新型コロナウイルス感染症のおかげで災害ボランティアの動きも鈍くなってしまっていますが、参加できる地域の方はできる範囲でボランティア活動をしていただけるといいなと思っています。
ところで、ボランティアセンター経由で災害ボランティアに参加する場合には、社会福祉協議会でボランティア保険に加入することが前提となります。
このボランティア保険、基本は活動日の前日までにお住まいの地域の社会福祉協議会窓口で手続きをしておいてくださいね。
大規模災害の場合には、現地のボランティアセンターに保険の受付窓口が設置されて保険をかけたその日から適用してもらえる場合もありますが、あくまでも例外対応です。せっかくボランティアに出かけたのに保険に未加入で参加できなかったというのでは悲しいと思いますので、そこは気をつけておいてほしいなと思います。
また、災害ボランティアは活動内容が多岐に渡りますが多くの場合は泥出しや洗浄といった汚染除去という仕事になります。
汚泥にはさまざまな菌が居ますが、その中でも破傷風菌はけがをしたり傷口があった場合等に感染しやすくなりますし、感染すると死亡するリスクもかなり高くなりますので、怪我をしない対策が必要です。
具体的には、ゴーグルをかけ、マスクを着用すること、作業時には肌の露出はできるだけしないこと、履いている靴はがれきや破片、釘などが貫通しないように安全中敷きを入れる、手袋も防刃のものを使うなど、リスクをできるだけ下げるようにしておきます。
ただ、それでも怪我をするときにはしますので、破傷風ワクチンの接種もしておくようにしてください。
破傷風ワクチンは正しく接種すると10年は免疫が続き、効果も大です。
なお、すぐにワクチンが無い場合もあるようですので、接種について詳しくはあなたのかかりつけ医に相談してください。
せっかくボランティアに出かけたのに破傷風にかかって大事になるのは避けたいですから、怪我しない対策と、怪我しても破傷風が発症しないようにしておくことはとても大切です。事故のないボランティア活動になることを願っています。
汗ふきシートと身体ふき
災害時に身体の衛生状態を維持するのは割と大変なことですが、あなたはどのような準備をしていますか。
口腔衛生用として歯ブラシや歯磨きシート、そして身体をさっぱりさせるのには身体ふきシートを、それぞれ準備しておくといいと思います。
身体ふきシートでは、よくノンアルコールのお尻ふきを準備するように書かれたものを見ますが、身体をきれいに保ち、かつ誰にでもどこでも問題なく使えるという点で非常によいものだと思っています。
ただ、さっぱりとはしますがすっきりとはしないので、よりすっきり感が必要だと思われる方は、よく学生さんが使っている汗ふきシートを利用することをお勧めします。
かくいう筆者は、先日山に登った際にこの汗ふきシートで汗を拭いてみて、その効果にびっくりしました。
べたつきがすっきりと取れ、少しの間でしたが汗がしっかり止まり、つかの間ではありますが非常に快適な時間を過ごすことができたのです。

夏場の避難所では、エアコンのない場所も非常に多いですが、そう言った場所でこういった汗ふきシートが使えれば、思ったよりは快適に過ごせるかもしれないなと感じました。
汗ふきシートはお尻ふきほどしっかりとしたものではありませんが、両方を上手に使うと身体がかなり衛生的に維持できるのではないかと思っています。サイズも量も持ち歩くにはちょうど良い感じで、夏場の出掛けた先での汗対策を兼ねてローリングストックしてもいいかなと、筆者自身は考えています。
【お知らせ】令和3年7月大雨の災害義援金受付のご案内
令和3年7月6日からの大雨で、島根県東部を中心として県内でもあちこちで被害が発生しました。
このうち、被害のひどかった出雲市や雲南市では災害ボランティアセンターも設置されて災害ボランティアの受付もしていますが、新型コロナウイルス感染症対策のため地元に限定しての募集となっています。
ただ、義援金による支援は可能ですので、支援をしたいという方はぜひご協力をお願いします。
詳しくはリンク先の「令和3年7月島根県大雨災害義援金の募集について」をご覧下さい。
「令和3年7月島根県大雨災害義援金の募集について」(島根県のウェブサイトへ移動します)
携帯トイレと使い方

