虻とブユ

 水遊びの楽しい季節ですが、水辺には大体の場合刺す虫が待っているので気を付けておいてください。
 特に上流部ではそれが顕著で、虻とブユはほぼ確実に出てくると思われますので、できるだけ肌を露出させないようにしたほうが無難です。
 虻もブユも血を吸うという点ではその辺の蚊と変わりませんが、これらが刺すとかゆい上にものすごく腫れます。
 そして腫れたら何をしてもなかなか治りません。
 薬もあまり効かないので、非常にやっかいな状態が続きます。
 彼らは肌の露出部を狙ってきますので、できるだけ肌を露出させない格好をしておいてください。
 実は先日の水難事故防止講習会&水遊びでも、当研究所のスタッフが1名、虻とブユの両方にやられてしまいました。
 写真を出せないような場所がやられてしまっているのですが、強力なステロイド系の塗り薬を使っても腫れは引かず、かゆみも収まらずないことから、なかなかてこずっているようです。
 虫よけはしっかりと吹いていたのですが、水遊びしたら流れてしまったようで、虫よけの効果にも限界があるようですから、肌の露出はなるべく避けることくらいしか手が思いつきません。
 特に川の上流部での水遊びではいかにして地肌を隠すかを意識するようにしてくださいね。

避難所と新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症の流行が避難所の環境改善をしているのはかなりの皮肉。

 スフィア基準というのがあることをご存じでしょうか。
 スフィア基準とは、スフィアプロジェクトによって国際的な人道支援の計画や管理、実施に携わる支援活動従事者向けに作られたスフィアハンドブックに記載されている、避難所や難民キャンプなどでの人道的と考えられる最低の基準のことです。
 実際にはこのとおりになってはいませんが、できるだけこの基準に近づくように、世界中のNGOや難民キャンプを運営する人たちが日々努力しています。
 さて、このスフィア基準によると、大人一人当たりの占用スペースは最低3.5平方メートル必要だとされています。
 この面積からは例えば調理場所やお風呂、トイレや洗濯場所といったものは含みませんのが、これらの設備を含んで計算する場合には、4.5~5.5平方メートルは必要だとされています。
 内閣府の「避難者に係る対策の参考資料」によると、日本の避難所は、一人当たり1.57~2.93平方メートル、多くは畳一畳分の2平方メートル前後が確保できればいい設計です。
 スフィア基準で考えると、日本の避難所は残念ながら「非人道的」な避難所となってしまいます。過去では阪神淡路大震災が一番ひどくて、一人あたり1~1.7平方メートルしかないときもあったとのことで、これではまともに体を横にして眠ることすらできなかったことがわかります。
 ただ、最近は新型コロナウイルス感染症の流行で、人同士の距離を最低2mは確保しなくてはならなくなったため、一人当たりの占用面積が5~7.7平方メートルに拡大し、スフィア基準を満たすようになったのはかなりの皮肉な感じです。
 一つ問題なのは避難所において一人当たりの占用面積が増えるということは収容能力が下がるということで、実際に避難所に入れなかった事例もあるようです。
 このことからはっきりといえるのは、自分が避難すべき対象なのかという把握と、入れる避難所を探すことになるかもしれないことを考えると、複数の避難先の設定と、早めの避難開始をすることが必要になるということです。
 以前は避難対象地域は問答無用で避難と言われていましたが、現在は基本は自宅待機で自宅が危険な人が避難所へ避難するというものに変わっています。
 平時にしっかりと自分の環境を確認しておいて、いざというときに途方にくれなくても済むようにしておきたいですね。

