家具類の地震対策

よくある転倒防止装置。家具が動き出さないように設置するのがポイント。

 地震が続いていますが、あなたのおうちの家具の地震対策はできていますか。
 地震対策には二つあって、ひとつが家具そのものが倒れないようにすること、そしてもう一つが、家具の中身が落ちないようにすることです。
 家具そのものが倒れないようにするには、転倒防止用の固定器具を使うのが一般的で、例えば突っ張り棒や転倒防止用の固定器具、家具を壁にビスで固定するなどの方法があります。
 家具の中身が落ちないようにするためには、家具への中身の詰め方の工夫や、扉をロックするといった方法があります。
 でも、例えば借家などで簡単に家具の固定が壁にできなかったりする場合があると思います。
 もっとも簡単な家具の転倒防止は、家具の正面下、床と家具との間に折りたたんだ新聞紙などを入れて、家具を壁側に少しだけ傾斜させる方法です。

タンスの下の新聞紙。床がたわむような状態でもタンスが安定している。

 我が家では昔からばあちゃんが普通にやっていて、何も考えずに筆者自身もやっていたのですが、これをやると家具が簡単には転倒しなくなります。
 直下型地震のような大きな縦揺れを受けるとどうにもなりませんが、普通の地震の揺れなら、家具の上側が壁で支えられているために転倒することがなく、引き出しや扉が若干上を向いていることから、簡単には抜けたり開いたりしません。
 簡単にできて非常に効果的な地震対策ですので、もしもお引っ越しなどで家具を動かすことがあるのであれば、家具の下に折りたたんだ新聞紙を入れるとよいと思います。
 ちなみに、同じような機能を持った道具が百円均一ショップやホームセンターなどで売られているので、見た目を気にする方はそちらで調達してもいいと思います。
地震が起きたときに怖いものの一つが家具の転倒です。
 ちょっとした工夫で転倒が避けられるのであれば、やっておいて損はないのではないでしょうか。

粘膜を守る

 地震では発生直後から、水害では発生して数日すると、地上1mくらいまで細かな粉じんが舞います。
 この粉じん、粒子がかなり細かいものなので、目や鼻、のどといった粘膜につくとさまざまな病気を引き起こすことがあります。
 そのため、背の低い乳幼児やペットの散歩には留意する必要があります。
 また、災害後に行う掃除でも、そういった粉じんが舞うため、粘膜を痛めてしまいますので、しっかりとした対策を行う必要があります。
 鼻や口を守るマスクは必須アイテムですし、できれば花粉症用の眼鏡、または水泳用のゴーグルなどで目を守るようにしたいものです。
 身体につくと、その粉じんを生活空間に持って入ってしまうことになるため、外出時にはできるだけ雨合羽など粉じんが付着しにくく落としやすい素材のものを着用し、帰宅時には家に入る前に外ではたくようにしておくとよいでしょう。

避難するときの格好の一例。

 いずれもちょっとしたことなのですが、災害後に起きる感染症や炎症に対してはかなり有効な手立てですので、非常用備蓄品や非常用持ち出し袋に入れておくといいと思います。
 ちなみに、写真は地震発生後に避難するときに安全が確保されやすい格好の一例です。こういった格好を準備することは難しいかもしれませんが、できる範囲で構わないので、粘膜を保護するための道具も準備し、避難のときやお片付けのときに忘れずに着用するようにしてください。