非常用持ち出し袋には携帯トイレを入れておくということは、このウェブサイトでも嫌になるほど書いているところですが、この携帯トイレについて説明が不足していたなと思ったので、今回はそれを追記しておくことにしました。
携帯トイレは、文字通り持ち運びできる簡易的なトイレなのですが、書かれていない問題点があります。
それは、ほとんどのものは小専用だということ。
「男女兼用」と書いてあっても「大小兼用」とは書かれていないと思います。もしも「大小兼用」と書かれた物をお持ちの場合には、それはぜひ持っておいて欲しいと思いますが、そうでない場合、もし非常時に大きい方を催したときにはトイレがあるのに使えないというひどい状態に陥ります。
ではどうするか。
筆者のお勧めは、ペット用、できれば猫用のシートを準備しておくことです。

猫を飼っている方はご存じだと思いますが、猫のおしっこは非常に臭います。そのため、猫用のペットシートは吸収能力の他に消臭能力もかなり優秀なものを持っています。
それを敷いて用を足し、終了後は包んで消臭効果のあるビニール袋などに密封しておけば、持っていることを忘れるくらい快適に持ち運びができます。
和式トイレが使える方なら、この方法で排泄処理はできると思いますので、携帯トイレを持ち歩かなければいけない環境の方は、是非一度試してみて下さい。
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水害について考える日
今日7月23日は昭和58年豪雨による水害があった日です。
当時は総計で548mm(諸説あり)の集中豪雨で島根県西部の多くの河川が決壊し、大きな被害が発生しました。ただ、当時どのようなことが起きて何があったのかについては、報道発表など以外の記録というのは案外残っていない状態で、記録の承継をすることが急がれているのでは無いかという気がしています。
ところで、ここのところ毎年国内のどこかで水害が起きているのですが、その雨量を見ていると、どうかすると1,000mmを超えているようなケースが出てきています。
これだけの雨が数日で降るような状況だと、避難レベル3から一気に避難レベル5になって避難レベル4を飛ばしてしまうような事態も発生することになり、避難情報が発令されてから避難をしたのでは遅いという状況が起きるようになってきました。そのため、あらかじめ大雨が降ったらどうなるのかと言うことをきちんと知っておく必要があると思います。
河川に関しては、国が管理している部分の一級河川について水害による浸水想定が出されていて、これは国土地理院の「浸水ナビ」で確認することができます。
また、県管理河川についても、浸水想定が出されているものもありますので、お近くの河川が氾濫したらどうなるのかということを一度確認して置いた方がいいと思います。
ハザードマップでは、多くの場合50年に一度くらいの水量を計算して浸水域が設定されているようですが、「浸水ナビ」では、国管理河川に限定されているとは言え最大浸水想定が出されていますので、最悪の場合を想定することができると思います。
最近の天気を見ていると、水害はいつ起きてもおかしくないという印象を持っています。
ハザードマップだけで無く、国土交通省や都道府県、市町村が出している河川ごとの浸水想定域などの地図も参考にして、避難が必要かどうか、そして避難する場合の避難先と避難経路について、確認して準備しておくようにしてくださいね。
水遊びでは静かなときこそ危険サイン