スポーツドリンクと経口補水液

 連日暑い日が続いていますが、あなたの体調は大丈夫ですか。
 気温が上がると、体は体温を維持するために汗をかくようにできています。
 この汗には、さまざまなミネラル分も一緒に流れて出てしまうので、水だけだとミネラル不足になってしまい、いくら水を飲んでものどの渇きが収まらないという状態になってしまいます。
 そのため、筆者が学生の頃には塩入麦茶が運動部の定番飲料となっていました。
 最近ではそういった手間がなくても、スポーツドリンクや経口補水液がありますから、のどが渇く前にそれらをちょっとずつ飲むことで水分とミネラルの補給が行えるようになりました。
 ただ、摂取方法を間違えると効果半減またはまったく効果がなくなってしまうことがあるので、ちょっとだけ注意が必要です。
 よくある話では、「スポーツドリンクは甘いので水で割る」というもの。
 スポーツドリンクは運動後に体が失った水分やミネラル分、カロリー分を効率的に補うように作られています。
 つまり、体に一番いい状態は「そのまま飲むこと」です。
 水で割ることで体への浸透圧が変わり、水分はともかく、ミネラル分やカロリー分などを効果的に補えなくなってしまうのです。
 逆に、動かない、汗をかかない人がスポーツドリンクを常飲すると太ってしまうことが多いのは、水分やカロリーが効率よく取られているせいですから、飲むのを控えたほうがいいでしょう。
 スポーツドリンクが甘く感じるのであれば、スポーツドリンクではなく経口補水液を飲むようにしてください。
 ただ、この話をするとよく言われるのが「経口補水液はまずい」というもの。
 経口補水液はちょっと前までは医薬品扱いになるくらい体への吸収がしやすく作られています。
 経口補水液がまずいということは、体がそれを必要としていないということで、少しずつ飲める範囲で飲めば大丈夫ということです。
 体の中のバランスが崩れているときには、この経口補水液が非常においしく感じるので、そうでないということは体が正常だというふうに考えてください。
 水だけだと体に負担がかかりますし、スポーツドリンクや経口補水液は少し飲みにくいという方は、古来から運動部に伝わるレモンのはちみつ漬けや塩入麦茶を試してみるといいと思います。
 どんなものを飲むのであれ、水分と同時にミネラル分を補給できるようにすることで、体のトラブルを減らすことができます。
状況に応じて、それぞれ使い分けるようにしたいですね。

体験と経験

 当研究所では「災害対策」「自然体験」「有害生物対策」の3本柱で事業を行っていますが、いまいちこの関係性がわからないといわれることがあります。
 これらの共通点は「実際にやってみないと効果が出てこない」というもので、成功するかしないかはとりあえず置いておいて、実際に動いてやってみることで状況が動いていくというものです。
 また、いずれも自然と人間との関係から発生してくる問題でもあります。
 災害とは、自然現象のうち人の生活に悪影響を与えるものですから、まずは身の回りの自然がどうなっていて何に対策をしなければならないのかを知る必要があります。
 その周囲の自然を知ると、災害対策や有害生物対策をどのようにしていけばいいかが見えてきます。
 自然体験は、今人と距離の空いている自然について、いいところも悪いところも知ることができます。災害対策と有害生物対策の入り口にあるのが自然体験だと考えてもいいと思います。
 当研究所が特にえり好みしているわけではないのですが、自主開催するイベントのほとんどは子供向けです。
 これは子供のうちに自然を知り、見方を覚えて、そのうえで災害対策や有害生物対策の方法を考えられるようになってほしいと考えているからです。
 幸い、参加してくれる子供たちは楽しんでくれているようで、毎回笑顔で帰ってくれます。おうちに帰ってから、自分が体験したさまざまな内容を家の人に話し、そして家の人が子供にいわれて災害対策を始めてくれるというメリットもあります。
 また、遊びながら自然や災害対策を知り、危ない場所や危ない行為を体でも覚えてもらうことで、いつかその時に出くわしたとき、考える前に体が動いてほしいとも思っています。
 体験や経験、本当は親や祖父母、近所の人や先輩などから教わったほうがよりリアルになるのですが、残念ながら、現在はそういう人たちも体験や経験が不足しています。
 そのため、当研究所を含めたさまざまなNPOや団体が体験や経験の積める活動を提供して、少しでも次世代にしっかりと伝えてほしいと頑張っているのではないかと思っています。
 災害対策というとどうしても座学のイメージがありますが、体を動かしたり、実際に体験しながら考えることで、座学よりもたくさんのものを身に着けることができます。
子供たちに限りません。親でもその上の世代でも、体験や経験したことは必ず生きてきます。
 いろいろな場所でさまざまな体験や経験をできる場が増えてきていますので、億劫がらずに体験や経験を積んでほしいなと思っています。

【活動報告】水難事故防止講習会&水遊びを開催しました

 去る8月7日、高津川支流の匹見川上流部で、今年度の「水難事故防止講習会&水遊び」を開催しました。
 今年度は大規模周知をかける直前で新型コロナウイルス感染症の流行が始まってしまったため、主に事前周知できた当研究所研究員達の参加となってしまいましたが、水への浮き方や救助の待ち方の確認をし、川の危険な場所について目視や実際にその場所に行って水の深さや川の流れを確認していました。