避難所の安全確保

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 避難所を運営する上でもっとも気をつけないといけないことは、入居者の安全です。
 生活空間なのですから、避難所にいる間はできるだけ気持ちを落ち着かせることのできるような空間作りを考えておく必要がありますが、そこで考えなくてはいけないことは「不審者対策」です。
 この不審者というやつ、ちょっとした気分で発生するやっかいなもので、見知らぬ人であれ顔見知りであれ、あなたにとって不審者になり得るということを気に留めておいてください。
 不審者対策で意識しておきたいのが、あらゆる場所の出入口です。
 この出入口の善し悪しで、ある程度犯罪の発生は抑えることができます。
 悪さをしようという気になっても、物理的にそれを阻止することで安心できる空間作りをするということですね。
 例えば、避難所に立ち入るための出入口はできる限り一カ所に絞った方が目が届きます。情報掲示板や喫茶スペースなどを手近に作っておくことで、自然と人がここを通過するようにしておくと、常にたくさんの目がある状態になるので、外部からの不審者が入りにくくなります。
 また、避難所内部でいうと男女のトイレは可能な限り離しておいてほうが安全です。
 構造的に同じ場所に作らざるを得ない場合でも、出入口を可能な限り離すことで不審な動きをしている人をすぐに見つけることができます。
 着替えや授乳などにスペースも、一般の避難者が出入りするような動線から外れたところに作ると、のぞきに行こうとする人への抑止効果が期待できます。
 できるなら、パーテーションではなく、別に部屋を用意しておくと安心して着替えや授乳をすることができますし、それぞれの部屋には同性の管理者を常駐させておくと、より強力に内部の不審者を抑制することが可能です。
 不審者はありとあらゆる隙をついて犯罪を犯そうとします。
 可能な限り不審な行動にすぐ気づけるような避難所の配置にしておくことで、犯罪を抑止し、避難者の生活を守ることができるのです。
 こういった対策は、災害後に運営しながらやろうとしてもかなり困難が生じます。
 平時にしっかりと時間をかけて、安全な避難所の設計をしておくとよいのではないでしょうか。

ポンチョと雨合羽

 非常用持ち出し袋に入れるものの中に雨具があるでしょうか。
 災害後の避難や避難生活でかなりいろいろとお世話になるかもしれないアイテムなので、できれば一つ用意しておくといいと思います。
 よく比較されるのが、ポンチョと雨合羽です。
 この二つ、表向きの機能は同じ雨避けとなっているので、どちらを準備すればいいのか迷うことも多いのではないでしょうか。
 結論から言うと、ポンチョの機能を持つ上着と雨合羽のズボンを組み合わせると最強になるということです。
 できるなら、両方準備しておくと非常に使い勝手がよくなります。
 ポンチョは、身体の上半身にすぽっと被る雨具です。そして雨合羽は上着とズボンに別れていて、全身を覆うことのできる雨具です。
 構造上、ポンチョは雨の中の移動では足下はびちょびちょになります。また、防寒着としても雨合羽に比べると開口部が大きいため、あまり役には立ちません。
 では、なぜ準備するのかというと、雨具以外の使い道がポンチョには非常に多いからです。例えば、授乳時の目隠しや簡易トイレでの用足しでの目隠し、簡易タープや簡易テントと、いろいろなことに使うことができます。また、徒歩での避難時に歩けなくなった乳幼児をおんぶするときにも、子どもと一緒に雨を凌げるのはポイントが高いと思います。
 選ぶポイントは、透けないことと丈の長さ。安いものだと百円均一ショップでも売っているのですが、多用途に使おうとすると透けるのはちょっと困りますので、透けないものを選ぶことが大切になります。また、その目的上、丈が長めの方が安心できると思います。特に女性や乳児のいるご家庭では、最低一着準備しておくと困らなくて済むと思います。
 雨合羽は、構造上雨をしっかりと弾いてくれます。また、雨を通さないということは風も通さないということなので、防寒着としても機能を果たしてくれます。
 また、粉じんが身体につくのを防いでもくれます。
 代わりに、着る以外の用途に使うことはかなり難しい構造ですので、できるだけ非常時の荷物を減らしたいという人は、ポンチョの方がいいかもしれません。
 災害対策としてアイテムを選ぶときの参考になれば幸いです。

