災害用に準備している非常用持ち出し袋ですが、あなたは その中身を使ったことがありますか?
もしかしたら買ったり揃えたりしたことで安心してそのまましまい込んでいるということになっていませんか?
非常用持ち出し袋に限らず、準備した道具はとにかく一度使ってみることです。
使ってみたら、その道具がどんな癖があってどんな風にしたら使えるのかがわかります。
例えば、懐中電灯一本でもその照度やスイッチの位置、使い方を理解しているのとしていないのでは行動に格段の差が出ます。
夜中に緊急避難しなくてはならないとき、いちいち説明書を読んでいるわけにはいかないですから、最低限の使い方だけでも自分の中で覚えておく必要があり、そのためには実際に使ってみるのが一番だということなのです。
銀色で薄い非常用ブランケットは一度出すとしまうのがかなり大変ですが、そうでないものは少々使ったからといって困るものでもありません。
やってみたら使えなかったとか、他のものに変えた方がよさそうだといったマイナス情報は使わないことには手に入らないものですから、とにかく使ってみることが大切です。また、通信販売や書籍などで「これはおすすめ」とされていても、実際に使ってみたら自分にとってはどうなのかもわかります。
非常用持ち出し袋は確かに非常用ですが、普段使いにも使えるものがたくさんあります。
たまでいいので、定期的に非常用持ち出し袋の中の道具を使ってみることで、非常用持ち出し袋を意識することが出来、その中身の整理と整備、そして準備した道具類の経験値を積むことができます。
そして、それはいざというときには必ずあなたの命を助けてくれます。
せっかく準備したのですから、非常用持ち出し袋の中身も定期的に使ってみて、より自分にあった道具類を揃えていけるといいですね。
夜間の避難を考える
梅雨も終わりに近づいているようですが、梅雨前線と台風との相乗効果による大雨が予測されています。
大雨警報・洪水警報が発令された後は、気象情報や近くの川の水位に充分注意をし、 危険だなと判断したら、速やかに安全な場所へ避難されることをお勧めします。
ただ、状況によっては避難所が開設されていない場合もあるかもしれませんので、避難される際には事前に避難所の開設状況をご確認ください。
ところで、避難するに当たっては可能な限り日のあるうちに行うようにしましょう。
日中であれば避難する道を目で確認しながら移動できますので、状況を見て避難ルートを変更したり避難先を変えたりすることが容易にできますが、夜間になると頼りになるのは懐中電灯と街灯くらい。雨が降っていて暗くなっている場合には目で十分な確認を行うことができません。そのため、日中なら気づけるかもしれない側溝やマンホールの異常に気づかず、はまってしまったり落ちたりする可能性があります。
普段の夜間の状態を知っていればともかく、普段見ていない時間に大雨や大水の出ている状態での避難は、危険を招くことがあるということを知っておきましょう。
足が悪かったり、寝起きが悪かったりして異常事態が起きてもすぐに避難できない方は、可能な限り高い場所で寝ることをお勧めします。
普段一階で寝ている人であれば、階段の上り下りでかなり不自由するとは思いますが、二階で夜を過ごす。そうすることにより、少なくとも溢れてきた水でおぼれる危険性は低くなります。
大原則は水に浸からない場所に避難をすることになるのですが、雨で視界が聞かない中を移動する危険と天秤にかけて、家の高いところに避難するという選択肢もあると思います。
命を守ることを行動の原則として、自分にとってもっとも安全が確保できそうな方法で避難を行うようにしましょう。
避難後の温度対策
避難した先に冷暖房があればいいのですが、体育館のような場所だと大抵の場合は冷暖房の装置がありません。
また、災害のときに何らかの形でエネルギーが途絶えてしまえば、機械のスイッチを入れることができませんから避難所は外の環境と同じような状態になります。
そうすると暑かったり寒かったりして体調を崩してしまう人が出てくるのですが、なかなか対策がうまく見つからないものです。
実はこの温度管理に重要なのが「風」。
寒いときには風を遮断し、熱いときには風を通す。それだけで環境の快適さがずいぶんと変わります。