プールなど、監視員がしっかりと監視しているところでも水難事故は起こります。
特に溺れて亡くなる溺死は毎年どこかで必ず起きています。
監視員がしっかりと見ているはずなのに、どうして溺死してしまうのかというと、それは人が溺れるときの特徴があるから。
人が本当に溺れているときには、静かに沈みます。
そのため、たくさんの人がばちゃばちゃと遊んでいるような状況だと、溺れていることには非常に気がつきにくいのです。
よくテレビドラマなどで溺れている人が「溺れる! 助けて!」と大騒ぎするシーンがありますが、あれは意識もあり呼吸もできていますのでそこまで危険ではありません。
実体験の範囲で書くと、本当に溺れているときには息ができません。息ができないから身体が動かない。息をしようと口を開けた瞬間に水を飲んでしまって、これが続くとそのまま溺死してしまうのかなと思っています。筆者自身はなんとか助かりましたが、やはり静かになったので気がついてもらえたようです。
子どもが複数になると、なかなか一人一人には目が届きません。手のかかる子がいるとなおさらです。静かになったときにこそ何か起きていると考えてください。
溺れないように、水遊び前には必ずライフジャケットを正しく着用してください。
ライフジャケットをつけたからといって絶対に溺れないわけではありませんが、溺れる危険性はかなり低くなります。
せっかくの楽しい水遊びです。
子どもも大人も、水に入るときにはライフジャケットを着用して楽しめるようにしたいですね。
水遊びとライフジャケット

新型コロナウイルス感染症は屋外では移りにくいということで屋外でのさまざまな遊びが脚光を浴びているようですが、暑くなってきましたから水遊びしたいと考えている人も多いのではないかと思います。
プールのように監視がしっかりとしていて流れのない場所ならともかく、川や海、湖で遊ぶときに必ず着用して欲しいのがライフジャケット。
何をどうしても浮くようにできていますので、正しく着用していれば溺れる可能性はかなり低くなります。
呼吸する口や鼻が水の上に出ていればとりあえずなんとかなりますので、子どもだけでなく、水遊びをするときには大人もライフジャケットを着用して起きたいですね。
また、身体の本体を覆うような構造のものが多いので、胴体の日焼けを防ぐこともできますし、体型が気になる人にも最適です。
ただ、ライフジャケットは構造上断熱効果が非常に高いので、陸上で休憩やご飯の準備をしているときにも着用したままでいると熱中症になる危険性がありますので注意が必要です。
ところで、気をつけたいのが事故が起きたときです。
ライフジャケットをつけた人、特に子どもは流されると慌てて救援を求めることがあるかもしれませんが、その声を聞いても慌てて飛び込んではいけません。
ライフジャケットは浮きます。浮いて声が出せているということは、溺れてはいないということですから、慌てる方が危険です。
慌てて救助に向かうと、ヘタすると二重遭難してしまうことがあります。
遭難していると思っている人は必死です。
もし救助者が来てくれたなら、ほぼ100%救助者にしがみつきます。
そうすると、救助者は自由が聞かなくなるので溺れてしまうし、ライフジャケットの浮力も不足することになるので一緒に沈むことになりかねません。
まずは遭難者を落ち着かせ、救助者も落ち着くこと。
ライフジャケットの浮力があれば、滝でもない限りとりあえずは大丈夫ですから、まずは落ち着きましょう。
ちなみに、ライフジャケットを着用していると泳ぐことは結構難しいですので、とりあえずは浮いて流されるままにします。
浅瀬があればそこで上陸すれば助かりますし、浅瀬がない状態でも、泳いで体力を無駄に消耗するよりは流れに任せた方が無難です。
携帯電話が通じるのであれば、119番通報して救助装備を持つ消防の出動を要請します。
もしも手元に空のペットボトルと長くて軽い紐があるのであれば、紐をくくっておもり代わりの水を少し入れたペットボトルを投げて遭難者に掴ませ、たぐり寄せて救助ということも可能ではあります。
見落としがちですが、釣り用の釣り糸も案外丈夫で使うことが可能です。リール付きであればペットボトルをより遠くに飛ばすことも可能ですから、念のため覚えておいてください。
楽しい水遊びで悲しい事故が起きないように、水遊びではライフジャケットを身につける習慣を身につけたいものですね。
【活動報告】水遊び&水難事故防止講習会を開催しました。