情報提供とリスク

 自治会や自主防災組織による地区防災計画の策定でネックになるのが、個人の情報をどうやって提供してもらうのかということです。
 隣近所がわからないこのご時世、そこに誰が住んでいるのかは情報の提供を受けない限り、さっぱりわからないものです。
 もちろん自治会に入っていれば家族構成はある程度わかりますが、そこに住んでいる人がどのような状態で災害時にどのような支援がいるのかは、恐らく誰にもわかりません。
 普段の生活でも支援のいる要支援者については、福祉と防災と地域が連携して要支援者の支援計画を策定することになっていますが、普段の生活はできているが、災害時の避難などに支援のいる人についてはどこも拾うことができません。
 ただ、家族の状態を知られるのがあまり嬉しくない人もいらっしゃるので、放っておいてくれと情報提供を拒否されることもあると思います。
 また、個人情報を気にする人にとっては、情報は行政が持つべきで近所の人が知るべきではないと考えている人もいますので、文字通りの地区防災計画を策定しようとしても一筋縄ではいかないのが現状です。
 ただ、地区防災計画というのはその地区全てが該当者になるわけではなく、地区防災計画の策定に関わった人に対する計画だということに留意して下さい。
 つまり、賛同者だけで計画を策定しても法律上は何の問題もないということになります。
 逆に考えれば、地区防災計画は一人で作っても「自分の地区防災計画」として認められますので、他の人が策定した地区防災計画に従わなくてもいいということで、情報提供はしなくてもいいということになります。
 ただ、その場合には何か起きても全ての責任は自分に降りかかってくるということを肝に銘じておかなければなりません。
 家屋が倒壊してもまず助けてはもらえませんし、状況によっては安否確認すらしてもらえないでしょうが、その覚悟を持ったうえでご自身の情報を提供しないという選択肢を選んで欲しいと思います。
 どこも人手が足りない今、正確な情報を提供して非常時には助けて欲しいとお願いしている人と、自分の情報は出さないが非常時は助けて欲しいという人では、助ける優先度が変わります。
 そういったリスクがあることを考えた上で情報提供について考えて欲しいと思います。

地震とライフライン

 3月16日夜の地震の続報がいろいろと出ているようですが、現地の生活が早く復旧されることを願っています。
 さて、今回の地震でもそうなのですが、電気や断水、ガスの供給停止というのは大きな地震が起きるとほぼ100%どれかが発生しますが、その理由を知っていますか。
 揺れによる損壊ももちろんあるのですが、地震が起きた結果、地面が上下左右にズレることによって管が破損や切断状態になってしまうことによってトラブルが発生するのです。

地震の種類と地面の動き

 径の大きな配管であればあるほど影響も大きくなるので、水道本管や下水本管、ガス本管、製油所の送油管などが破断すると、断水や火災などが起きてこまったことになってしまいます。
 日本は地形的にどこにいても地震が発生する可能性がありますので、地震が起きないところへ移転するというわけにはいきません。
 水道や下水、ガス、送油などを止めるわけにもいかないので、実際のところは地震が起きてから復旧するまでの時間をどれくらい短くすることができるかということくらいしか対策ができません。
 個人としては、飲料水の確保や下水道の代わりになるようなトイレの準備、カセットガスとコンロの準備といったところでしょうか。
 最近では災害が頻発しているので、災害が発生したときの給水車の手配や仮設トイレの準備などは過去では予測できないくらい準備が早くなっています。
 とはいえ、大規模災害になると何が起きるかわかりません。
 自分の命を繋ぐ水やトイレくらいは、予め準備しておいた方がよさそうです。

おうちの中の避難経路図を作っておく

 3月16日の夜に宮城県や福島県を襲った震度6強の地震ですが、被害に遭われた方にはこころからお見舞い申し上げます。
 今回のように大きな地震では、揺れが収まったらいったん建物の外に出ることが安全確保に必要だとされています。
そのため、人の集まる施設や宿では避難経路図が作られていて、その経路図に示された経路は安全に避難ができるように他の場所よりも注意を払って管理がされています。
 では、あなたのおうちでは、地震後の屋外避難をするとき、どの経路を使って外に出れば安全を確保できるかを理解していますか。
 小さかろうが狭かろうが、避難経路がきちんと確保されているかどうかの確認は家族みんなでやっておくことをお勧めします。
 ものが多いおうちでは、どこもかしこもすっきりと片付けることは難しいと思います。でも、避難経路に指定した場所だけを意識して片付けるのであれば、そこまで難しくは無いと思います。
 また、避難経路を考えることで思わぬおうちの問題に出会うこともありますから、こういった点検は定期的にやって、避難経路にものが置かれていないかなどをしっかりと確認しておいてください。
 余談になりますが、耐震補強や耐震建築物と呼ばれている建物は、震度6強から震度7に耐える構造になっていますが、それは1回被害にあっただけの場合です。
 2回目以降は倒壊しないという保障がありませんので、耐震補強や耐震建築物であっても、いったんは建物の外に逃げて様子をみたほうが良さそうですよ。