寒いときには風を遮断して体の周りに空気の層を作り出すこと。それだけで充分に暖かく過ごすことができます。よく防災グッズに入っている銀色のエマージェンシーシートは、なるべく体に巻き付けて体の周りにある空気を逃がさないようにするためのもので、エマージェンシーシートを身につけたからといっても体の周りに動かない空気の層ができなければただ寒いだけでちっとも暖かくはなりません。体を温めるための熱は体温であり、エマージェンシーシートが暖かくなるわけではないことに注意が必要なのです。
また、夏場の暑いときには建物の中を風が抜けるようにします。窓を開け放ち、風の通り道を確保することで、居住環境がずいぶんと変わります。
この場合は、例えば外の温度の方が低ければ建物内部から外に向けて扇風機を回すと内部の熱を追い出すことができますし、逆に中の方が涼しいのであれば、建物内部で扇風機を回すようにするとそれなりに快適な空間を確保できます。
避難所で体調を崩す理由の一つが、この温度管理にありますので、なるべく快適な環境を作り出せるように、「風」を意識して準備をしておきたいものですね。
地震の時のポーズあれこれ
「地震が起きたらダンゴムシ」というのは結構有名になってきた地震のときの姿勢ではないでしょうか。
うずくまって両手で頭と首を守るこの格好は、落下物から重要な部分を守り、その上で転倒をしないという意味で非常に理にかなっていると思います。
また、学校の教室などでは、机の下に潜って両手で机を支える「アライグマのポーズ」というのもありますが、これは使っている机によっては逆に怪我をしてしまったりすることもありますので注意が必要です。
これらの姿勢を取る練習としてよく「シェイクアウト訓練」というような言い方をしますが、そもそもなぜこのような姿勢を取る必要があるのかを考えたことがありますか?
第一には頭を護ること。判断し行動するためには正常な判断が下せる状況であることが大切ですから、これは必須です。
次に、怪我をしないこと。特に地震の際には転倒による怪我がよく起きます。ちょっと大きな地震が起きると、転倒による骨折で救急搬送というニュースが必ずといっていいくらい流れますが、これを防ぐには転倒しないようにすることしかありません。なるべく重心を低くして転がりにくくすることが大事です。
例えばよく転倒事故の起きる階段では、揺れ始めたらその場でしゃがみ、あれば手すりをしっかりと持つ。これだけで転倒する可能性はずいぶんと低くなります。
また、地震への対応策として「地震が起きたら外へ逃げろ」というのがありますが、揺れているときにはまず移動できませんし、無理矢理に移動することはかなりの危険を伴う行動です。耐震補強され、転倒防止、落下防止対策がきちんとされているところであれば、自分が転がらないような姿勢を保てさえすれば、怪我をすることはないと思います。
ところで、先日ちょっと考えさせられることがありました。
外での避難でもダンゴムシのポーズを取りなさいという内容の本だったのですが、地震が起きると、砂やほこりが宙を舞います。建物の中であれば問題ないと思いますが、校庭や公園などの土の地面が露出している場所だと、揺れてる最中に砂煙が起こります。そんな状態の時にダンゴムシのポーズを取っていたら、目や口に砂やほころが入り込んで体にダメージを受けてしまいます。
ダンゴムシのポーズは「落下物対策」と「転倒防止」のためのものです。もしも外にいて上や周囲からものが落ちたり飛んできたりしないのであれば「落下物対策」は必要ありません。そうすると「転倒防止」だけに集中すればいいわけですから、仰向けの大の字で寝たり、両足を拡げて腕をつき状態を支えるような格好で転がることを防げれば充分だということになります。
非常時、場所によってポーズを変えるのは大変だからということで、学校や保育所、幼稚園などの教育施設では一元的に「地震が起きたらダンゴムシ」と教えることは大切だと思いますが、それによって体を痛めてしまっては何にもなりません。なぜその格好をするのかを考える必要があると思います。
当研究所では、外での転倒防止の格好は「足を大の字に拡げて上体は起こし、両腕は地面を支える」のが一番良いのでは無いかと考えています。これを「メタボパンダのポーズ」と呼んでいるのですが、あなたならどんな名前を付けますか?