流されたら「浮いて待つ」ことが大事。

 ただ、講習に入る前に投棄された釣り針を研究員が発見して確保。こういった投棄された釣り針も危険だねという話もすることができました。

釣り針の不法投棄は危険な事故につながる。

 そのあとは恒例の水遊び。川にいるゴリを網で取ったり川流れ、沢登り、淵への飛び込みなどを思い切り楽しみ、暑い中ではありましたが、楽しい時間を過ごすことができました。

沢の中を歩いたり、流されたり。全身の感覚を研ぎ澄ませて登っていく。

 途中昼食休憩のときにゴリの入った虫かごを置いておいたら、盗まれるといったハプニングもあり、今回は事故防止だけでなく防犯対策についても考えることのできる会となりました。

毎年恒例の豚汁は今年も大好評。スイカの差し入れもいただき、川の水で冷やしたスイカも堪能しました。

 日程の都合上、本年度はこれで終了となりましたが、また来年、今度は一般の親子ふれあいも兼ねてにぎやかにできたらいいなと思っています。
 今回参加してくれた研究員と子供たちに感謝すると同時に、水の事故が少しでも減るといいなと思っています。

代替品と正規品

 防災の講習会や研修会などでは、よく「〇〇を使うと××の代わりになります」といった内容の話をされることがあります。
 当研究所でも、実際に本当に代替品が機能するのかについて、実際に、例えば学校の防災クラブの時間に子供たちとゴミ袋レインコートを作ったりすることもあるのですが、結論から言うと、うまくいかないと考えたほうがいいです。
 該当するアイテムを準備できるのならば、ごみ袋レインコートを作るよりも普通のレインコートを準備したほうがいいということです。
 同様に、新聞紙のスリッパの作り方を知っておくことも大切ですが、それよりもちゃんとした靴やスリッパを準備しておいたほうが安全確実に足元を守ることができます。
防災講習会や研修会でそういったアイテムの作り方を知っておくことも大切ですが、それよりも代替品に頼らなくても済むような準備を怠らないほうがいいのかなと考えます。
 代替品はあくまでも代替品ですし、防災グッズに関して言えば、ほとんどのものは値段の差がそのまま性能の差です。
 できるだけ正規品を使い、しっかりとしたアイテムの準備をしておいたほうが安心確実なのではないかと思っています。

【活動報告】蚊取り線香づくりを開催しました

 2022年8月5日に益田市の四つ葉キッズスクール様で蚊取り線香作り体験を開催させていただきました。
 当日は18名の子供たちに、除虫菊やヨモギの話、そして蚊取り線香の色の違いなどを説明した後、実際にケーキの口金を型にして蚊取り線香を作ってみてもらいました。
 最初は粉を混ぜ合わせるのにおっかなびっくりの子供たちでしたが、やがて泥遊びと同じ要領と気づいたようで、とても楽しそうにこねて、型に詰めていました。


 粉の分量は同じなのですが、水の含有量やこね方によって嵩がが変わるため、口金一つでちょっと余った子もいれば、口金を2個使っても練った粉が余った子たちもいて、非常に楽しそうにやってみてくれました。
 もともとは当研究所の研究の一環として、身近に手に入るもので避難所の虫よけが作れないかというものの中の一つとしての蚊取り線香作りだったのですが、ちょっとした工作に向いているのかなと感じました。
 資材はまだ残っていますので、夏休みの活動の一つとして取り入れてみたい学童クラブ様や団体様がいれば、お声がけいただければと思います。
 今回、こういう機会を作っていただきました四つ葉キッズスクールの先生方、そして参加してくれた子供たちに感謝します。

もしも被災してしまったら

 東北や北陸を中心として、全国的に大雨による被害が出ているのですが、被災された方にはお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧ができることを願っています。
 ところで、災害にあったらどのようにして復旧の段取りをつけていくのかを考えたことがありますか。
 いろいろと片付けていかないといけない問題があるのですが、内閣府広報でそれをある程度わかりやすくまとめたものが作られていますのでご紹介しておきます。

住まいが被害を受けたとき 最初にすること(内閣府広報のウェブサイトへ移動します)

