では短時間で局所的に一気に雨が降って、それ以外は雨が降らないということも起きるようになってきました。
 しとしと雨だと、河川が氾濫したり側溝や用水路が溢れたりするまでには時間がありますから、水位の上昇を見てから逃げても充分に間に合います。
 ですが、短時間で局所的に降る雨だと、気がついてから準備ができた頃には家も道路も水浸しで逃げられないという事態が起こりえます。
 大雨の時の避難は、どのようにしたらいいのかを少し考えてみたいと思います。

1.住んでいる場所の環境を知る

 まずはお住まいの環境が低地かどうかを確認します。
 周辺の土地に比べて低いようなら、避難を考える必要がある場所です。
 また、ハザードマップを確認し、土砂災害が起きる可能性のある地域や河川の氾濫による浸水想定地域かどうかを確認します。
 もっとわかりやすく書くと、凡例で示されている色が塗られている場所は避難が必要な地域と言うことになります。
 この他、低地やハザードマップの凡例の色が塗られていなくても、崖下や崖の上、雨が降ると水の溜まりやすい場所などは、状況に応じて避難した方がよいかもしれません。
 上記に該当しない場合には、とりあえずは慌てて避難する必要はありません。
 ただ、孤立してしまう可能性はありますので、数日分程度の生活物資の確保はしておいてください。

2.避難先と避難経路を確認する

 避難が必要だと判断したら、安全な避難先を考えます。近くの高台でも避難場所でもいいのですが、いくつか場所を決めたら避難路を線で引いてみます。
 ハザードマップの凡例の色つきの場所や、普段見ていて危ないなと思うような場所、低地や崖下、崖上を通るような経路になっていませんか。
 避難先だけでなく、避難経路が安全であることも大切ですから、大丈夫だと思えるまでいろいろと試してみてください。

3.実際に避難先まで歩いてみる

 避難先と避難経路が決まったら、一度実際に歩いてみましょう。地図上で見るよりもいろいろな気づきがあると思います。
 その時の気づきと、実際にかかった時間を記録しておきましょう。

4.避難開始のタイミングを決める

 実際に歩いてみた結果を基に、避難にかかる時間を考えます。
 避難するときには、恐らくすでに天気が悪くて歩きにくい状況になっていると思われますので、歩いてみた時間を1.5倍したものを移動時間としてみましょう。
 その時間を基本にして、避難開始のタイミングを考えます。
 例えば、移動に30分以上かかるようなら、警報が出たら避難するでもいいと思いますし、さほど遠くないのであれば、警戒レベル3で行動開始でもよいと思います。
 警報基準が改正されて「レベル4=避難指示」となりましたが、レベル4が発表されたときでは移動開始が遅くなることも多いですから、判断基準は平時にしっかりと検討しておきましょう。
 早めの行動なら、空振りは多くなるかもしれませんが確実に助かります。

5.非常用持ち出し袋を作っておく

 避難後数日間を過ごせる程度の生活用品を詰めた非常用持ち出し袋を用意します。
 大雨の場合には時間にある程度の余裕がありますから、持ち出しリストを作っておいて、避難前に袋に詰め込んでもいいかもしれません。
 可能であれば生活用品のストック場所を非常用持ち出し袋にしておくと、そのまま避難開始できて便利ではあります。

6.避難したら戻らない

 避難が完了したら、状況が落ち着くまでは避難先に留まるようにします。
 避難所の設置者も「警報解除=安全」で避難所をすぐに閉鎖しようとするのですが、実際には警報解除後に崖崩れが起きたりすることもあります。
 もし夜間であれば、そのまま朝まで避難所で待機して、周囲が明るくなってから帰ることをお勧めします。
 自分の目で安全が確認できるようになったら避難解除と考えて行動するようにしてください。

 大雨時の避難はタイミングと避難先が結構難しいものです。
 平時に少しだけ時間を作ってルールを決めておくと、いざというときに迷わず行動することができます。
 あなたの命を守るために、しっかりとした行動をするようにしてくださいね。

ペットの避難を考える

 ここ最近の大規模災害とその後のさまざまな出来事から、避難所でもペットを受け入れようという動きが出ています。
 ただ、問題なのは想定されているペットが犬や猫ということ。
 そして同行避難が認められている避難所であっても、同伴避難といって避難所で一緒に生活することはできないことも多々ありますから、避難先で何が起きるかは正直なところ誰もわかりません。
 現在、ペットブームというわけでもないのでしょうが、小はハムスターや鳥、蛇、フェレット、大はやぎや馬まで、ご家庭には実にさまざまなペットがいます。
 そのペットの全てが避難所に避難してきた場合、果たして全てを受け入れることができるでしょうか。
 例えば、ハムスターと猫が同じ部屋で一緒に過ごせますか。普段散歩で会うと喧嘩している犬同士が同じ避難所で生活できますか。フェレットはどうですか。蛇や金魚、カナリアやオウムではどうでしょうか。
 そう考えると、避難所に避難する選択肢よりも、避難所に避難しなくてもすむような選択肢を考えておかないといけません。
 例えば、耐震性があって、水に浸からず、崖崩れの心配のない場所で生活をすることができるなら、ペットだけで無く人間も避難しなくて済みます。そういった環境なら、万が一、人間が避難しなくてはいけない事態になってもペットは家で過ごすことが可能なのではないでしょうか。
 域外避難の場合は状況が異なりますが、家が安全であれば、数日間えさとトイレの心配さえなんとかなれば、ペットだけで過ごしてもらうことは十分可能です。

 また、被災地外の動物病院やペットホテル、一時預かりをしてくれるNPO団体にお願いするのもいいでしょうし、ペットがなついている人がいるなら、その人に当座の面倒を見てもらうというのもありだと思います。
 キャリーケースに収まってもらったり、しつけをしておくことはもちろんですが、そもそもペットが避難所に避難しなくても済むような環境を作っておくことも、飼い主の責任の一つなのかもしれませんね。