災害遺構を訪ねて7・「平成25年山口・島根豪雨災害祈念碑」
平成25年7月28日、一日の降水量が381ミリ(津和野町森村)という集中豪雨により、島根県津和野町から山口県にかけて大規模な災害が起きました。
松江地方気象台の気象情報では、わずか半日で降り始めからの雨量が352ミリという量が降り注いだようです。
そのため、津和野川はあちこちで決壊し、山口線も線路が地面ごとなくなるような大変な被害が起き、島根県内では高津川に転落して死者1名を記録しています。
近くだったこともあって何度もボランティアとして出かけていきましたが、別世界だったことをいまでも良く覚えています。
この災害復旧が平成29年11月に完了したのを記念して作られたのが、今回ご紹介する祈念碑と小さな公園です。
祈念碑は非常にシンプルで、表には「災害祈念碑」、裏には「平成29年11月」とだけ記されています。
公園は災害対応公園のようで、小さな東屋には水道、電気、そしてベンチが備えられています。
川の横に作られていることから、水害では無く地震に対する備えなのかなという感じです。
この災害では地元の人が声を掛け合って避難した結果、この地域では大きな人的被害は出ませんでしたので、普段からの顔の見えるつきあいが大切なのだなと地元の人と話したことを思い出しました。
治水対策と堤防
島根県出身の錦織良成監督が当石西地方を流れる高津川を舞台に映画を撮影され、先頃完成したようです。
どのような映画なのか気になっているところなのですが、川を防災の視点で見るとやはり治水対策を切り離すわけにはいきません。
総延長が長く、昔は水の水量も多く交通の要となっていた高津川は、治水対策は堤防を築くのではなく、遊水池を作ってしのいでいたのでは無いかと思わせる地形になっています。
川の流域に広がる良田は、洪水などで水が溢れたときにその水を貯め込めるような位置に広がっており、古くからある住宅地からは少し離れた位置にあり、その位置関係を見たとき、昔の人たちは田で氾濫した水を受け止めることで、自身の命や財産を守ってきたのだろうなと思います。
現在は川の両岸にはしっかりとした立派な堤防が建設されており、かつての遊水池にも家が建ちつつありますが、最近の豪雨を考えたら、堤防が川の水を支えきれるとは言えない状況になっています。もし川がはん濫したら、その住宅地は水の中に孤立してしまうことになりそうですが、新しくそこに家を建てて住む人たちは家が水没することを理解しているのかなと考えてしまいます。
他の河川の流域で、人口が多く川がはん濫することが認められない地域では、昔からさまざまな堤防が試行錯誤しながら作られてきました。
矢作川(やはぎがわ)の柳枝工(りゅうしこう)などはかなり有名ですが、川の勢いに逆らわず、柳の根の張り方を利用しながら、かつ柳の木が大水で流されないように堤防を維持し続けることは大変だったろうなと思います。
そういった堤防を守ってきた文化がある地域と、遊水池を作ってはん濫を川にゆだねていた地域では、堤防に関する意識も違ってくるのでは無いかと思うのです。
川がはん濫したときに浸かることが予想されている場所は、今なら防災ハザードマップを見ることですぐに分かります。
その地域に家を建てるのならば、当然土地の嵩上げはしておかなければなりませんが、地域によっては、その嵩上げをすることが周囲に被害を与えると誤解している人たちもいるようです。水に浸水するのなら地区の人はみんな浸からないといけないというのはいかにも日本風ではありますが、復旧の拠点となる家が水に浸かってしまっては、自分の生活も地区の復旧もまったく目処が立たない状態になってしまうということだけは忘れないようにしておきたいものです。
そして、長い期間堤防を守ってきたところでは堤防は切れるかもしれないものという意識がありますが、最近堤防を作ったところでは、堤防は切れないという意識でいるような気がするのです。
どれだけ技術が進歩してさまざまな工法が開発されたとしても、100%守り切れるという保証はありませんしできないと思います。
堤防を過信するのでは無く、水が氾濫したときに自分がいる場所はどうなるのかということをしっかり意識したいものですね。
災害時の警報レベル
災害時に発令される警戒レベルについては以前書いたことがありますが、運用が始まってからの取り扱いで混乱が生じている部分があるようです。
