【活動報告】救急救命法講習会を開催しました

座学と実技、3時間、密度の濃い研修会でした。

 2022年5月22日に益田市のジャストホールで、日本赤十字社島根県支部の方を講師にお招きして応急処置法を学ぶ救急救命法講習会を開催しました。
 当日は7名の方にご参加いただき、水難事故の防ぎ方や心臓マッサージ、AEDの取り扱い方法、安全な体位の作り方や毛布を使った搬送法など、さまざまなことを座学、実技を交えて教えてもらいました。

AEDの使い方の訓練。消毒はしっかりとしています。

 もしも応急処置の必要な現場に居合わせたとしたら、応急処置を的確にできるかどうかは普段からの意識と訓練にかかっています。
 一人でも多くの人にこういった場で経験を積んでいただき、一人でも多くの人が救えるようになるといいなと考えています。
 今後もこういった講習会を開催していきたいと思っていますので、興味のある方は是非ご参加下さい。
 今回お忙しいところ講師をしてくださった日本赤十字社島根県支部の方、そして参加者の皆様に厚くお礼申し上げます。

【活動報告】第2回総会を開催しました

 去る5月21日18時45分から益田市市民学習センターで第2回目の社員総会を開催しました。
 初めて通年で事業を行う事ができましたことを、会員の皆様、ご支援をいただいている皆様にお礼申し上げます。
 コロナ禍で中止した事業も多かったのですが、地道に仕事を増やして一人でも災害で死んだりする人が出ないように、さまざまな防災普及活動を行っていきたいと思っています。
 当研究所の決算報告などについては、別サイトに資料として掲示する予定にしておりますので、興味のあるかたはご覧下さい。
 引き続き、活動への支援を宜しくお願いいたします。

避難地域の警備問題

 人命優先、人命第一なので、最近ではかなり迅速に高齢者等避難や避難指示が発表されるようになりました。
 おかげで危険地帯に住んでいる自覚のある人達は早めに避難を開始して、より安全が確保されるようになっています。
 ただ、避難が早いと言う事は、避難完了から災害発生、または避難解除までの間、結構長い時間避難対象区域の危険地帯が無人になってしまい、空き巣の天国になってしまうので注意が必要となってきます。
 発災後の被災地には、捜索・救助部隊と同じくらいの早さで窃盗団も到着し被災建物などから荒稼ぎをしているようですが、災害が発生しなくても被害にあう可能性はあるということを知っておいてください。
 対応策としては、消防団や水防団、警察などが無人区域の警戒を強化するか、全ての道を封鎖して立入禁止にしてしまうかですが、手が足りないということもあって、なかなか難しいみたいです。
 避難する側としては、とりあえずは戸締まりをしっかりと確認する事。そして貴重品は分散してしまっておく事、民間警備会社のセキュリティサービスに加入することくらいしかできません。
 災害対策として行政が主体的に取り組む事はたくさんあるのですが、こういった地味だけど財産を守るという部分は個人の努力では限界がありますので、行政サイドもしっかりと対策をしておく必要があると思っています。

駆除と防除

有害鳥獣対策でよく見るこういった箱ワナにかかっているのは「駆除」

 有害生物対策のお話をするとき、よく混同されているのが駆除と防除です。
 特に有害鳥獣の場合には「有害鳥獣対策=捕獲」の図式が基本となっているようで、なかなかお話が噛み合わないことがあります。
 捕獲は駆除になるのですが、駆除しても状況が変わらなければ新しい有害鳥獣がそのエリアに侵入してきて、結局イタチごっこを続けることになります。
 そうすると、駆除を頼んだ人は「少しも状況が変わらない!」と怒り出すのですが、そもそもその有害鳥獣がどうしてそこに現れているのか、その原因を撤去しない限りはいつまでもイタチごっこを続ける羽目になります。
 当研究所が有害鳥獣のお話をするときには、まずは防除から始めます。
 この場合の有害生物は、多くの場合食害なので、上手に防除を行えば被害を減らす事は可能になります。
 有害鳥獣といっても、殆どの場合人に対して嫌がらせがしたいわけではなく、他よりもおいしそうな食べ物が簡単に手に入りやすい状態になっているからやってくるので、有害鳥獣に対して食べ物がない、または食べに行くのにはかなりの危険があるということを理解させれば、結構な割合で出没をしなくなります。
 そういった防除を行って、まずは寄せない事を考えます。
 食べ物がなければ、野生動物は自然が自然で生きていけるだけの個体数に調整するので、結果として食害を減らす事ができます。
 とはいえ、長い事食害にあっている地域では、有害鳥獣の親子間で食べ物の手に入る場所が共有化されていますので、対策をしたからといってすぐに出なくなる事はありません。
 そういった個体をピンポイントで捕獲して駆除していくと、効率の良い有害鳥獣対策ができます。
 防除の上で駆除というのを基本に考えてもらうと、例えば摘果したものや残飯をその辺りに放置しないというような基本的な事が理解できると思います。
 彼らも暇では無いので、餌が取れないところにはいつまでも来ません。さっさと餌が取れるところへ移動していくので、しっかりとした防除をすることを基本に、対策を考えるようにしてください。
 ちなみに、防除は日々の点検との戦いになります。きちんと点検して管理する事で、初めて有害鳥獣対策になりますので、手間を惜しまないようにしてください。