また、勝手にやってきてボランティアのように見せかけて片づけを手伝おうとする人や、保険申請手続きを代行するなどと言って近づいてくる人は信用しないでください。
法外な手数料を請求された上に、後々までさまざまなトラブルに巻き込まれてしまいます。

ご用心 災害に便乗した悪質商法(国民生活センターのウェブサイトへ移動します)

もしも被災したらを考えて、普段から備えをしておくことをお勧めします。

死ぬところを想像してみる

 災害の研修をするときには危険から身を遠ざけることの大切さを説明するのですが、その時に「自分が死ぬかもしれないと思っているか」を聞くことがあります。
 災害の研修会で自分の身を守るための話を聞いているのに、自分が死ぬかもしれないと考える人はまずいません。
 ごくたまにいることがありますが、そういった人はものすごく真剣に研修を受講しています。
 人間の特性なのか、なぜか自分だけは死なないと思い込んでいる人が非常に多いのが気になるのですが、被災したとき、さまざまな理由から自分が死んでしまうことは当然考えられます。
 でも、楽観思想なのか周囲の人はだれか死ぬかもしれないが、自分は死ぬというイメージがつかないというのが実際なのでしょう。
 正直なところ、災害で死んでしまうときには、その死体はあまり人がみることができる状態にはなっていません。
 そういう状態がイメージできればもっと真剣に考えるのかもしれませんが、見ていないものや体験していないものをイメージするのはかなり難しいものです。
 でも、自分が死ぬところをイメージしたとき、どんな死に方をすればいいのかについて、一度考えてみてもいいのではないかと思います。
 誰もいつか死にますが、その原因が災害にならないように、災害で死んでしまうかもしれないという想像をしながら研修会や訓練に参加してくれるといいなと思っています。

猫の熱中症

 筆者の家には猫がいるのですが、この猫が大のエアコン嫌い。
 エアコンのスイッチが入ると、部屋から出てエアコンのない部屋で伸びているのが日常です。
 ただ、この間の酷暑の日、日中はそうでもなかったのですが、夜になるに従ってだんだんと息が荒くなって体も震えてきたことから、もしかして発熱かということで人間用の非接触式体温計で体温を計測してみました。

深部体温ならこれくらいあるが、冷却装置の耳でこれはちょっと問題。

 すると、38.4度という表示。普段この猫は耳で測定すると36度台ですから、耳でこの温度になっているということは十分に排熱できていない感じです。
 触ってみると、普段は割と冷たい肉球や鼻の頭がかなり熱くなっていて、こころなしか目もうつろ。単に眠いだけかもしれませんが、それにしてもちょっとしんどそうで、さては熱中症になってしまったかということで、体を冷やす対策を考えてみました。
 人間であれば太い血管のある場所に氷を当てて熱を冷ますのですが、猫の足の裏や耳に氷を当てたら、間違いなく猫に怒られます。
 うちの猫は毛がふもふもでかなり密度も濃いので、そもそも熱をため込みやすいようなのですが、全身毛刈りは最後の手段として取っておくことにし、まずはふもふもの毛を冷たい水で拭い続けるという作戦を取りました。
 水浸しではないものの、割と水を含んだ不織布で体の毛の上から、毛に水を含ませるように撫ででいくと、最初は不織布も毛も割と早く乾いていましたが、続けているうちに毛がしっとりとしてきて、猫の息も穏やかになってきました。
 試しに頭の上に濡らした不織布を置いてみたのですが、普段なら絶対に嫌がって落として逃げるのに、この度ばかりはご機嫌で頭に載せたままじっとしていました。

頭にのせた不織布はしっかりと湿らせてあり、耳を冷やすことで冷却効果を期待。

 結局1時間くらい全身を冷やす作業を続けていたのですが、なんとか猫も落ち着いたので、その日はそれで終了とし、就寝しました。
 こんな手当で正しかったのかどうかはわかりませんが、翌朝からはエアコンからなるべく離れた風の当たらない、それでいて涼しい場所を探して寝っ転がっている風景が追加され、どうやら好き嫌いよりも体が大切と学習したようでした。
 今年は風が吹いていても熱風が吹き込んでくるような熱い状態が続いてます。
 屋内にいても、窓を開けただけでは熱中症になる可能性が高いです。
 屋内で過ごす人が冷房を使うのはもちろんですが、同様に屋内で飼っているペットも体が冷やせるように考えてやるといいかなと思います。