台風の風

 今週から来週にかけて、2つの台風が本土を通過するかもしれない予報が出ています。現時点ではさまざまな要因が複雑に絡み合っていて、予報円がものすごく大きくなっているのでこの後どうなるのかはわかりにくいのですが、それでも直撃すると雨風がひどくなるのかなとは思っています。

 ところで、台風は上空から見て右側と左側で強さが異なっていることはご存じですか。
 極端に強さが違うわけではありませんが、左側に比べると右側の方が風雨が強いです。台風の衛星写真を見てみるとわかりますが、中心の目からみて進行方向右側が大きく雲を従えていて、左側はそうでもないことが見て取れると思います。
これは台風の回転が反時計回りになっているため、台風が進む風と台風自身の風が合わさることで左側に比べて勢いが強くなっています。
 また、台風の目の部分は無風地帯であることが知られていますが、目の形がはっきりしているものは勢力が強いです。そして、その目の周囲が最も風の強い場所となっているので注意が必要です。
 最後に、風は狭い場所を通るときに力が強くなります。
 そのため、入り江や谷間、ビルの間といった場所では実際の台風の勢力以上の強風が吹くことがありますので、台風が来ているときにはできるだけそういった場所を避けた方が無難です。
 ここ最近海水温が高い状態で推移していますので、台風も勢力を維持、どうかすると勢力を増しながら本土に近づいてくることも増えました。
 台風シーズンになる前に、屋根や雨樋などの修理、側溝の掃除、家の周りの片付けなどを行って、いざというときに慌てなくて済むようにしておきたいですね。

日焼けとやけど

 日焼けはやけどの一種ということはあなたもご存じだと思いますが、やけどでは水で冷やしたり薬を塗ったりするのに、なぜか日焼けではそこまで神経質にはならないようです。


 肌の弱い人では、日焼けすると真っ赤になったり水ぶくれができたりすることもありますので、日焼けもやけどと同じような手当が必要になります。
 やけどでは、やけどした箇所をいかに早く長くしっかりと冷やせるかがその後の処置の鍵となりますので、日焼けでももし肌が真っ赤になっているようでしたら、しっかりと冷やして日焼けがそれ以上進行しないように気をつけておきましょう。
 単に真っ赤になっているだけだと大したことないと思うかもしれませんが、真っ赤になるだけでも面積が広くなると全身に出てくる症状はひどくなります。
 例えば、全身が日焼けで真っ赤になっている状態で全身の倦怠感や吐き気などが発生した場合には、その原因に日焼けを疑ってみた方がよさそうです。
 また、冷やすには一般的には冷水を使うことが多いですが、非常時には冷却スプレーや瞬間冷却剤でも役に立ちますので、しっかりと冷やすことを主眼に手当をするようにします。
 もしも水ぶくれができているときには、その水ぶくれを破くと化膿する恐れがありますので、水ぶくれが破れないようにガーゼなどで覆った上で病院に行って処置をしてもらいましょう。
 非常時で病院処置ができない場合には、炎症を抑える働きのあるステロイド剤を配合した軟膏を塗っておきます。
 日焼けの予防法としては、やはり肌の露出している部分全体にしっかりと日焼け止めを塗ること。日焼け止めは汗で流れることも多いので、休憩のたびにしっかりと塗り直すようにしてください。


 そしてできるだけ直射日光に当たらないような服装を意識しておくことが重要です。
 また、火照る程度の日焼けであれば、以前ご紹介したカーマインローションなどを使うと割と早く肌が収まりますので使うことも考えてみて下さい。

輻射熱に気をつける

 暑い日が続きますが、それでも健康のためにということで、早朝や夕方、夜間に散歩やランニングをされる方は多いようです。
 その時に一つだけ気をつけておいて欲しいことがあります。
 それは、アスファルトからの輻射熱。
 アスファルトは熱を蓄える性質があり、地面に近づくほど気温が上がりますので、大人よりも子ども、子どもよりもベビーカーにのる赤ちゃんや散歩しているイヌの方がより暑さにさらされているわけです。
 直射日光を防ぐということでサンシェードを出してお散歩しているベビーカーを見ることがありますが、地面からの輻射熱でベビーカーの中が煮えている可能性もありますので、風通しよくして、温度管理には細心の注意が必要です。
 また、イヌの散歩をするときに、アスファルトからの輻射熱だけで考えれば夕方や夜間よりも早朝の方が安心できると思います。
 ついでに書くと、着用している服も黒いものよりは白いものの方が熱を反射してくれますから、色も意識してもらえるとより安心できると思います。
 アスファルトは熱を貯めて夕方から夜間にかけてゆっくりと放熱する性質があります。そのため、都会では夜間でも気温が下がらないヒートアイランド現象なども起きやすいです。
 あまり意識はしていないかもしれませんが、地面からの輻射熱にも意識を向けておきたいですね。