暑熱順化しておこう

 だんだんと暑くなってきましたが、暑いのが苦手だったり、暑いのが嫌な人は、割と早めにエアコンを使っているのではないでしょうか。
 普段であればそこまで問題にならないかもしれませんが、暑さに慣れておかないと、屋外へのお出かけ時や、もしも災害で停電してしまったときには暑さに耐えられずに熱中症になってしまうので注意が必要です。
 無理をする必要はありませんが、暑さに身体を慣らすことで身体の熱ストレスへの耐性があがり、熱中症になりにくくなります。
 これを暑熱順化といいますが、ちょうどだんだん暑くなってくる今の時期に暑さを身体に慣らしておくと、その後の夏がある程度過ごしやすくなると思います。
 暑さへの身体の慣らし方としては、軽い運動をすることです。
 暑熱順化は、身体の冷却機能を身体に思い出させる作業なので、身体を動かすことで汗をかいたり血流による体温調整がしやすくなったりし、結果的に熱中症を防ぐ効果が期待されます。
 本格的に暑くなってくるこれからに備えて、運動をして熱に強い身体を作る、暑熱順化をしておくようにしてくださいね。

懐中電灯の明るさを知っておく

懐中電灯類

 水害や台風など、ある程度来ることが予測できる災害のときには、日中明るいうちに安全な場所への避難を済ませることが基本です。
 ただ、突然やってくる大雨や夜中過ぎになって避難をしなくてはならないことも当然あるでしょう。
 そのときには基本の避難は徒歩になりますが、自分が使う懐中電灯の明るさを知っておかないと、いざ避難のときに全く役に立たない明るさだったということがあり得るからです。
 巷ではさまざまな懐中電灯が売られていますが、その明るさはかなりまちまちで車のヘッドランプよりも明るいものもあれば、明るくなっているのかなと疑問に思うくらい暗いものもあるからです。
 これはどちらが良い悪いというわけではありません。その目的によって使える懐中電灯が違うということです。
 夜間の避難に使うのであれば、できる限り明るい懐中電灯が欲しいですが、大雨でもはっきりと周囲の様子が分かるほど明るい懐中電灯だと、避難所についてからは明るすぎ、眩しくて使えません。
 逆に暗くて道は歩けないような懐中電灯は、避難所での生活では活動しやすい明るさになって割と重宝します。
 イメージとしては、避難のための懐中電灯と避難所で使う懐中電灯が必要だと考えて下さい。
 登山用の頭につけるヘッドライトはそのことが考えられていて、明るさが登山用とテント内用の二段階に切り替えられたりするものがたくさんあります。
 一口に懐中電灯と言ってもさまざまな種類がありますので、自分の普段の生活や利用頻度、使い勝手などを考えて、懐中電灯を準備しておくといいと思います。
 余談ですが、登山用のヘッドライトは非常に便利です。もしも懐中電灯を一つだけ用意するのであれば、高くても性能のよい、登山用ヘッドライトをお勧めします。

判断力を養う

 災害が発生したときに学校や学童クラブなどにいたときには、「子ども達は先生の指示に従いなさい」という教育をされています。
 これは子ども達よりも大人である教員などの方が正しい判断ができるということなのでしょうが、それは本当でしょうか。
 通常時はそれで問題ないと思うのですが、災害発生時には、とっさの判断と迷わない行動が必要になります。
 この判断や行動はそれまでその人がどうやって生きてきたかという人生に直結する話なので、自分で決めたことがない人にとっては判断も行動もできないということになります。
 ましてや、責任問題がついて回ることを考えると、どれくらいの大人が正しい判断をすることができるでしょうか。
 普段から行動基準を決めているのであればそれに従えば良いのですが、学校長や教頭、主幹教諭などの指示を受ければいいと考えている人では、まともに動くことすらできないでしょう。
 逆に、普段から防災教育を真面目に取り組んでいる子ども達の方が正しい判断ができると確信しています。
 判断と行動ができない人が指揮を執るとどうなるかは、東日本大震災のとある小学校の悲劇を考えればわかると思います。子どもも大人も関係ありません。普段から災害時にはどんな行動をすればいいのかを一緒に考え、話しておけば、いざというときにそれぞれが安全確保の行動をとることができます。
 もしあなたに子どもがいるのであれば、「いざというときには先生のいうことを聞くんだよ」ではなく、「いざというときには自分が安全だと思う行動を取るんだよ」と教えて下さい。
 自分の命を守るのは自分しかありません。
 過剰に大人に判断を任せるのではなく、子ども達も一人の人として自分の命を守る行動が取れるように、普段から意識するようにしてください。