令和3年7月18日、益田市匹見町の広見川で水遊び&水難事故防止講習会を開催しました。
当日は小雨の降るちょっと冷える天気で、予定していた沢登りは中止し、水遊びしながら水難事故防止について説明をさせてもらいました。
ライフジャケットの着方から、水遊びの諸注意を行い、岩からの飛び込みをした後、少しだけ水に流されたときの方法について説明をしました。
参加した人からは「着衣水泳と一緒だね」というお話をいただきましたが、基本は着衣水泳と同じです。
ライフジャケットがあって浮力がある分、気持ちに余裕が生まれるため、生存率が上がることは間違いありませんので、ちょっとした水遊びでもライフジャケットは必ず着用してほしいと思います。

前回の水遊びに参加してくれた子ども達は、今回は各自網を持参して魚取りを一生懸命にやっていました。ハヤ類やゴギの小さいのがたくさん取れて、やまめを捕まえると息巻いていましたが、残念ながらヤマメは簡単には捕まりません。寒さに震えながらの魚取り大会となりました。

途中から気温・水温ともに下がってきましたので、1時間あまりで水遊びは終了し、その後用意した豚汁などのお昼ご飯を食べて終了となりました。
今シーズンは会員及び会員のお友達に限定しての企画となっていますが、親子で一緒に水の怖さと楽しさを知ってもらえたらうれしいです。
参加していただきました皆様にお礼申し上げます。
【活動報告】二条公民館で防災教室を開催しました。

去る7月15日、益田市二条公民館の二条公民館お楽しみ教室の一コマとして防災教室を開催させていただきました。
ご依頼のテーマは「大雨」。
前半では大雨とハザードマップを使った安全確認について、後半は自分の備蓄という二本立てでやらせていただき、なるべく「参加者の方の場合」という視点で作業ができるようにしてみました。
平日の夜ということで、皆様お疲れだったのではないかと思いますが、参加者された皆様は非常に熱心に受講され、さまざまなご質問もいただき、講師としては非常に楽しい、あっという間の1時間半でした。
また、非常食や非常用持ち出し袋の展示もさせていただき、実際に目で見てどのようなものかの確認もしていただけました。
「段取り7割」という言葉がありますが、災害対策も事前準備があるのとないのではその後の対応にも雲泥の差が出ます。
誰が聞いても同じ内容の研修なのではなく、地域や人に応じて内容を細かく変え、より災害対策を身近に、自分のものとしてもらえるといいなと思っています。
今回の防災教室に参加してくださった皆様が災害時に安全に過ごせるように、こころから願っています。
参加してくださった皆様、そしてお声がけくださった二条公民館の皆様にお礼申し上げます。
防災と減災
当研究所の名前は「石西防災研究所」ですが、実は防災が完璧にできるとは思っていません。
どういうことかというと、日本は災害列島と呼ばれるくらい災害の多いところであり、どこに住んでいても何かの災害は必ず起きます。
安全な場所がない以上、災いが起きるのを限りなく0%に近づけることはできても、100%防ぐことはできません。
例えば何十億円というインフラ投資を行っても、それ以上の自然の力が加わればかならず被害は出るわけで、もし完璧な防災ができるのなら、災害時の「想定外な事態」は発生しないのではないでしょうか。
では、「災いを減らす」減災はどうか。
発生した災害から受ける被害をできる範囲でなくしていくこと。
全てを守るのではなく、できる範囲でできることを行い、結果として被害を小さくすること。
例えば、事前にどんな災害が起きたらどこへ避難するのかや、逃げ出すタイミング、
それが減災で、これならさほどお金や労力をかけなくてもできるような気はします。
発災しても一切の生活を変えないように備えるのが「防災」、発災したときに自分の命を守り、自分が生活し続けることができるようにすることが「減災」です。
100%を目指さないのであれば、別にどちらでも構わないと思いますが、もしあなたが自分の財産を使って行動するとしたら、どちらを目指しますか。