雷に気をつける

 夏の天気で夕立とセットでよく出てくるのが雷です。
 雷は湿った空気が上昇気流によって上空に集まった水蒸気が凍ってぶつかることで空気が帯電し、限界を超えたときに地上に逃げる電気を指します。
 昔は雷が光ってから音がするまでの時間を計って安全かどうかを確認していましたが、現在では「音が聞こえる=雷が落ちる危険性がある」という整理がされています。
 この雷、雲の量や大きさによって数分から数時間暴れるわけですが、どうしたものか尖ったものに集まる習性があります。
 そのため、雷の中で傘をさして歩いていたりすると、落雷する危険性が上がりますので注意が必要です。
 また、雨宿りするときには木の下は避けましょう。もしも木に雷が落ちると木よりも電気を通しやすい人体に雷が飛んできてしまって大けがをすることがあります。
 落雷時には、なるべく姿勢を低くしておくことが望ましいです。なるべく姿勢を低くして、近くの建物などに逃げ込むのが身を守る方法です。
 雷は割と予測しにくいようで、雷注意報が出ていてもなんともないこともあれば、何も出てないのに雷が鳴りまくっていることもあります。
 空中放電や雷の音が聞こえたら、なるべく早く近くの建物などに逃げ込む、逃げ込めない場合は、身につけているもので身体から出ている突起類を可能な限り収納し、できるだけ低い姿勢でやりすごす。
 雷は当たるとよくて大やけど、へたすると死んでしまいますから、雷が鳴ったら、できるだけ早く安全対策を取るようにしてくださいね。

【活動報告】川遊び体験会を開催しました。

 令和3年8月1日、会員様からのご要望で益田市隅村町の匹見川で川遊び体験を開催しました。
 当日は非常に良い天気で、最近雨が降っていないことから水量も少なく、小さな子でも割と安心して遊べるような状態のなかの川遊び。
 今回はあまり難しいことはいわず、川に飛び込んだり流れてみたり、魚を網で捕まえようとしたり、水辺の生き物を観察したりと、それぞれに遊びを楽しんでいました。

川の流れの強さを渡ってみることで体験してみる。


 とはいえ、水の怖さを知ってもらうという意味も込めて、目標を決めて流れを横切って渡ったのに思った場所にたどり着けないことや、流されたときに流れに逆らって泳いでもまったく進まない体験などをしてもらい、ライフジャケットでの流れ方や浮き方なども体験してもらいました。

両手両足を広げて浮いてみる。顔を起こして流れる先が見えるのはライフジャケットの効果。

 参加した子ども達はライフジャケットを着たり脱いだりしながら川での浮き方やライフジャケットの調整法を体験し、ライフジャケットを正しく着ると安心して遊べると感じてくれたようです。
暖かかったこともあって途中休憩を挟みながら2時間、しっかりと川遊びを楽しみました。


 ちなみに、川魚はすばしこくて一匹も捕まえることができず、当所研究員は悔しがりながらそれでも写真を撮っていました。
 今シーズンは会員及び会員のお友達に限定しての企画となっていますが、親子や家族で一緒に水の楽しさや怖さを知ってもらえたらうれしいです。
 突然の開催にもかかわらず参加していただきました皆様にお礼申し上げます。