悩ましいカロリー問題

 甘いものが摂りたいけどカロリーは嫌、という方が多いのか、巷ではカロリーオフやカロリー0の食べ物や飲み物がずいぶんと増えました。
 昔ながらの甘くてカロリーたっぷりといった不健康な食べ物や飲み物はずいぶんとその数を減らしているような気がします。
 そうでなくてもカロリー過多のこの時代、カロリーをいかに摂らずに済ませるかというのは贅沢といえば贅沢な悩みなのですが、それくらい当たり前に甘いものが摂取されているということなのでしょう。
 そういった日常生活の中では問題ないのですが、災害が起きたときに避難したり、長時間の徒歩帰宅などする場合には、このカロリー0が恨めしく感じることになります。
 徒歩での避難中や長時間掛けての徒歩での帰宅などの場合、身体にため込んだエネルギーだけでは活動をするのが難しくなるので、簡単にカロリーの補給できるお菓子やドリンク類は非常にありがたいものです。
 特にスポーツドリンクなどは電解質とカロリーの両方を一気に補給できる非常に優れた飲み物なのですが、ここにもカロリーオフやカロリー0の波が来ているようで、先日買ったスポーツドリンクにもでっかく「カロリー0」と書かれていました。

 このカロリー0やカロリーオフのお菓子やドリンク類を摂取すると、甘いものを食べているのに身体のエネルギー不足の状態が続くという嫌な状態になってしまいます。
 昔ながらのスポーツドリンクであれば電解質もカロリーもしっかりとある非常に頼もしいので、もしも可能であるなら、非常用持ち出し袋などにカロリーのしっかりとあるスポーツドリンクを一本入れておくといいと思います。
 ちなみに、ひたすら甘いだけのジュースだと、飲んだ後でその甘みの元を分解するための水が必要になって余計にのどが渇いてしまうので気をつけて下さい。
 常時と非常時にはカロリーの考え方も180度変わってきます。
 その場にあったアイテムを準備しておくことをお勧めします。

おんぶと抱っこ

 乳幼児とその保護者の方の研修会でよく出てくる話に、子どもとの避難では抱っこがいいのかおんぶがいいのかという質問があります。
 専門家によってさまざまな意見がありますが、筆者はどっちでもいいので子どもさんが慣れている方で、抱っこひもやおんぶ紐を使ってしっかりと固定し、保護者の両手が開けられるようにすればいいと思っています。
 というのも、最近の乳幼児は割と抱っこされ慣れているような気がするからです。逆に、おんぶ慣れしていないので、いざというときにおんぶをすると嫌がってしまうのではないかと思っています。
 人の身体の構造を考えるとおんぶの方が理にかなってはいると思うのですが、おんぶをしようとしてバランスを崩してしまっては何にもなりません。
 その子が慣れている方法で運んでやればいいと思います。
 ただ、どちらにしても子どもは運ぶ人の身体にしっかりと括られていなければ危険です。
 抱っこ、おんぶ、どちらでも構いませんので、固定は手だけではなく、道具を使って身体と身体をしっかりと繋げるようにしてください。
 また、子どもを担ぐ反対側に非常用持ち出し袋をつけると、両手を開けることができますので、子どものアイテムを追加して運ぶこともできます。
 あまり勧められるやり方ではありませんが、子どもと保護者、両方を守るためには必要な荷物ですので、そのことを考えて子どもさんを運ぶ方法を考えてもらえればと思います。
 ちなみに、ベビーカーは災害発生前の避難であれば使えると思いますが、災害発生中、あるいはその後では使うと危険なことがありますので、もしも何らかの事情でベビーカーを使うのであれば、可能な限り早めの避難をお勧めします。

自分の行動を記録してみる

 非常用持ち出し袋を準備するときによく聞かれるのが、「何をどれくらい用意すればいいのか?」ということです。
 それに対してで筆者はいつも「あなたは一日に水をどれくらい飲んでますか? トイレ、何回行ってますか?」と聞き返すようにしています。
 非常用持ち出し袋の水や食料、簡易トイレといったアイテムは、どれくらい準備すれば良いのかが人によってかなり変わってきます。
 よくトイレに行く人は簡易トイレの数も増えますし、逆は減ります。また、どれくらいの水分を摂っているかは意識していないとわからない話です。
 そのため、自分にあった非常用持ち出し袋を作るときには、まず自分の一日の行動を記録してみることをお勧めしています。
 記録してみると、案外水分を摂っていたり、思ったよりもトイレに行っている回数が多かったり、意外な発見が出てくると思います。
 そういったご自身の情報を基準にして、非常用持ち出し袋の中身を準備するようにすると、いざというときに必要なものが最低限は揃っている安心した状態が維持できます。
 さまざまなアイテム類を行政などの指示通りに準備すれはとりあえずは安心なのですが、重たいし嵩も大きいです。できるだけコンパクトにするためにも、ご自身の行動記録をまとめてみてはどうでしょうか。