今回は警戒レベルのおさらいと、その発令条件を確認しておきたいと思います。
1.警戒レベルについて
警戒レベルはレベル1からレベル5までの5段階となっています。
警戒レベルの内容は、以下の表を確認してください。
2.何が問題なのか
表の中の「行政が発信する情報」の発令元が異なるため同じ表でありながら異なるレベルが発令されることが起きうると言うことです。
警戒レベルの発令元は「気象庁」「国や都道府県」「市区町村」にわかれており、発令元で分けると次のとおりになります。
ここで気をつけないといけないのは、気象庁や国・県は雨量や水位などの情報を元に基準を超えると自動的に発令される情報であること、そして市町村は客観的な情報を総合的にとりまとめて判断して発令するという違いがあるため、発令される警戒レベルに食い違いが発生することが起こりえます。
山陽新聞のWEB版によると、先日、岡山県真庭市でこの事例が発生したそうです。このケースでは、気象庁と県は雨量に基づき土砂災害警戒情報として緊急避難が必要なレベル4と判断し、真庭市は「地区の状況から被害エリアが限定され全域の避難は必要ない」と判断し、警戒レベル3を発令したそうです。
3.では、どうすればいいのか
各行政機関が発令する警戒レベルは、地区や地域という「面」であって、自分のいるところという「点」ではありません。
自分のいる場所がどんな場所でどういう状況なのかというのは、あくまでも自分で考えて判断するしかありません。
雨が続いて裏山が不安であれば、警戒レベル2でも避難してもかまいません。
また、高台で水に浸かる心配がないところであれば、レベル5でも自宅待機の方が安全という場合もあるでしょう。
行政機関が出す情報はあくまでも参考情報で、あくまでも最終的な決断は自分が行うしかないのです。
もしも判断に迷うようであれば、より安全な方を選んで行動するようにすれば少なくとも命は守れるのではないかと思います。
【終了しました】夏休み企画のご案内
趣味の範囲でやっている当研究所ですが、夏休みに合わせていくつかのイベントを計画しています。
興味のあります方は、ぜひお申し込みください。
1.大人と親子の着衣水泳体験
日時:2019年7月28日(日) 10:00~11:00
場所:益田スイミング 屋内プール
内容:着衣での水泳体験、浮き方の練習、履き物による歩き方比較他
対象:大人及び親子(子どもさんは自力で泳げる方に限ります)
講師:益田スイミング様講師
参加費:1,200円(会場使用料、保険料)
準備するもの:水着、水泳帽子、ゴーグル、タオル、長ズボン、長袖シャツ
申し込み締切:応募定員に達し次第
申込方法:参加される方の住所、氏名、年齢を申込時にお知らせください。当研究所へお申し込みの場合は、お問い合わせフォームの件名を「着衣水泳申し込み」としていただき、参加される方の住所、氏名、年齢をお知らせください。
申込先:益田スイミング様受付
石西防災研究所(お問い合わせフォームに飛びます)
2.地域防災マップを作ろう・高津上市地区編
日時:2019年8月7日 13:30~16:30
2019年8月8日 9:00~16:00
場所:高津公民館(旧高津地区振興センター)
内容:高津上市地区を回っていろいろなものを点検して防災マップを作成します。
また、二日目の昼食では防災食を体験していただきます。
対象:小学生
講師:石西防災研究所・伊藤
参加費:無料
準備するもの:筆記具、飲み物(持ち歩きできる状態で)、帽子、カメラ(あれば)
申し込み締切:7月31日(水)17時
申し込み方法:お問い合わせフォームの件名を「防災マップ申し込み」とご記入いただき、参加される方の住所、お名前、学年、所属する小学校をお知らせください。
申込先:石西防災研究所(お問い合わせフォームに飛びます)
避難所の環境について考える
避難所、避難場所、一時避難所(以後「避難所」とします)については過去にも触れているところですが、ここのところ続いている大規模な災害の報道を見ながら考えることがあります。
それは、避難所の収容人数の問題です。
例えば、内閣府の発表によると7月3日から4日にかけて降り続いた九州南部の大雨では避難指示(緊急)は約110万人に出されたそうです。そのうち、実際に避難した方が6,301人。率にすると0.005%となり、殆ど避難していないとみることができます。
では、避難所の収容人員はどうなのでしょうか?