災害報道のワナ

 大規模な災害が起きると、マスコミ各社はこぞって被災地へ押しかけ、ありとあらゆる情報を得ようとします。
 報道の自由という言葉があるとおり、活動自体は自由なのですが、ちょっとだけ考えて欲しいことがあります。
 それは、視聴者は提供される情報を選べないということ。
 マスコミの特性として、よりセンセーショナルな報道をしようとする傾向があります。被害の大きい現場とそうでない現場があったとしたら、被害の大きな現場を報道したがるのです。
 その結果、被害の大きな報道されたところばかりに支援が集まり、他の場所は置き去りにされてしまうという事態が発生します。
 例えば、2018年の西日本豪雨では報道の繰り返された岡山県倉敷市真備町と広島県呉市天応地区には大量のボランティアが集まりましたが、それ以外の被災地域ではボランティア不足という深刻な問題が発生しました。
 報道の仕方だけではないと思いますが、マスコミの人には気をつけてもらいたいなと思う部分です。
 センセーショナルな絵は視聴率という数字を稼ぐ元になります。
 ですが、災害報道に関しては視聴率を追うのを止めて、現地の状況を公平に、冷静に息長く伝えていって欲しいなと思います。

【活動報告】第3回外遊びごはんの会を開催しました

 去る2022年3月13日、島根県立万葉公園で第3回目の外遊びごはんの会を開催しました。
 今回も直前になってとある事情からキャンセルが出ましたが、それでも総勢19名の子ども達と一緒に遊んだりご飯を作ったりして楽しみました。
 新型コロナウイルス感染症対策として、今回は当研究所のネイチャーゲーム指導員から接触せずに一緒に遊べるネイチャーゲームをしてもらい、それからお馴染みのビニール袋炊飯をして、秘密基地づくりと豚汁づくりを行いました。

 秘密基地づくりは、過去に参加した子ども達がさまざまな情報ややり方をお互いに交換して、過去3回でもっとも丈夫でかっこいいテントが完成し、他のサイトのキャンパーの方が「あれもいいね」とお褒めの言葉をもらう完成度となりました。

 また、今回の豚汁は、同じ豚汁だった第1回目とは趣向を変えて、被災地に出かけて炊き出ししたらというテーマで各種材料を準備し、調理好きな子ども達と一緒に調理をしました。
ご飯のときには沈黙で食べていましたが、途中で缶詰を登場させると、おうちで見たことがない子もいたらしく、開け方や食べ方について知っている子ども達が教えたりもしていました。
今回は前二回とは異なるサイトを使わせてもらったのですが、どの子も初めてのフィールドということで、スタッフを連れてあちこちに探検に出かけ、あっという間に終了の時間となりました。


最初は硬い表情の子も多かったのですが、帰るときにはお互いに楽しそうに挨拶を交わし、初めてとは思えないくらい仲良くなってくれていました。
第3回までは、島根県NPO活動推進室様の補助金を採択していただいたおかげでこれだけのイベントができました。採択いただきましたことに心から感謝します。
最後に、今回参加してくれた子ども達、保護者の皆様、会場を貸していただいた万葉公園様、当研究所のスタッフとお手伝いの皆様、そして悩んだけれど事情を汲んで参加を辞退した子ども達と保護者の皆様、陰日向に今回のイベントを後押しして下さった皆様に、こころからの感謝をします。
本当にありがとうございました。

【終了しました】【お知らせ】サヒメルで「あなたのとなりのエイリアン展」が開催されます。

 当研究所では有害生物対策をメニューの一つにあげていますが、では、有害生物というのはどのようなものかご存じですか。
 読んで字のごとく、有害生物は人に不利益を与えて害をなす生物の総称なのですが、この有害生物の中には外来種が含まれています。
 日本の生態系を破壊することから、これら外来種は積極的に駆除しなくてはいけないことになっており、アライグマやヌートリアなどは基本的にその場で処分が義務づけられています。
 また、河川敷などでよく見るオオキンケイギクやアメリカセンダングサなどっもこの外来種のカテゴリーに含まれる生物です。
 ただ、ぱっと見てもそれが日本の在来種なのかそれとも外来種なのかは判別がかなり難しいと思います。
 そこで、3月19日から三瓶自然館サヒメルで開催される企画展「あなたのとなりのエイリアン」をぜひ見学して下さい。
 この展示ではさまざまな外来種が紹介されていて、みるだけでも相当知識を得ることができ、山歩きなどをする人にとってはかなり参考になると思います。
 5月29日まで開催しているそうなので、外来生物をしっかりと覚えていただき、見つけたら適切な処分を行えるようにしておきたいですね。

あなたのとなりのエイリアン」展(三瓶自然館のウェブサイトへ移動します)