その非常食の食べ方を知っていますか

アルファ米いろいろ
非常食は自分にあったものを選びましょう

 非常用持ち出し袋は結構知られるようになり、備えている人も増えているようです。
 ただ、中に入れているものの使い方がわからなければ、どんなに備えても何もないのと一緒で、準備したら使ってみて自分に合う合わないを確認しておく必要があります。
 その中でも、特に非常食はいざというときに悩んだりトラブルになったりするものなので、作り方と必要な道具、それに食べ方は実際に試してみたほうがよいと思います。
 例えば、よくあるのがアルファ米ですが、自分が準備しているアルファ米をどうやって作ってどうやって食べれば良いのか、そしてどんな味がするのかわかっていますか。
 アルファ米は同じ名前でも製造会社が異なれば当然味も異なります。そして、実は作り方もちょっとずつ違っていたりします。
 内容物や加える水の量、水を加えた後の処理、そして出来上がりと試食。実際にやってみることで意外な発見がたくさん出てくると思います。
 当研究所で「アルファ米を食べてみる」という企画をやると、放っておくと中の乾燥剤やスプーンをそのままに水を加えてみたり、水の量を適当にしたり、撹拌せずにいてうまく戻ってなかったり、味が好みでなくて凹んでしまったり、いろいろと面白いトラブルが起きます。
 いざというときに備えて「準備する」という行為の中には、非常時にきちんと使えるように練習しておくというのも入っています。
 とくに非常食はいざ食べるときにトラブルになると気持ちが一気に落ち込んでしまいますので、しっかりと作り方や食べ方をマスターしておきましょう。

避難を判断する鍵の見つけ方

 災害時に避難が遅れてしまう理由の一つに、「どのタイミングで避難すれば良いのかわからなかった」というのがあります。
 まずいと思ったらさっさと避難すれば良いと思うことは簡単なのですが、実際にその立場になると、避難するか避難しないかの判断に迷ってしまうことは非常によくあることです。
 これは避難を判断するための鍵をきちんと決めていないから発生するので、避難開始を判断する鍵さえきちんと決めてあれば、悩まずに自動的に行動を開始することができます。
 そして行動を考えずに自動化しておくことで、判断に要する時間を省いて素早く行動できるようになり、結果的に確実に自分の命を助けることができることになります。
 では、どのようにして鍵を見つけたら良いのでしょうか。
 まずはあなたがいる場所がどのような災害で避難が必要なのかを知ることです。
 あなたがいる場所はどのような災害に陥る可能性があり、どの災害の場合に避難が必要なのかを整理しておくこと。
 それによって該当する災害以外はとりあえず避難が必要ないことがわかりますから、それだけでもだいぶ落ち着くと思います。
 次に、避難が必要な災害で、どういう理由で避難をすべきなのかを整理します。
 例えば、低地であれば浸水してしまうから避難が必要になるわけですし、土砂災害警戒区域などに住んでいる場合には、土砂災害が起きるから避難が必要になります。
 それらの理由をとりあえず洗い出し、そういった状態になる前とはどのタイミングかを考えてみます。
 例えば、浸水の場合であれば近くの排水路から水が噴き出すようになったら逃げられなくなる可能性が高くなりますし、土砂災害であれば、焦げるようなにおいや普段見ない場所からの水の流出といったちょっとした変化が前兆になることが多いです。
 そうなる一歩手前で避難を開始することが、身の安全を守る一番の方法です。
 例えば、排水路から水があふれ出しそうなくらいの雨が降っているなら避難の準備を始める。土砂災害では、小さな異変を確認したり、何も起きていなくてもなんとなく嫌な感じがしたら避難開始という風に決めておくことで、その状況になったら考えずに避難を行うことにしてしまうのです。
 本当に避難が必要だったのかどうかは、その災害が収まってみないとわかりませんから、何もなければ儲けものと考え、まずは避難行動を起こすタイミングを決めておけば良いのです。
 自分で考えるのが難しい場合には、近所の知り合いなどに声をかけておいて、いざ避難するときに一緒に行動できるようにしておけばいいでしょう。声をかけられた方はちょっと大変ですが、自分の避難行動を見直す良い機会になると思います。
 災害の避難はその場で避難するかどうかを考えるのはかなり無理があります。
 事前に避難開始の鍵を自分の中で決めておいて、本番では何も考えずに鍵の要件を満たしたらすぐ避難という風にしておきたいですね。
 ちなみに、避難所に避難しようと考えている場合には、その避難所が開設されている必要がありますから、事前に避難所の開設者に開設する条件を確認しておくとより安心ですよ。