市町村が定める防災計画に記載された避難計画を見る限りでは、避難所の周辺人口をそのまま収容するような計画になっていることが多いのかなと感じています。
例として、当研究所のある益田市高津町の避難所で考えてみたいと思います。
研究所から一番近い避難所は「高津小学校」です。平成30年度益田市防災計画の想定では、収容能力は1,000名。圏域人口は1,554名とされていますので、この時点ですでに収容能力を超えています。
ただ、実際に避難してきそうな地区の数字を拾ってみると1,038名となるので、これなら大きな誤差ではなさそうです。
一時避難所として校庭が指定されています。国土地理院の地図からざっくりと面積を拾ってみたら5,857㎡。圏域人口一人あたりの専有可能面積は3.76㎡となります。
仮に車で避難するとして、車のサイズを5m×2m=10㎡と想定すると、3人で1台分のスペースは確保されることになります。また、単にテントを設営するのであれば圏域人口をなんとか吸収することはできそうです。
次に、避難所開設時には普通最初に解放されるであろう体育館で考えてみます。
校庭と同じく、国土地理院の地図でざっくりと体育館の大きさを拾ってみると、その大きさは926㎡。実際の避難者になりそうな1,038名で割ると、一人あたりの専有面積は0.89㎡となり、スフィア基準で定められている難民キャンプでの難民一人あたりに必要とされる面積3.5㎡を下回る数値になってしまいます。
一人寝るのに必要な面積が2㎡と言われていますので、1㎡を切ると寝ることもできません。その上、実際には避難者はそれぞれ荷物を持ってきますので、間違いなく収容できないという状態になるでしょう。
逆に考えてみると、926㎡の体育館で3.5㎡の個人スペースを確保しようとすると、避難が可能なのは264人ということになります。
想定人口の1/5にも満たない数字ですが、大抵の避難所の設定はこんな感じですので、避難所周辺に住む全ての避難者が避難してきた場合には施設がパンクしてしまうわけです。
これは過去の大規模災害で毎回繰り返されている光景ですが、これに対して打てる効果的な手段というのはさほど多くはありません。
自分が悲惨な目に遭いたくなければ、なるべく自宅で過ごせるように、もし避難するのなら安心して過ごせる避難先をあらかじめ選んでおく必要があるということです。
家の立地条件から見て避難すべきなのか避難すべきでないのか、避難するとしたらどこへどんな手段で行くのか、そして避難所でどのように生活をし、どういう状況になったら自分の避難を解除するのかということをきちんと決めておくこと。
地震は突然やってきますが、それ以外の殆どの災害はあらかじめ起きるのはわかっている場合が多いので、被災想定区域外に出てしまうのも避難の一つです。
もう一つ、大規模な災害が起きると医療・介護体制が維持できません。そのため病気や障害をお持ちの方は、あらかじめ何か起きた場合の対応方法をお医者様や介護担当者としっかり詰めておく必要があります。
避難所では適切なケアはされないということを前提に、自分の避難計画を作っておくことをお勧めします。
家具の転倒防止は最初の一歩
少し前に建物の耐震診断と耐震補強について触れましたが、建物に問題が無くても家の中で人が下敷きになってしまうものが家具です。
「防災の備えは、まず家具の固定から」と言われることも多いのですが、市内のホームセンターに出かけて転倒防止器具のコーナーを覗くと、あまり商品が動いているような気配がありません。
お店の人に聞いても「大きな地震があったときはちょっと売れますが、それ以外は・・・」と苦笑される状況です。
地域の歴史をさかのぼってみると、津和野町や吉賀町では震度6強の地震が何度も起きているのですが、そこまでしっかりとした家具の転倒防止対策をしているおうちがどれくらいあるのかなと考えてしまいました。
大きな地震では、一番怖いのは家具の転倒によりその下敷きになることです。特に山間部の一軒家で一人暮らし状態のおうちも多いこの地域では、家具の転倒で下敷きになったら助けは来ないかもしれません。
そのため、まずは家具類の転倒防止をしっかりとしておきましょう。とっさの時に動きが取れない寝室には、家具は置かないこと。
そして台所の冷蔵庫や食器棚はしっかりと固定をしておくことです。
地震だけは来る予兆がわからないので、いつきてもいいように準備だけはしておくことです。
そして、転倒防止器具の取付はそう難しいものでもありません。
できれば異なる方式のものを二つ以上備え付けておくことで、家具がひっくり返るのを止めたり、止められなくても逃げる時間を稼ぐことくらいは可能になります。
さほど値段も高くなく、確実に命を守ることが可能になる転倒防止器具の取付をきちんとしておきましょう。