逃げ道マップを作ろう

当研究所が行っている防災マップづくりの一コマ。実際に地域を歩いて確認するところから始まる。

 災害対策として、地域の危険な場所を洗い出してそこから早めに避難するというのは割と言われるようになってきていますが、避難する道をどうするかということと、その道が安全かどうかの点検までちゃんとできていますか。
 実は同じ避難所に避難するとしても、大雨と地震では避難に使える経路が異なることが殆どです。
 例えば、大雨では低地では無く高い場所を繋いで避難を考える必要がありますし、地震では地面の高さよりも周囲の構造物が壊れたり倒れたりしないことが重要です。
 そういった避難経路の情報というのは、意識しながら実際に歩いてみないとわからないことがたくさんありますので、実際に歩いてみて、逃げるための道、逃げ道マップを作っておく必要があるのです。
 地域の安全点検とあわせて、実際に歩いてみて確認してみること。
 地図上では歩けるはずなのに、道がでこぼこだったり、溝があったり、草に埋もれていたり、急な坂道の連続だったりと、逃げ道を決めるのは案外と大変なことがわかると思います。
 その上で災害の種類に合わせて逃げ道を変更するのは、正直言って大変な作業になります。
 ただ、大きな災害時には避難中に遭難してしまうことがよく起きていますので、それを防ぐためにはこういった作業が必要です。
 危険なくらい暑い時期ですので、日中出歩くわけにはいかないかもしれませんが、早朝や夕方、ご家族や友人と一緒に散歩しながら逃げ道を確認してみるのもよいのではないでしょうか。

いろいろとある警戒レベル

 災害が起きそうなときには市町村や都道府県などの地方自治体、気象庁、国土交通省などからさまざまな警戒情報が発表されます。
 自分の身の安全確保のためには提供される情報が増えるのは大歓迎なのですが、この警戒情報、全てレベル表示されるというのがややこしい元になっています。
 結論から言えば、市町村の出す警戒レベルだろうが都道府県や気象庁、国土交通省が出す警戒レベルだろうが、レベル3以上になったら危険な場所に住んでいる人はさっさと逃げろということなのですが、言い回しがいろいろとややこしくなって、レベルの意味がうまく住民に伝わっていないのでは無いかと思うことがあります。
 市町村以外が出す警戒情報は避難のための警戒情報を出すために必要とされる参考情報で、最終的な避難情報はこれらの参考情報を総合的に判断して市町村が出すことになっています。そのため、市町村以外が出す警戒情報は「警戒レベル相当」という不思議な言い回しをしています。
 もっとも、住民がこのことを理解した上で行動ができるのならば、市町村が発令する警戒情報を待たずに避難開始をすることができますから、警戒レベルはどこが出そうが同じレベルの避難情報を指していると考えて、早めに行動すれば良いと思います。
 まずは自分の住んでいる場所がどのような災害で被害が出そうなのかをハザードマップなどでしっかりと把握し、その上で関係する情報にはどのようなものがあるのかを確認して、自分の安全確保をするようにしたいですね。

エアコンなしで暑さをしのぐには

 日中35度越えもある最近の夏ではエアコンは必需品です。
 ただ、この時期に停電が起こると途端に暑さにさらされてしまい、体調を崩したり熱中症になったりすることもあります。
 今回は停電などでエアコンが使えないときにどのようにして暑さをしのぐことができるかを考えてみます。

1.日影を作る

当たり前のことかもしれませんが、直射日光の下にいたら体温はあっという間に上昇していきます。
それを防ぐためには、まずは直射日光に当たらないことです。
つまり、日影を作ることが一番重要だということになります。

2.風を起こす

 日影に入ったら身体の周囲に風を感じられるようにしましょう。
 例えば、うちわや扇子などで身体の周囲の空気を動かすことで、熱がその場に滞留していくことを防ぐことができます。
 また、汗をかいていればそれに風が当たることで気化熱が発生し、身体の冷却効果も期待できます。
 屋内の場合には、室内は熱がたまりやすいですので、風の流れを作り出しておく必要があります。窓や扉を複数箇所開け、風の通り道を作るとよいでしょう。

3.放熱する

 もし冷たい水があるなら、手のひらや足をつけることで身体の熱を逃がすことができます。瞬間冷却パックや冷却スプレーなどでも似たような効果が期待できるので、手元にあれば使ってみてください。

4.冷感素材などを利用する

 最近は汗を使って身体を冷やせる冷感素材を使った衣類が増えてきます。
 それらを着用することで、身体を冷やすことができます。

5.冷たいものを食べる

 これはおまけになりますが、体内に熱が籠もっている場合には表面をいくら冷やしても身体が冷えない場合があります。
 もし水や氷など冷たいものが手に入るのであれば、それを食べることで体内から冷やすことができます。
 ただ、冷たいものは内臓にダメージを与えることがあるので、食べ過ぎないようにしてください。

 暑さをしのぐための基本は「熱をその場に貯めないこと」ですので、いる場所の温度を上げない、そして排熱するということが重要になります。簡単に言うと、日影を作って熱を貯めない、そして風で熱を動かすことを念頭考えるといいのかなと思います。